給与明細の保管期間は何年が義務?会社側の保管方法もわかりやすく解説! |HR NOTE

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給与明細の保管期間は何年が義務?会社側の保管方法もわかりやすく解説!

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給与明細の保存期間は、少なくとも2年間が推奨されています。給与明細の保存期限に関する法律の規定はありませんが、確定申告をする場合は5年分が必要になります。本記事では、給与明細の保存期間や、会社側が適切に保管しておくための保管方法を解説します。

給与明細は、従業員の給与や控除の額が記載された通知書のことです。会社は必ず従業員に対して交付しなければならず、収入の証明をしなければいけない様々な場面で提出が求められます。

今回は、給与明細が求められる場面や保管期間、保管方法について紹介します。

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その中でも給与明細の発行と封入作業は、従業員の数が増えれば増えるだけ工数がかかり、根気が必要な業務になります。

また、給与明細の発行・交付が法律で決まっているにもかかわらず、従業員が持ち帰り忘れたり、出社しないため会社に残ったまま、というようなこともあるでしょう。

そこで本資料では、給与明細の複雑な作成ステップやその一連のフローをシステムの導入により、どのように効率化できるかなどを、実際の管理画面をお見せしながら解説しております。

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1.給与明細を保管する理由

はじめに、給与明細を保管しなければいけない理由について解説します。

実は、法律上、給与明細の保管義務は定められていません。
しかし、給与明細は会社で働いたことを証明する書類のひとつです。様々な場面で給与明細の提示を求められることがあるため、きちんと保管・管理しておいたほうがいいでしょう。

以下、給与明細の提示がどういった場面で求められるのかを紹介していきます。

1-1.給与を支給したことの証拠

給与明細が必要な場面の1つ目が、給与の未払いを請求された際に、支給した証拠を提示したい場合です。給与を適切に支払ったことを証明するためには、当時の給与明細を提示することで証拠を出すことが可能となります。

5年の保存が義務化されている(しばらくの間は3年)タイムカードや雇用契約書等と一緒に、適正な賃金支給の証拠として保管しておくとよいでしょう。

1-2.雇用保険の離職証明書の確認

従業員が退職後、すぐに働く先の会社が決まっていない場合に利用するのが雇用保険の基本手当です。基本手当は人によって受け取れる金額が異なっており、指標となるのが前職の給与です。

基本手当の手続きの際に給与明細の提示を求められることはありませんが、受け取る基本手当が、前職の給与と比較してみて適正な金額(45~80%)となっているか確認するために必要となります。その際に再発行を求める従業員も発生しうるため、給与明細は必ず保管しておきましょう。

1-3.ローンを組むときの収入証明

従業員がローンや賃貸の手続きをする際の収入の証明にも、給与明細は必要となります。。まず、カードローンなどのローンを組む場合には、収入証明書の提出が求められる場合があります。給与明細以外には、確定申告書なども収入証明書として扱われます。

ローンを組む際には、総量規制とよばれる規制を守る必要があります。これは、収入の3分の1しかローンで融資を受けることができないというものです。消費者金融はしっかりと相手の収入を確認する必要があるため、従業員にとって給与明細はとても重要なものとなります。

1-4.賃貸の入居審査のときの収入証明

従業員が賃貸の入居審査をする場面においても、収入証明書として給与明細を提示する場合があります。入居審査では家賃を払うだけの支払い能力があるかどうかも審査されますが、その審査資料として必要なのが収入証明書です。賃貸の入居審査の収入証明書は、給与明細の他に、源泉徴収票や納税証明書なども該当します。

給与明細を収入証明書として提出する際には、1ヵ月分では不十分になる可能性があります。直近の給与明細を最低3ヵ月分の提出で、収入証明書として使うことができます。そのため給与明細処分してしまった従業員からは、数ヵ月分の給与明細を求められるケースもあるでしょう。

