「弱いつながり」にアプローチ|Eightが描くダイレクトリクルーティングの新しいやり方 |HR NOTE

「弱いつながり」にアプローチ|Eightが描くダイレクトリクルーティングの新しいやり方 |HR NOTE

「弱いつながり」にアプローチ|Eightが描くダイレクトリクルーティングの新しいやり方

  • 採用
  • 中途採用手法

※本記事は、SanSan株式会社の小川泰正さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

コロナ前後で変わってきた求職者の働く価値観、急激に変わる採用マーケット。人手不足が叫ばれる昨今、採用の難易度がさらに上がってきており、常に悩みの種となっている人事の方も多いかと思います。

今回は、ダイレクトリクルーティングサービス『Eight Career Design』を手掛けるSansan株式会社の小川さんにインタビュー。

『Eight』は2012年に自分の名刺や相手の名刺をスキャンして管理できる名刺アプリとしてリリースして以来、常に進化を続けており、2017年には名刺交換後にもつながりを続けられるビジネスSNSの環境を整備。2019年には転職関連サービスとして「Eight Career Design」が立ち上がりました。
そして直近では、名刺情報をもとに自分だけのキャリアプロフィールを自動で作成できるようになり、名刺管理に転職に活用できるサービスとなりました。

本取材では、

  • 近年の採用トレンドと人事に求められるスタンス
  • ダイレクトリクルーティング実施のポイント
  • Eight Career Designの特徴やサービス込められた想い

などについてお話を伺いし、採用における新たな一手についてまとめていきます。

【人物紹介】小川 泰正 | Sansan株式会社 執行役員 Eight事業部 キャリア&ソリューション部 部長

2002年エン・ジャパン株式会社に入社。 リーマンショック後の事業再編に関わったのち、子会社の取締役として 事業立ち上げに従事。 2015年にSansan株式会社に入社し、執行役員として営業DXサービス「Sansan」のカスタマーサクセス、マーケティング等を牽引。 2020年よりEight事業部にて、「Eight Career Design」事業の推進に従事。 2022年よりキャリア&ソリューション部を新設。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

定着化してきた「つながりを中心とした採用」

ー本日はよろしくお願いします。まずは小川さんが感じる採用マーケットの変化についてお伺いできればと思います。


小川さん
2019年以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、企業・個人における働き方への考えが大きく変わった印象を受けます。

オフィス出社する/しないという部分もそうですし、働く上での「自分が望む選択肢」を取っていく方が多くなってきています。

実際に、個人のキャリアの棚卸の観点でいくと、「今の仕事は自分がやりたいことなのか」と考え直す方が増えており、自分自身の価値観に沿って新しいチャレンジへと踏み出すビジネスパーソンが増加しています。

ですので、10年前20年前に比べても、企業と個人の関係性がフェアになってきていて、企業側は人材の確保・定着化がより一層難しくなっているように感じています。

加えて採用手法にも変化があり、グローバルではリファラル採用、アルムナイ採用という「つながりを中心とした採用」が主流の一つとして定着化してきています。

小川さん人材紹介、求人広告が中心だった世界から、身近なつながりの延長線上に転職をしていくことが当たり前になってきてるように感じています。

グローバルの採用トレンドでも「採用投資はどこにフォーカスするか」という質問に対し、SNSや従業員のリファラルに投資するという回答が多くなっています。

小川さん日本国内では、そもそも労働人口が減っていて、現在の6,720万人から、2025年には6,341万人まで減少すると言われています。

また、転職顕在層は288万人いると言われていますが、就業者全体のわずか4.3%しか転職マーケットにいないことになります。転職顕在層だけにアプローチすることに限界がきています。

では、いわゆる転職ニーズが顕在化していない転職潜在層はどのくらいいるのか。実際に当社の調査でも、20代-30代を中心に「コロナ以前より転職を考えるようになった」という回答が多く出ています。

小川さんこれは「自分のキャリアを見つめ直したい」「自分の採用市場における価値やニーズを客観的に図りたい」という欲求からきており、要するに転職潜在層は確実に増えていると思います。

そうなると、現職の活躍人材に対してダイレクトにアプローチしていったり、キャリアの棚卸をフックに求職者にアプローチしていくことが重要になってくると考えています。

成長企業で「攻めの採用」に取り組んでいない会社はない

ーそのように多くの変化が起きている中で、採用担当としてどのような考え方、動き方が求められているのでしょうか?


