給与計算ソフトとエクセルなどの表計算ソフトの使いやすさを比較 |HR NOTE

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給与計算ソフトとエクセルなどの表計算ソフトの使いやすさを比較

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給与計算業務は専用の給与計算ソフトを使う方法のほか、エクセルなどの表計算ソフトを使う方法もあります。エクセルを活用する場合、税率や保険料率の改正にあわせて、シートを修正する必要がありますが、ソフトの導入費用や利用料がかからないのがメリットです。この記事では、給与計算業務をおこなう際の、給与計算ソフトとエクセルなどの表計算ソフトの使いやすさを比較します。

1.給与計算業務はエクセルで自動化できる

給与計算業務の効率化のために、エクセルを活用している企業も多いでしょう。エクセルをはじめとした表計算ソフトをインストール済みの場合は、新たに給与計算ソフトを導入することなく、給与計算業務を自動化できます。

エクセルには数式や関数の機能があるため、あらかじめ労働時間や時間外手当の計算式をシートに記載し、従業員の勤務データを入力することで、電卓などを使わずに毎月の給与を計算可能です。

給与計算業務をエクセルでおこなうメリットの一つは、コストがかからない点です。とくに中小企業や、開業したばかりのベンチャー企業は、クラウドサービスの新規導入や改修に多額のコストを捻出できない場合があります。

総務省の「令和2年版情報通信白書」でも、「クラウドサービスを利用しない理由」として、15.9%が「クラウドの導入に伴う既存システムの改修コストが大きい」と回答しています。(※1)

※1:令和2年版情報通信白書|総務省

2.エクセルでの給与計算をおこなう方法

それでは、具体的にはどのようにエクセルで給与計算をおこなうのでしょうか。エクセルでの給与計算業務は、自社独自の給与体系にあわせて給与計算シートを作成する方法と、既存のテンプレートを活用する方法の2通りがあります。

2-1.エクセルでの給与計算の基本的な流れ

エクセルシートで給与計算をおこなう場合は、「勤怠管理シート」と「給与計算シート」の2つが必要です。

勤怠管理シートには、従業員の毎月の総労働時間と時間外労働時間を記録します。従業員には毎日、エクセルシートに勤務時間と休憩時間を記録してもらい、勤務時間から休憩時間を差し引いた時間を集計することで、毎月の労働時間を算出可能です。

次に、給与計算シートでは基本給に加えて、時間外手当の金額を計算します。時間外手当は「時給×法定割増賃金率×時間外労働時間」の計算式で求められます。あらかじめエクセルシートに数式を入力しておくことで、従業員が入力した労働時間のデータに基づき、給与の総支給額を計算できます。

しかし、通勤手当や所得税、社会保険料などの控除も考慮する必要があるため、一から給与計算用シートを作成するのは手間がかかります。

2-2.給与計算用のテンプレートを活用するのが一般的

一般的な給与体系を採用している場合は、給与計算用のテンプレートを活用するのが一般的です。有料のテンプレートのほか、インターネットで無料公開されているテンプレートも多いため、自社の給与体系に近いテンプレートを選びましょう。

たとえば、正社員向けの給与計算シートや、パートやアルバイトなど時給制の従業員向けの給与計算シートがあります。

3.エクセルで給与計算をおこなう際の注意点

ここまで、エクセルでの給与計算のやり方を解説しました。エクセルでの給与計算業務は、無料のテンプレートなどを活用することで効率化が可能ですが、どうしても手作業や人力での更新作業が必要なケースもあります。

また、データの定期的なバックアップや、個人情報の漏洩をはじめとしたセキュリティの問題も注意が必要です。エクセルで給与計算をおこなう際の3つの注意点を紹介します。

3-1.税率や保険料率の改正に対応しよう

給与計算業務では、給与支給額から所得税や住民税、社会保険料などの控除をおこなう必要があります。給与計算に用いる税率や保険料率は、社会情勢などを鑑み、定期的に改正されます。

たとえば、健康保険料は3月に、雇用保険料は4月に、厚生年金保険料は9月に改正されるのが目安です。税率や保険料率が改正された場合、エクセルシートの計算式をその都度修正する必要があります。これは既存のテンプレートを使う場合も同様のため、エクセルで給与計算をおこなう場合は、経理担当者が定期的に税率や保険料率を確認し、メンテナンスを実施しましょう。

3-2.データのバックアップを定期的にしよう

エクセルで給与計算をおこなう場合、給与計算に使う従業員情報や勤怠管理のデータは、エクセルブック形式、CSV形式、XMLデータ形式などでPC内に保存されます。エクセルを用いて従業員の給与明細を作成した場合も同様です。これらのデータが紛失した場合、給与計算業務のやり直しが必要になり、業務効率が著しく悪化します。

