休日とは?休暇との違いや賃金の取り扱いについて詳しく解説 |HR NOTE

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休日とは?休暇との違いや賃金の取り扱いについて詳しく解説

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休日と休暇は似た言葉ですが、労働基準法上ではその意味合いは大きく違います。休日と休暇、それぞれの定義や種類などを確認しましょう。

この記事では、休日と休暇のそれぞれの定義や違いについて、また休日と休暇の種類について紹介します。

業務上でそれぞれの違いを明確に区別できるよう、普通休暇と有給休暇の違いや、休暇と休業の違いについても合わせて解説します。


1. 休日と休暇の違いについて

休日と休暇は似ていますが、法律上でも違いが明確にあり、これらの違いを把握しておかなければ業務上問題が起こることもあります。

休日と休暇の違いは簡単にいえば、労働の義務がないのが「休日」、労働の義務を免除されるのが「休暇」です。それぞれ、読み方は「きゅうじつ」「きゅうか」です。

今一度、これらの違いを把握しておきましょう。

1-1. 休日の定義

休日は労働の義務がない日を指し、英語では「holiday」と訳されます。

労働基準法では、法定休日が定められており、最低でも週に1回、または4週に4回以上の休日を設けなければなりません。

また、労働基準法では週の労働時間を40時間以内にすることも決められています。

法律上では法定休日さえ守っていれば週に何日労働させても問題ありませんが、この40時間を超えないようにする必要があります。

これを守るために、もう一日休日を設けなければならないことも多く、企業が独自に設定した休日もあり、所定休日とよばれています。

法定休日や所定休日は明確に「この日にしなければならない」という決まりはなく、法律さえ守っていれば企業が自由に設定してよいことになっています。

年間休日は企業が定めた休日の総数のこと

年間休日とは、企業が就業規則に基づいて定めた1年間の休日の合計数を指します。具体的には、週休や祝日など、従業員に与えられる休暇の日数の合算です。

この数値には年次有給休暇は含まれず、法定休日や独自の休日を併せて考慮する必要があります。

1-2. 休暇の定義

休暇とは、労働義務があるもののそれを免除される日のことを指します。英語では「vacation」と訳されます。

本来は労働しなければならない日を休みにするのが休暇という考え方です。

例としては法律で定められた年次有給休暇や生理休暇、企業が定めた慶弔休暇、リフレッシュ休暇などがあります。

休暇にも法律で定められた休暇と、企業が独自に設定している休暇があるのです。

2. 休日の種類

労働の義務がない休日には、法律で定められている休日と、定められていない休日があります。

それぞれの違いについて、またそれぞれの休日に労働が発生した場合の賃金について解説します。

2-1. 法定休日

前項でも紹介したように、法定休日とは労働基準法が定めた休日のことです。

週に1回、または4週に4回の休日を設ける必要があります。

これは法定休日とよばれ、法定休日には基本的に労働を強制できません。

しかし、急な欠員が出たり繁忙期だったりすると、どうしても休日に出勤してもらわなければならないケースもあります。

その場合は労働基準法に従い、36協定を締結し届け出たうえで、適切な割増賃金を支払えば労働をさせることが可能です。

2-2. 法定外休日(所定休日)

労働基準法が定める労働時間内におさめるために、法定休日だけでなくもう一日、またはそれ以上の休日を付与することもあります。

これを所定休日といいます。

所定休日は企業が自由に設定でき、労働時間などに問題がなければ所定休日はなくても問題ありません。

また、所定休日に関する明確な法律はないため、法定休日よりも自由度が高いのが特徴です。

2-3. 休日に労働した場合の割増賃金

法定休日に従業員を労働させた場合は休日労働に対する割増賃金を支払わなければなりません。

この割増賃金は休日に働いた時間の基礎賃金に35%をかけた金額です。[注1]

所定休日に労働させた場合は、原則割増賃金は発生しません。ただし法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超過した場合は、時間外労働に該当するため25%の割増賃金が発生します。

法定休日と所定休日がある場合は、休日のどちらに労働をさせたかを明確にしたうえでこの割増賃金を算出しなければなりません。従業員にも、2日以上ある休日のどれを法定休日とするのかを周知しておく必要があります。

このように休日の種類によって労働者の賃金に影響が出ることからも、人事労務担当者はしっかりと休日の種類や割増率を把握した上で、ミスのないよう給与を算出する必要があります。

3. 休暇の種類

休日の種類を理解したところで、次は休暇の種類を紹介します。

3-1. 法定休暇

法律で付与することが定められている休暇を「法定休暇」とよびます。

例えば労働基準法では、6カ月以上の勤務と、8割以上の出勤した労働者に対して年次有給休暇を付与することが義務付けられています。[注2]

年次有給休暇は休暇ではあるものの給与が発生します。

産前産後休業に関しては、給与の発生はありません。ただし健康保険制度によって、一定の条件を満たすと「出産手当金」や「出産育児一時金」が支給されます。

また育児休業や介護休業に関しても、給与は発生しませんが、一定の条件を満たした労働者に対しては、休業開始時の賃金月額のおよそ67%の給付金が支給されます。

一方で生理休暇は無給でも問題なく、法定休暇にも給与や手当・給付金が発生するものもあれば、無給でも問題ないものがあり、しっかりと区別して把握しておかなければなりません。

