タイムカードを紛失すると、労働時間や残業時間を客観的に把握することが困難になります。保管場所や担当者をしっかりと決め、紛失を防止することが重要です。
仮に紛失が発生したときは、会社のパソコンのログイン・ログアウト履歴を確認するなど、別の方法で労働時間を把握しましょう。勤怠管理用のソフトやアプリケーションなどを利用するのも、ひとつの方法です。
この記事では、タイムカードの紛失によるトラブルや防止対策について解説します。
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
「システムで打刻漏れを減らせるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」という人事担当者様のために、タイムカードの課題を勤怠管理システムでどのように解決できるのかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
目次
1. タイムカードの紛失による法的な問題
タイムカードを紛失すると、悪質な場合、労働基準法第109条にて規定されている労働に関する重要な記録の保存義務に反していると見なされ、30万円以下の罰金を科される可能性があります。
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
1枚や2枚の紛失は起こりうるミスですが、タイムカードの管理が行き届いておらず、紛失が常態化している場合や、タイムカード以外の記録もなく、従業員の勤怠記録を正確に把握できない状態である場合は注意が必要です。
また、以前まではタイムカードは3年間の保管が義務付けられていましたが、労働基準法の改正によって、2020年4月からは5年間の保管へと変更されました。しばらくは法改正前以前と同じように3年間の保管期間が適用されるものの、保管期間中にタイムカードを紛失してしまった場合、30万円以下の罰金を科される可能性があります。
現在利用しているタイムカードにせよ、保管期間中のタイムカードにせよ、紛失しないようにしましょう。
1-1. 未払い賃金の請求を受けた際に証明できない可能性がある
従業員には、未払い賃金を該当月の給料日の翌日から5年間(ただし、しばらくの間は移行期間のため3年間)は遡及して請求することができる権利が認められています。
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
もし、従業員から未払い賃金の請求訴訟を起こされた場合に、タイムカードを紛失していると正確な勤務状況を証明することができず、不利な状況になる場合もあります。
タイムカードは日々の賃金計算のためだけでなく、従業員の勤務記録を証明する大切な書類であることに留意しておきましょう。
1-2. 労働時間を正確に把握できなくなる
タイムカードを紛失すると、従業員の労働時間を正確に把握できなくなります。パソコンのログイン・ログアウト履歴などを見て確認できるケースもありますが、何も参照できる情報がなく、困ってしまうこともあるでしょう。
労働時間を正確に把握し、労働の対価としての賃金を全額支払うべきことは、労働基準法の第24条によって定められています。
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
タイムカードを紛失することで正しい労働時間がわからなくなると、賃金計算を間違えてしまう可能性もあります。悪質な場合は、労働基準法違反として罰則を受けるケースもあるため注意しましょう。
2. 従業員がタイムカードを紛失した場合の対応策
打刻を実際におこなう従業員本人がタイムカードを紛失した場合の対処方法を確認しましょう。
2-1. タイムカードを再発行するか、代わりの方法で勤怠管理をおこなう
タイムカードの用紙に予備がある場合には、カードを再発行しましょう。タイムカードの代わりに別の方法で管理することも可能です。
タイムカードに代わる打刻方法としては、エクセルで勤怠記録を管理する方法や、会社のパソコンから出勤時や退勤時にメールを送るといった方法があります。
後者については、社用パソコンからメールを送信することで、IPアドレスによって、メールの送信時刻に会社にいることが証明できるため、客観的な打刻記録であるといえます。タイムカードを再発行しない場合は代替手段を検討しましょう。
2-2. 既に打刻をおこなっていた期間の勤務記録を確認する
タイムカードを紛失するまでに、すでに記録していた期間の勤務記録を可能な限り把握します。パソコンのログ記録や、会社の出入口の防犯カメラの映像記録や、オフィスへの入退室記録などを遡ることで、できるだけ正確な時刻を確認しましょう。
タイムカード以外で役立つ記録としては、以下のようなものが挙げられます。
- 業務日報
- 残業申請書
- メールの送信記録
- GPSデータ
- カレンダーや手帳のメモ
- 同僚や上司の証言
いくつかの記録を組み合わせることで、より正確な情報になるでしょう。
2-3. 従業員に始末書などのペナルティを与える
タイムカードは従業員の労働時間を把握するための大切な書類です。再発防止のために、該当の従業員には始末書を提出させるなどのペナルティを設けても良いでしょう。
ただし、タイムカードを紛失したことによる罰金や、紛失するまでの勤務日の給与を支払わないといった措置を取ることは禁止されています。
一部例外として、事前に就業規則にタイムカードの保管について記載しており、従業員に適切な管理を義務付けていて、かつその規則を違反した場合の減給などを定めていた場合に限っては、就業規則への違反として減給することが可能です。
具体的には、平均賃金の1日分の半額以下、1賃金支払期の賃金の総額の10分の1以下の範囲については、減給の措置をとることも労働基準法の規定上では認められています。
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
