勤怠管理していない会社のリスクや守るべき法律とは?

勤怠管理

企業経営に直接関係のない従業員の勤怠管理について、実はしっかりと把握できていない、という管理者もいるのではないでしょうか。勤怠管理は法律で定められた企業にとっての義務であるため、勤怠管理していない企業は、さまざまなリスクにさらされる恐れがあります。

今回は、勤怠管理していない企業が抱えるリスクやタイムカードの必要性、勤怠管理について企業が守るべき法律やガイドラインのポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。

1. 勤怠管理していない会社のリスク

勤怠

従業員の就業状況を正確に把握するための勤怠管理は、企業にとって重要な義務のひとつです。もし勤怠管理を行わなかった場合、企業はどのようなリスクを抱えるのでしょうか。

 

1-1 罰金を科される可能性がある

労働基準法では、企業が正しく勤怠管理することについて定められています。違反した場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

 

1-2 社会からの評価が落ちる可能性がある

勤怠管理をしていない企業の場合、

・長時間労働が慢性化している

・未払いの残業代がある

など、労働環境そのものがあまり良くない状況に陥っている傾向があります。

 

そのため、きちんと勤怠管理を行っていないという事実に加え、問題のある動労環境が社外に漏れた場合、社会から“ブラック企業”とみなされてしまう可能性が高くなります。

 

社会からみた企業の評価が落ちてしまった場合、転職活動中の社会人や就職活動中の学生などから就職先候補に選ばれることは難しくなるでしょう。そのような状態が続けば優秀な人材を採用しづらくなるため、人材不足になる事態も考えられます。

 

1-3 トラブルにつながる可能性がある

勤怠管理をしていない企業では、従業員の実際の就業時間を把握できないため、正しい賃金を算出できず、未払いの残業代が発生することがあります。

 

このように従業員に対して正当な賃金が支払われなかったり、度を越した長時間労働によって従業員が健康を損なってしまったりした場合、訴訟などのトラブルに発展するリスクもあります。

 

訴訟問題になった場合、企業は社内・社外問わず信用を失ってしまうことになるでしょう。

 

1-4 業績悪化の可能性がある

勤怠管理をしていない企業には、業績が悪化してしまうリスクもあります。

 

勤怠管理を行わなければ、従業員の長時間労働の実態を把握することができません。過剰労働は、疲労やモチベーション低下による生産性ダウンにつながりやすくなります。

 

また、過労が原因で従業員が勤務中に事故に遭い、労災認定によって損害賠償義務を負うケースも考えられます。労災認定は企業のイメージダウンの要因にもなるため、結果として業績悪化につながるリスクがあるのです。

 

2. タイムカードは必須なのか?

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タイムレコーダーに差し込むことで、出勤・退勤時刻を打刻できるのがタイムカードです。勤怠管理が企業にとっての義務ということであれば、タイムカードがない場合は違法となってしまうのか、不安に感じる管理者もいらっしゃるかもしれません。勤怠管理にあたっては、タイムカードの運用は必須なのでしょうか。

 

結論からいえば、タイムカードは必須ではなく、タイムカードがないからといって、違法になるわけではありません。ただし、労働者の労働時間を管理していないという場合は違法となるため、注意が必要です。

 

従業員の労働時間をどのように把握すべきかという点について、把握方法に関する明確な罰則は設けられていないのが現状です。ただし、厚生労働省はガイドラインにおいて「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」を原則としているため、企業は可能な限りこの原則に従うことが望ましいでしょう。

 

必ずしもタイムカードである必要はないものの、客観的で適正な記録を行うためには、タイムカードをはじめとした機器や管理システムなどを活用する方法が一般的となっています。

 

なお、手書きのタイムカードは記録の改ざんが容易であることから、客観的な記録とはいい難いものと考えられます。タイムカードを導入する際は、タイムレコーダーを用いた運用を検討しましょう。

 

