本当の意味での「女性活躍推進」とは?『女の痛みはなぜ無視されるのか』刊行記念イベントレポート#3 |HR NOTE

本当の意味での「女性活躍推進」とは?『女の痛みはなぜ無視されるのか』刊行記念イベントレポート#3 |HR NOTE

本当の意味での「女性活躍推進」とは?『女の痛みはなぜ無視されるのか』刊行記念イベントレポート#3

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

「女性活躍推進」の重要性が叫ばれながらも未だ遅々として進まない昨今。

そんな中、出産時に感じた身体的な痛み、訴えを軽視された著者のアヌシェイ・フセイン氏自身の経験をきっかけに、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込んだノンフィクション『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』(晶文社)が刊行。

その刊行を記念して、女性活躍推進に向けて多方面でご活躍されている有識者の皆さまをゲストに迎え、2022年11月8日(火)〜10日(木)での3夜連続トークセッションを開催。

「あらゆる立場の女性の痛み」に向き合い、深く切り込んだ本イベントを全3回にわたる連載記事としてレポートします。

第3回目は「働く女性の痛み」をテーマに、真の女性活躍推進について議論。

グローバル化や政府方針に則って、CSRの観点からなど、様々な理由で「性別問わず活躍できる組織づくり」を目指している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

【ファシリテーター】 シオリーヌさん(性教育YouTuber/助産師)

総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。2022年10月性教育の普及と子育て支援に取り組む株式会社Rineを設立。著書『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)『こどもジェンダー』(ワニブックス)ほか。

【ゲスト】一階 裕美子さん(株式会社イトーキ 人事本部人事部人事企画室 室長)

入社当初より男性多数のオフィス事業の法人営業を10年経験。2016年より営業戦略部門で営業の教育や企画推進業務を経て、2021年1月より現職。ダイバーシティ推進も担当し、幅広い人事戦略の立案や組織変革に奔走中。育児休業を取得する社員との面談機会や、社内の女性活躍推進コミュニティSPLi(サプリ)の活動をとおして、社員の仕事との両立課題や働きがい向上に取り組んでいる。

【ゲスト】沼田 尚志さん(株式会社NTTドコモ ドコモアカデミー学長・スーパーイノベーター)

15歳で脳梗塞で倒れ、3年間の空白期間ののち、19歳で半身不随となる。通信制高校、大学を経てNTT東日本でファーストキャリアを積む。2017年ヤフーへ転職したのち、2019年11月より現職。2021年1月よりドコモアカデミーを設立し、学長としてイントレプレナーの育成に心血を注ぐ。ドコモアカデミー運営中に抱いたジェンダーギャップに対する違和感が日に日に大きくなり、フェミニストとして生きることを決意。日本初の女性総理大臣を生み出すために残りの命を燃やす。

書籍紹介

出産時に感じた身体的な痛み、訴えを軽視された著者のアヌシェイ・フセイン氏自身の経験をきっかけに、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込んだノンフィクション。
「女の痛み」が軽視されている事実や、コロナ禍でマイノリティの人々が受けた影響などをあらゆるデータ、記事、証言をもとに執筆。

●著者:アヌシェイ・フセイン
●訳者:堀越英美
●発売日:2022年10月12日
●定価:2,200円(本体2,000円)
●発行:株式会社晶文社

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【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
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女性が働きやすい職場づくりのためにできること

本書の中でも「女性と仕事」に関するテーマがいくつも登場しますが、お二人が考える「女性も働きやすい職場」とはどのようなものでしょうか?働きやすさって一概には言えないものだと思うんですが、その上でお話しすると…例えば大企業の場合は人事制度がすでに整備されていると思いますが、それがしっかり活用されているかどうか。

また、もう少し小さい規模に言及すると、自分の上司や周りの人とどれだけ理解し合えているかが、当事者としては一番大きいんじゃないかと思いますね。

大企業であればあるほど一人ひとりの声の吸い上げは難しそうに感じます。

一階さんは社内の女性活躍推進コミュニティのリーダーを務められていますが、どのようにして女性の声を拾い上げていたのでしょうか?そうですね、アンケートは今までたくさん行ってきたんですが、それだと具体的な声は届いてこないんですよね。

やっぱり一人ひとりの声を個別に聞くこと。定量的なことだけでなく、定性的な声を拾うことが大事ですよね。そしてそれを黙らずにしっかりと発信することが重要かなと。

まず前提として、このトークテーマもどうかなって思うんです。「女性も働きやすい」という言葉に、女性が働きにくいことが常態化していることが表れている気がして。

その上で、私が働きやすい職場だと思うのは「ちゃんと怒れる、声を上げられる会社」ですね。なんとなくの違和感とか、これはおかしいなと思ったときに、ストレートに言えるのは素敵な職場だと思います。

確かに。アンコンシャスバイアスともいいますが、この社会で生きてきて何の偏見にも囚われていない人っていないと思います。

なので、差別的な場面や発言に気付いたときに、言える環境があるというのは大事だと思うのですが、そんな環境づくりのためにお二人が心がけていることはありますか?