小川さん
これは昔から言われていることですが、現状の採用に課題感を感じているようであれば、待ちの姿勢ではなく、より攻めの姿勢にシフトしていくべきだと思います。

待ちの姿勢というのは人材紹介や求人広告に出して、転職顕在層にアプローチして応募を待つ形ですよね。

そうではなく、SNSなどを活用して、ダイレクトリクルーティングやリファラル、アルムナイなど、転職潜在層にもアプローチをしていくことが大事だと思います。

そこで意識すべきは、自社の強みや打ち出したいことを整理して、求職者に魅力的に伝わるようにメッセージングしていくことです。

各社が採用したい求職者は、現職でも活躍している可能性あります。その前提があるため、活躍している人をどのように自社を知ってもらうか、どのように口説いて興味を持ってもらうか、という発想が必要です。

自社で働くメリットがどれだけあるのかを伝えられないと、応募すらしてくれないのです。

先ほど申し上げたように、企業と個人の関係がフェアになってきていることを忘れてはいけません。企業が優位な時代は終わりました。一方で個人が優位なわけでもありません。

このフェアという中で、互いのメリットを双方が理解していくことが一番重要なポイントです。

今までの流れだと、求職者から企業にアプローチするやり方が主流でした。それが、企業が求職者にアプローチすることが至極当然になってきています。

一番大事なことは、そのようなターニングポイントの中で「自分たちも攻めていかないと採用できない」と、経営者や人事が気づくことです。

リファラルやダイレクトリクルーティングに注力して、採用がうまくいっている会社は事業がどんどん伸びている印象を受けます。

「リファラルやダイレクトリクルーティングを積極的にやっていますか?」という問いに対して、成長企業でそこにチャレンジしていない会社はないと言っても過言ではないかもしれません。

ダイレクトリクルーティングの運用で意識したいポイント

ーEightでもダイレクトリクルーティングのサービスを提供していると想いますが、そもそもダイレクトリクルーティングを実践していく上でどのようなポイントを意識すべきでしょうか?


小川さん
当然ですが、ダイレクトリクルーティングを実施すれば採用ができるというわけではありません。

まずは自社が求める人材に対して入社メリットが感じられる会社にしていくことが大前提としてあります。

次に自社の状況を見たときに、「自社における採用課題は何か」を見つめ直し、洗い出していきます。

次に採用したい人材の要件定義です。求職者に効果的にアプローチをするためには、セグメンテーションをする必要があります 。

例えば即戦力なのか、それとも価値観フィットなのか。そういった要件を言語化していかないと、そもそも自社に合った候補者を効率よく探すことができません。

人材要件が整理できたら、ハイレイヤー向けなのか、明確なスキルセットが必要なのか、ポテンシャル採用でも可能なのか。転職顕在層向けのサービスが良いのか、潜在層にもアプローチが必要なのか。

ここまでやってようやく採用する媒体を議論していく流れになります。そこではじめて、ダイレクトリクルーティングという手法を取るか取らないかを選択すべきです。

 小川さん上記がそろって、求職者にとっての魅力、他社との差別化ポイントを明確にして打ち出すフェーズになります。

単純に「募集要項だけつくって待っていればいい」という世界ではないのです。募集要項を届けたい相手を決めて、興味を持ってもらうというプロセスがあります。

スカウトメールの内容でも魅力づけが必要だし、選考でもアトラクトしながら入社意欲を高めていくことが求められます。

これまでの採用と変わらない部分でもありますが、ダイレクトリクルーティングにおいては、求職者はどちらかというと 「良い話があれば聞いてみたい」と受け身で、「お客様的なスタンス」なんです。

「良い話」を、企業がピンポイントで伝えられるかどうかが重要なポイントです。そこが求職者に刺さってはじめてようやく「応募してみようかな」となるわけです

結局、これらをPDCAを回しながらやり続けることが一番の近道で王道なのかなと思います。

ーちなみに、スカウトメールの文面に関して、作成のポイントなどはありますでしょうか?


小川さん
スカウトメールが届いても、瞬間的にタイトルや最初の数行を見た時点で、興味を持つ/持たないが決まってしまいます。

その中ではじめに記載することは「私は何者です」と自分/自社を紹介することです。一般的に知られている会社であればやりやすいのですが、まだ広く認知されていない会社であれば、2、3行で魅力的に自社を説明する必要があるわけです。 

その次に、「なぜあなたに送ったのか」です。ここが一番重要なポイントです。「あなたのこういう状況にすごく興味があって~」という話を具体的に打ち出し「特別にあなたに送っています」という感覚を持ってもらえるかが重要です。

最後は「だから、あなたの力が必要で、活躍・貢献も間違いなくできるので、ぜひ話を聞いてほしい」という、その人が入社した際に強みを活かせそうか、活躍できそうか、という部分を打ち出していきます。 

まとめると、

  • 【自社紹介】私は何者なのか
  • 【送付理由】なぜその人に送ったのか、特別感を醸成する
  • 【入社メリット】その人の強みが自社にどのように貢献できるか

という流れでつくるのが王道かと思います。


ーありがとうございます。また一方で採用リソースの部分で「現場の社員をどう巻き込んでいくか」という部分も各社が抱える悩みかと思いますが、社員の巻き込みをうまくやっている会社の特徴はありますか?


