住民税の納付とは?納付期限や手順・状況別納付方法もあわせて解説! |HR NOTE

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住民税の納付とは?納付期限や手順・状況別納付方法もあわせて解説!

  • 労務
  • 給与計算

住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」があります。普通徴収は個人事業主などが自分で確定申告を行い納税するのに対し、特別徴収では企業が従業員に代わり住民税の納税を行います。企業は特別徴収により住民税を納付する義務があるため、間違いのないよう手続きを進めなければいけません。

本記事では、特別徴収とは何か、企業の人事担当者が特別徴収を行う手順と、企業や従業員の状況別の住民税の納税方法を解説します。

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1. 住民税の納税方法「特別徴収」「普通徴収」とは?

住民税は1月から12月までに発生した個人の所得に対し課税され、翌年の6月から翌々年の5月にかけて納税を行います。納める方法には以下の2とおりがあり、従業員の住民税は会社が徴収し収める義務を負います。

  • 普通徴収:納税義務者が自ら納税する方法
  • 特別徴収:納税義務者(従業員)の代わりに給与支払者(会社)が納税する方法

普通徴収は納税者自身で確定申告を行い、6月、8月、10月、1月の計4回に分けて住民税を納めます。

一方、特別徴収では、会社が従業員の毎月の給料から住民税を天引きして納めます。そのため、確実に住民税を徴収できるだけでなく、1回あたりの納税者の負担を抑えられるメリットも生まれます。

2. 住民税の特別徴収の手順

会社が住民税の特別徴収をするときは、前年1年分の給与支払額を市区町村の役所に提出し、決定した住民税額を給与支払いシステムに登録し徴収を行います。なお、特別徴収した住民税は毎月支払いが必要です。詳しい手順を解説します。

2-1. 給与支払報告書を翌年1月31日までに市区町村の窓口に提出する

給与支払報告書とは、従業員に当年の1月から12月までに支払った給与額などをまとめた書類です。同書類を作成し提出すると翌年の住民税が決定します。

給与支払報告書は「個人別明細」と「総括表」の2つで構成され、個人明細書には従業員個人の給与額や社会保険料額など記載し、総括表には個人別明細が何人分あるかなどを記載します。

なお、給与支払報告書は従業員の現住所を管轄する市区町村ごとに、翌年の1月31日までに提出が必要なため注意しましょう。

2-2. 「住民税特別徴収税額の決定通知書」が当年5月31日までに市区町村から届く

給与支払報告書を提出すると、当年の5月31日までに各市区町村より「住民税特別徴収税額の決定通知書」が会社宛てに届きます。なお、名称は各市区町村により若干異なるため、見落とさないように注意しましょう。

金額などの内容に間違いがないか、退職者が納税対象者に含まれていないか確認しましょう。もし、間違いがあれば、送付先の市区町村窓口に連絡し内容を訂正します。

2-3. 住民税納税額を毎月の給与から天引きする

「住民税特別徴収税額の決定通知書」には従業員別の月額住民税が記載されているため、確認し、給与計算システムに反映させ天引きします。なお、5月に通知された分は、6月の給与から徴収するため早めに処理しましょう。

2-4. 従業員に給与明細書を発行し給与を支払う

住民税や社会保険料など、所定の控除をした後は、従業員の口座に残りの金額を振り込みます。

また、住民税の徴収が始まれば、給与明細書の控除の欄の「住民税」に金額を明記し交付する必要もあります。

2-5. 天引きした住民税を翌月10日までに納付する

特別徴収した住民税は、翌月10日までに納付が必要です。納付方法は、納付書や窓口での支払い、地方税納付サービスの利用、eLTAXの地方税共通納税システムなどがあります。ただし、市区町村により方法が異なる可能性があるため確認しましょう。

2-6. 特別徴収した住民税を期日までに納付できなかった場合

特別徴収義務者である会社が、期日までに住民税を納付できなかったときは、督促状などによる督促が行われます。督促をした日から起算して10日までに納付できなかったときは、遅延金の徴収や滞納処分を受けるため注意しましょう。