根本的な解決といえるかは疑問ですが、ドコモアカデミーの生徒も講師も、できるだけ男女比を揃えるようにしていますね。

今も僕は男性一人でパネリストとして参加していますし、視聴者も女性の方が多いんだろうなと思うと、男性の意見を背負っているようで非常に話しづらく、さきほどから汗が止まらないです。

でも逆に、女性の方はこんなシチュエーションを普段から経験しているんだろうなと。

私自身が営業部門にいたときの話ですが、ある女性社員からPMSが酷くて一定の期間だけ精神的にも肉体的にも仕事がまともにできない状態になってしまうという相談をまず私にしてくれて。

それから上司への相談するまでのサポートを一緒にしたんですけど、そんな経験も踏まえると、周りにわかってくれる人が呼び水的にいると、非常に働きやすくなるのかなと思いますね。

そう考えると、今私が運営しているコミュニティも同じように機能するはずなので、今はまだ必要なんだろうなと。

最大のマイノリティである女性の活躍から、真のダイバーシティは始まる

視聴者からの質問①

私の勤務先でも、女性活躍推進は課題として挙げられています。

女性管理職の比率を3%にしようと掲げており、結構低いなぁと思うもののそれすらも達成できるのかと疑問に思う日々です。

そもそもなぜ女性が管理職になりにくいのか、なりたくないのか、長年勤めている上層部を見ても何が問題なのかもわからないようです。

女性平社員の立場から声をあげるには何からすればよいでしょうか。

私も去年、女性管理職になりました。

チャレンジしようと思った一つの理由として、全体の約9割を占める男性管理職の中には正直そこまでの適性があるように見えない方も一部いらっしゃって。

でも逆に、その人ができるなら自分もできるかなってハードルを下げてくれたんですよね。

また、インポスター症候群といって、自分の能力を低く見積もってしまう現象があるんですが、女性は男性と比べてそれに陥りやすいとも言われています。そういうことをしっかり知っておくのも大事かなと。

同じ人間ですから男性であろうと女性であろうと、管理職と一般職なんて実際のところはそこまで大差はないはずなので、あまり気負わずにやってみたら意外とできた、ということもあると思います。

それと、今は女性活躍に限らず、真のダイバーシティへのステップの途中かなと思っています。

まず第一段階は「抵抗」。いわゆる男性中心の組織体制ですね。

次に違いの「同化」。組織の中へ違いを受け入れるものの、もともと異なる属性であるはずのものを同一視・無視してしまうことですね。企業でいえば、男性並みに働ける女性だけが残っていく状態です。

第三段階の「多様性尊重」というのは、異なる属性・多様な人たちが「ただ在る」だけです。これでいいのではと思ってしまいがちですが、まだその先があります。

4番目の「分離」は、短期的・局所的に違いを成果につなげるということです。

例えば女性向けの新商品を開発する際に、一時的なプロジェクトとして女性を集めるといったことにイメージは近いのかなと思っています。

そして最後に「統合・包含」。いわゆるダイバーシティ&インクルージョンですね。もう少しダイバーシティについて詳しくお話しすると、組織の中には3つのダイバーシティがあります。

まずは性別・年齢・人種などの「デモグラフィ型」。これらは自分が意図せずとも持って生まれた、「変えられない違い」です。

価値観・ライフスタイル・キャリア志向の「サイコグラフィ型」のダイバーシティは、「内面的な違い」。最後は、能力や資質・スキル・経験の「タスク型」。

このタスク型の多様性が豊かになることで、社内でのイノベーションが生まれやすくなり、企業にとって一番価値を生み出すと言われています。

本来、企業が目指すダイバーシティはタスク型である必要があるんですよね。ところが、「デモグラフィ型」や「サイコグラフィ型」のバイアスによって、その人本来の能力を見えなくしてしまう。

