多くの企業がWeb面接を採用活動に使っています。Web面接の導入を検討している採用担当者も多いでしょう。そこで今回は、Web面接を導入する段取りや準備の手順、面接当日の流れまでを具体的に解説しました。
目次
Web面接を導入する手順
新型コロナウィルスの影響もあり、Web面接を導入する企業は今後ますます増えていくことが予想されます。
まずは、採用活動にWeb面接を導入して実施するための大まかな手順を理解しておきましょう。基本的には従来の対面での面接と同じなので、一部Web面接に特有のステップがある、とイメージしておけば大丈夫です。
Web面接を導入する手順は、以下のような流れとなります。
- 経営層や採用担当部門が採用に関する課題を洗い出しと明確化
- 社内におけるWeb面接導入のコンセンサス作りと導入決定
- 使用するWeb面接ツールの検討と決定
- 採用部門と関連する部門(社内システム部門や求人部門、総務部門など)との調整、役割分担の決定
- Web面接ツールの調達、導入、社内テスト
③に関しては、無料ツールの使用も可能ですが、有料の専門Web面接ツールの方がセキュリティ面、機能面で有利です。
⑤については、ネットワーク環境も含めて入念におこないましょう。
また、実際のWeb面接の流れは以下の通りです。
- 書類選考通過後のWeb面接利用を求人票で告知
- 書類選考を通過した応募者にWeb面接ツールの使用方法を案内、事前テスト実施を依頼
- Web面接の実施日時を応募者、社内関係者と調整、確定
- 面接場所の確保
- 使用機材とネットワーク環境の準備、事前確認(PCやスマートフォンのほか、Webカメラやマイク、照明設備、Wi-Fi設備、電源設備など)
- Web面接を実施
- 録画を社内関係者とも共有して合否を協議、決定
- 応募者にWeb面接参加のお礼と合否を通知
①に関しては、ITリテラシーのレベルが極端に低い層のエントリーをあらかじめ防ぐ目的があります。
③では、緊急時に連絡がつく電話番号などもあらかじめ伝えておきましょう。
④については、ネットワーク環境やプライバシー保護を考慮して、社内の会議室や応接室、社外の貸し会議室などを予約することをおすすめします。
⑥については、応募者1人につき2〜3回の面接を実施する企業が多いようです。
以上が、Web面接の導入から実施までの大まかな流れです。
Web面接の前におこなう準備
Web面接の実施の際には、段取りと準備が非常に重要といえます。使用するネットワークの安定性やハードウェアの性能、参加者のITリテラシーなど、対面面接の際には存在しなかった要素が加わってくるからです。Web面接を成功させるためにも、徹底した事前準備と確認をおこないましょう。ここでは、Web面接の前におこなう準備を紹介します。
1. 使用するハードウェア、ソフトウェア、資料の確保
使用予定のPCやスマートフォン、Webカメラ、マイク、イヤホン、照明などをWeb面接を実施する同日の同時刻に確実に確保できるように手配します。実際にネットワークに接続して、ハードウェアとソフトウェアの動作確認や、操作要領の確認をおこなっておくことも必要不可欠です。
また、使用するWeb面接ツールによっては、事前に面接関係者のアカウント登録や、PCやスマートフォンへのアプリケーション導入が必要となることもあります。必ず確認しておきましょう。また、面接参加者が応募者のデータ(エントリーシートや履歴書、職務経歴書など)を参照できるよう、準備しておくこともおすすめします。
Web面接にありがちな盲点として、応募者に見せる会社紹介などのスライド資料の準備を失念しやすい、というものがあります。この辺りは従来の対面面接と同じ感覚です。なお、Web面接を導入する際は、社内関係者でロールプレイングをしておくことをおすすめします。
2.適切な面接場所の確保
Web面接を成功させるためには、適切な場所が確保されていることも必須です。Web面接は、良好な画面環境を確保できる場所で実施してください。結論としては、安定したネットワーク環境や電源が確保可能な前提で、社内の会議室や応接室、社外の貸し会議室などの利用がおすすめです。
面接官の周囲には、関係のない社員や作業員、来客などが映り込まない環境が望ましいです。したがって、社内のロビーやカフェコーナー、オフィス一角のミーティングスペースなどは、Web面接実施の場としては不適切かもしれません。
社内機密に関わる記入があるホワイトボードや、応募者に開示すべきでない資料などが見えてしまう懸念がある場所も、避けるべきです。Webカメラが実際に写す範囲を事前に確認しておくこともおすすめします。
採用面接では、応募者のプライバシーに関わる話題も出ます。ディスプレイに関係ない人間が映り込むと、集中力が途切れる可能性があるばかりか、自社の信用度にも悪影響です。
プライバシーへの配慮に欠けた企業文化なのではと疑念を抱かせると、信頼を失って選考辞退されることにもなりかねません。応募者が自然体で話せるような、プライバシーに配慮した環境を心掛けましょう。
3.適切な音声環境の確保
次に、音声環境についても押さえましょう。使用するマイクが、オフィスのざわめきを拾わない場所を確保します。面接とは無関係な社員同士の会話や電話の音声、来客との商談などが聞こえてしまうような場所も、Web面接の実施には不適当です。
