稟議書は増え続けるもので、紙媒体で保管していると膨大な量になります。
紛失や漏洩を防ぎ、コストを抑えて管理するためには、適切な保管方法を選ぶことが大切です。
本記事では稟議書の正しい取り扱い方法や、電子化について詳しく解説します。保存期間と保管方法を知って、業務効率を上げましょう。
目次
稟議書の保存期間(保管期間)は?
会社で作成する書類には、2年~10年の法律で定められた保存期間(保管期間)があるものが存在します。稟議書に必要な保存期間を知り、正しく管理しましょう。
法律で定められた保存期間はない
稟議書には、法律で定められた明確な保存期間はありません。法的には、稟議が通ったあとで処分しても問題ないといえるでしょう。 しかし、多くの会社では稟議書の保存期間を決めています。これは、稟議が決裁に関わる重要な書類であるためです。
稟議書を取り扱う際は、会社の規則に則って正しく保存しましょう。また、稟議書の保存期間を定めていない場合は、トラブルを防止するために設定しておくことをおすすめします。
永久保存が望ましい
稟議書は物品の購入や契約の締結をはじめとした、会社のさまざまな決裁を求める書類です。 稟議書は業務をスムーズに進めるために必要となるほか、訴訟時の証拠に用いられるなど、トラブルがおきた際にも重要な役割を果たします。
そのため、稟議書は永久保存とするのが望ましいとされています。 しかし、稟議書は増え続けるため、紙媒体で永久保存する場合は保管場所を確保しなくてはいけません。また、膨大な量になれば紛失する恐れもあります。 適切な保存方法で必要なときにすぐに取り出せるようにしておきましょう。
稟議書の保管方法
稟議書の保管方法は、紙とデータ形式の2種類です。それぞれの保管方法とメリットとデメリットを知っておきましょう。
紙媒体に印刷して保管する
紙媒体で稟議書を保管する場合は、ほかの書類と同様に印刷して保管します。 稟議内容に応じて、資料やカタログなど稟議書以外のものが含まれる場合は、それも一緒に保管することが望ましいです。 紙媒体で保管するメリットとしては、データの取り扱いに不慣れな人であっても稟議書を取り扱いやすいという点が挙げられます。
しかし、稟議書を紙媒体で保管する場合、保管場所を確保しなければならないほか、検索性が悪い、容易に持ち出しができてしまうなどのデメリットもあります。
電子化してデータとして保管する
政府は働き方改革の一環として、電子化を推進しており、2022年には改正電子帳簿保存法が施行されました。 稟議書もデータ保管することが可能で、その場合はWordやExcelで作成した稟議書のデータをPDF形式にして保存できます。 データ保存には、紙媒体にはない多くのメリットがあります。
保管場所や印刷のコストを削減できる点や、検索が容易になること、改ざんが難しくなることなどが大きなメリットです。 また、出張中や在宅勤務時など出社を伴わない勤務の場合でも、稟議書がデータ化されていればすぐに確認できます。
そのため、稟議書のデータ化は、業務効率の向上につながるといえます。 デメリットとしては、改ざん防止や信憑性を上げるための電子印鑑の準備が必要であることや、セキュリティへの意識を社内全体で高めることが必要であるなどが挙げられます。 しかし、これは電子化を進めるうえで必ず求められる工程であるため、稟議書の電子化に限ったデメリットではありません。
稟議書を保管する際の注意点
稟議書を保管する際は、以下の点に注意しましょう。重要書類であるため、紛失や漏洩にはとくに注意しなくてはいけません。
紛失や漏洩に気を付ける
稟議書を紙媒体で保管している場合は、管理がしにくく、必要なときに見つけられないという問題が発生しやすいです。 ほかの書類に紛れ込んで誤って処分されてしまう恐れもあるため、紛失には十分に注意しましょう。 また、管理ができていないと社外に持ち出された際にも気づけません。いつの間にか情報が漏洩する危険性があることを十分に理解し、厳重に管理しましょう。
自社に適した保管方法を選ぶ
紙媒体で稟議書を保管する方法から脱却したい場合であっても、準備が十分に整わないまま電子化しようとするのはおすすめできません。 今後、電子化の対応は必須となっていくと考えられます。しかし、データを正しく取り扱える人がいないと、従来より手間がかかったり、トラブルが発生したりする恐れがあります。
また、社内のITリテラシーが高い水準でないと、電子化したことで想定外の問題が発生するかもしれません。あくまでも自社の現状に合った保管方法を選び、少しずつ電子化の対応を進めていくのがおすすめです。
稟議書を電子化する方法
稟議書を電子化するためには、ワークフローシステムを使うのが一般的です。 以下、稟議書を電子化する方法を3パターン紹介します。
既存のワークフローシステムを使う
経理や退勤管理システムなどを利用している場合は、機能の一部としてワークフローシステムが搭載されていることがあります。 それを稟議書のワークフローに使えば、コストをかけずに電子化が可能です。
しかし、稟議書のワークフローでは申請や承認、決裁が必要で、通知や回覧の機能も求められます。それらの機能がないと使いにくく、一部の稟議書は電子化ができない可能性もあります。
グループウェアシステムを使う
メールや社内チャットシステム、カレンダー、電話帳などのグループウェアを使っている場合、ワークフローの機能が備わっている可能性があります。 一般的に、グループウェアのワークフローシステムは汎用性が高く、稟議書の関連業務に活用できるケースが多いでしょう。
また、ワークフローシステムがない場合や、稟議書に適さない場合であっても、ライセンスを追加すれば利用できるようになるケースもあります。
稟議専用のシステムを導入する
自社独自の稟議申請行程に対応したものや、より稟議に特化してわかりやすいシステムを使って電子化をしたい場合は、稟議専用のシステムを導入するとよいでしょう。 既存のシステムや別のシステムではカバーできない部分がありますが、稟議専用のシステムであればより効率よくワークフローを管理できます。
ワークフローシステムを使わない方法
ワークフローシステムを使わずに稟議書を電子化することも可能です。 その場合は、PDF形式にした稟議書をメールでやりとりするかたちになります。 基本的には、スムーズに決裁がおこなわれれば問題ないでしょう。しかし、差し戻しや修正が発生した際は、その都度関係者に状況を伝達しなければなりません。メールの誤送信や見落としによる混乱も発生しやすいため、注意が必要です。
稟議書は電子化して保管するのがおすすめ
稟議書は永年保存が推奨されています。法律による定めはないものの、訴訟トラブルの際などは証拠として用いられることもあるため、できる限り処分はせずに残した方がよいでしょう。 しかし、稟議書は企業活動のなかで日々増え続けるため、紙媒体での保管には限界があります。 稟議書の保管にかかるコストを抑え、検索や管理を容易にするためには、電子化がおすすめです。
電子化すれば場所を取らずに保管でき、検索や漏洩防止もしやすくなります。 稟議書を電子化する方法としては、「既存のワークフローシステムを使う」「グループウェアシステムを使う」「稟議専用のシステムを導入する」などのパターンが挙げられます。 自社に合う方法を選択し、稟議書の電子化を進めましょう。