年末調整の「扶養控除申告書」は電子化できる?方法やメリットについて解説 |HR NOTE

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年末調整の「扶養控除申告書」は電子化できる?方法やメリットについて解説

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従業員が給与の扶養控除を受けるために提出する必要のある、年末調整の「扶養控除申告書」は、従来紙で提出していた書類でしたが、令和2年度より電子化による申請が認められるようになりました。
今回は、年末調整時に提出する扶養控除申告書の内容について改めて確認するとともに、扶養控除申告書を電子化する方法、また電子化によるメリットについて紹介していきます。

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1. 扶養控除申告書とは何か

扶養控除申告書とは、給与の支払いを行う給与所得者が、給与の扶養控除などの諸控除を受けるために会社に提出する書類です。
扶養控除申告書を提出することで、給与からさまざまな控除を受けることができます。

1-1. 扶養控除申告書の提出による効果

扶養控除申告書を提出することにより、次のような2つの効果が期待できます。

①所得税の控除を受けられる
扶養控除申告書を会社に提出すると、所得税の扶養控除等の控除を受けられます。会社側では、申告書に記載された情報をもとに控除額を差し引き、所得税額を計算します。

②年末調整をしてもらうことができる
扶養控除申告書は、年末調整で所得税額を計算する際にも利用します。
そして、すでに徴収済みの源泉徴収税額と比較し、差額を年末調整時に徴収・還付します。

2. 扶養控除申告書を電子化するメリット

従来、扶養控除申告書などの年末調整関連書類は、紙での提出が一般的になっていましたが、令和2年度より電子化による申告書提出が実施されるようになりました。
扶養控除申告書を電子化して提出することで、企業側・従業員側それぞれに次のようなメリットが得られます。

2-1. 企業側が得られるメリット

扶養控除申告書の電子化により、企業側では次のような5つのメリットが得られます。

①紙での作業が無くなる

電子化によって、情報がデータ化されるため、書類の紙への印刷や配布、郵送といった作業が不要となります。

②書類の差し戻しが減る

年末調整専用ソフトを利用することにより、入力データの計算ミスを減らすことができます。また、ヘルプ機能を利用することで、担当者の負担軽減も期待できます。
記入された内容についての自動チェック機能を活用することにより、書類の差し戻し回数削減も可能となります。

③給与システムとの連携が可能となる

申請書の電子化により、給与システムとの連携ができるようになるため、データの手入力が不要となります。そのため、担当者の作業時間の大幅な負担軽減を目指せます。

④紙の添付書類を確認する必要が無くなる

電子化されることにより、申請書の添付書類についても、すべて電子データで取り扱われます。そのため、紙の添付書類を確認する必要が無くなります。

⑤書類の保管場所を確保する必要がない

情報をデータで管理できるため、書類の保管場所を確保する必要がなくなります。また、保管場所を用意するためにかかるコストも不要になります。

2-2. 従業員側が得られるメリット

扶養控除申告書の電子化により、従業員側には次のような2つのメリットが得られます。

①書類作成の手間が削減できる

申請書への記入や計算を自動で行うことができるため、従業員が書類作成を行う際の手間を減らすことができます。また、一度書類作成した際のデータを再利用して、次年度以降の書類作成を楽にすることもできます。

②添付書類紛失の心配が軽減する

添付書類(控除証明書など)についても、データ化されたことにより、いつでも取り出せるようになります。また、紙の書類のときには紛失の可能性が高かった添付書類ですが、その心配も軽減されます。

3. 扶養控除申告書を電子化する方法

扶養控除申告書を電子化する場合には、次の手続きを行う必要があります。

3-1. 年末調整電子化に関する承認申請書を提出する

扶養控除申告書などの年末調整書類を電子化する際には、年末調整電子化に関する承認申請書(正式名称:「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」)を提出しなければなりません。書類の提出先は、事業所所轄の税務署となります。
扶養控除申告書の電子化が可能となるのは、書類を提出した翌月末日までに、税務署長から承認通知を受領している、もしくは非承認通知を受領していない、いずれかの場合となります。

3-2. 給与システムの改修を行う

次に、社内に導入している給与システムの改修を行います。年末調整の電子化に対応できるように改修を行うことで、申告書データや控除証明所データをシステムに取り入れ、年の税額計算ができるようになります。

3-3. 従業員への周知を行う

扶養控除申告書の電子化を行うことが決定したら、従業員に周知を行います。また、同時に電子化を導入した後の事務手続きについても説明を行います。

3-4. 年末調整用の電子化システムを導入する

年末調整用に電子化システムの導入を検討します。
電子化システム導入の際には、クラウド型システムを活用すると、時間や場所を選ばずデータにアクセスが可能となり、便利です。

扶養控除申告書以外にも人事労務に関する書類は数多くあります。たとえば雇用契約書や労働条件通知書などです。これらの書類を毎回紙で送付を行っているととても工数がかかります。

4. 扶養控除申告書の電子化前に従業員側で行っておくこと

扶養控除申告書を電子化する前には、控除証明書等のデータ取得手続きを従業員側で行っておく必要があります。
控除証明書をデータ取得するには、次の2つの方法があります。

4-1. 保険会社のホームページからデータを取得する

保険会社のホームページから、控除証明書等をデータ取得することができます。
データを取得する際には、保険会社のホームページにアクセスし、契約者用ページからデータをダウンロードする形をとります。
なお、各保険会社によりデータの取得方法は異なりますので、詳細については、各保険会社に問い合わせる必要があります。

4-2. マイナポータルから一括取得する

マイナポータルと連携している場合には、マイナポータルを利用し、一括して控除証明書のダウンロードが可能です。
マイナポータルからデータを一括取得する場合には、次の手順を踏む必要があります。

1. マイナポータルで利用者登録を行う
2. マイナポータルと民間送達サービスの連携を行う
3. 控除証明書をデータ取得するための設定を行う

5. 扶養控除申告書の電子化には企業・従業員ともに多くのメリットがある

年末調整書類に利用される扶養控除申告書を電子化することで、企業・従業員ともに多くのメリットが得られます。
企業側からみると、従来紙書類で行っていた作業が少なくなり、給与システムとの連携が可能となるため、担当者の負担が軽減されます。また、従業員側の立場からみると、申請書の記入や計算作業が自動で行えるため、書類作成の手間が省けるなどのメリットがあります。

なお、自社に扶養控除申告書の電子化を導入する場合には、税務署へ年末調整書類の電子化に関する承認申請書を提出する必要があります。そのほか、従業員の周知徹底や年末調整用の電子化システムの導入などを行っておきましょう。

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