2022年3月16日、リファラル採用の支援サービスを展開する株式会社MyRefer(マイリファー)が、リファラル採用のロールモデルとなる企業・個人を表彰する「Japan Referral Recruiting Award 2022」を開催しました。
昨今、企業で「DX」や「ジョブ型雇用」といった働き方改革の動きが加速する中、日本の採用市場はタレントの獲得競争が激化しています。
そのような中で、リファラル採用を戦略的に活用し、従業員のエンゲージメントを高め、IT人材や自社にマッチする人材を採用することは非常に大事なことでしょう。
本記事では、受賞した企業・個人のご紹介、および当日の基調講演や表彰式の様子をイベントレポートとしてお届けします。
目次
1. 受賞企業8社/受賞者2名!リファラル採用のロールモデルを表彰!
今回のJapan Referral Recruiting Award 2022の受賞企業および受賞者は、下記のようになりました。
【企業賞】
- 大賞:博報堂DYグループ
- Best Matching賞:株式会社KDDIエボルバ
- Special Talent賞:株式会社日立製作所
- Engagement賞:株式会社岐阜タンメンBBC
- Branding賞:株式会社ラクス
- Best Performance賞:東京レストランツファクトリー株式会社
- 新卒部門賞:株式会社LAVA International
- ルーキー賞:トヨタ自動車株式会社
【リクルーター賞】
- トップリクルーター賞:株式会社ラクス 堀田健太 氏
- ユニークリクルーター賞:株式会社フロンティアキッズ 高橋 直子 氏
そもそもリファラル採用とは、従業員のつながりで知人や友人を紹介・推薦してもらう採用手法であり、「①マッチング率の向上」「②転職潜在層の採用」「③従業員エンゲージメントの向上」「④ブランディング促進」「➄自社採用力の向上」という5つの価値があります。
数あるエントリー企業の中から、これら5つの価値を基準に審査し、日本全国でリファラル採用を導入して自社の採用に変革を起こした企業8社、友人と企業の成長に最も寄与したリクルーター2名に各賞が授与されました。
2. 時代は「リクルーティング」から「タレントアクイジション」へ
表彰式当日は、オープニングとして株式会社MyRefer代表取締役社長CEOの鈴木氏より、世界のHRトレンドから紐解くリファラル採用の価値について基調講演がありました。
世界のトレンドから見る、タレントアクイジションの潮流
鈴木氏:2015年に創業した当社は、これまで7年間に渡ってリファラル採用という概念を啓蒙し、累計800社を超える企業様のリファラル採用を支援してきました。
しかし、まだまだ日本のHR業界における課題は山積みだと実感しており、今年から改めて策定した「未来のインフラを創出して、HRの歴史を塗り替える」というビジョン、そしてその結果もたらされる「組織と個人のポテンシャルを解放する社会の創造」をパーパスに掲げ、事業を運営していきたいと考えています。
3位から24位――こちらは、日本における1人当たりの 名目 GDPの数字です。かつて経済大国だった日本が、今や先進各国最低水準の24位になっています。さらに、この数字を企業観点でみると、1989年の時価総額のランキング上位20社には日本の企業が多くを占めていた一方で、今年は一社もランクインしていません。今ランクインしている企業は、情報通信産業の企業がほとんどです。
HRという観点でみると、日本はこれまで製造業を中心とした産業構造であり、良い製品があるので新卒一括で労働力として採用(リクルーティング)すればどんどん事業が伸びていく構造の中で、キャリア採用で優秀なタレントを獲得する概念がありませんでした。
一方で、時価総額上位を占めるアメリカでは、リクルーティングという言葉はほぼ使われておらず、「タレントアクイジション」という概念が浸透しています。
「優秀なエンジニア5名は、平凡な1000名を凌駕する」という言葉もあるように、一人のタレントをいかに戦略的に獲得して、中長期で事業を伸ばしていくかが非常に重要だと言われています。
では、「タレントアクイジション」とは何か。
そもそも、リクルーティングは応募以降のプロセスで、欠員募集として人材紹介や求人広告に声がけをして応募を集めて採用することです。一方で、タレントアクイジションは、より中長期で自社のビジネスを加速する人材を定義し、転職潜在層へ戦略的に興味関心をもってもらって採用することです。
日本でも、コロナ禍でHR市場に大きな変革が起こっています。メンバーシップ型からジョブ型雇用になり、新卒一括採用からキャリア採用にも注目が集まり、採用の数ではなく質が重視されるようになり始めています。
海外のトレンドとこのような日本の状況をふまえて、タレントアクイジションという概念が必要になってくると考えています。
組織と個人のポテンシャルを解放するリファラル採用の価値
鈴木氏:さて、本日はリファラル採用の祭典ですが、戦略的にタレントを獲得する上でリファラル採用はどういう意義があるのか。
先ほど転職潜在層へアプローチする必要があるとお話しましたが、リファラル採用は自社で勤める従業員の知人に対して声がけをするため、転職が顕在化されていない人に自社の本当のリアルな魅力を伝えられます。
一方で、個人の視点からいうと、これまでにない企業と巡り合える可能性があり、職歴書ではなかなか表現ができなかった自分のポテンシャルを発揮していくことができます。
このような、企業にとっても個人にとっても、双方向のポテンシャルを解放するものがリファラル採用だと考えています。
本アワードでは、リファラル採用によってタレントを獲得し、企業と個人双方のポテンシャルが解放された事例を表彰します。また、革新的な取り組みを進める企業のみならず、組織と友人の成長に寄与したリクルーターにもスポットライトをあてて選出しています。
最後に、繰り返しになりますが、私たちは「MyRefer」をもってリファラル採用という概念を提唱するだけではなく、リクルーティングからタレントアクイジションに変革する概念を啓蒙していきます。
数を追い続ける採用ではなく、より質の高い人材を獲得してエンゲージメントを高めていく――中長期にわたって企業の成長に寄与する戦略的なタレントアクイジションを支援してまいります。
3. 受賞企業・リクルーターの事例をご紹介!受賞した理由とは?
