個人事業主で年末調整が必要なケースとは?青色事業専従者がいる場合も解説! |HR NOTE

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個人事業主で年末調整が必要なケースとは?青色事業専従者がいる場合も解説!

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1. 個人事業主も年末調整が必要?

ここでは、個人事業主は年末調整が必要かどうかについて詳しく紹介します。

1-1. そもそも年末調整とは?

年末調整とは、毎月(毎日)の給与や賞与などの支払いのときに源泉徴収された所得税額(復興特別所得税を含む)の合計と、年間の給与総額について納めるべき所得税の総額を比べて、その過不足額を精算する手続きのことです。

年間を通して給与が変動しないものと仮定して作成された源泉徴収税額表をもとに、所得税を概算して源泉徴収するため、基本的には源泉徴収税額の合計額と、本来納めるべき年税額は一致しません。

年末調整は、このような税額の不一致を解消して、納めるべき所得税を正しく計算し、追加徴収や還付をおこなうために実施されます。

1-2. 年末調整の対象者

年末調整の対象者(年の中途で退職した人については後述)は、下記の通りです。(※1)

  • 1年を通じて勤務している人
  • 年の途中で就職して年末まで勤務している人
  • 海外支店などへの転勤により非居住者となった人

また、年の中途で退職した人で年末調整の対象者は、下記の通りです。(※1)

  • 死亡により退職した人
  • 著しい心身の障害のために退職した人(退職後に年中に再就職して給与を受け取る見込みのある人は除く)
  • 12月に支給されるべき給与などの支払いを受けた後に退職した人
  • 年中に支払いを受ける給与総額が103万円以下である人(退職後に年中にほかの勤務先から給与の支払いを受ける見込みのある人は除く)

このように、会社や組織に勤めている「従業員」であれば、基本的に年末調整の対象者に含まれます。

ただし、企業の従業員だとしても、年収2,000万円を超える場合などには、年末調整の対象外になるので注意が必要です。

(※1)No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

1-3. 基本的に個人事業主は年末調整は不要

年末調整が必要となるのは、一般的に企業に勤めていた「会社員」や、要件を満たす「退職者」です。個人事業主の場合、企業に勤めておらず、一人で事業をおこなっているのであれば年末調整は不要です。

ただし、個人事業主は、収入や所得、各種控除を申告して納税をおこなうために、原則として年末調整の代わりに、確定申告を実施する必要があります。

確定申告の期間はその年の2月16日から3月15日までで、各種提出物を準備し、所轄の税務署に申告書を提出することで手続きは完了します。

1-4. 年末調整と確定申告の違い

年末調整と確定申告の違いをまとめておきましょう。年末調整は、基本的に給与所得のある「会社員」がおこなう手続きです。毎月の給与や賞与から源泉徴収された税金と、実際の納税額を比較して調整します。

一方、確定申告は、所得のある個人事業主や一部の条件に該当する会社員などがおこなう手続きです。

売上や経費を把握したうえで確定申告書を作成し、添付書類と一緒に税務署へ提出します。

年末調整と確定申告はどちらも正しい税額を納めるための手続きですが、対象者やしくみ、やり方が異なるため注意しましょう。

2. 個人事業主で年末調整が必要になる場合とは

前述のとおり、個人事業主の場合、基本的に年末調整は必要ありません。ただし、一定の条件を満たす場合は年末調整をおこなう必要があります。ここでは、個人事業主でも、年末調整が必要になる場合について詳しく紹介します。

2-1. 副業やアルバイトで給与所得がある個人事業主

個人事業主で、自分の事業のほかに、副業などで給与所得がある場合には、年末調整を実施したほうがよいケースもあります。

たとえば、個人事業主としての所得が20万円を超えず、アルバイトなどの給与所得がある場合、確定申告の必要はなく、給与をもらっている会社で年末調整をおこなうことで課税関係は完結します。

