稟議書の種類3つの意味や作成のポイントをわかりやすく解説 |HR NOTE

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稟議書の種類3つの意味や作成のポイントをわかりやすく解説

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日本では、自身の裁量や権限のみで決定できない事項については、稟議書を提出し、承認者からの承認を得る必要があります。稟議書には複数の種類があり、それぞれ作成時のポイントや注意点が異なります。そのため、書類を作る時は基本をしっかり押さえておきましょう。 今回は、稟議書の基礎知識や主な種類、種類別の作成のポイントについて解説します。

1. 稟議書とは?

稟議書とは、自分の裁量や権限のみで決定できない事項について承認を得るために作成し、提出する書類のことです。「稟」は申し出る、「議」は相談するの意で、組織の中で導入したいことについて申し出て、相談することを表しています。 企業に属する社員のほとんどは、業務に必要な設備を購入したり、取引先と契約を交わしたりする決定権を持ち合わせていません。こうした要望や希望を通す場合は、あらかじめ設備導入や契約締結の決定権を持つ承認者の承認を得る必要があります。

そこで社員は、稟議書に稟議の目的と用途の説明、使用金額などの必要事項を記載して承認者に相談し、承認を得ることになります。

2. 稟議書の種類

稟議書は、稟議の目的や用途に応じて大きく3つの種類に分かれています。

2-1. 契約・新規取引

顧客と契約を締結する際や、新しく取引を開始する際に提出する稟議書です。 どのような契約に関して、どのくらいの費用が発生するのか。費用や条件はどのように設定したのかなど、細かな情報について確認してもらうことで、間違いのない契約締結を目指します。 取引の場合、内容が同じであれ継続や更新のたびに稟議書を提出する必要はありませんが、途中で取引内容に変更がある場合は、改めて稟議書を作成しなければならないこともあります。

2-2. 購入・購買

企業に導入する設備や備品などを購入・購買する際に提出する稟議書です。 少量の備品購入であれば稟議書の提出が不要なケースもありますが、大きな設備を導入する際や、購入金額が大きい場合は稟議書を作成し、提出する必要があります。

2-3. 採用

新しく従業員を採用する際に提出する稟議書です。 採用応募者に対して書類審査や面接をおこなうのは人事担当者の役割です。一方で、最終的にその人を雇うかどうか決めるのは承認者の仕事です。 担当者は採用希望者の人物像や経歴などを稟議書に記載し、採用条件や人数が適切かどうかの判断を承認者に仰ぐかたちになります。

なお、採用稟議書は新卒の正社員だけでなく、中途入社や契約社員、派遣社員、パートやアルバイトを採用する際にも作成します。

3. 種類別稟議書作成のポイント

稟議書の基本的な書き方は、契約・新規取引、購入・購買、採用ともに大きな差はありません。ただ、項目によっては、種類ごとに押さえておきたいポイントや、注意すべき点がいくつかあります。 まずは、基本的な稟議書の書き方についてチェックしてみましょう。 稟議書の書式は会社によって異なりますが、最低でも以下4つの項目は記載する必要があります。

  1. タイトル
  2. 稟議の目的
  3. 用途や内容の説明
  4. 使用金額

1は、何のために作成された稟議書なのか、一目でわかるタイトルを選びます。たとえば契約・新規取引なら「A社との新規取引承認の件」などと記載します。 なお、ここでいうタイトルとは、用紙の最上部に記載される「稟議書」とは別個のものです。組織が大きければ大きいほど、一日に提出される稟議書の数は多くなる傾向にあります。そのため、何に対する稟議書なのか明確に記載することが大切です。

2では、なぜ稟議を回すのか、その目的について明記します。たとえばコピー機を購入するための稟議書なら、「劣化による買い替えが目的」などと記載します。 承認によって、どのようなメリットがあるのか、どのような問題が解決されるのかなどを詳しく説明すると説得力が増し、承認や決裁が通りやすくなります。

3では、稟議の用途や内容について詳しく説明します。たとえばコピー機なら、どのメーカー、機種のコピー機を何台導入するのかを記載します。

4は契約・新規取引、購入・購買、採用によってどのくらいの費用が発生するのかを記載します。 稟議書を作成し、提出する段階では金額が明確に決まっていない場合もあります。

