メルペイが実践する『技術広報』とは?『採用広報』との違いは何か

近年、エンジニア採用の難易度があがっている中で、優秀なエンジニアの継続的な採用をおこなうための手法のひとつとして、IT企業を中心に「技術広報」に注目が集まっています。

しかし、「技術広報といっても何をすればいいの?」「どんなメリットがあるの?」「自社でやり切れない…」といった懸念をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、メルペイの技術広報に携わっている安藤さんに、メルペイが取り組む技術広報の中身やノウハウについてお伺いしました。

【人物紹介】安藤 喜子 | 株式会社メルペイ Engineering Engagement Team
新卒で採用コンサルティング会社に入社。採用の設計、媒体運営、選考、内定フォローなどに携わる。2018年にメルカリ入社。2019年よりメルペイ所属。Engineering Engagement Teamにて、技術広報( エンジニア向け Twitter の運用、テックブログの推進、技術イベントの企画運営、採用候補者へのリーチ施策など)や、エンジニアリング部門の予算管理の他、エンジニア組織に関するプロジェクトを幅広く実施。

技術広報とはなにか?大別される2つの役割

ー本日はよろしくお願いします。まずは技術広報とはなにかお伺いできればと思います。


安藤さん
技術広報とは、社外のエンジニアに対し、自社のプレゼンスや認知拡大などを目的とし、技術的な情報の社外発信を推進する仕事です。


ー技術広報と採用広報の違いはあるのでしょうか?


安藤さんこの2つは、目的が違います。

採用広報の主目的は、候補者からの応募を促すこと。一方、技術広報の主目的は、自社のエンジニア組織や業界の発展を促すこと。

ちなみにメルペイの「技術広報」は、技術広報をメインにしつつ採用広報を担うこともあります。


ー技術広報は、具体的にはどのような活動をおこなっているのでしょうか?


安藤さん
メルペイには、自らが発信者となる「アドボケイト」と、他人の技術発信を推進する「技術広報担当」がいます。

アドボケイト

安藤さんアドボケイトは、社内外で技術の普及推進をおこなう人です。

OSS活動(※)や、技術コミュニティの運営・登壇をし、会社に関わる技術の普及を自ら担います。

※OSS(オープンソース・ソフトウェア)活動
OSSとは、ソースコードが無償で公開されており、修正・拡張・再配布などを認められたソフトウェアを指す。「OSS活動」とは、これらのオープンソースのプロダクトを開発・保守すること。新規開発、メンテナンス、ドキュメントの更新などがある。

技術コミュニティに関しては、直近では以下イベントの主催・運営サポートなどをしています。

技術広報担当

安藤さん技術広報担当は、自社エンジニアの発信を推進する人です。

組織や技術、プロジェクトや働く人について、ブログやイベント、動画など様々なコミュニケーション手法を通じて伝えていきます。


ーそもそもなぜ、メルペイは技術広報に取り組むようになったのでしょうか?


安藤さん
きっかけは、2015年ごろ。

当時メルカリのCTOだった柄沢の「メルカリにはすごいエンジニア、すごい技術がたくさん存在する。もっと多くの人にこのことを知ってほしい!」という想いからです。

その想いが、子会社のメルペイにも引き継がれています

メルカリ・メルペイの技術広報の方向性とは

安藤さんメルカリ・メルペイが情報を発信する際に大切にしていることが3つあります

1.メルカリ、メルペイのエンジニアは新しい技術への挑戦を通じ「お客さまの課題をテクノロジーで解決し、新しい価値を提供する」ことを第一に目指す

安藤さんメルカリは『テクノロジーの力によって、世界中の個人と個人をつなぎ、誰もが簡単にモノの売り買いを楽しめる』世界。

メルペイは『決済・金融・シェアなど様々なお金にまつわるあり方を変え、信用を創造して、なめらかな社会を創る』世界を実現することを目指します。

エンジニア組織もその方向性に沿い、テクノロジーでお客さまの課題解決を実現することを大切にしています。

さらに私たちは、現在メルカリやメルペイを使ってくださるお客さまに限らず、テクノロジーを使って社会のあり方や世界の様々な問題解決に挑戦していく組織です。

その挑戦を通じ、世の中への新しい価値の提供も私たちの役割だと考えています。

私たちが大切にしている考え方やあり方の前提を共有し、私たちのミッションを技術発信を通じて伝えていきます。

2.『技術の発信が産業への還元』サイクルを通じエンジニア業界の技術発展への貢献を目指す

安藤さんエンジニアリングは日々技術のアップデートが求められる変化の早い業界ですが、私たちが新しく生み出すのアウトプットは、過去のエンジニアの経験や知見があり成り立っています。

私たちが新しく生み出す技術のアウトプットも同様に、発信を通じて次の技術者に対して共有し渡していくことで、業界全体の発展に貢献します。

私たちは技術発信を通じ、そういった知識のサイクルを大切にしています。

3.変化する新しいエンジニア組織を目指す

安藤さんメルペイのエンジニアリング組織は、組織として様々なビジネスのフェーズや組織変化に向き合いながら、新しいエンジニア組織のあり方に挑戦しています。

人事制度、福利厚生、開発体制、採用基準など、常にアップデートしていく中で「私たちがあるべきエンジニア像」を言語化し、エンジニア組織として目指すべき姿を発信していきます。

ーなぜこのような発信のポリシーを策定したのでしょうか?


