離職率とは、特定の期間の在籍人数に対して、どのくらいの社員が離職したかを示す指標のことです。社員の会社に対する満足度が低い会社は、離職率が高いといわれています。
離職率を改善するためには、社員の評価や待遇を見直すことが大切です。しかし「具体的にどのような施策を実施すれば、離職率を改善できるのだろうか」と、お悩みの方もいるでしょう。
そこで本記事では、離職率の概要と日本企業の平均、計算方法を解説します。離職率が高い会社の特徴や改善するための施策まで紹介するので、離職率について深く知りたい方はぜひ最後までお読みください。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
当サイトでは、賃上げが従業員満足度の向上につながりにくい理由や、低コストで始められる福利厚生サービスがどのようなものかを解説した資料を無料で配布しております。
限られた予算で福利厚生を充実させ、従業員満足度を高めたい方はぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. 離職率とは
離職率とは特定の期間の在籍人数に対して、どの程度の社員が会社を辞めたかを表す割合のことを指します。一般的には、期首の4月1日から期末の3月31日の1年間で計算することが多いです。
企業によっては、入社後1年間や入社後3年間などの期間で離職率を弾き出すケースも珍しくありません。集計期間は、以下のように離職率を算出する目的によって異なります。
- 新卒社員の1年間の離職率
- 中途社員の3年間の離職率
定年退職者が多い時期などは、一時的に離職率が高くなる傾向にあります。離職率が高いことが企業にとって大きな問題になるとは、一概には言えません。
しかし、業界平均や過去のデータと比較して離職率が高い場合は、数値が高い原因を調査する必要があるでしょう。
離職率は社員の満足度に比例しているといわれています。離職率が高い職場は社員が不満を抱えているケースが多いため、原因を解明して必要な対策を実施することが大切です。
2. 離職率と定着率との違い
離職率と定着率の違いは以下のとおりです。
離職率 |
定着率 |
・特定の期間の在籍人数に対して離職した社員の割合 ・社員が離職した数に着目した指標 |
・入社した社員が一定期間経過した後に、自社にどの程度在籍しているかを示す割合 ・社員の定着度に着目した指標 |
離職率は、会社を辞めた社員を表した割合のことです。一方定着率は、会社に残っている社員の数を表します。定着率は離職率と対になる言葉です。
定着率を求める一般的な計算式はありませんが、100から離職率を引くと算出できます。
例えば新入社員の1年後の離職率が35%なら、100-35で定着率は75%です。定着率は離職率とあわせて、自社の社員の動向を示す指標になります。
3. 日本の離職率の平均
以下の属性別に日本の離職率の平均を紹介します。
- 過去10年間における平均離職率
- 産業別の平均離職率
- 過去10年間における新入社員の平均離職率
自社の離職率と照らし合わせてみてください。
3-1. 過去10年間における平均離職率
過去10年間における日本の平均離職率は以下のとおりです。
年号 |
離職率の平均 |
平成25年 |
15.6% |
平成26年 |
15.5% |
平成27年 |
15.0% |
平成28年 |
15.0% |
平成29年 |
14.9% |
平成30年 |
14.6% |
令和元年 |
15.6% |
令和2年 |
13.9% |
令和3年 |
14.0% |
令和4年 |
15.0% |
参考:令和4年の雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移|厚生労働省
過去10年間で日本の平均離職率を計算すると、14.9%でした。
近年では新型コロナウイルスの影響で、大きな打撃を受けた業種もありました。業務が制限されたり給与が大幅にダウンしたり、離職を余儀なくされた会社員も珍しくありません。
しかし日本全体の離職率は、大幅に変化していないのが実情です。
3-2. 産業別の離職率の平均
産業別の離職率の平均は以下のとおりです。
産業 |
離職率の平均 |
鉱業・採石業・砂利採取業 |
6.3% |
建設業 |
10.5% |
製造業 |
10.2% |
電気・ガス・熱供給・水道業 |
10.7% |
情報通信業 |
11.9% |
運輸・郵便業 |
12.3% |
卸売・小売業 |
14.6% |
金融・保険業 |
8.3% |
不動産・物品賃貸業 |
13.8% |
学術研究・専門・技術サービス業 |
10.0% |
宿泊・飲食サービス業 |
26.8% |
生活関連サービス・娯楽業 |
18.7% |
教育・学習支援業 |
15.2% |
医療・福祉 |
15.3% |
複合サービス事業 |
11.0% |
サービス業(他に分類されないもの) |
19.4% |
参考:令和4年の雇用動向調査結果の概況 産業別の入職と離職|厚生労働省
産業別の離職率をみると、宿泊・飲食サービス業の26.8%がもっとも高い結果になっています。一方でもっとも低かったのは、鉱業・採石業・砂利採取業の6.3%です。
生活関連サービス・娯楽業も18.7%と高いため、日本では人と密に接する仕事の離職率が高いといえます。
同業種と照らし合わせて、自社の離職率が平均より高くなっていないかを確認しておきましょう。
3-3. 過去10年間における新入社員の平均離職率
学歴別の過去10年間における新入社員の平均離職率は以下のとおりです。
区分 |
中学卒 |
高校卒 |
短大等卒 |
大学卒 |
平成25年 |
63.7% |
40.9% |
41.7% |
31.9% |
平成26年 |
67.7% |
40.8% |
41.3% |
32.2% |
平成27年 |
64.1% |
39.3% |
41.5% |
31.8% |
平成28年 |
62.4% |
39.2% |
42.0% |
32.0% |
平成29年 |
59.8% |
39.5% |
43.0% |