しかし、なるべく具体的な予算を提示しておくことで、承認の可能性を高められるでしょう。 以上の基本的な書き方を踏まえ、以下では稟議書の種類別に作成のポイントや注意点を解説します。

3-1. 契約・新規取引の稟議書を作成するポイント

契約・新規取引の稟議書は、以下の点を意識して作成することが大切です。

  1. なぜ契約・取引先を選んだのか
  2. 契約・取引先が信用に値するか
  3. 契約・取引によってどのようなメリットが生じるか

1については、稟議の目的と照らし合わせながら、なぜその取引先を選んだのかを整然と説明します。たとえば関東圏にある自社の製品やサービスを全国に展開したい場合、「関西圏で大きなシェア率を誇る取引先を選べば、販路拡大に有効な手段となり得る」ということなどを述べましょう。

2では、取引先の名称、資本金、従業員数などを明記したうえで、どのような実績や経歴を持つ会社なのかを説明します。たとえば「当該業界でNo.2のシェア率を誇る、30年の歴史があって全国的な知名度も高い」などです。

3は実際にその取引先と契約することで、どのような効果が見込めるかを説明します。たとえば、「関西圏で○%のシェアを確保できれば、自社の売り上げが△%上昇することが見込める」などです。

たとえ概算であっても、具体的な数値を示した方が承認されやすくなります。 使用金額の項目については、契約にかかる費用(プロジェクト費など)のほかに、支払条件などもあわせて記載しておきます。

3-2. 購入・購買の稟議書を作成するポイント

購入・購買の稟議書を作成する際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。

  1. なぜそれが必要なのか
  2. 購入する物の種類と購入数を決めた理由
  3. 購入する物の詳細情報

1では、新しく物を購入することの必要性を説明します。たとえば「古いコピー機が頻繁にエラーやトラブルを起こすので、業務効率化のために最新式のコピー機を導入する必要があると判断した」などです。 「古いから」「新しい方が良いと思ったから」など漠然とした理由では、現行機を使っても問題なしと判断される可能性があります。

そのため、なぜ購入・購買が必要と思ったのかをなるべく明確に記載することが大切です。

2では、数ある物の中から、なぜ当該物を選んだのかを説明します。他の製品と比べて性能やコストが優れている場合は、比較表を用いて説明するのがおすすめです。その製品にしかないオリジナルの機能があるなら、その点を強調してもよいでしょう。

また、購入数についても、◯◯部署と◯◯部署の2箇所で必要であるため、など具体的な説明を入れましょう。

3では購入する物の名称やメーカー、金額などを記載します。パンフレットやカタログがある場合は、別途資料として添付したり、URLを記載したりするとわかりやすいでしょう。

3-3. 採用の稟議書を作成する際のポイント

採用の稟議書を作成する際には、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

なぜ人材を採用する必要があるのか

採用候補者はどのような人材か

採用にかかるコストはどのくらいか

1では、新規・中途採用をする理由について説明します。単純に「人手不足だから」といった理由では説得力がありません。「◯部署で1人が退職し、担当業務を引き継ぐ人手が必要になったため」など、具体的な理由を記載しましょう。

2は、なぜ当該人物を採用しようと思ったのか、その理由を説明します。たとえば「前職で経験が豊富、コミュニケーション能力が高い」などです。 人を1人採用するためには多大なコストと手間がかかります。そのため、相応の理由や決め手を提示する必要があります。

3は採用に関するコスト、具体的には賃金や労働条件(各種保険や休日、勤務時間)などを詳細に記載します。

4. 稟議書は目的と用途、説得性を意識して作成することが大切

稟議書は、自分の裁量や権限だけでは決められない事項を承認者に相談し、承認を得るために作成し、提出する書類です。 稟議は必ず承認されるとは限りません。稟議書の承認につなげるためには、できるだけ稟議の目的、用途、内容に説得性を持たせることが大切です。

稟議書の内容が抽象的だと、承認者からの支持を得られず、提案が却下されてしまう恐れがあります。稟議書の種類に応じて、なるべく具体的かつ詳細に記載するようにしましょう。

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