給与明細の再発行は義務?法律や保管方法をあわせて解説 |HR NOTE

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給与明細の再発行は義務?法律や保管方法をあわせて解説

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給与明細は、法律により再発行は義務付けられていないものの多くの会社が再発行に応じているのが現状です。今回は、給与明細の再発行が求められるケースや再発行をおこなう場合の対応、適切な給与明細の保管方法について紹介します。

1. 給与明細の発行や保管は義務?

はじめに、給与明細の再発行を求められたときの再発行は義務なのかという点について解説します。

1-1. 給与明細発行の対応は任意であり義務ではない

結論からお伝えすると、給与明細の再発行は義務ではありません。任意の対応となるため、必ずしも再発行をおこなう必要はないということになります。

しかし、実際に給与明細の再発行を求められた場合、再発行する会社が多いのが現状です。給与明細の再発行を拒否すると、理由を求められたりトラブルに繋がる可能性があります。そうしたトラブルに対応するなら、給与明細を再発行したほうがコスト面を考えても効率的であるという考え方をもつ企業も多い事が考えられます。

1-2. 会社に給与明細の保管義務はない

会社には、給与明細の再発行の義務がないのと同様、給与明細の保管義務もありません。しかし、賃金台帳は5年間の保管が義務付けられていますので、念のため一緒に5年間保管しておくとよいでしょう。

給与明細に関連する書類には保管義務があるため、処分してしまった際の再発行対応には、そうした書類から給与明細を作成します。

給与明細に関する書類で保管義務があるのは以下のような書類です。

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • タイムカード

なお、労働基準法が改正され、これらの書類の保管期間は3年から5年に延長されました。(しばらくの間は3年が保管義務)

2. 再発行の申し出があった場合の対応

もしも再発行の申し出があった場合にとるべき対応について解説します。

2-1. 再発行するか判断する

先述したとおり、給与明細の再発行は義務ではなく任意のため、再発行に応じることも拒否することもできます。そのため、まずは再発行の申し出があった場合は再発行をするのかしないのかを判断することが求められます。

再発行が求められたときのルールがなければ、担当者が判断に迷うことになります。そのため給与明細の再発行を求められたときに、会社としてどういった対応をとるのか、明確にルールを作っておくことが大切です。

更に再発行で必要なデータをリスト化したり、給与明細の再発行までの流れをマニュアル化しておくと、より効率的に給与明細の再発行をおこなうことができます。

2-2. 勤務データの確認

給与明細を再発行するためには、給与明細に必要な項目が記載されている書類から新たに給与明細を作成することになります。そのため、労働関係に関する書類の中から必要な項目を確認することが必要です。

しかし、勤務データを記載した書類の保管義務は5年間のため、5年を経過した書類はすでに処分されていることも多いです。そのため、5年を経過した給与明細の再発行を求められた場合は、対応することが難しくなります。

3. 再発行を依頼されるケース

続いて、どのようなときに給与明細の再発行を求められるのか、求められることが多いケースをいくつか紹介します。

3-1. 確定申告をする場合

一般的に会社で働いていると確定申告をおこなう必要はありません。しかし副業をしていたり、給与所得が2,000万円を超える場合や医療費控除を受けるときなど、会社員でもあらゆる理由で確定申告をおこなうことがあります。

確定申告では所得の証明が必要となりますが、給与明細は所得の証明として使用することができるのが特徴です。そのため、確定申告を理由として再発行を求められるケースがあります。

3-2. 退職後に失業保険の給付や職業訓練給付金を受け取る場合

雇用保険における基本手当の給付を申請するときにも、給与明細が使われる可能性があります。なぜ基本手当の給付に給与明細が必要かというと、雇用保険が前職の給与の額を元に給付額が決定するためです。

また、退職後にハローワークの職業訓練を受ける人に支給される職業訓練給付金の申請にも、給与明細が必要となることがあります。職業訓練給付金を申請するために、事前審査申請日の前月に得た本人収入を証明する書類を提出しなければいけないのが理由です。この書類を提出するために給与明細が用いられることがあります。

3-3. ローンを組むタイミング

ローンを組む場合にも、融資を受けたい金額や就業状況などに応じて収入を証明できる書類の提出が必要となる場合があります。ローンの審査では、融資を受けたローンの返済能力があるかどうかがとても重要なポイントとなるためです。

消費者金融によっても提出を求める書類の種類は異なりますが、一般的には確定申告書や給与明細が収入証明書として扱われます。

3-4. 家族からの依頼

これまでご紹介した給与明細が必要となるケースは、本人からの依頼となる場合が多いケースですが、給与明細は本人からだけではなく、家族から依頼される場合もあります。どのようなときに家族から依頼されるのか、具体的なケースを紹介します。

