労働保険加入手続きの方法を一から解説!必要書類・更新手続きも確認 |HR NOTE

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労働保険加入手続きの方法を一から解説!必要書類・更新手続きも確認

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労働保険(労災保険・雇用保険)は、従業員をひとりでも雇用する事業所で加入手続きが必要です。管轄の労働基準監督署で労災保険、ハローワークで雇用保険の加入手続きが必要です。本記事では、労働保険加入手続きの方法や必要書類、よくある質問もあわせて解説します。

1. 労働保険の定義と加入条件

労働保険とは労働者災害補償保険(以下、労災保険)と雇用保険の総称で、どちらも国により運用されている強制加入の保険制度です。事業主は原則、労働者をひとりでも雇用している場合、労働保険へ加入しなければいけません。それぞれの保険制度の特徴を解説します。

1-1. 労災保険の定義・加入条件

労災保険とは、業務中または、通勤中の負傷や疾病、死亡に対する給付が目的の公的保険制度です。給付対象は労働者本人だけでなく、遺族給付や葬祭給付のように家族が給付対象のものもあります。
労災保険は、すべての労働者で加入が必要です。そのため、事業所で従業員をひとりでも雇用していれば加入しなければいけません。
正規雇用だけでなく、パート・アルバイト従業員も対象のため注意しましょう。

1-2. 雇用保険の定義・加入条件

失業したときや雇用の継続が困難になったとき、労働者本人の生活と雇用の安定を図るための保険制度が雇用保険です。同時に再就職を促す役割もあるため、教育訓練などの二次事業も行っています。雇用保険の給付対象は労働者本人のみです。

雇用保険は以下の加入条件の双方を満たす従業員で加入が必要です。正規雇用だけでなく、パート・アルバイト従業員も該当するため確認しましょう。

・1週の所定労働時間が20時間以上の者
・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者
なお、兼業をしている従業員は、仮に全事業所の労働時間を合算して20時間となったとしても雇用保険には加入できません。

しかし例外として、65歳以上の者に限り、複数事業所での合算労働時間が20時間を超えると雇用保険への加入が可能です。なお、手続きは労働者本人が公共職業安定所(ハローワーク)で行う必要があるため案内しましょう。

2. 労働保険加入には「成立届」が必要

労働保険の適用事業に該当する場合には、「保険成立届」を届け出る必要があります。成立届は、従業員の労働保険加入義務を果たすために必須の書類であるため、覚えておきましょう。
加入手続きで必要な書類は、成立届以外にも存在するためあわせて後述します。

3. 労働保険の新規適用条件(会社の加入条件)

会社は労働者をひとりでも雇用すれば、原則として強制的に労働保険(労災保険・雇用保険)に加入することとなります。

しかし、以下の条件に当てはまる事業所では、例外的に労働保険の加入が事業主または、労働者の意志にゆだねられています。

3-1. 労災保険の暫定任意適用事業所とは

個人経営の農林水産業で、以下の要件に該当する場合は、新規適用条件から外れる場合があります。

  • 常時5人未満の労働者を使用する農業関係以外の事業所
  • 常時には労働者を使用せず、なおかつ、年間の労働者の使用人数が300人未満の林業
  • 総トン数5トン未満の漁船を使用する、または、河川・湖沼などを操業する、常時5人未満の労働者を使用する水産業

3-2. 雇用保険の暫定任意適用事業所とは

以下のすべての条件に該当する場合も、例外として保険加入は事業主にゆだねられます。

  • 個人経営の事業
  • 常時5人未満の労働者を使用する事業
  • 農林水産事業(水産業は船員が雇用される事業でないこと)

4. 労働保険の加入手続き方法・流れ

従業員の労働保険への加入が必要になったときは、労働基準監督署とハローワーク、それぞれで手続きが必要です。手続きの流れを解説します。

4-1. 労働基準監督署での手続き(一元適用事業所の場合)

労災保険と雇用保険の申告や納付を一緒に行う会社を一元適用事業所といい、多くの会社が該当する適用方法です。

上記に該当する会社が労働保険へ加入するときは、管轄する労働基準監督署に以下の届け出を提出し手続きを行います。

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書

保険関係成立届には、事業所の名称・住所・法人番号、労働者の人数などを記載します。提出期限は保険関係が成立した日から10日以内です。

概算保険料申告書には、概算保険料を計算し記入します。提出期限は保険関係が成立した日から50日以内です。

上記の手続きが終わると、労働保険番号が振り出され「納入済通知書」が発行されるため、金融機関で保険料の払い込みを行えば手続きが完了します。

4-2. ハローワークでの手続き

労働基準監督署での手続きが終われば、管轄のハローワークに以下の届け出を提出して手続きをします。

  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

設置届には事業所の名称・所在地・法人番号、労働保険番号、労働者の人数などを記載します。提出期限は事業所の設置日から10日以内です。

取得届には、加入する労働者の氏名・生年月日・雇用形態・マイナンバー・被保険者番号を記載します。なお、加入する従業員全員分の記載が必要です。提出期限は雇用保険の加入条件を満たす従業員を雇用した日の翌月10日までです。

4-3. 労災保険と雇用保険を別々に加入しているとき(二元適用事業所の場合)