3. 【状況別】住民税の納付方法

住民税の特別徴収では、例外的に年2回の納付や普通徴収への変更などが認められるケースがあります。また、従業員の状況によっても納付方法が異なります。状況別に住民税の納付方法を紹介します。

3-1. 会社の状況

会社の状況によっては特別徴収から普通徴収への変更や、納付回数の変更が認められるケースがあります。

 従業員数が2人以下のとき

総従業員数が2名以下のとき、または、常時2名以下の家事使用人のみに対し給与を支払っている会社では、特別徴収から普通徴収への切り替えが可能です。

なお、適用するためには「普通徴収切替理由書(兼仕切書)」など、所定の様式を市区町村の窓口に提出する必要があります。

 従業員が常時10人未満のとき

従業員が常時10人未満の会社では、特別徴収の回数を年12回から年2回へ変更が可能です。

納付回数の変更では、「納期特例の承認」などを市区町村から受ける必要があります。なお、税金の滞納などがあるときの変更は認められません。

3-2. 従業員の状況

従業員が入社、退職、再就職したなど、状況により特別徴収の手続き方法が異なります。また、給与以外に収入のある従業員は、自分で確定申告などの手続きを行う必要があります。

 新入社員の場合

新入社員では、新卒社員のように、普通徴収から特別徴収に切り替える際は「特別徴収切替届出(依頼)書」を現住所の市区町村に提出します。

中途採用の場合「異動届出書」を現住所の市区町村に提出します。

なお、すでに納付期限を過ぎた特別徴収分は、従業員本人が支払う必要があるため案内しましょう。

 退職者の場合

退職した後、再就職をしないときは退職月により納付方法が異なります。

  • 1月から4月の退職:未納分を一括徴収
  • 6月から12月の退職:従業員個人が普通徴収により納付

会社側の手続きは、従業員の現住所のある市区町村に「異動届出書」を提出し普通徴収に切り替えるだけで問題ありません。

 転勤した場合

本社一括ではなく、事業所別に給与を計算して特別徴収する会社では、従業員が転勤したときも手続きが必要です。

この場合、市町村に提出する異動届出書には、現在の勤務先の納税額などを記載し、転勤先で新しい給与支払者の情報など、所定の内容を記載し提出します。

なお、再就職先が決定した後の転職でも、特別徴収の引継ぎは可能ですが、一般的には一度普通徴収に切り替え、改めて再就職先の会社で特別徴収をするケースが多くなります。

 休職した場合

休職した場合も異動届出書に必要事項を記載し、届出が必要です。なお、休職のときも退職時と同様に、残りの住民税は一括徴収、または普通徴収により納付します。

 給与以外の収入のある従業員の場合

給与以外に収入のある従業員は、その分は確定申告により住民税額を決定しなければいけません。

なお、ほかの収入の住民税の徴収方法は、自分で普通徴収をするか、給与からまとめて特別徴収とするか、確定申告表の「住民税に関する事項」欄で選択できます。

  • 特別徴収を希望するとき:「給与から差引き」に丸をつける
  • 普通徴収を希望するとき:「自分で納付」に丸をつける

「自分で納付」に丸をつけると市区町村から納付書が送られてくるため、期日までに従業員個人で納付します。

4. 住民税の納付に関してよくある質問

質問と謎

ここからは住民税の納付に関してよく生じる疑問について解説します。
住民税の納付書の再発行の可否、納付期日内に納められなかった場合どうなるかについて、わかりやすく解説します。

4-1. 住民税の納付書は再発行できる?

住民税の納付書をなくした場合、市区町村役場の納税課などに連絡すれば、再発行してもらえます。

多くの市区町村では郵送による再発行に対応しており、電話連絡すれば、後日納付書を自宅宛に郵送してくれます。

ただ、郵送手続きには時間がかかりますので、納付期限が迫っているなどで急ぎの場合は、直接市区町村役場に出向いて、その場で再発行してもらった方がよいでしょう。

なお、納付期限が過ぎている場合は、市区町村役場で再発行できないケースもあります。

その場合の対応方法は自治体によって異なりますので、どこでどのような手続きが必要なのか、あらかじめ自治体に問い合わせて確認しておきましょう。

4-2. 住民税を期限内に納め忘れた場合どうなる?

