2022年10月施行の改正職業安定法対応のために、採用担当者がやるべきこと|LAPRAS飯田 |HR NOTE

2022年10月施行の改正職業安定法対応のために、採用担当者がやるべきこと|LAPRAS飯田 |HR NOTE

2022年10月施行の改正職業安定法対応のために、採用担当者がやるべきこと|LAPRAS飯田

職業安定法は転職エージェントや求人メディアに対するルールと認識されていることが多いですが、実は一般の求人企業に対しても義務を課しています。

その職業安定法が2022年4月に改正され、10月から施行されました。今回の改正では、主に求人メディアに対しての新たな規制等が取り上げられることが多いのですが、一般の求人企業に対しても「求人等に関する情報の的確な表示」が義務付けられます。

そこで今回、スタートアップ有志の企業により2022年9月に実施された、スタートアップ向けの職業安定法改正勉強会の内容より一部を抜粋し、法改正に伴い各社の人事の方にて対応が必要な主要ポイントをご紹介します。

【寄稿者】飯田裕子(いいだ ゆうこ)|LAPRAS株式会社 法務部門責任者

金融システム営業、司法書士法人での補助者業務、士業総合グループ勤務を経て、2020.4LAPRAS入社。士業事務所での経験を活かしつつ、一人法務として法務部門の立ち上げや社内教育等を担当。「法務のいいださん」として、SNSで若手法務の学びをアウトプットしている。
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近年、採用市場は厳しさを増しており、当初の計画通りの人数を採用できなかった企業が増え続けています。特にスタートアップ企業においては、即戦力人材を求める傾向が強いため、より一層採用が難化する傾向にあります。

本セッションでは、

  • NewsPicksで有名な株式会社ユーザベースが「分かりにくい企業」としての認識を覆した、採用イベントの実施ノウハウ
  • スタートアップにもかかわらず、1年半で社員数を約5倍まで引き上げたキャディ株式会社の取り組み事例

を基に、スタートアップ企業がどのように採用を成功させていくのかについてご紹介いたします。

スタートアップ企業だけでなく、全ての採用担当者様にお役立ち出来る内容となっておりますので、是非お申込みください!

1.求人等に関する情報の的確な表示

改正法第5条の4において、求人企業に対して、求人等に関する情報の的確な表示が義務付けられました。

10月からは、新聞・雑誌・ファックス・ウェブサイト・電子メール等に掲載する

①求人の内容

②自社に関する情報
 ※以下、①②をまとめて「求人情報等」と記載

について、的確に表示する必要があります。

具体的な内容として「虚偽の表示・誤解を生じさせる表示の禁止」と「正確かつ最新の内容に保つ義務」があります。

1-1. 虚偽の表示・誤解を生じさせる表示の禁止

近年、候補者の集客に苦労するあまり、実態以上に自社の求人を良く見せようとし、実際に応募した候補者との間でトラブルになるケースが多く、実際に労働局にも相談が多く寄せられているという背景があります。

そのような事情を受けて、今回の改正において、求人において、虚偽の表示や、誤解を生じさせるような表現が禁止されました。具体的に、以下のような表記は禁止行為に該当する恐れが高く、注意が必要です。

禁止行為に該当する恐れがある事項
<業務内容>
  • 営業職中心の業務を事務職と表記する等、実態と乖離する名称を使用すること
  • 雇用後に担当する予定が一切ない業務を、業務の一例として表示すること

<雇用形態>

  • 業務委託契約の募集と正社員の募集を混同すること
  • 契約社員の求人を正社員の募集であるかのように表示すること
  • 実際は試用期間終了後も契約社員として雇用する予定であるのに、「試用期間中は契約社員」などと、正社員求人かのように表示すること

<雇用主体>

  • 実際には別企業にて雇用を行うにも関わらず、親会社やグループ会社の名前で求人を掲載すること
  • 出向先の情報について、あたかも自社であるかのように表示すること
  • 自社ではない、取引先等の情報を目立たせることにより、誤解を与えるような表示をすること

<賃金>

  • 固定残業代と基礎となる労働時間を明記せずに、基本給に含めて表記すること
  • モデル収入例を、あたかも必ず支払われる給与額のように表示すること
  • 賃金の幅の上限を実態よりも高く設定することで、実際よりも高額な賃金が支払われる可能性があるかのような表示を行うこと

採用において、求職者に魅力的に映るような求人を心がけるあまり、誤解を与えるような表記や実態と乖離した表記になっていないかについて、再度自社求人を見直すことが必要です。

また、10月以前に掲載した広告であっても、改正後は虚偽の表示・誤解を生じさせる表示が禁止されるため、今後新たに募集を開始する求人のみならず、過去に募集開始した求人も含めて内容を見直す必要があります。

1-2. 正確かつ最新の内容に保つ義務

採用企業は、求人等の情報を正確かつ最新の内容に保つ必要があります。具体的な対応案として、以下のような方法が指針にて提示されています。

  • 定期的に情報が最新であるか確認を行う
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用して労働者の募集を行っている場合は、募集の終了や内容の変更を当該募集情報等提供事業者において提供する募集情報にも反映するよう依頼する
  • 募集情報の時点を明らかにする
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者から、募集情報の訂正や内容の変更を依頼された場合には、速やかに対応する