32.8% |
平成30年 |
55.0% |
36.9% |
41.4% |
31.2% |
令和元年 |
57.8% |
35.9% |
41.9% |
31.5% |
令和2年 |
52.9% |
37.0% |
42.6% |
32.3% |
令和3年 |
41.8% |
28.9% |
32.5% |
24.5% |
令和4年 |
31.9% |
17.8% |
19.2% |
12.0% |
日本の新入社員の平均離職率は、どの学歴でも近年低下しているのが実情です。とくに令和4年は前年に比べて、どの学歴でも10%以上低下しています。
また大学卒の平成25年と令和4年の離職率の平均を比較すると、数値の差が倍以上です。近年の日本では、同じ会社で働き続ける新入社員が増加しているといえます。
4. 離職率が高い会社の特徴3選
離職率が高い会社の特徴は以下のとおりです。
- 労働に対しての賃金が安い
- 職場の人間関係が良くない
- 残業が常態化している
自社が当てはまっていないか確認しておきましょう。
4-1. 労働に対しての賃金が安い
離職率が高い会社は、労働に対しての賃金が安い傾向にあります。労働時間や業務内容に対して、適切な賃金をもらえてないと感じている社員が多いです。
同業種の企業に比べて、賃金が大きく異なる場合、社員のモチベーション低下につながります。また自身の能力や仕事ぶりが評価されずに、賃金アップが見込めない際には、不平不満が募るでしょう。
業務に見合った賃金を支払っていなかったり、正しく評価をおこなっていなかったりする会社は離職率が高くなります。
4-2. 職場の人間関係が良くない
職場の人間関係が良くないと、離職率が高くなります。長時間過ごす職場において、人間関係は非常に大事です。
コミュニケーションが取りづらいと仕事の相談や報告がしにくくなり、円滑にプロジェクトが進行しないケースが出てきます。
社員が人間関係に悩むと、強いストレスになり業務に集中できず生産性の低下にもつながるでしょう。
職場の雰囲気が悪く、仕事にも集中できないと感じた社員は出社するのが嫌になります。
社員の離職を防ぐためには、コミュニケーションが積極的に取れる労働環境を作る必要があるでしょう。
4-3. 残業が常態化している
離職率の高い会社は、残業が常態化していることが多いです。労働時間が長くなると、体力的にも精神的にもダメージを受けます。
毎日の残業を繰り返していると、出勤するのが億劫になったり、仕事が嫌いになったりして社員の離職につながるでしょう。
また会社内で以下のような環境を作り出していると、長時間労働になりやすいです。
- 上司が退勤するまで帰りにくい
- 残業してない人は仕事をしていないとみなされる
- 頻繁に休日出勤がある
もし残業が常態化している場合は、業務や人員配置の見直しなどを実施して、健全な労働環境を整備することが重要です。
5. 離職率の計算方法
離職率の計算方法に明確なルールはありません。調査期間と対象者は、企業によって異なるためです。ここでは、厚生労働省が公表している「雇用動向調査」で使用されている計算方法を紹介します。
離職率の計算方法は以下のとおりです。
離職率=離職者÷1月1日時点の常用労働者数×100
例えば2024年1月1日時点で、常用労働者数が5,000人だったとします。年間で離職者が600人だった場合の計算式は以下のとおりです。
600÷5,000×100=12%
離職率を求める際は、自社の常用労働者数と離職の数を把握しておく必要があります。
6. 離職率を改善するための施策
離職率を改善するための施策は以下の3つです。
- 評価制度を見直す
- ワークライフバランス制度を導入する
- メンター制度を導入する
自社の離職率を改善したい方は、ぜひ参考にしてください。
6-1. 評価制度を見直す
評価制度を見直して、離職率を改善しましょう。適切な評価を実施していない場合、社員が「会社から評価してもらえない」と考え、離職につながるためです。
評価する際は、人事部や上司の判断だけでなく、同僚や部下など複数の評価者を用意しましょう。複数で実施することで客観的な評価ができ、社員から納得感や信頼感を得られます。
会社から正当な評価を受けていると感じた社員は、長く働き続けてくれるでしょう。
離職率を改善するためには、社員の立場や業務に応じて、適切な待遇を提供しなければなりません。
6-2. ワークライフバランス制度を導入する
ワークライフバランス制度の導入は、離職率の改善につながります。ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスが取れた状態のことです。
以下のような取り組みが、ワークライフバランスを実現するための制度として挙げられます。
- 短時間勤務
- フレックスタイム
- テレワーク
働く時間を自分で決められたり、通勤が必要なかったりすることで、ストレスを感じる社員が減り、離職率が改善できるでしょう。
6-3. メンター制度を導入する
メンター制度の導入は、離職率の改善に有効な施策です。メンター制度とは、若い社員や新入社員の業務やメンタルなどのフォローを、年齢や社歴の近い先輩社員が実施することを指します。
新入社員や若い社員は、仕事について相談できる相手がいることで安心感が得られます。また先輩社員は若手社員の良いお手本になるために、積極的に仕事に取り組むようになるなどの効果が期待できるでしょう。
離職率の改善だけでなく、会社内の教育力の向上にもつながります。新入社員や若い社員を育てて働き続けてもらうことは、会社の成長に不可欠な要素です。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
当サイトでは、賃上げが従業員満足度の向上につながりにくい理由や、低コストで始められる福利厚生サービスがどのようなものかを解説した資料を無料で配布しております。
限られた予算で福利厚生を充実させ、従業員満足度を高めたい方はぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。