厚生労働省が発表した最新の有効求人倍率は5カ月連続で改善しており、コロナ禍により影響を受けたものの、雇用情勢は全体的に回復基調にあるとの見方が示されました。
求人が増え持ち直しの動きが見られる一方で、ビジネスパーソンの意識はどうなっているのでしょうか。
Sansan株式会社が提供するキャリアプロフィール「Eight」が転職経験者に実施した調査では、コロナ禍以降に転職を考えるようになった人は48.0%と約半数に上り、特に20代においては72.8%と7割を超えることが判明しています。
コロナ禍がビジネスパーソンが自分のキャリアを見直すきっかけの一つになっていることは言うまでもなく、実際に人材が流動的になっていることを示唆する結果となりました。
今回は、Eightが行った「転職経験者のキャリア形成に関する意識調査」を解説しながら、ビジネスパーソンのキャリア形成の実態や、これからのビジネスパーソンがやっておくべきことなどを紹介していきます。
目次
1.転職の最新動向!知らなかった企業への転職が増えている?!
まずは調査から、転職者の最新の動向について見ていきます。
先ほど、コロナ禍以前より転職を考えるようになった人が約半数に上ると紹介しましたが、その理由を聞いたところ、「勤務先への不安・不満があったから(48.5%)」が最も多く、次いで「多様な働き方が広がってきたため(47.9%)」「自分のキャリアや働き方を見直したいため(45.4%)」という結果となりました。
特徴的なのは20代、30代です。同じ質問で最も多かった回答が「多様な働き方が広がってきたため」で、20代では55.5%、30代では51.5%と、それぞれ過半数に上りました。
若い世代を中心に、柔軟な働き方が可能であることが勤務先を選ぶ重要なポイントになってきていることがうかがえます。
それでは実際に直近で転職した企業は以前から知っている企業だったのでしょうか。
「企業名、事業内容ともに知っていた(40.7%)」と「知らなかった(40.2%)」がほぼ同じ水準の結果になっています。意外と知らなかった企業への転職が多く、特に30代以降は知らなかった企業に転職した割合が最も多いようです。
転職活動を通じた新たな企業との出会いにより、転職を決めている様子がうかがえました。
転職経験者が今勤めている企業で今後も働く想定なのかを質問したところ、「想定していない(12.1%)」「どちらかというと想定していない(18.2%)」の合計が3割(30.3%)に上り、「わからない(7.8%)」を合わせると約4割(38.1%)にもおよびました。
終身雇用の考えが薄らぐ中、コロナ禍以前より転職の意向が高まった人が多いことも相まって、人材が流動的になっていることを示唆するような結果となっています。
2.人材が流動的になる中、キャリアにどう向き合っているのか。実態が明らかに。
人材が流動的になると、求人に対する競争は激しくなります。ビジネスパーソンの中には自分が採用市場で生き残っていけるのかが気になる人も多いのではないでしょうか。
自分が持つスキルや経験を生かして、今後生き残っていける自信があるかを聞いた質問では、「自信がない(17.5%)」「どちらかというと自信がない(22.0%)」と回答した人の合計が全体の約4割(39.5%)に上りました。「わからない(14.5%)」という消極的な回答を含むと過半数(54.0%)にもおよび、ビジネスパーソンが自身のスキルや経験に不安を抱えている様子がうかがえました。
これまでのキャリアや実績を振り返り、経歴や保有するスキルなどを明文化・言語化する「キャリアの棚卸し」。転職の際にも必ず通るプロセスです。
一方で転職の際にだけする人も多いのではないでしょうか。調査結果でも、「定期的にしている(17.1%)」と回答したのは全体の2割未満という結果になりました。
世代別に見ると20代から50代にかけて、世代が若くなるほど定期的にキャリアの棚卸しをしている人の割合が多いことが分かります。
キャリア形成を目的に能動的にスキルを身につけたり学ぶ機会を作っているかを聞いた質問では、約7割(68.1%)は何かしらの機会を作っていると回答しています。しかしその内訳を見てみると、「必要なときだけ作っている(27.7%)」が最も多く、「定期的に作っている(15.5%)」は2割に満たず、あまり多くないようです。
そんな中、20代は他世代と比較して意欲的な姿勢が見受けられ、約3割は「定期的に作っている(28.0%)」と回答し、「不定期に作っている(30.8%)」と回答した人を合わせると過半数(58.8%)を超えています。
3.キャリア形成の第一歩、キャリアの棚卸しの始め方
ここまで調査結果を見てきましたが、ビジネスパーソンはキャリア形成を考えるにあたり、まずは自分のこれまでのキャリアや実績を振り返り、経歴や保有するスキルなどを明文化・言語化する「キャリアの棚卸し」をおこなう必要があります。
「Eight」では、自分の名刺をプロフィールとして登録し、これまでの経歴をキャリアサマリとして記入することで、キャリアプロフィールを気軽に作ることができます。
身につけてきたスキルを登録できるスキルタグでは、「営業」「マーケティング」「商品企画」などの大分類だけでなく、例えば営業だと「ソリューション営業」「新規営業」「法人営業」など、自分の得意分野をより細かく明示することも可能です。
転職する場合だけでなく、日常的にご自身のプロフィールを見ることで、キャリアに向き合う時間も取れるようになりますので、これらのプロフィールをまとめていくだけでも、キャリアの棚卸しができるのではないでしょうか。
4.最後に
今回は、コロナ禍で変化したビジネスパーソンのキャリア形成に関する意識を見ていくとともに、キャリア形成の第一歩としてまずは最初にできるキャリアの棚卸しについて紹介してきました。
人生で多くを割く仕事時間をより充実したものにするために、キャリアについて改めて向き合ってみてはどうでしょうか。
Eightでキャリアプロフィールを作成すると、思いも寄らない企業と出会えることがあります。
「Eight Career Design」という法人向けのプロフェッショナルリクルーティングサービスでは、転職意向のあるEightユーザーと企業のマッチングを後押ししています。
調査結果にもあったように、名前も事業内容も知らなかった企業への転職は意外と多いことから、こうした企業との出会いの機会を設けておくことも大事です。しかもユーザーは転職意向度を設定して待つだけ。少しでも多くの企業の目に留まるように、キャリアプロフィールを充実させておくとよいでしょう。
企業側も、自社が求める人材にダイレクトにアプローチできるため、本当に欲しい人材を効率的に探すことができます。今後は、転職サイトやエージェントへの登録だけでなく、直接企業と出会う機会を用意しておくことが、キャリア形成においても重要になるかもしれません。