ただし、年収が103万円以下で源泉徴収がない場合には、控除の適用により所得税を納める必要がなくなり、年末調整が不要になる可能性もあります。

また、給与所得がありながら、事業所得が20万円を超える場合には、勤務先から源泉徴収票を受け取り、個人で確定申告をおこなうことが必要です。

このように、個人事業主としての所得のほかに、アルバイトや副業などで給与所得を得ている場合は年末調整をおこなったほうがよいケースもあるので注意しましょう。

2-2. 従業員を雇っている個人事業主

個人事業主であっても、従業員を雇っている場合は、給与を支払っているため、雇用主として従業員の年末調整をおこなう義務があります。

年末調整に必要な書類を用意して、期限に遅れないように、余裕をもったスケジュールを組むことが大切です。年末調整が間に合わなかった場合には、従業員が個人で確定申告をおこなわなければならないため、従業員に大きな負担をかけてしまう恐れがあります。

このように、従業員を雇っている場合には、個人事業主であっても従業員に対して年末調整をおこなう義務が生じるため、あらかじめ年末調整のやり方などの知識を深めておくことが重要です。

3. 青色事業専従者がいる個人事業主も年末調整が必要

個人事業主でも従業員を雇っている場合には、年末調整を実施しなければならないことがわかりました。それでは、青色事業専従者の年末調整の必要性はどのようになるのでしょうか。

ここでは、青色事業専従者がいる場合における年末調整について詳しく紹介します。

3-1. 青色事業専従者とは

青色事業専従者とは、下記の要件のすべてに該当する方のことです。(※)

・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
・その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること

引用:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

確定申告を青色申告でおこない、上記の要件を満たせば、家族でも青色事業専従者にすることができます。青色事業専従者に支払う給与は、全額を経費にできるため、節税効果が期待できます。

3-2. 青色事業専従者にも年末調整が必要

個人事業主が従業員を雇う場合には、先述したように、従業員の年末調整をおこなう義務が生じます。

青色事業専従者は、親族ではありますが、給与所得者である以上、一般の従業員と同様に年末調整が必要です。

3-3. 青色事業専従者の年末調整をおこなう方法

青色事業専従者給与として認定される条件を満たすために、所轄の税務署長に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。提出期限も設けられているため、注意が必要です。

手続きが完了したら、雇用主である個人事業主は、青色事業専従者に給与を支払い、年末までに必要な書類を受け取り、年末調整を実施します。

3-4. 青色事業専従者の年末調整で注意するポイント

青色事業専従者に対する給与は、労務の対価として相当であると認められる金額であれば、全額を経費とすることができます。

ただし、青色事業専従者として給与を受け取る方は、控除対象配偶者や扶養親族になれないため、配偶者控除や扶養控除を適用できなくなるという注意点があります。たとえば、配偶者控除は、一般の控除対象配偶者であれば、最大で38万円の控除を受けることが可能です。(※1)

そのため、個人事業主と青色事業専従者をあわせた世帯単位で節税効果が期待できるかどうかを考慮する必要があります。たとえば、青色事業専従者給与を年間で38万円以上にするなど、給与金額の調整を検討するとよいでしょう。

(※1)No.1191 配偶者控除|国税庁

4. 個人事業主の年末調整のやり方

ここでは、個人事業主の年末調整のやり方について詳しく紹介します。

4-1. 年末調整の手順

年末調整の具体的な手順は、以下の通りです。

1. 「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する

まず個人事業主が従業員を雇う場合には、源泉徴収をおこなうために「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。個人事業主は、従業員に支給する給与から源泉所得税の天引きをおこないます。

2. 従業員に年末調整に必要な証明書などを準備してもらう

その後、個人事業主は、11月頃から従業員に対して、年末調整に関する各種申請書や各種証明書類を準備するように伝えましょう。具体的には、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書、年の途中で採用した場合は前職の源泉徴収票などが必要です。