それでは、ここから受賞企業および受賞リクルーターをご紹介します。当日は、オフライン・オンラインで受賞各社への表彰式が行われました。
今回は、抜粋して「大賞」を受賞した博報堂DYグループ、「Special Talent賞」を受賞した株式会社日立製作所、「トップリクルーター賞」を受賞した株式会社ラクス 堀田健太氏さんの審査コメントと受賞コメントをご紹介します。
3-1. 大賞:博報堂DYグループ
審査員|株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光 氏
はじめて本格的にリファラル採用を実施したにもかかわらず、細かい工夫が随所でできており素晴らしいと思いました。
例えば、社員の大切な知人を紹介してもらうので、むやみに不合格を出さないように最初にカジュアル面談を行ないお互いに感触を確かめることで、正式応募からの内定率が約3割という結果となるなど、細やかな工夫が随所にみられました。
加えて、採用人数でもコスト面でも大きな成果を上げています。まさに大賞にふさわしい実績ではないでしょうか。
博報堂DYメディアパートナーズ 人事局 人事部 マネジメントプラニングディレクター 吉川誠 氏
この度は栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。制度導入から短期間で成果を創出できたことに、ご協力いただいた社員ならびに関係者の皆さまにこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
人材要件の多岐化、複雑化が進む時代ですが、当社で働く社員自身が「一緒に働きたい」と思う人ほど魅力的な人はいませんので、これからもこの繋がりを大切にしていきたいと思います。
リファラル採用のさらなる可能性を確信できた1年でしたので、これからも日本の採用の変革に貢献できるようなチャレンジを重ねていきたいと思います。
Special Talent賞:株式会社日立製作所
審査員|慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授 岩本 隆 氏
事業ポートフォリオ変革を進める中で新しいタイプのタレントを獲得する必要があるが、「全員ヘッドハンター制度」を推進することで転職市場に出てこない潜在的なスペシャルタレントを採用できています。
また、採用のトータルコストが削減できていることに加え、ヘッドハンターとして動く社員が自分の言葉で会社の魅力を語れるようになることで、会社全体の人材力を高めることに寄与しています。
株式会社日立製作所 人財統括本部 人事勤労本部 タレントアクイジション部 主任 太田さき 氏
この度は、栄えあるSpecial Talent賞を頂戴し光栄に思います。
リファラル採用制度の導入以降、実際に職場で働いている社員こそ、いま日立にとって必要な人財を理解しているという考えのもと、社員への働きかけに注力してきました。
その結果、社員ひとり一人の人脈により多様な人財と出会うことができ、採用難易度の高いポジションにおいても人財獲得ができました。今後もさらにリファラル採用を発展させ、優秀人財を獲得すると共に、日本の採用の変革にも貢献していきたいと思います。
トップリクルーター賞:株式会社ラクス 堀田健太さん
審査員|株式会社MyRefer 代表取締役社長 CEO/リファラル採用研究所 所長 鈴木 貴史 氏
SNSを通じて日々会社のことを発信し、年間2000名近い新規候補者に対して会社をブランディングしたリファラルならではのアンバサダー活動を体現されています。
潜在的にチャレンジしたい友人に対してマッチングの機会を提供した結果、友人からのキャリア相談も多く、組織と個人の双方の成長に寄与されている事例なのではないかと思います。
株式会社ラクス 堀田健太 氏
この度はトップリクルーター賞という名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。
私はラクスが大好きで、SNSで会社のこともよく発信しています。採用は今後の会社の重要課題だと感じており、人事だけに任せるのではなく自分自身も動いたほうが良いと思い、一緒に働きたい人を探してリファラル採用に取り組んでいます。
現在関わっている「楽楽勤怠」という新規事業を大きくしていき、会社のビジョンである「日本を代表する企業」を実現するために、これからも日々の情報発信を通じて、ともに未来を創る仲間を探していきたいと思います。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の「Japan Referral Recruiting Award2022」を通じて、組織と個人のポテンシャルを解放するリファラル採用の価値を改めて感じました。
受賞企業・個人のように、これからの未来に向けて、採用からタレントアクイジションへと変革するべき時が近づいているのではないでしょうか。