3. 会社側がタイムカード紛失した場合の対応策
保管している際に担当者がタイムカードを紛失してしまった場合の対応を確認しましょう。
3-1. タイムカードの代わりとなる記録を探し、保管する
先述の通り、勤務実績がわかれば、勤怠管理を必ずしもタイムカードでおこなう必要はないため、タイムカードの代わりに勤務実績が把握できる記録がないか検討しましょう。
タイムカードの代替記録として考えられるものには以下のものが挙げられます。
- オフィスへの入退室記録
- パソコンのログ記録
- メールやチャットの送信履歴
- 防犯カメラの映像記録
- 従業員の家族や他の従業員からの証言
- 残業申請書類
タイムカードは従業員の勤怠情報を記録した重要書類であり、紛失は本来あってはならないことです。他の手段で記録を把握することができたとしても、紛失が再び起こらないように保管方法の改善をおこないましょう。
紛失による影響を最小限にとどめるために、こまめにタイムカードの記録をエクセルなどに転記しておくことも有効です。
4. タイムカードを紛失しないための対策
タイムカードは基本的に決まった場所で利用するものであり、持ち帰るようなものではありません。
そのため、普段利用する場所に自身のタイムカードがあることを各自で確認してもらうことが、タイムカード紛失に対する根本的な対策といえるでしょう。
各従業員がそれぞれ意識することで、仕事をおこなうなかの自然な作業のひとつとして、タイムカードの確認をおこなえるようになるはずです。朝礼でタイムカード確認に対する啓蒙をおこなうことや、壁に標語を貼っておくことなども、従業員の意識にタイムカードの確認を刷り込むという点においては効果的でしょう。
4-1. タイムカードを保管ボックスに入れて該当年月日を記載しておく
会社の担当者が紛失するリスクを軽減するには、タイムカードを保管ボックスに入れ、何が入っているかを明記しておくことも効果的です。
いつからいつまでのタイムカードなのか、中身を見なくてもわかるようにしておけば、誤って処分してしまうリスクも軽減できます。
また、タイムカードの保管は蓋がついたボックスを利用することが推奨されます。紛失につながることはもちろん、日光が当たることでインクが揮発して印字が薄れる可能性があるためです。タイムカードは高温や直射日光を避けた場所で保管し、カードの劣化を防ぎましょう。
4-2. タイムカード以外の方法での勤怠管理も検討する
紛失してしまう可能性のないソフトやアプリケーションを利用することも効果的な紛失対策の一つです。上述したようにエクセルを利用して勤怠管理をおこなう方法や、勤怠管理をおこなうためのソフトやアプリケーションを利用する方法などが考えられます。
こういった方法は、紛失対策として効果的なだけでなく、働き方改革が進んで在宅勤務やリモートワークといった働き方が増えてきた昨今の事情にも対応できる勤怠管理方法です。
タイムカードの紛失に悩んでいる場合は、タイムカードを紛失しないための方策に頭を悩ませるのではなく、別の方法で勤怠管理をおこなうという、異なった角度からのアプローチを検討してみてもよいかもしれません。
5. タイムカードの紛失を防止するなら勤怠管理システムがおすすめ
タイムカードの紛失を防止するなら、勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。タイムカードを管理する手間を省けるだけではなく、労働時間の集計や給与計算を効率化することもできます。ここでは、勤怠管理システムの特徴を簡単に確認しておきましょう。
5-1. 集計作業を効率化できる
タイムカードを利用していると、月末や締日に従業員ごとの労働時間を手作業で集計しなければなりません。電卓で計算したり、エクセルに転記したりする必要があり、従業員が多いとかなりの手間がかかるでしょう。
勤怠管理システムを活用すれば、労働時間が自動的に集計されるため業務を効率化できます。また、給与計算システムと連携して、給与の算出まで自動化することも可能です。勤怠管理に関する業務の多くを自動化できるため、担当者の負担を軽減できるでしょう。
5-2. 労働時間をリアルタイムで把握できる
労働時間をリアルタイムで把握できることも勤怠管理システムの大きなメリットです。タイムカードの場合は、集計するまで従業員の労働時間を把握することはできません。そのため、知らないうちに残業時間の上限規制を超えていたという可能性もあるでしょう。
勤怠管理システムの場合は、日々の労働時間や残業時間を自動で計算してくれるため、好きなタイミングで従業員の勤怠状況を確認できます。法律上の上限を超えそうな場合にアラートで知らせてくれるシステムもあるため、法律違反を防止しながら業務を進めることが可能です。
6. タイムカードの紛失には十分注意しよう
タイムカードを紛失してしまうと、労働時間や残業時間を適切に把握することが難しくなるため、他の方法で勤怠状況を確認しなければなりません。たとえば、パソコンのログイン・ログアウト履歴や、入退館記録・防犯カメラの記録などをチェックして、労働時間を確認することが必要です。
タイムカードの紛失によって、多大な労力をかけなければならなくなることは覚えておきましょう。タイムカードを紛失しないための対策を検討することも重要ですが、勤怠管理は必ずしもタイムカードでおこなう必要はありません。
紛失する可能性のないソフトやアプリケーションを利用して勤怠管理をおこなうという方法も、ひとつの選択肢として検討してみるとよいでしょう。
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
「システムで打刻漏れを減らせるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」という人事担当者様のために、タイムカードの課題を勤怠管理システムでどのように解決できるのかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。