労災保険と雇用保険を別々に適用する必要のある事業所を二元適用事業といい、以下の業種が当てはまります。

  • 農林・水産・畜産・養蚕の事業
  • 建設事業
  • 港湾運送事業

これらの事業では、労働基準監督署とハローワークにそれぞれ「保険関係成立届」と「概算保険料申告書」を提出しなければいけません。ハローワークにはあわせて「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」の提出も必要です。

一般的な労働保険の加入手続きとは手順が異なるため注意しましょう。

5. 労働保険加入手続きでの必要書類

労働保険の加入手続きでは、役所で入手できる書類のほかに事前準備が必要な添付書類があります。

5-1. 労働基準監督署に提出する添付書類

「保険関係成立届」と「概算保険料申告書」の届け出の際は、以下いずれかの添付書類が必要です。

  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 代表社の住民票(個人の場合)

登記事項証明書は発行日から3カ月以内の原本が必要です。また、本社所在地が登記上の住所と異なるときは、不動産契約書もあわせて準備しなくてはいけません。

5-2. ハローワークに提出する添付書類

「適用事業所設置届」と「被保険者資格取得届」の提出の際は、以下の添付書類が必要です。

  • 労働基準監督署へ提出した「労働保険関係成立届」の事業主控
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 代表社の住民票(個人の場合)
  • 労働者名簿
  • 出勤簿(タイムカードなど)
  • 賃金台帳
  • 雇用契約書

なお、添付書類はハローワークにより異なることもあるため、事前に確認しましょう。

6. 労働保険加入手続きに関してよくある質問

ここからは、労働保険加入手続きに関してよく生じる疑問を紹介します。
「労働保険の加入手続きは新入社員が入るたびに発生するものか?」「労働保険に年度更新は必要か?」「未加入の場合の罰則は?」などの質問をあわせて回答していきます。

6-1. 労働保険の加入手続きは新入社員が入るたびに必要?

結論からお伝えすると、雇用保険のみ従業員の入退社の度に手続きが必要となります。

雇用保険は労働者単位で加入する保険のため、新たに従業員を雇い入れたときや離職した度に手続きしなければいけません。

加入条件に該当する労働者を雇い入れたときは、雇用保険被保険者資格取得届を雇用した日の翌月10日までにハローワークに提出しましょう。提出後「雇用保険被保険者証」が発行されるため従業員本人に渡します。

また、雇用保険に加入する従業員が離職した際は、退職日の翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出します。

一方で労災保険は従業員が個別に加入するのではなく、事業所が加入する社会保険です。そのため、会社が適用事業所に該当した際に手続きすれば、以降、従業員の入社や退職のときに改めて手続きをする必要はありません。

6-2. 労働保険に年度更新は必要?

労働保険の保険料は、1年間(毎年4月1日~翌年3月31日まで)を単位として、全労働者に支払われる賃金総額に保険料率を乗じて計算される仕組みになっています。

保険料は保険年度ごとに概算で納付し、保険年度末に賃金総額が確定した後、精算する形になります。

そのため、事業主は年に1回、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きをする年度更新を行わなければなりません。[注1]

年度更新の手続きは毎年6月1日~7月10日までの間に行う決まりになっており、労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書を作成し、保険料を添えて金融機関または所轄の都道府県労働局、労働基準監督署に提出します。

申告書は都道府県労働局から事業主宛に送付されますので、わざわざ窓口などに取りに行く必要はありません。

[注1]「労働保険の年度更新とは」|厚生労働省

6-3. 労働保険(労災保険・雇用保険)に未加入の場合の罰則は?

労働保険は、労働者を1日、1人でも雇用していれば、必ず加入手続きをしなければなりません(一部農林水産事業を除く)。[注2]

ここでいう労働者について雇用形態は関係なく、パートやアルバイトであっても労働保険への加入が義務付けられています。

労働者を雇用しているにもかかわらず、事業主が労働保険の加入手続きを怠った場合、行政から加入指導が入る可能性があります。

それでも自主的に加入を行わず、再三にわたる加入勧奨も無視した場合は、行政が職権を行使して強制的に加入手続きを行い、労働保険料を遡って徴収します。このとき、本来の労働保険料に加え、追徴金も徴収されます。[注2]

また、事業主が故意または重大な過失によって労働保険の加入手続きを行っていない間に労働災害が発生し、労災保険給付を受けた場合、未加入期間中の労働保険料と追徴金が徴収されるとともに、労災保険給付に必要な費用の100%または40%を徴収されます。[注2]

このように、労働保険の未加入は事業主にとって大きなリスクとなりますので、従業員を雇用した場合は速やかに加入手続きを行いましょう。

[注2]労働保険適用促進パンフレット「ひとりでも労働者を雇ったら労働保険(労災・雇用)に入る義務があります。」|厚生労働省

7. 従業員をひとりでも雇用したときは労働保険の加入手続きが必要!

労災保険と雇用保険をあわせた労働保険は、会社で従業員をひとりでも雇用すれば、強制的に適用されます。手続きは管轄の労働基準監督署とハローワークで行い、手続き期限も定められているため忘れずに対応しましょう。

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