株式会社ベーシック人事部の今村龍平と申します。
ベーシックは、BtoBのWebマーケティングツール「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」の2つのSaaS事業と、Webマーケティングメディア「ferret」をはじめとする5つのメディア事業を展開している企業です。
昨今、採用のミスマッチの防止、採用コストの削減を主な目的として、リファラル採用に取り組まれている企業も増えているかと思います。
そしてこのたびのコロナショックを受けて、その必要性がより増してきているのではないかと考えています。
ベーシックでは、2019年4月より本格的にリファラル採用に取り組んだ結果、
- 1年間で社員からの紹介数62名
- 採用数10名(全体の採用数のうちの約4割)
- 内定承諾率100%
という結果を収めることができました。
前回の記事では「リファラル採用を始める上でのポイント」をお伝えしました。
そこで今回以降は、実際にリファラル採用を進めた中で、成功のポイントになっていたことについてお伝えできればと思います。
今回のテーマは候補者の「魅力付け」です。候補者の自社への意向度をどのように高めていくかについて書いていきます。
リファラル採用に限らず、他の採用チャネルにも活かせるポイントもあるかと思いますので、特に「内定承諾率」に課題を感じられている人事、社長の方のご参考になれば幸いです。
ポイント1:意向度の向上を最優先にする
リファラル採用は紹介される先が友人の勤める会社ということで、元々一定の好感を持ってもらえている場合も多いかもしれません。
しかし、自社の魅力をしっかりと伝え、まずは意向度を確実に向上させていくことがなにより先決です。
そのため、応募職種も明確で自社への意向度が相当レベルで高くない限りは、性急に選考プロセスに進めるということは避けましょう。
選考をしない、となると具体的に何をすればいいのか悩まれる方も多いと思います。対応としては、意向度向上を目的とした「接点」を持つこと、具体的にはイベントを開催することをお勧めします。
ポイントは、候補者にとって「参加しやすい(話しやすい)」「メリットがある」形でイベント設計をおこなうことです。
ベーシックでは具体的に以下のようなイベントをおこないました。
①少人数型社員交流会
その名の通りではありますが、自社の人や仕事内容の理解促進を目的とした候補者との交流会です。
ちなみにベーシックでは、より親しみを持っていただけるよう、このイベントを「basic sushi bar」と名づけていました。
<basic sushi bar概要>
- 自社への興味が一定程度ある方を対象におこなう
- 自社の人や仕事内容の理解促進を目的とする
- 社員含めて3〜4人程度の規模でおこなう
- アイスブレイクや軽食などの工夫で、カジュアルにかつ濃く交流できる場にする
※大人数になると個別のコミュニケーションが取りにくくなるため
このイベントでは、候補者がより適切に会社および社員を理解できるよう、事前に「どんな人(タイプや職種)にどんな話を聞きたいか」をヒアリングした上で、それに適した社員をアサインしていました。
②キャリアセミナー
①の社員交流会は、上述のように、候補者の自社への興味度が一定ないと難しいイベントです。そのため、一方で、相対的にまだ興味が低い方でも参加しやすいイベントも必要でした。
そこで、一般的に悩みを抱えやすいテーマである「キャリア」について、気づきや考え直すきっかけを与えられるようなイベントも合わせておこなっています。
<キャリアセミナー概要>
- 転職は本格的には考えていないが、キャリアへの悩みは一定持っている方を対象におこなう
- キャリア構築へのヒントを得ていただくことを目的とする
- 5〜10名くらいの規模感でおこなう
- 自身の強み(Can)とやりたいこと(Will)を軸にした振り返りワークショップをおこなう
- 自社の説明についてはイベントの最後に「採用募集中」の旨を伝えることと①の社員交流会のご案内のみとする
これら2つのイベントを定期的に実施しましたが、どちらも参加者の満足度は90%以上で、実績としては、全体参加者の内1~2割の方が別のイベントへの参加や選考につながっています。
ポイント2:リファラル採用の特性を活かして多面的な魅力付けをする
リファラル採用に限らず、他の採用チャネルでも言えることですが、採用時の魅力付けにおいて、会社を多面的を見てもらうことは非常に効果的です。
リファラル採用では、社員がその友人・知人を紹介するという特性上、他の採用チャネルに比べて相対的に社員の協力を得やすいです。(例えば、「親しい社員の友人がイベントに来る」となれば、協力してあげたくなりますよね。)
そのため、その特性を活かして、候補者が多くの社員と話す機会を作り、自社の魅力を伝えることで、会社をより立体的に知ることにつながり、意向度を高めることができます。
実際にベーシックでは、選考前に平均2回以上は上述の社員交流会やキャリアセミナーに参加してもらっていました。
イベントを経てリファラル採用経由で入社された方から、「入社前に現場の方と話せてとてもよかった」といった声をいただくことは多くありましたので、冒頭に述べた「入社内定承諾率100%」が実現できたのは、イベントに対して多くの社員からの協力を得られたことがとても大きかったと考えています。
交流会参加後の参加者からのメッセージ
リファラル採用における「魅力付け」の重要性
リファラル「採用」ということで、どうしても早く選考段階に進めたくなる気持ちは大いに理解できますが、その気持ちはぐっと抑えて、「魅力付け」=「自社のファンになってもらうこと」を優先してコミュニケーションを図りましょう。
繰り返しになりますが、これは結果的に、社員とその候補者との関係値を崩さない上でも非常に重要です。
そして、その「魅力付け」をさらに強力なものにするために、リファラル採用の「社員の協力を得やすい側面」を最大限活かして、多面的に自社の魅力を伝えていきましょう。
参加者の満足した声を受け取ったことがきっかけで、副次的な効果として、社員がよりリファラル採用に対して積極的に協力してくれたり、参加者経由で新たな知人の紹介へとつながっていったりということも起こりました。
今回は、リファラル採用における「魅力付け」のポイントについてご紹介させていただきました。
次回は、「継続的に社員からの紹介を生むためのポイント」についてまとめていきます。