3. 従業員に年末調整に必要な書類を作成・提出してもらう

11月中旬頃には、年末調整に係る証明書を基に、各種の申告書を作成・提出してもらいましょう。

年末調整において必要な申告書類については後述します。なお、「扶養控除等(異動)申告書」は、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日までに提出しなければなりません。(※2)

そのため、個人事業主で従業員を採用したら、入社後すぐに「扶養控除等(異動)申告書」を記載してもらいましょう。

(※2)A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

4. 年末調整の計算を実施する

12月に入ったら、年末調整の必要書類を従業員から回収し、実際に年末調整の計算を実施します。年末調整のおおまかな計算方法の流れは下記の通りです。

  • 従業員から提出された申告書類を基に所得控除額を計算する
  • その年の年税額を確定する
  • 源泉徴収額との差額を算出する
  • 源泉徴収票を発行して差額を給与に反映させて清算する

従業員ごとに所得控除額や年税額、源泉徴収額は異なるので、従業員を多く雇う場合には大きな負担になる可能性があります。そのため、申告書類の提出期限を早めたり、会計ソフトを導入したりすることが推奨されます。

5. 税務署や市区町村へ書類を提出する

年末調整の計算が完了したら、税務署や市区町村に提出する書類を作成して、1月末までに提出する必要があります。

源泉徴収税の納付期限は、他の提出書類と比べて提出期限が早く、「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、年末調整を実施した翌年の1月10日までに所轄の税務署に提出・納付する必要があります。

4-2. 年末調整に必要な書類

個人事業主が従業員の年末調整をおこなうために必要な書類は、大きく申請書と各種証明書類に区分できます。また、従業員それぞれの事情によって、提出する必要のある書類は異なります。

年末調整に必要な申請書は、下記の通りです。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書(2年目以降の人が対象)

年末調整に必要な証明書類は、適用する控除によって異なります。たとえば、生命保険料控除を適用するには生命保険料控除証明書、地震保険料控除を適用するには地震保険料控除証明書が必要です。また、年の途中で採用された場合には、前職の源泉徴収票も必要になります。

5. 個人事業主が年末調整を簡単におこなう方法

個人事業主が従業員の年末調整をおこなう場合、自分の業務で手一杯であったり、年末調整の知識がなかったりするために、大きな業務負担につながる恐れがあります。

年末調整に関する業務を効率化したい場合は、年末調整に対応した人事・労務ソフトや会計ソフトを導入するのがおすすめです。これらのソフトを利用すれば、年末調整の業務をオンラインでおこなえるなど、スムーズに手続きを進めることができます。

支払った給与などのデータをもとに、正しい納税額を自動的に算出してくれるため、計算ミスや入力ミスといったヒューマンエラーを防止することも可能です。

ペーパーレス化も実現でき、書類の配布や回収の手間も省けます。また、会計ソフトには、さまざまな機能の搭載されたものがあるため、料金やサポート体制、セキュリティリスク、使いやすさなどを考慮して、状況や目的に合ったものを導入することが大切です。

6. 個人事業主の年末調整の注意点

ここでは、個人事業主の年末調整の注意点について詳しく紹介します。

6-1. 従業員の年末調整は雇用主の義務

年末調整は所得税法で雇用主の義務と定められています。そのため、個人事業主で従業員を雇用している場合に年末調整を怠ると、罰金などのペナルティが課される恐れがあります。

なお、年末調整をおこなう従業員の条件の一つとして「扶養控除等(異動)申告書」の提出が挙げられます。

「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない従業員については、年末調整をおこなう義務が生じません。年末調整の対象者や必要書類をきちんと把握して、個人事業主でも従業員の年末調整を正しく実施することが大切です。

6-2. 源泉徴収票を受け取ったら適切に保管する

所得税法第226条によると、翌年1月31日までにその年の確定した給与における源泉徴収票を従業員に交付することが給与支払者に対して義務付けられています。

なお、年の途中で退職した場合には、退職日から1カ月以内に源泉徴収票を交付されることになっています。(※3)