例えば「女性だったら家庭大事にしたいでしょ?」とか「ライフスタイルも重視したいです」と言うと主戦力から外されてしまったりとか。本当はその人に「タスク型」の多様性を豊かにする能力や経験が秘められていたとしてもです。

私自身は、ビジネスにおいて「最大数のマイノリティ」である女性がまず足がかりとなって企業で活躍することによって、そのほかの多様性が自然と活躍できる社会になるのではと思っています。

視聴者からの質問②

私は男性の管理職です。女性の活躍の場に枠を設けることで、女性自身もそれを引け目に感じてしまうのではないかと気になります。

私個人としては、枠を設けなくても自然に女性の活躍の場が広がっていくための一つのステップなのだと思っていますが…。本当にその通りですよね、段階なんですよね。自分の後輩や未来の子どもたちに同じ大変な思いをさせないことが、この議題のポイントだと思っていて。

この負の風潮を後世に残さないための、あくまで段階なのだと捉えて欲しいなと思います。そうですよね。今はそもそもチャレンジする機会すら限られている現状があると感じます。

真の女性活躍推進に向けて、まずなにから始めるか?

ここまで企業における女性活躍推進ということについてお二方にお話を伺ってきました。

おふたりの話を受けて、ご自身の会社の中でも女性活躍推進を推し進めたいと思った方は、「まず何から」やり始めたらいいのでしょうか?自分の見識を広めるという意味では、本を読むでもいいですが、何よりも重要なのは人と会って話すことでしょうか。

職場にもよるかもしれませんが、ビジネスパーソンの男性は、女性と話す機会って結構限られていると思うんですよね。

多様性という言葉にまとめてしまうと陳腐な表現になってしまいますが、いろんな人が世の中にいるんだな、ということを「まず知る」ことから始めていただきたいなと思います。ダイバーシティ推進の担当になってからというもの、社内の風土を変える一番の力になったのは、たくさんの社外の方にアドバイスをいただいたり、相談に乗っていただいたことです。

それと同時に、社内で初めてのことをするのって本当に勇気がいることなので、社内に味方を作ることや、あとはその声をさらに大きく広げてくれる人を見つけるのも重要だと思います。

何か力になりたいと思っていても、なにしていいか分からないと思っている人って、意外とたくさんいるんですよね。

上層部に声を届けるために力になってくれる人を、ぜひ見つけてみてください。

未だジェンダーギャップが埋まらない日本社会で生きるすべての人へ

視聴者からの質問③

来春から社会人です。 女性が働きやすい職場を作るためにも協力してほしいとは言われていますが、今の「おじさん」達が考える「活躍する女性」というのは今の男性と同じくらい働ける人なんだなと節々で感じます。

子どもがいても祖父母に手伝ってもらえたり、寝る間を惜しんで働けるスーパーウーマンくらいしか生き残れません。

そもそも、症状は人によりますが毎月体調の乱高下があり、妊娠出産子育てもあるかもしれない女性が、丸一日仕事のことばかり考えられる現在の大多数の「おじさん」(これも偏見かもしれませんが…)と同じ土俵で仕事をすること自体が不利な戦いすぎるなと思ってしまいます。

その中でも折り合いをつけて女性が働きやすい環境を作っていくしかないのだと思いますが、心を強く持つにはどうしたらよいかアドバイスはありますでしょうか。

正解は絶対に言えないと思いますが…まずは話すことですね。

みなさんある程度の人生経験を積まれていて、いろんな人の人生を見てきていると思いますし、もちろんご本人もいろいろと経験されていると思います。

それを紐解くような感覚で「おじさん」だから分からないと思わずに、ぜひ話をしてみてほしいな。一対一の人間として話合うことでしか相互理解はできないので、あまり気負わずに。

少し話はズレてしまいますが、私は性自認も男性で、男性として生きてきて、これからも男性として生きていく立場でお話をさせてもらうと、この問題における男性の立ち位置はとても難しいです。

変な話、触れないほうが楽っちゃ楽なんですよ。気づかないふりしてた方が楽です、特権があるので。

でも、気付いてちゃんと行動に起こせたらめちゃくちゃかっこいいんですよ。

皆さんにもどうせだったらかっこよく生きてほしい。

男性だったら、男性こそ、このジェンダーの問題は絶対に触れるべきです。

どんな人生経験豊富な男性の方でも、この問題においては1年生だという自覚のもとに、先ほどもお話したようにいろんな方のお話を聞いて、ちょっとずつこのジェンダー不平等の解消に向けて、一緒に前に進めていきたいなと思いますね。

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