1-5.健康保険などの被扶養者認定

従業員が健康保険で被扶養者認定を受ける場合にも、給与明細の提出が必要となる可能性があります。具体的には、パートやアルバイトとして働いている従業員が被扶養者認定を受けたい場合です。

パートやアルバイトとして働いている従業員が、被扶養者認定のために給与明細が必要な理由は、被扶養者認定には収入による制限があるためです。健康保険の被扶養者認定は、認定対象者が年間130万円以下(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)の収入であることが条件となります。また、パートやアルバイトで働いていて、一定の条件を満たした場合は、年間106万円以下の収入であることが条件です。

この条件は過去の年収が130万円以下であることよりも、今後1年間の収入の見込みが130万円以下であるかという視点で考えられるのが特徴です。そのため、直近の給与が分かる給与明細の提出が必要となります。

その他の理由としては、所得証明書や非課税証明書には記載されてない収入を確認するためという点が挙げられます。所得証明書や非課税証明書には課税対象となる収入しか記載されておらず、交通費など非課税分の収入を知ることが困難です。

そのため交通費も記載されている給与明細書を提出することで、正しい収入を知ることができます。被扶養者認定で給与明細を提出する際には、直近3ヵ月分の給与明細が必要となるため、数ヵ月分の給与明細が必要となるケースが多いでしょう。

2.給与明細の保管期間

給与明細は先述したとおり様々な理由で保管が必要となります。

ここからは、給与明細を何年分保管すべきなのか、場合に応じた保管年数について詳しく解説します。

2-1.一般的には2年間保管が必要

一般的に給与明細の適正な保管年数は、2年間といわれています。理由の一つとしてあげられるのが、雇用保険の時効が2年であることです。2年の間であれば、雇用保険を遡って支給申請をすることが可能となっています。

このときに必要なのが、給与支払額の証明書です。給与明細はその証明書として使用できるため、最低でも2年は保管しておくことが望ましいでしょう。

2-2.確定申告をする場合は5年間

さらに長い保管期間が必要となるのが、確定申告をする場合です。一般的に会社員は確定申告をおこなう必要はありませんが、副業をしていたり、ふるさと納税や医療費の控除または還付を受ける場合には、確定申告をする必要があります。

確定申告には、給与を申告する項目があるため正確な給与を把握しておくことが大切です。控除や還付を受ける時効が5年となっているため、確定申告をする従業員には5年間は保管しておくよう促しましょう。

2-3.給与明細の関連書類の保管期間は?

給与明細の関連書類には、一定期間の保管義務が生じるものがあります。

5年間(当分は3年間)の保管が義務付けられている関連書類としては、法定三帳簿(「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」)が挙げられます。タイムカードなどによる勤怠の客観的な記録も該当します。

そのほかにも、従業員の解雇・雇入、災害補償に関する書類なども5年間の保管義務があるため、注意しましょう。

7年間の保管義務がある書類としては、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」「源泉徴収簿(作成した場合)」などが挙げられます。これらの書類は税に関わるものであり、国税通則法によって保管期間が定められています。

3.給与明細の保管方法

続いて、給与明細の保管方法について、紙での保管方法と電子での保管方法の2種類について紹介します。

3-1.紙のまま保管

毎月給与明細を紙で交付している場合、紙のまま保管しているというケースも多いです。しかし、整理をせずにただ持っているだけだと、必要なときに必要な給与明細を取り出すことが難しくなります。また、紛失を防ぐためにも、ファイルやバインダーなどの保管がおすすめです。

時系列順にファイルやバインダーに収納して保管をしておくと、必要な月の給与明細をすぐに取り出すことができます。また、そのファイルやバインダーをすぐに取り出せる場所に保管しておくことも重要なポイントです。

3-2.PDFにして保管

給与明細を紙で保管していると、場所をとったりファイルがたくさん必要となることもあります。できるだけ省スペースで給与明細を保管したいという人は、スキャンしてPDFで保管することをおすすめします。紙から給与明細をスキャンして保管する場合は、再発行がしやすいよう解像度を350dpi(モノクロの場合は600dpi)に変換して保管するとよいです。