上記の方法に限らず、結果として求人等が正確かつ最新の内容に保たれている必要があります。そのため、自社の求人サイト等については古い情報が残らないよう定期的に点検を行い、常に最新の求人が掲載されるように注意する必要があります。

また、求人が終了した場合や求人内容に変更があった際には、自社で利用している求人メディアやエージェントに対して、こまめに情報共有を行う必要があります。

さらに、改正法では求人メディア等にも「掲載する求人等を正確かつ最新の内容に保つための措置」が求められています。そのため、求人メディア側も求人企業が法令違反とならないよう、以下のような対応を講じる必要があります。

  • 定期的に情報が最新であるか確認を行う
  • 求人情報等の時点を明らかにする
  • 求人等の提供の中止や訂正を求められた場合に、遅滞なく対応する
  • 求人情報等が正確でない・最新でないことを確認したときは、遅滞なく情報提供の依頼者に訂正の有無を確認する又は情報提供を中止する

求人メディア等でも改正法対応を実施することが想定されるため、求人メディアにて自動的に求人に「最終更新日」が表示される場合や定期的に求人の点検依頼がくる場合には、求人企業側での積極的な対応が不要になるケースもあります。一方で、求人メディア等が特段何の対応も行わない場合には、求人の更新日を記載する等の対応を自社にて行う必要があります。また、掲載後の内容変更に追加料金が発生するような契約の場合、最新性を担保するために度々料金を支払う等の追加コストが発生する恐れもあるため注意が必要です。

自社で掲載している求人の更新方法について社内で取り決める他、現在求人を掲載しているメディアやエージェントが法改正に対応しているか、自社が法改正に対応するために余計な費用が発生する契約になっていないか等についても確認を行う必要があります。

2.個人情報の収集の際の目的の明示とは?

改正法第5条の5(旧5条の4)が改正され、求人企業は従来の「目的の達成に必要な範囲内で個人情報を収集する」だけでなく「目的を明らかにして個人情報を収集する」必要が出てきました。

指針においては「業務の目的の明示にあたっては、求職者等の個人情報がどのような目的で収集され、保管され、又は使用されるのか、求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明示」する必要があるとされています。

具体的には、漠然と「採用活動全般に使用します」と記載するだけでは足りず、「採用に関する案内や採用選考における合否及び日程に関する連絡に使用します」のように、より具体的に記載する必要があります。また、採用に関する情報をグループ企業と共有する場合等については「自社採用に利用します」という記載だけでは当然当然足りず、「グループ企業の採用選考に利用します」といった、正確な記載が必要です。

そのため、法務担当者等と協力して、今一度自社のプライバシーポリシー等を見直す必要があります。なお、この点については、個人情報保護法上でも既に一定のルールがある部分になるため、特段対応が不要である企業も多いかと思います。

また、「目的の達成に必要な範囲内で個人情報を収集する」という従来からある規制部分についても、例えば、求人と関係のない営業のメールマガジンの配信やグループの他社の採用選考等に個人情報を使用していないか、社内で個人情報の取り扱いにつき、再度の見直しが必要です。そのため、今回の改正を機に、再度、候補者の個人情報の取り扱いについて見直すと良いでしょう。

3.その他、改正法について知っておきたいこと

今回の改正において、「募集情報等提供事業」の定義が見直され、さらに候補者等の労働者になろうとする者に関する情報を収集して募集情報等提供事業を行う「特定募集情報等提供事業」に該当する場合には届出が必要になります。

その結果、多くの場合、求人メディア等は募集情報等提供事業としての「届出」か職業紹介事業としての「許可」を得て、事業を行う必要があります。候補者がサービスに登録して応募するようなメディアの場合は、ほぼ必ずどちらかが必要になります。

そのため、今後求人媒体等の選定を行う際には、届出番号や許可番号等の確認を行うことも必要になってくるかと思います。もし相手方が届出及び許可を得ずに営業している場合、相手方が行政処分等を受けた際に、突然自社の求人が掲載できなくなったり、候補者と連絡が取れなくなったりするリスクがあるためです。

職業紹介事業者と特定募集情報等提供事業者の一覧は人材サービス総合サイト上にて確認できるため、活用することをおすすめします。(特定募集情報等提供事業者の一覧は2022年10月以降、準備が出来次第の公開予定)なお、候補者等の労働者になろうとする者に関する情報を収集していない求人メディア等(求人冊子を配布するサービス等)については、届出の対象外となり一覧には掲載されませんので、ご注意ください。

4.まとめ

2022年10月に施行される改正職業安定法にともなって、人事担当者が対応する必要のある主なポイントは、以下の通りです。

  1. 求人や求人に含まれる自社の情報等に、虚偽の表示や誤解を与えるような表現がないかを確認する
  2. 求人を最新の状態で維持するため、求人に変更があった場合や、求人が終了した場合の対応について、社内で取り決めておく
  3. 個人情報の収集目的と実態について、プライバシーポリシー等をもとに見直しを行う
  4. 求人メディア等が届出・許可を得ているか、求人の正確性・最新性の担保ができる仕組みを有しているのかについて、確認しておく

採用企業としては改正対応が発生し大変な部分もありますが、採用成功の大前提となる「候補者の方からの信頼」を得るためにも、しっかりと対応していきましょう。

参考:令和4年職業安定法の改正について(厚生労働省HP)

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