住民税の納付に使用する納付書は、指定期限を過ぎても利用することが可能です。

期限を過ぎてからの納付には延滞金が加算される場合がありますので、できるだけ早めに納付しましょう。

住民税の納付方法は自治体によって異なり、例えば新宿区なら以下の方法で納付できます。[注1]

  1. 銀行、信用金庫、信用組合の窓口
  2. ゆうちょ銀行・郵便局の窓口
  3. 区役所6階税務課、特別出張所の窓口
  4. コンビニエンスストアのレジ
  5. 口座振替
  6. スマートフォン決済アプリ
  7. ペイジー納付

ただし、納付指定期限を過ぎた場合、2、4、5、6、7の方法での支払いは不可となるので要注意です。

納付期限を過ぎた場合の対応方法は自治体によって異なることがありますので、事前に市区町村役場に問い合わせてみましょう。

 

[注1]「納付のご案内・納税相談」|新宿区

4-3. 住民税の特別徴収の納付は、インターネットバンキング・クレジットも対応してる?

住民税の特別徴収は、地方税共通納税システム「eLTAX(エルタックス)」を利用することでインターネットバンキングでの納付も可能となっています。

共通納税とは、マルチペイメントネットワークの仕組みを利用し、自宅などから地方税の納税手続きを電子的に行う方法のことです。

すべての都道府県、区市町村を対象に、複数の地方公共団体へまとめて納税することができるため、納税手続きの負担を軽減することができます。

また、事前に金融機関口座を登録しておけば、地方税を直接納税(ダイレクト納付)することも可能となります。

ただ、インターネットバンキングから共通納税を行った場合は、手数料が必要となる場合もあるため、あらかじめ金融機関の手数料について把握しておきましょう。ダイレクト納付を利用した場合は手数料は不要です。

一方、クレジットカード払いですが、エルタックスはクレジットカードを使った納付には対応していません。

自治体によってはクレジットカード払いに対応しているところもありますので、クレジットカードを使って納付したい場合は、市区町村役場に問い合わせてみましょう。

4-4. 特別徴収税額通知書が送られて来ない理由はなぜ?対応方法は?

新年度の特別徴収税額通知書は、通常5月頃に発送されます。

5月を過ぎても通知が届かない場合は、何らかの理由で発送されていない可能性があります。

通知が届かない理由として、以下の場合が考えられます。

 

  1. 給与支払報告書を提出した全従業員が普通徴収になっている
  2. 提出期限を過ぎてから給与支払報告書を提出した
  3. 給与支払報告書を提出していない
  4. 給与支払者の所在地に変更があったことを届け出ていない
  5. 1月1日時点の住所が市区町村外にあった

 

2のケースでは通知の到達が遅延する可能性があります。

それ以外のケースでは、そもそも通知書が届きませんので、該当する項目があり、かつ特別徴収を希望する場合は、それぞれのケースに適した対応が必要になります。

 

1の場合は特別徴収への切替依頼書を提出、3の場合は給与支払報告書の提出、4の場合は給与支払者の所在地、名称変更届出書の提出がそれぞれ必要です。

また、5の場合は1月1日時点の住所地で納税することになります。

ただ、自治体によって対応が異なる場合がありますので、通知が届かないときはまず市区町村役場に問い合わせましょう。

5. 法人は従業員の住民税を正しく納付する義務がある

住民税の納付方法には普通徴収と特別徴収があるものの、企業は特別徴収により、従業員に代わって住民税を正しく納付する法的義務を負います。

通常は毎月の給与から住民税を天引きし、翌月10日までに納付すれば問題ありません。ただし、新入社員の雇い入れ時など、通常と異なる処理が必要になるケースもあるため注意しましょう。

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