雑音が入ると面接に集中できなくなりますし、社内機密や顧客情報、個人情報が漏洩するリスクにもなり得ます。偶然聞こえた断片的な会話の内容がネガティブに捉えられ、企業イメージが悪化することもあるのです。
また、Web面接中にPCでメモを取る人もいますが、タイピング音が応募者の耳に入ると、あたかも調書を取られているような不快感を覚えたり、気が散ってしまったりすることもあります。細かい点ですが、一定の配慮が欲しいところです。Web面接に使用するマイクが実際にどの程度の音を拾うのか、あらかじめ検証しておくことをおすすめします。
4.使用するWebカメラの角度と距離の調整
Web面接を導入した当初では、なかなか気が回らないポイントかもしれません。ここでは、ノートPCを例に挙げて紹介します。
通常業務で使用するときのようにテーブル上に直接ノートPCを置くと、どうしても面接官の視線は上から見下ろすようなかたちになります。応募者側から見ると、面接官から見下されているように感じるでしょう。
単なる角度の問題にもかかわらず、応募者が不必要に緊張したり、不快に感じたりすることもあり得ます。圧迫面接を受けているような心理状態も生じがちなのです。
余計な誤解を避けるためにも、面接官の目線がWebカメラの高さにくるよう調整しておくことをおすすめします。厚手のファイルや書類ボックスなどで底上げしてノートPCを設置すれば、目線はWebカメラとほぼ同じ高さにくるでしょう。位置を動かせるタイプのカメラであれば、適切な距離になるよう調整しておくのもおすすめです。
なお、面接の最中は、面接官はディスプレイを見続けないよう注意してください。Webカメラではなくディスプレイを見ると、応募者には面接官が自分と目を合わせてくれていないように映ります。少々の慣れが必要ですが、面接官はカメラを相手の目だと思って会話するとよいでしょう。
5.応募者のWeb面接を受ける環境作りをサポート
応募者のなかには、Web面接を受けることに慣れていない人もいるでしょう。あらかじめ求人票や募集要項などでWeb面接実施の旨を公表しておけば、ITリテラシーのレベルが極端に低い求職者は、応募に躊躇する可能性があります。
しかし、Web面接には慣れていないものの、実力のある魅力的な人材も存在します。しっかりとサポートをおこない、面接を成功させて採用に結び付けたいものです。
書類面接を通過した応募者には、Web面接ツールの使用法や必要な環境を説明し、必要なアドバイスが可能な体制を整えておきましょう。同時に、不測の事態で面接が中断した場合に備えて、必ず連絡がつく電話番号などを交換しておきます。採用担当者や社内システム担当者は、応募者が気軽に相談できる雰囲気を示すようにしましょう。
なお、Web面接に不慣れな応募者は、以下のようなことを心配するケースが多いようです。
- スマートフォン使用でも構わないか(PCを持っていない、PCの性能が不十分)
- 外部のフリーWi-Fiを利用してもよいか(自宅にインターネット環境がない)
- カフェやホテルで面接を受けても大丈夫か
- 適切な服装がわからない、など
よくあるトラブルへの対処法や、よくある質問に対するFAQは、あらかじめ応募者に通達しておくことをおすすめします。
Web面接当日の流れ
Web面接当日の流れは概ね以下の通りで、基本的には対面面接の当日と同様の流れです。ただし、Web面接特有のステップもありますので、理解しておきましょう。
- Web面接を実施する場所に必要なハードウェア(PCやWebカメラ、イヤホン、照明など)を搬入し、設置する
- ネットワークに接続してハードウェアとソフトウェアの稼働を確認
- Webカメラやマイク、照明の調整
- 応募者の個人データ(エントリーシートや履歴書、職務経歴書など)や、応募者に参照してもらう企業案内などの資料を準備
- 応募者と社内関係者あてに、実施場所(社内のみ)、開始時刻、接続先URL、緊急連絡先、注意点などを記載した最終確認メールを送付
- 社内関係者は面接開始10分前には面接場所に入室、Web面接ツールにログインして待機
- Web面接実施(必要に応じて、Web面接ツールでやりとりを録画)
- 使用したハードウェアの撤収
- やりとりした録画を社内関係者と共有する
- 協議のうえ、合否を決定する
なお、Web面接は旧来の対面面接に比べて、反応が相手に伝わりづらい傾向にあります。当日は、意識的に頷いたり、笑顔を見せたりなどしてリアクションするようにしましょう。直接対面時よりもハッキリと、やや大袈裟気味にすると効果的です。
声のトーンは通常よりも少し高めにすると、相手に伝わりやすいようです。
加えて、Web面接実施当日の無断キャンセルや直前キャンセル、遅刻が発生した場合に備えて、自社の対応方針も固めておきましょう。
Web面接の始め方はシンプルに考えて正解
Web面接を導入する大まかな流れや事前準備すべきこと、面接当日の流れまで、具体的に説明しました。基本的には、従来の対面面接に加えて、Web面接特有の注意点があるということがわかったでしょう。
また、セキュリティ面や機能面を考慮すると、Web面接ツールは有料サービスの利用がおすすめです。ぜひ一度社内で活用を検討してください。