会社が従業員から徴収している税金に所得税があります。従業員から徴収して税務署に支払う必要がありますが、この納付期限についてご存知でしょうか。納付期限に遅れるとペナルティが発生します。そのため、絶対に遅れないように期限については正しく理解しておかなくてはいけません。
本記事では所得税の納付期限について解説しております。また、所得税の納付期限を過ぎるとどうなるのか、過ぎた場合にどのように対応したらよいのかも紹介しているのでご活用ください。
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目次
1. 2023年所得税・復興特別所得税の納付期限について
所得税・復興特別所得税の納付期限は、法人と個人事業主で異なります。
法人企業の人事労務を担当する場合には、いつを目安に納付すべきなのでしょうか。
1-1. 所得税の納付期限は原則毎月・特例の場合は年2回
法人の場合、事業主が従業員の給与から毎月所得税・復興特別所得税を天引きし、給与所得者に代わって納税をします。これを「源泉徴収」といい、納める税額を「源泉徴収税額」といいます。源泉徴収した所得税・復興特別所得税の納税期限は、2023年においても給与支払い日の翌月10日までとなります。
ただし、従業員が10人未満の法人については、納期の特例の承認を受けることでまとめて以下のように納付することが可能です。
- 1~6月まで所得税:7月10日
- 7月〜12月までの所得税:1月20日
所得税に関しては上記の納付期限になっていますが、他の税金はそれぞれ納付期限が設けられています。人事労務をご担当の方には、それぞれの税金の納付期限について理解し、必ず遅れることがないよう納付することが求められます。
関連記事:法人による所得税の納付方法は?納付先・期限についてもおさらい
2. 所得税の納付期限に遅れた場合どうなる?対応方法は?
ここからは、所得税の納付期限に遅れてしまった場合の対応方法について解説します。
毎月従業員の給与から所得税・復興特別所得税の納付額を計算し、適切に納付することが求められますが、万が一遅れてしまった場合の対応方法も把握しておくことが重要です。
2-1. 所得税の未納・納付期限に遅れた場合のペナルティとは
源泉所得税の納付期限を過ぎるとペナルティが課せられてしまいます。
具体的には、源泉所得税の額の10%相当額を「不納付加算税」として徴収することになります。納期限を過ぎると必ず不納付加算税が徴収されるというわけではなく、「やむを得ない理由」が認められる場合については免除されます。
やむを得ない理由というのは例えば災害の発生などです。災害が発生して業務をまともにおこなうことができず、税金の納付が遅れたような場合は不納付加算税が徴収されることはありません。他にも何らかの理由で電波障害がおきて手続きができなかったような場合は、やむを得ない理由として認められることがあります。
もしやむを得ない理由で所得税の納付が遅れるという場合は、税務署に連絡をしてその旨を説明する必要があります。具体的な納付期限などについては、その際に確認しましょう。連絡さえしておけば、税務署側も状況を理解できるため、納付期限についても相談にのってもらえる可能性が高いです。
しかし、単純に手続きを忘れていたり他の業務をおこなっていて間に合わなかったりする場合は、やむを得ない理由として認められないのでご注意ください。
また、後述しますが他にも不納付加算税の徴収がおこなわれないケースがあります。
納付が遅れたとしても対応次第では不納付加算税が発生しないことがあるので、素早く正しい対応をおこなうことが重要です。
不納付加算税の計算方法ですが、源泉徴収税額の1万円未満を切り捨てて計算をおこないます。そして不納付加算税の計算をおこなった結果、金額が5000円未満となった場合は不納付加算税が発生しません。
不納付加算税は業務上必要な支払いというわけではないので、法人税や所得税の経費にすることはできません。高額になると会社としてはかなりの負担になってしまうため、納付が遅れないように注意する必要があります。
そして不納付加算税だけではなく、納付が遅れたことに対する「延滞税」が発生する場合があります。この延滞税についてはどれくらい課せられるのかが状況によって異なります。納付が遅れれば遅れるほど延滞税が課せられ、高額になっていくため、遅れた場合であってもなるべく早く納付することが大切です。
また、所得税の業務は滞納以外にも、徴収・計算段階でミスが発生しやすいため、注意しましょう。当サイトでは、所得税の計算についてミスが発生しやすいポイントと対策をまとめた資料を無料でお配りしています。
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3. 所得税の納付期限を過ぎた場合の対応方法
所得税の納付期限を過ぎてしまった際は、なるべく早く納付することが重要です。
税務署から指摘を受ける前且つ納付遅れが発生してから1ヵ月以内であり、過去1年以内に納付遅れが発生していない場合は、不納付加算税は発生しません。
要するに、遅れてしまったとしてもすぐに納付すればペナルティを課せられることはないのです。
万が一間に合わなかったような場合は、速やかに納付することを心がけてください。
そして税務署の指摘を受けてから納付した場合は、10%の不納付加算税がかかりますが指摘を受ける前に自発的に納付したのであれば5%に不納付加算税が軽減されます。
今までに納付遅れをしておらず、1ヵ月以内に納付したとしても税務署から指摘を受けてしまうと不納付加算税が適用されてしまいます。税務署からはどのタイミングで指摘が入るかはわからないため、1ヵ月以内に納付すればいいと安心するのではなく、少しでも早く納付することが重要となります。
4. 源泉所得税の納付が遅れるとペナルティが発生するため注意!
源泉所得税の納付が遅れるとペナルティが発生し、会社の負担が多くなってしまいます。しかし、源泉所得税を計算している人事担当者の業務量が多いと、納付遅れが生じてもやむを得ないケースがあります。従業員数が多いと源泉所得税の計算にも時間がかかってしまうでしょう。そのうえ、他にも対応しなくてはいけない業務があります。根本的な改善をおこなわない限りは、源泉所得税の納付遅れを防ぐことはできません。
源泉所得税の納付遅れで生じるペナルティを発生させないためにも、システムを導入して、労働環境の改善を検討してみてください。