3-2. 特別休暇

法律で定められていない休暇に関しては、企業が独自に設定してよいことになっており、これを「特別休暇」とよびます。

特別休暇には明確なルールはありませんので、企業内で決めて構いません。

そのため、特別休暇の給与の有無に関しては、年次有給休暇とは異なり、各企業によって異なります。

リフレッシュ休暇やバースデー休暇などがありますが名称も休暇の目的も自由に設定できます。

ユニークな休暇を設けている企業も多いですが、これらの休暇については契約時にきちんと従業員に周知しておきましょう。

就業規則に明記することは義務付けられてはいませんが、記載することで後から従業員との間でトラブルになることを防げます。

特別休暇の例|夏季休暇や年末年始休暇など

特別休暇の例として、夏季休暇と年末年始休暇が挙げられます。

夏季休暇は多くの企業でお盆期間に設定され、働く人によって取得時期が異なる場合もあります。労働者には無給での付与が可能ですが、福利厚生の一環として有給にする企業も多いです。

年末年始休暇は、取引先の稼働状況を考慮して設定されることが一般的です。この時期は多くの企業が12月29日から1月3日ごろまでを休暇としています。

3-3. 有給休暇以外のその他の休暇は無給でもいい?

年次有給休暇以外はもちろん有給である必要がありますが、その他の休暇については、無給でも有給でもルール上問題ありません。具体的な取り扱いは企業の判断に委ねられています。ただし、トラブルを防ぐため、無給にする場合は就業規則に明記しておくことが重要です。

企業が独自に定める特別休暇には慶弔休暇やアニバーサリー休暇などがありますが、付与条件を明確にしておきましょう。法令に基づく休暇と企業独自の休暇を混同せず、各種休暇の特徴を理解することが重要です。

3-4. 休暇に労働した場合、休日労働に対する割増賃金は不要

労働基準法では法定休日に労働をさせた場合は従業員に対して割増賃金を支払う義務がありますが、休暇の場合は原則割増賃金が不要です。

本来労働の義務がある日ですので、通常通りの給与が発生するだけです。ただし時間外労働や、22時~5時の間での深夜労働が発生した場合には、それぞれ25%の割増賃金が発生するため注意しましょう。

また、休暇の申請条件などは事前に従業員との間で情報を共有しておくことが大切です。

ただし、本来休暇とは労働の義務を免除された日であり、休暇に労働させた場合は休暇としての本来の意義から外れてしまうため、注意しましょう。

4. 休職や欠勤と休日休暇の違い

休職とは、労働契約を維持したまま一定期間労働を免除・禁止することをいいます。労働をしないため原則給与は支給しません。ただし病気や怪我による休職は、「傷病手当金」として支給開始日以前12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、3分の2をかけた金額が、最長1年6ヵ月支給されます。

欠勤とは、自己都合で労働義務に従わずに労働しなかった日を指します。欠いた労働時間、労働日分を給与から差し引きます。

休日や休暇が休職や欠勤と異なる点は、計画的にあらかじめ休みを取得するか否かでしょう。休日は事前に規定されており、休暇はあらかじめ企業に申請をする必要があります。

一方で休職は、心身のトラブルにより急遽おこなうこともあり、また欠勤も体調不良などによって当日決定することもあります。もちろん例外的に留学や勉強、訴訟、介護などの事情によりあらかじめ決定していることもあるでしょう。

給与に関しては、有給休暇を除くと、どれも労働をしておらずノーワークノーペイの原則から、給与は発生しません。

しかし給与発生の有無に関しては、企業によって異なるため就業規則をしっかりと確認する必要があります。

5. 休業と休暇の違い

休暇と似た言葉に休業があります。
年次有給休暇は労働基準法で明記されていますが、それ以外の休暇や休業については明確な定義はありません。

そのため、休暇と休業の違いについて明確に言い切ることはできません。
いずれも労働義務があるもののそれを免除されている日を指します。

ですが一般的には、一日前後の短い期間を休むのが休暇、長期間休むのが休業と判断することが多いです。

それぞれ取得の目的は違いますが、休暇は従業員が心身を休めること、リフレッシュが目的であるのに対し、出産、育児、介護など、働きたくても働けない理由がある場合は休業とする傾向もあります。

5-1. 休業に関する補償や手当

企業の都合により休業せざるを得なくなった場合や天災の影響を受けて働けなくなった場合などは休業することで手当を受け取れます。

産前休業、産後休業、育児休業、介護休業などは法律にしたがってそれぞれ出産手当金や休業給付金の支払いが義務付けられています。

その他、上記の手当とは別に休業補償給付もあります。
補償は企業からではなく労災保険から支給されるものなので、まったくの別物として認識しておかなければなりません。

6. 休日と休暇の違いについて理解しよう

休日と休暇の違いについて解説しました。

労働義務がない日が休日、労働義務が免除される日が休暇です。

それぞれには違いがあり、休日に出勤させた場合、休暇に出勤させた場合の対応も変わります。

企業を経営するうえで、そして従業員と良好な関係を維持するためにも、休日や休暇の扱いには慎重になる必要があります。

労働基準法に違反すると罰則が科せられるだけでなく企業の社会的な信用も失うことになりますので、事前にしっかり理解を深めておきましょう。

[注1]労働基準法- 割増賃金編-|厚生労働省
[注2]労働時間・休日|厚生労働省

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