小川さん
私が知っている限りでいくと、
成功してる会社は「目標設定に組み込む」ケースが共通してあります。

会社における事業計画の達成において、営業でいえばどのくらい売上をあげるか、エンジニアでいえばどんなスケジュールでプロダクトを開発していくか、採用担当は年間で何名採用するかなど、組織ごとに分かれた目標になりがちです。

そうではなく、営業や開発の目標の中に採用人数の目標をコミットしてもらう構造をつくるのです。

結局、採用してリソースが増えない限り、計画している事業目標は達成しないですよね。そうなると「事業側と人事、共通で目標を追っていくべきですよね」という組み込み方をしていきます。

その前提をつくった上で、人事は現場への協力を仰いで巻き込んでいくとスムーズですよね。

プロフェッショナルリクルーティング「Eight Career Design」

ーここからは、「Eight Career Design」の特徴や活用メリットについて伺っていければと思います。


小川さん
:『Eight Career Design
は、希少な人材が見つかる「プロフェッショナルリクルーティング」サービスになります。

普段のビジネスツールと使ってくれているキャリアプロフィール『Eight』のデータベースから、自社が求めるビジネスパーソンにアプローチできるというものです。

Eightは、現在300万人以上が活用されていて、利用者数は年々増加しており、提供サービス内容も進化し続けています。

小川さんその中から、たとえば新規事業立ち上げ経験者であったり、DX分野の専門性のある方であったり、有名プロダクトのPMだったり、大企業の有望な若手社員だったりにアプローチすることが可能です。

このような人材は、受身の姿勢で待っていたらまず応募してくれないのが現状だと思います。また、転職顕在層から探すことも、どのデータベースからアプローチすべきなのか、非常に労力がかかるものです。

それに対し、現職の活躍人材に対してダイレクトにアプローチができるのがEight Career Designの特徴でして、プロフェッショナルリクルーティングという形で定義して、サービスを広げていこうと考えています。

小川さんそして、Eight Career Designがこれから強化していきたいのが、「つながりスカウト」です。

これは何かというと、A社の人事が、とある求職者Bさんにアプローチしたいとなった際、Eightのユーザーの中でBさんとつながりのあるA社の社員がいるのかどうかを把握することができるものです。

300万人を超えるユーザーがいるので、その中でA社のユーザーも何名かは登録しているわけです。そうすると、ひょっとしたらBさんと何かしらの形で名刺交換して接点を持っている方がいる可能性が出てきます。

これはリファラルなどと比較すると「弱いつながり」にはなりますが、何も接点がない場合よりも、自社に興味を持ってもらえる可能性が高くなる場合があります。「あ、以前にお会いした○○さんの会社だ」となりますよね。


ーたとえば、Sansanの人事さんから私宛にスカウトが来たとしたら、「そういえば小川さんと前回話をしたな」と、いつも以上に興味を持つかもしれません。


小川さん
そのときに私を通して「Sansanってあんな会社だったよな」って思い出しますよね。

この「つながりスカウト」は、自社の社員を通して何かしらの認知を持っている方々に対して効果的にスカウトメールが送れるという体験設計になっています。これは、他社にはない部分かもしれません。

 

小川さん「つながりスカウト」は、今後さらに注力していきたいと思っています。

そのために、「名刺交換はしたことがある」という弱いつながりを活用するか、Eightユーザーと企業側をどうつなげていくか、利用体験の向上は欠かせないポイントだと考えています。

社員から意見がもしあったら聞くこともできるので、ミスマッチ低減にもつながりますし、知り合いがいることでオンボーディングもスムーズにできるのは、企業メリットだと思います。

ダイレクトリクルーティングは、自社が打ち出している特徴や強みを社員が体現できているかも重要じゃないですか。リファラルもそうですが、今は社員一人ひとりの行動が、採用にリンクしてくる時代ですよね。

Eightで生まれたつながりを、人生の線で活用してもらえる世界を

ーありがとうございます。最後に今後の展望などあれば教えてください。


小川さん
私自身、人材ビジネスに13年携わっていますが、人材サービスは点と点を結んでいくもので、顕在化した求職者と、採用ニーズがある企業とをひたすらにマッチングしていくことがこれまでの主流だと思っています。

一方で、人生100年時代と言われてる中で、ビジネスに関わる時間は50年くらいあるわけです。そう考えると人生のターニングポイントがいくつも出てくるじゃないですか。

そのターニングポイントに対して、点ではなく線で価値を提供できるようなサービスをつくっていきたいと思っています。

そこに対して、名刺を起点にそこに携わっていければと考えています。Eightの立ち位置はビジネスツールなのです。最初に名刺情報を入力してもらい、転職した際には名刺が変わって、また次のビジネスがスタートしていきます。

ここでのポイントは、その方のキャリアプロフィールデータがEight内に蓄積されていくことです。

ですので、Eightを通してこれまでの転職履歴などキャリアのポートフォリオができて、そこから職務経歴書も自動で作成できる機能も構想しています。

さらには、過去に商談で名刺交換をしたり、実際に仕事を一緒にした方だったり、同僚の方だったり、Eight上で多くのつながりが生まれるので、リファレンスチェックのようにその人の評価をする設計もつくっていきたいです。

このようなイメージで、ビジネスにおけるつながりを進化させていき、点ではなく線で活用してもらえる。Eightがビジネスのライフタイムに伴走しキャリア形成に貢献し続ける。そのような世界を描いていきたいですね。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

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