PDFにした給与明細は、パソコンで専用のフォルダを作って保存することもできますし、インターネット上にデータを保存できるクラウドサービスを利用することも可能です。データが消失するリスクを考えて、バックアップをとっておくことや、外付けのハードディスクに移行し、ハードディスクを鍵付きの棚に保管するなどの対策をとりましょう。

また、近年は給与明細を紙ベースではなく電子で交付するケースも増加しています。そのため、電子で交付している給与明細は電子のまま保管すると、紙代や印刷にかかるインク代も削減できて便利です。

4.給与明細や関連書類の保管に想定されるトラブル・対応策

ここまで給与明細における2つの保管方法について紹介しました。ここからは給与明細や関連書類を保管する際に、生じやすいトラブルを解説します。

4-1.書類管理・保管にコストや手間がかかる

給与明細は法律による保管義務はありませんが、少なくとも2年間は捨てずに保管しておくことが望ましいとされています。また関連書類においても3年間~7年間の保管義務があるため、適切に保管するためにはコストや手間が発生しやすいでしょう。

紙での管理となると全従業員の書類を数年間維持すると場所がとられるだけでなく、紙の劣化対策も必要となります。

対応策としては、給与明細原本を電子データ化すること、クラウドシステムを導入してweb上で管理することなどが有効でしょう。

4-2.企業にて給与明細を紛失する

紙で管理をしている場合は、意図せず給与明細や関連書類を紛失してしまうケースも考えられます。しかし規定された保管期間を守らなかった場合、労働基準法に抵触し罰則が課される可能性があります。

人為的ミスを防止するためには、給与計算システムの導入がおすすめです。web明細で明細発行の手間が省けるほか、勤怠データと簡単に連携できるため業務の効率化も図れるはずです。

4-3.従業員が給与明細を紛失する

紙で給与明細を発行する場合、従業員が紛失してしまうケースも考えられます。給与明細を必要とする雇用保険を受給するタイミングや、年金の加入期間を確認する際に、再発行を依頼されることもあります。

再発行に応じる義務はありませんが、従業員の利便性を考慮すると応じたほうが望ましいでしょう。pdfデータでの原本保管や、給与計算システムで管理すると、再発行の手間も防げるため効率的です。

5.給与明細の再発行に関する注意事項

従業員が給与明細を必ずしも保管しているとは限りません。提出が求められた場面で紛失に気づき、再発行を依頼するケースは少なくないでしょう。

ここでは、給与明細の再発行に関する注意事項を紹介します。

5-1.再発行にかかる時間などを周知しておく

給与明細の再発行に関する手続きやかかる時間は会社によって異なるものです。従業員との間でトラブルにならないよう、自社のルールを周知しておきましょう。

確定申告前などのタイミングで、給与明細の再発行に関する情報を定期的に共有するのもおすすめです。

5-2.再発行は任意

給与明細の再発行は義務ではなく任意です。再発行に応じるかどうか、しっかり決めておくとともに、社内で情報を共有しておきましょう。

再発行に応じない場合は、従業員全員にその旨を必ず伝え、給与明細をきちんと保管しておくよう促すことが大切です。

6.給与明細の保管に関するルールは社内でしっかり共有しよう

ここまで、給与明細の保管について解説しました。様々な場面で給与明細の提示が求められるため、大切に保管しておくことが大切です。

適切にファイリングをしたり、電子化するなどしてすぐに取り出せるようにしておきましょう。また、社内で再発行に関するルールを周知しておくことも大切です。

 

【監修者】小島章彦(社会保険労務士)

大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。 現在は、某システム開発会社に勤務。 会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを4年半以上行っている。 また、金融知識を生かした金融関係のライティングも含め、多数の執筆案件を経験している。 その他保有している資格は、行政書士、日商簿記3級など。

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