キャリアデベロップメントプログラム(CDP)とは?施策例・導入の流れ・成功事例を解説 |HR NOTE

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キャリアデベロップメントプログラム(CDP)とは?施策例・導入の流れ・成功事例を解説

  • 組織
  • 人材育成・研修

「キャリアデベロップメントプログラムの概要を知りたい」

「キャリアデベロップメントプログラムのメリットやデメリットが知りたい」

上記のようにお困りの方も多いでしょう。

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)は、企業が中長期的に取り組む従業員の育成プログラムの一つです。

本記事ではキャリアデベロップメントプログラムについて、概要や導入が進む背景、キャリアデザインとの違いや導入するメリット・デメリットについて紹介しています。

そのほかに、導入の流れやプログラムで役立つ人事施策、導入企業の成功事例についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

1. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)とは

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)とは、企業が中長期的に取り組む従業員の育成プログラムの一つです。企業は、各従業員の能力を最大化するための計画を立て、さまざまな施策に取り組みます。

CDPは以下のビジネス用語の略語で、日本語では以下のように訳されることが多いです。

原語

日本語訳

Career Development Program

キャリア開発計画

キャリアデベロップメントプログラムを実施する目的は、企業が求める能力や経験をもつ従業員を中長期的かつ継続的に確保することです。従業員の育成は、次のような取り組みを通じて実施されます。

  • 教育研修
  • 異動
  • OJT(職場内訓練・実地研修)
  • 従業員の自己啓発支援

研修や配属先を決定する際には従業員の適性・希望を考慮する点や、従業員が自主的に取り組める機会を設ける点も特徴です。

2. キャリアデベロップメントとキャリアデザインの違い

キャリアデベロップメントとキャリアデザインの違いは、以下のとおりです。

キャリアデベロップメント

キャリアデザイン

企業の関与

対象範囲

仕事のみ

人生全般

キャリアデベロップメントとは、業務に携わる過程で従業員が培う能力・知識・経験を継続的に磨くための取り組みです。また従業員の希望を踏まえたり、従業員が自主的に活動したりなど、企業と従業員が一丸となって取り組みます。

キャリアデザインは、仕事やプライベートを含む従業員の人生全般において培われた能力・知識・経験を継続的に磨く取り組みのことです。加えて、企業の関与は無く、従業員が個人的に取り組みます。

3. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)の導入が進む背景

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)の導入が進む背景には、以下のような要因があります。

  • ビジネス環境の激しい変化
  • 従業員の働き方や価値観の多様化

企業成長のために、ビジネスのグローバル化を始めとするビジネス環境の激しい変化に対応できる人材を求める企業が増えました。CDPの導入により、時代のニーズに沿う能力・知識・経験を備えた従業員を育成できます。

また終身雇用の崩壊とともに、仕事にまつわるキャリアデザインに取り組む個人が増加し、キャリアアップのための転職も増えました。結果、企業における優秀人材の流出や人材不足が加速しています。

CDPの導入で長期にわたり従業員のキャリア形成をサポートすることで、従業員の企業に対する満足度や信頼度の向上が期待できるでしょう。結果、優秀人材の確保や離職率の低下につながります。

4. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入するメリット

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入するメリットは、以下の効果を期待できることです。

  • 従業員の主体性の向上
  • 従業員のモチベーションアップ
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 優秀人材の確保
  • 離職率の低下
  • 従業員の能力・キャリアの可視化
  • 上記の可視化による人材管理の効率化
  • 組織の強化

従業員の主体性やモチベーションアップだけではなく、企業へのエンゲージメントの向上や離職率の低下などにも役立ち、従業員の成長に伴う企業成長も期待できます。

優秀な人材に長期的に働いてもらうために、キャリアデベロップメントプログラムが有用です。

5. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入するデメリット

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入するデメリットは、以下のとおりです。

  • 人材育成コストが増える
  • 設計・運用に手間や時間がかかる
  • 組織内のキャリアパス・教育・研修プロセスの整備が必要となる
  • 適切な評価のために人事評価制度との整合性を図る必要がある

転職が一般的となった昨今、企業は新卒入社のみならず、中途入社のキャリア開発計画についても検討しなければなりません。雇用の流動性を加味しなければならない点も、導入のデメリットの一つです。

6. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)導入の流れ

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)導入の流れは、以下のとおりです。

順番

概要

詳細内容

1

企業が従業員に求める人材像の明確化

・企業のビジョンや目標の実現のために必要な理想の従業員像について検討する

・階層や等級に応じた、理想の従業員に求める能力や資質、行動特性なども明確にする

2

組織内のキャリアパスの整備

・従業員が目指す階層や等級へ至るまでの工程や必要となるスキル、求める経験を明確化する

・昇進条件や基準を明確にする

・等級制度を設計する

・人事評価制度を設計する

・給与制度を設計する

3

1や2を踏まえた組織内の教育・研修プロセスの整備

・階層や等級ごとに各従業員に求める能力やスキルの習得支援を目的とする教育や研修の内容を明確にし、実施や運用の計画を立てて実行に移す

4

1や2の内容を従業員へ提示

・従業員に組織での将来的なキャリア形成について熟考してもらうために、組織が求める人物像や組織のキャリアパスなどについて従業員へ提示して周知徹底に努める

5

各従業員が希望するキャリア形成の把握

・担当者や上司が従業員の1on1面接を実施し、各従業員が望むキャリアプランについてヒアリングする

6

各従業員の適性の把握

・各従業員が活かせる基礎的な職務遂行能力や適応能力、性格的な特性などが、組織内のどのような職務や職位に適合するかを検討して判断する

・各従業員の意思も尊重しつつ、各従業員に適したキャリアパスを検討する

7

各従業員の具体的な計画の検討・立案

・従業員の意思や適性と企業側の狙いや希望をすり合わせつつ、各従業員のCDPを検討して立案する

・具体的にはOJTやOff-JTなどの教育研修プラン、また資格取得や自己啓発の支援計画など

・新規配属先の検討など

8

7の計画の実行

・立案した各従業員の各従業員のCDPにもとづき、各種の研修や支援、配置転換などを段階的に実行する

9

定期的なフィードバックの実施

・一定期間ごとに各従業員のCDPの進捗具合の確認および評価をおこなう

・評価後に従業員へのフィードバックも実施する

・必要に応じてCDPの修正や見直しを実施する

また経営戦略や市場環境、技術や時代の変化に応じて、各手順の内容を見直しましょう。

7. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)で役立つ人事施策

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)で役立つ人事施策として、以下のような施策が挙げられます。

キャリアパスの提示

従業員の希望や適性にもとづき、会社が推奨する昇進・昇格やスキルアップを含む将来的なキャリアプランを具体的に示すこと

キャリア面談

従業員が希望する配置や将来的なキャリアなどのヒアリングのためにおこなう担当者と従業員の1対1の面談

研修

会社が従業員に対し、業務に必要な知識やスキルを習得させるために実施する教育プログラム

自己啓発支援

会社が従業員の自主的な学習やスキルアップを支援するために、費用補助や学習時間の提供などを行う制度

人事異動

従業員の能力開発や組織活性化を目的として、会社が従業員を別の部署や役職に異動させること

配置転換

人事異動の一種で、同じ会社内での部署や職種が変わる異動

兼業・副業の許可

従業員が本業以外に別の仕事を持つことを会社が許可すること

FA制度

従業員が一定の業績を残した場合、希望する異動先の長に対して直接異動の申し出ができる制度

社内公募制度

人材の補充が必要な部署が組織内での異動希望者を募り、異動を希望する従業員が応募できる制度

キャリアパスを従業員へ提示することは、従業員が組織内でキャリアアップするために必要な知識・能力・スキルの把握に役立ちます。結果、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

またキャリア面談を定期的に実施し、従業員の状況や希望の変化に応じて、スキルや経験をどのように伸ばすのかを都度検討します。

従業員のキャリア形成に役立つ具体的な研修例は、以下のとおりです。

公募型研修

企業側が用意した研修内容を従業員に提示し、研修を受けたい従業員のみが参加する研修

カフェテリア型研修

各従業員がポイント化された福利厚生の保有ポイントを使い参加する企業内外の研修

キャリアデザイン研修

従業員自身が自身のキャリアについて考え、将来の目標やキャリアパスを明確化するための研修

部下のキャリア開発支援研修

管理職向けに、部下のキャリア開発をサポートするための知識やスキルを習得させる研修

テーマ別研修

特定のテーマ(例:リーダーシップ、コミュニケーションスキル、財務分析など) に特化した専門的な知識やスキルを習得するための研修

従業員の主体性やモチベーション、エンゲージメントの向上が見込めるような人事施策や研修を採用しましょう。

8. キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入した企業の成功事例

キャリアデベロップメントプログラム(CDP)を導入した企業の成功事例として以下2つを紹介します。

  • A社の成功事例
  • B社の成功事例

8-1. A社の成功事例

以下のような理由からキャリアデベロップメントプログラム(CDP)の導入を決めたA

の成功事例です。

CDPの導入理由

CDPで採用した制度

従業員が自分でキャリアを磨くことを企業理念の一つとしており、従業員のキャリア形成の支援制度を充実させるため

・社内公募制度

・FA制度

・公募留学制度

A社はキャリアデベロップメントプログラムの導入により、従業員の自主性を向上させることに成功しました。

8-2. B社の成功事例

キャリアデベロップメントプログラムの導入を以下のような理由から決めたB社の成功事例です。

CDPの導入理由

CDPで採用した制度

従業員のキャリアプランのデータを一元管理し、従業員の成長促進などに活用するため

タレントマネジメントシステムの構築

タレントマネジメントシステムにより一元管理されたデータは可視化できるため、B社は人材の見える化に成功しました。

可視化されたデータは、キャリアプランを分析する際にも役立ちます。結果、B社ではキャリアプランの分析による人材育成の活性化にも成功しました。

タレントマネジメントシステムとは、各従業員の基本情報やスキル、能力や経験などを一元管理するシステムのことです。また、以下の実現に役立ちます。

  • 適材適所の人材配置
  • 適切な人材育成

加えて、人材の可視化ができるため人事業務の効率化にも役立つでしょう。

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