また、給与明細は最低でも5年間の保管が必要な点に注意しましょう。給与明細は、労働基準法で保管が義務付けられている賃金台帳に相当する書類です。2020年の労働基準法改正によって、労働者が未払金を請求できる「賃金請求権」の期間が2年から5年に伸びたため、賃金台帳に相当する給与明細は最低5年間の保管が求められます。(※2)

労働基準法に違反するリスクを犯さないためにも、データのバックアップは定期的におこない、紛失対策をしましょう。

※2:労働基準法の一部を改正する法律(令和2年法律第13号)の概要|厚生労働省

3-3.情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策を実施しよう

データの紛失対策と同様に大切なのが、個人情報の漏洩対策です。給与明細の作成には、従業員の住所や年齢、勤続年数、家族構成、雇用形態、役職といった個人情報が必要です。エクセルで給与明細を作成する際、こうした個人情報のファイルもPCやサーバー内に保管されるため、外部から不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合、情報漏洩のリスクに晒されます。

そのため、ウイルス対策ソフトのインストールなどのエンドポイントセキュリティの強化や、「不審なメールを開かない」「PCやUSBメモリなどを長時間放置しない」といった情報セキュリティ教育など、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策を実施しましょう。

4.給与計算ソフトがおすすめな場合とは

企業によっては、エクセルでの給与計算よりも、給与計算ソフトを活用する方が適しています。たとえば、新型コロナウイルス対策のため、テレワークや在宅勤務を導入した企業は、インターネットがあれば利用できるクラウド型の給与計算ソフトが便利です。

ここでは、給与計算ソフトが活躍する3つのビジネスシーンを紹介します。

4-1.新税率や制度改正に対応させたい場合

給与計算ソフトでは、ベンダー側が税率や保険料率の改正に対応することで、更新プログラムを利用できます。インストール型の給与計算ソフトでは、新しいプログラムへの更新料が必要なケースもありますが、クラウド型の製品の多くは自動的にアップデートがおこなわれるため、コストをかけず新税率や制度改正に対応可能です。

バックオフィス部門が人手不足など、税率や保険料率の改正に対応する余力がない場合は、クラウド給与計算ソフトの導入を検討しましょう。

4-2.テレワークや在宅勤務に対応したい場合

働き方改革への対応や、コロナウイルスの感染拡大予防のため、テレワークや在宅勤務制度を導入する企業が急増しました。東京都の調査では、2021年4月、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56.6%という結果が出ています。(※3)

テレワーク環境で給与計算業務をおこなう場合、エクセルベースの方法ではファイルのやりとりが必要になるため、業務効率化につながりません。

しかし、クラウド給与計算ソフトなら、インターネット環境さえあればどこからでも利用できるため、テレワークや在宅勤務でも通常どおり給与計算業務を遂行できます。

※3:テレワーク実施率調査結果|東京都

4-3.安価にセキュリティ対策を実施したい場合

先述した通り、給与計算業務には、従業員の個人情報を守るために情報漏洩対策が求められます。もし、個人情報の漏洩が発生した場合、企業は損害賠償請求や社会的信用の低下といったリスクに晒されます。

しかし、とくに中小企業ではセキュリティ対策のための予算や人的リソースが少ないのが現状です。実際に総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、日本企業の約9割がセキュリティ対策に従事する人材不足に悩んでいます。(※4)

セキュリティ対策に課題を感じる場合は、エクセルでの給与計算ではなく、クラウド型の給与計算ソフトを活用しましょう。クラウド給与計算ソフトなら、ベンダー側がセキュリティ環境を提供し、ウイルスや不正アクセスの脅威から個人情報を守ります。セキュリティコストをサービス利用料に置き換えることができるため、コスト削減にもつながります。

※4:令和2年版情報通信白書|総務省

5.給与計算ソフトとエクセルの違いを知り、自社に合ったものを使おう

給与計算ソフトとエクセルなどの表計算ソフトには、それぞれメリットやデメリットがあります。給与計算業務はエクセルで自動化する場合、ソフトの導入費用や利用料がかかりませんが、税率や保険料率の改正がおこなわれた場合はその都度対応が必要です。

また、データの定期的なバックアップや、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策が求められます。業務効率化を考える場合は、給与計算ソフトの導入も検討しましょう。

とくにテレワークや在宅勤務を導入する企業は、インターネット環境があれば使えるクラウド給与計算ソフトが便利です。給与計算ソフトなのか、エクセルなのか、自社に合った給与計算のツールを選ぶことが大切です。

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