そのため、個人事業主でアルバイトや副業などでその年に企業に所属していた場合、源泉徴収票を受け取る機会があります。源泉徴収票は転職先で年末調整を受けるためや、確定申告をおこなうために必要です。

ほかにも、ローンの申込みなど収入証明が必要な場合に、源泉徴収票の提出が求められることもあります。このように、源泉徴収票はさまざまな手続きで必要になる書類なので、すぐには使用しないとしても、失くさない場所に管理しておくことが大切です。

(※3)所得税法|e-Gov

7. 個人事業主の年末調整におけるよくある質問(FAQ)

ここでは、個人事業主の年末調整におけるよくある質問に回答します。

7-1. 個人事業主で確定申告が不要なケースとは?

個人事業主は年末調整の代わりに確定申告をおこなうのが基本です。しかし、その年の所得が48万円以下であれば、年末調整も確定申告も不要になります。

確定申告で納める所得税額を計算する際、所得金額から所得控除を差し引くことが可能です。所得控除の一つに「基礎控除」があります。(※4)

基礎控除は、年末調整や確定申告をおこなうすべての人が受けられる控除です。基礎控除の控除額は、その年の所得金額によって変動しますが、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円の控除を受けることができます。

そのため、所得が48万円以下であれば基礎控除の控除額(48万円)を差し引くことで、課税される所得がなくなるので、確定申告が不要になります。

(※4)No.1199 基礎控除|国税庁

7-2. 個人事業主でアルバイトを掛け持ちしている場合の年末調整は?

個人事業主でも、年末までアルバイトをおこなっている場合、年末調整の対象者に含まれます。しかし、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、どちらの会社で年末調整を受けるか迷われる人もいるかもしれません。

「扶養控除等(異動)申告書」を提出できるのは1社のみであるため、年末調整を受けられる会社も1社のみです。そのため、最も収入が大きいアルバイト先や副業先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出して、年末調整をおこなってもらいましょう。

複数の企業で年末調整を受けると、取り消しが必要になるので注意が必要です。また、年末調整を受けたとしても、個人事業主の事業で得た所得や、年末調整を受けた会社の所得、それ以外の企業で得た所得をもとに、基本的に確定申告をおこなう必要があります。

7-3. 個人事業主から会社員になった場合に年末調整は必要?

個人事業主から会社員になった場合の年末調整はどのようにするのか気になる人もいるかもしれません。年末調整の対象者で解説したように、年末まで会社に勤めている人は、年末調整の対象になります。そのため、個人事業主から会社員になった場合、勤務先で年末調整を受けることが可能です。

ただし、個人事業主の廃業後も一定以上の所得がある場合は確定申告が必要になります。会社での年末調整に加えて、確定申告が必要になるケースもあるので注意が必要です。

7-4. 会社員から個人事業主になった場合の年末調整はどうなる?

今度は逆で、会社員から個人事業主になった場合の年末調整はどのようになるのでしょうか。年末調整を受けられるのは年末まで勤務している人のため、会社員から個人事業主になった場合、原則として年末調整を受けることができません。

ただし、12月に会社員を辞めて個人事業主になった場合は、その会社で年末調整を受けることができるかもしれません。

会社員から個人事業主になった場合、その年の翌年に確定申告をおこなう必要があります。確定申告書を作成する際に前職の源泉徴収票が必要になるので、きちんと管理しておきましょう。

8. 個人事業主は年末調整について正しく理解しよう!

個人事業主の場合、基本的に年末調整は不要であり、確定申告をおこなう必要があります。ただし、アルバイトや副業などで給与所得がある場合は、年末調整の対象者になるケースもあるため、注意しましょう。

また、個人事業主で従業員(青色事業専従者など)を雇う場合は、従業員の年末調整をおこなう義務が生じます。年末調整に関する正しい知識を身に付けて、トラブルが生じないように気を付けることが大切です。

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