家族から給与明細の再発行を求められるケースとして多いのが、離婚協議中である場合です。会社に勤務しているまたは以前勤務していた人の配偶者から養育費や慰謝料の問題を解決するために、配偶者が収入を知る目的で再発行を求められることがあります。

ここで注意しなければいけないのが、あくまで給与明細の再発行は、直接雇用関係にあった本人との関係性でおこなうという点です。配偶者が本人の了承を得ずに給与明細の再発行を求めている可能性も考えられ、再発行に応じた場合トラブルに発展することもあります。

そのため、家族から再発行を依頼された場合は基本的には断ることをおすすめします。

4. 給与明細の再発行に対応できる保管方法とは

ここまで給与明細の再発行が依頼されるケースについて解説した通り、従業員が給与明細を必要とするタイミングは複数あり、大多数の企業では給与明細の再発行がおこりうることが考えられます。

いつでも給与明細の再発行に対応可能な状態をつくるには、日頃からの管理方法が重要となるでしょう。

ここからは、給与明細の再発行に対応できる管理方法について解説します。

4-1. ファイリングして保管する

紙の給与明細の保管方法として、ファイリングして保管することは最も手軽でしょう。

具体的には、バインダーやファイルを購入し、挟んで保管します。

費用を抑えて初心者でも簡単に管理できる方法ですが、仕分けや収入箇所への中身の記載をしっかりとおこなわなければ、データを取り出すことに手間がかかってしまうでしょう。

また5年保存する場合、給与明細などの書類は劣化することや、場所がとられてしまうことも懸念されます。保管場所は、湿度が低く直射日光があたらない場所が無難でしょう。

4-2. 電子化する

給与明細の電子化は、紙の給与明細をスキャンする方法、勤怠管理・給与計算からシステムを活用して明細を自動作成する方法の2種類が存在します。

後者の給与明細電子化システムを導入した場合、印刷・封筒・郵送コストや作業時間コストの大幅な削減が期待できます。また物理的な管理の工数もかからず、場所もとられません。

従業員はいつでも手持ちのPC・スマホ・タブレットからシステムにログインし、給与明細の確認や、PDFに落として自身で再発行がおこなえるため、大変効率的です。

5. 給与明細の再発行に関する対策

最後に、給与明細の再発行に関する対策について紹介します。

5-1. 給与明細の再発行をしなくていいように従業員に周知する

給与明細の再発行は、紙での管理の場合工数がかかることや、悪用防止などの観点からもできる限りおこなわないほうがいい業務といえるでしょう。

紙での給与明細の再発行に関わる負担を減らすためには、従業員に給与明細の再発行を求めることがないようにあらかじめ伝えることが重要となります。

従業員に伝えるべきポイントは以下の3点です。

  • 給与明細の保管期間
  • どのような場合に給与明細が必要となるか
  • 給与明細の再発行にどのくらい手間がかかるか

給与明細はあらゆるケースで必要となることを伝えることが大切です。具体的なケースや必要な保管期間を合わせて伝えると、より従業員が給与明細の保管についてイメージがしやすくなります。

また、給与明細の再発行についてどのくらい手間がかかるのかを明確にしておくことや、断る方針の会社であればはじめから再発行の対応には応じないことを伝えておくことで、給与明細の再発行の負担を減らすことができるでしょう。

5-2. 紙ベースよりも電子化したほうが管理しやすい

給与明細の再発行をおこなう場合は、過去の勤怠記録などを確認する必要があります。過去のデータを確認することは、従業員の数が多いほど大変です。簡単に過去のデータを確認できるようにすることで、給与明細の再発行の業務にかかる負担を減らすことができます。

過去の勤務データの管理は、紙ベースでおこなうよりも電子化するのがおすすめです。電子化することで欲しい情報をすぐに取り出すことができますし、データが膨大になっても紙のように保管スペースが必要ないのも魅力となっています。

6. 給与明細再発行は義務ではないものの、対応方法を事前に決めておくのがおすすめ

給与明細の再発行について、対応方法や再発行が求められるケースについて紹介しました。給与明細の再発行は義務ではないので、会社によって対応が異なるのが特徴です。少しでも給与明細の再発行の負担を減らすために、対策を講じることが重要です。

 

 

【監修者】小島章彦(社会保険労務士)

大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。 現在は、某システム開発会社に勤務。 会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを4年半以上行っている。 また、金融知識を生かした金融関係のライティングも含め、多数の執筆案件を経験している。 その他保有している資格は、行政書士、日商簿記3級など。

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