安藤さん
エンジニア全員と、長期的な方向性やビジョンを共有するためです。

メルカリ・メルペイのエンジニア組織は年々大きくなってきており、発信媒体も複数存在するため、発信全体の方向性を確定する必要を感じました。

このポリシーの内容は、昔柄沢が社内向けに公開したWikiの内容を参考にしつつ、メルカリ・メルペイのCTO・VPoEたち(2019年時点)と固めました。

メルペイ技術広報の具体的な取り組み

安藤さん方向性を策定・共有しただけで、技術発信が継続するとは限りません。メルペイでは Engineering Engagement Team が発信量や質を担保する取り組みをしています。

メルカリグループの直近1年間のエンジニアの発信・露出量はこちらです。具体的な取り組みをご紹介します。

1. テキストでの露出(オウンドメディアと外部メディアの活用)

■オウンドメディア活用その1|mercan(以下、メルカン)

安藤さんプロジェクトやRole、メンバー個人のキャリアにフォーカスしたインタビュー記事はメルカンで公開します。

技術広報担当は、出演者と企画を詰めたり、編集部やライターと連携して記事公開までの進捗をマネジメントします。

■オウンドメディア活用その2|メルカリエンジニアリングブログ

安藤さんエンジニアが執筆する記事は、メルカリエンジニアリングブログで公開します。

技術広報担当は、普段からの声掛けはもちろん、「Advent calendar」や「Merpay Tech Openness Month」 などの特集を組んで社員がブログを執筆するきっかけをつくります。

■外部メディア活用

安藤さんイベントレポートや経営陣へのインタビュー記事を、外部メディアに掲載します。

技術広報担当は、掲載先媒体の選定をしたり、先方からの持ち込み企画に対応します。

2. イベントでの露出(自社イベントと外部イベントの活用)

■自社イベント

安藤さんイベントの企画・開催をします。単に技術のTips共有や勉強を目的としたものもあれば、会社や仕事の紹介を目的としたものもあります。

技術広報担当は、各技術領域のエンジニアやエンジニアリングマネージャー、採用担当と話しながらイベントテーマを企画し、当日の運営まで担います。

直近では、『Merpey Tech Fest』を開催しました。

Merpay Tech Fest は5日間のオンライン技術カンファレンスで、メルペイの事業を支える組織・技術・課題などへの試行錯誤やアプローチを紹介しました。

ー5日間はすごいですね…!ちなみに自社イベントを企画する際に意識されていることはありますか?


安藤さん「メイン目的は何か」を考えて、それをぶらさずに設計していくことですね。

とにかく多くの人と技術の話ができればOKなのか、採用候補者にエントリーしてもらいたいのか。

目的によって、コンテンツの内容、アサインメンバー、時間配分、アンケート項目が変化します。イベントを開催する際は、まず誰に何を届けたいのかを明確にすることが大事だと思います。

■外部イベント

安藤さんメルカリ・メルペイは他社や外部の技術コミュニティが主催するイベントをスポンサーしたり、登壇者を輩出したりしています。

技術広報担当は、出演依頼が来た際の対応やスポンサーのプラン確認・準備サポートなどをおこないます。


ーなぜ外部のイベントをスポンサードされているのでしょうか?


安藤さん
メルカリグループのブランディングおよび社内エンジニア達のネットワーキング・意欲向上・スキル向上のためです。

基本的に、以下の3つの目的のどれかに合ったイベントを優先的に支援し、それ以外のものはケースバイケースでの取り扱いとしています。

  • 1、メルカリで現在使用している技術・コミュニティ支援
  • 2、新技術・未参入分野への投資
  • 3、社会的意義のある分野に対するマーケティング

Engineering Engagement Teamの今後|オンボーディングと育成強化へ

ー最後に、今後の展望などあれば教えてください。


安藤さん
今回、技術広報についてお話をしましたが、技術広報担当が所属するEngineering Engagement Teamは従業員体験の向上(オンボーディング、育成、評価など)もカバー範囲です。

ただ、現状社員向けの施策はまだあまり手をつけられていません。

チームミッション「メルペイのエンジニア組織をスケールさせる」を達成するため、今後は従業員体験の向上施策にも力を入れていく予定です。

その流れで、最後に告知になってしまいますが(笑)、この従業員体験を向上するための施策を担っていただけるメンバーを募集しています。

メルペイが募集するポジション
[エンジニアリングエンゲージメント (Employee Experience)]
「メルペイのエンジニア組織はすでに仕組みが整っているのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はそうではありません。エンジニア組織開発を担当するEngineering Engagementチームは設立してから約2年、メンバーは2名(2021年9月時点)の若く小さなチームです。これまでやってきたことは技術広報と社内イベントがメインなので、それ以外の業務にはまだあまり手がつけられておりません。新しく入社していただく方の取り組みがメルペイにとって最初の取り組みになることも多いでしょう。そんなフェーズのチームだからこそ、思い切りチャレンジできる環境が整っています。

<Engineering Office 具体的な業務内容>
  • エンジニア組織の透明性を高める技術広報の企画と実施
  • エンジニアの採用戦略と選考フローの企画と実施
  • エンジニアのオンボーディング施策の企画と実施
  • エンジニアに対するキャリアアップのための機会提供
  • 専門性理解を深めたり、組織理解を深めるための社内イベントの企画と実施
  • その他、エンジニア組織の課題解決や成長戦略の企画と実施

※現在募集しているのは、この中でも特にオンボーディングやキャリアアップ施策にフォーカスしたプロジェクトをリードしていただける方です(2021年9月現在)。

技術広報だけでなく、社員育成まで担うチームなんですね


安藤さん
そうですね。ひとりのエンジニアに対して「採用」「オンボーディング」「活躍」「成果の社外発信」という一連のサイクルを担うイメージです。

ただ、理想まではまだまだ遠いです。これからもっと影響力大きく・スピード感を持ってやっていきたいです。

メルペイはカオスな組織なのですが、カオスと聞いて楽しそうと思う方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけいただけますと幸いです。

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