3. 勤怠管理について会社が守るべき法律

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労働に関しては、さまざまな法律が存在します。そのなかで勤怠管理について企業が守るべき法律には、労働基本法と労働安全衛生法があります。ここでは、この2つの法律について解説します。

 

3-1 労働基準法

労働条件の最低基準を定める法律です。労働基準法では、労働者が有する生存権の保障を目的として、労働契約や賃金、労働時間、休日および年次有給休暇、災害補償、就業規則など関する労働条件としての最低基準を定めています。

 

勤怠管理については、第108条と第109条が関係します。

 

まず第108条では、「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。」と義務付けられています。[注1]

 

賃金台帳とは、従業員に対する給与の支払い状況をまとめた書類のことです。賃金台帳には、労働日数や労働時間数、時間外労働の時間数などを記載する必要があります。そのため、賃金台帳を作成するには勤怠管理を行い、従業員の労働状況を正確に把握することが求められるのです。

 

また、第109条では「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」と定められています。[注1]

 

「その他労働関係に関する重要な書類」には、出勤簿やタイムカードなども含まれます。そのため、勤怠管理にあたっては労働時間を記録するだけでなく、5年間保存する必要もあります。

 

企業が上記2つに違反した場合は、30万円以下の罰金を科されます。労働基準監督署の調査が入った際、違反がないことをしっかりと示せるよう、日頃からきちんと勤怠管理を行うことが重要になります。

 

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

3-2 労働安全衛生法

職場における労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成促進を目的としてつくられた法律です。「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」や「責任体制の明確化」「自主的活動の促進」などを総合的・計画的に推進することで、目的の達成を図っています。

 

勤怠管理については、第66条が関係します。

 

労働安全衛生法第66条8の3「厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。」では、管理監督者も含めた従業員の労働時間の把握が義務付けられています。[注2]

 

違反したときの罰則は設けられていないものの、36協定で定められた時間外労働の上限規制に違反したときは、6か月以内の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになります。勤怠管理によって従業員の労働時間を把握していなければ、時間外労働の状況についても明らかにできないため、結果として法律に違反してしまう恐れがあります。

 

なお、「厚生労働省令で定める方法」とは労働安全衛生規則の第52条の7の3に記載されているもので、

・タイムカードによる記録

・パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録

・その他の適切な方法

の3つの方法が示されています。企業は、これらの方法で労働時間を把握する必要があるのです。

[注2]労働安全衛生法|e-Gov法令検索

4. 遵守すべきガイドラインのポイント

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厚生労働省は、勤怠管理について「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しています。企業が適正に勤怠管理を行うためには、このガイドラインを守る必要があります。[注3]

 

ガイドラインによれば、企業は次に挙げる6つのポイントを守るべきとされています。

 

・始業・終業時刻を労働日ごとに記録すること

・使用者の現認あるいは適切な手段(タイムカードなど)によって記録を行うこと

・従業員に記録手段について十分説明し、実態調査を行うこと。また、適正な記録を妨げる措置(労働時間数の上限設定など)を行わないこと

・労働基準法第109条に基づいて記録を保存すること

・勤怠管理の担当者は、労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、管理上の問題の把握・解決を図ること

・必要に応じての労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状把握・問題解決を行うこと

 

勤怠管理をしていない企業は、このガイドラインについてもしっかり確認したうえで適正な勤怠管理を行うべきでしょう。

 

[注3]労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)|厚生労働省

5. 健全な経営のため適正な勤怠管理を行おう

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適正な勤怠管理を行うことは労働基準法や労働安全衛生法によって定められた企業の義務です。そのため、勤怠管理をしていない企業は、法律違反による罰金をはじめ、社会的信用の失墜や業績悪化など、さまざまなリスクにさらされることになります。

 

勤怠管理にあたって必ずしもタイムカードを導入する必要はありませんが、機器や管理システムなどを活用して客観的で適正な記録を行うことが推奨されています。

 

勤怠管理をしていないという企業には、労働基準法や労働安全衛生法のほか、厚生労働省が策定するガイドラインの内容もふまえ、適正な勤怠管理を行っていくことが求められます。

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