利用金額に応じ、商品の購入などに使える“ポイント”を付与するカードが増えています。最近では個人でこれらのポイントを貯めて、経費の立て替え時に利用するケースもあります。
個人ポイントも現金と同様に、全額経費精算が可能です。しかし、経費精算時に経理部門での処理が複雑化するため注意が必要です。
本記事では、個人ポイント利用分は経費精算できるのか、仕訳方法や個人ポイント利用時の注意点を解説します。
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目次
1. 個人ポイント利用分は経費として精算できる?
結論からいうと、個人ポイント利用分は全額経費精算が可能です。
ポイントは現金と合わせて、商品の購入などに利用できるため、会社の経費を立て替えるときに個人ポイントを使い支払いをする従業員もいるでしょう。
たとえば、1万円の備品を購入するとき。現金5,000円と個人ポイント5,000円分を合わせて支払ったのであれば、会社は1万円分の経費精算をしなければいけません。
法律上、ポイントは個人所有の財産となるため、現金と同様の処理が必要になるためです。
1-1. 立て替え払いで得たポイントは会社に所有権がある
なお、会社の備品を個人のカードで立て替え払いし、その際に得たポイントは会社に所有権が帰属します。
たとえば、ポイント還元率3%のカードを利用し、1万円の会社用備品を従業員個人のカードで支払った場合、還元された300円分のポイントの所有権は会社が有します。
そのため、従業員が勝手にポイントを利用することはできず、個別に確認が必要です。
2. 個人ポイントを利用したときの精算方法
ここでは、従業員が個人ポイントを利用し、経費を立て替えたときの処理方法の流れを解説します。
2-1. 【従業員】経費を立て替える
従業員が経費の支払い時に、現金(またはカード支払い)と個人ポイントを使って立て替えます。経費精算できるポイントに上限はありません。すべてポイントで支払っても経費精算は可能です。
2-2. 【従業員】領収書を受領する
会社の経費であることを証明するために領収書を受領します。個人ポイントをいくら分利用したか分かるように、内訳が書かれたレシートや明細書も合わせて受領が必要です。
2-3. 【従業員】経費清算書で申請する
個人ポイントを利用したときも、通常どおり経費精算書で申請します。備考欄に利用ポイント数を記入させるなどすれば、経理部門でレシートと照らし合わせやすいでしょう。
従業員が経費精算書を作成した後は、上長が確認し経理部門に提出します。
2-4. 【経理部門】経費を精算し支払う
経理部門では申請書と領収書を確認します。経費の立て替えに個人ポイントを利用した場合、通常の仕訳方法と若干異なるため利用ポイント数と利用事実の確認も必要です。
処理が終われば、ポイント分を含めた全額を従業員に払い戻します。
3. 個人ポイントを利用したときの仕訳方法
経費の支払いで個人ポイントを利用した場合、会社の利益からの支払いと区別し仕訳しなければいけません。全額、または一部個人ポイントで支払ったときの仕訳方法を解説します。
なお、会社によっては独自の勘定科目や仕訳ルールを設けていることもあります。その場合は会社のルールに従いましょう。
3-1. 通常の経費精算の仕訳
先に、通常の経費精算の仕訳方法は以下のとおりです。貸方の勘定科目は「現金」などとなります。
【例】従業員が消耗品費5,000円を立て替え払いした。精算書と領収書を受け取り、現金で精算した。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
消耗品費 |
5,000円 |
現金 |
5,000円 |
3-2. 全額個人ポイントで支払ったときの仕訳
次に、経費を全額個人ポイントで支払ったときの仕訳方法です。貸方勘定科目は、「事業主借」を利用し、事業で得た利益と区別して計上しなければいけません。
【例】従業員が消耗品費5,000円を全額個人ポイントで立て替え払いした。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
消耗品費 |
5,000円 |
事業主借 |
5,000円 |
3-3. 【共通ポイント】一部個人ポイントで支払ったときの仕訳
経費の全額ではなく、一部に個人ポイントを利用したときは、一般的にポイントの種類により仕訳方法が異なります。
発行元だけでなく、コンビニなどでも利用できる「共通ポイント」は経済的な利益の受け取りとみなします。そのため、貸方のポイント利用分を「雑収入」として処理します。
【例】従業員が消耗品費5,000円のうち、3,000円を現金で、残り2,000円を各社共通ポイントで立て替え払いした。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 |
5,000円 |
雑収入 |
2,000円 |
– |
– |
未払金 |
3,000円 |
3-4. 【自社発行ポイント】一部個人ポイントで支払ったときの仕訳
一方、家電の販売店など、発行店舗や企業のみで利用できるポイントは「自社発行ポイント」といいます。自社発行ポイントの場合、利益の提供ではなく、商品購入時の値引きという扱いになります。
ポイント利用分は仕訳に含めず、従業員が立て替えた金額分のみ仕訳を行います。
【例】従業員が消耗品費5,000円のうち3,000円を現金で、残り2,000円を自社発行ポイントで立て替え払いした。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
消耗品費 |
3,000円 |
事業主借 |
3,000円 |
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4. 個人ポイント利用分を経費精算するときの注意点
個人ポイント利用分の経費精算では、仕訳処理が複雑なため経理部門の負担になるでしょう。また、会社に所有権のあるポイントを従業員に付与した場合、経済的な利益の支給とみなされ課税対象となる恐れがあります。
4-1. 仕訳処理が複雑になる
前述のとおり、経費精算に個人ポイントを利用すると、支払い金額やポイントの種類により通常の方法とは別の仕訳をしなければいけません。356ポイントなど、端数のでるポイント数ではインプット時の間違いにも注意が必要です。
4-2. 会社に所有権のあるポイントは税金がかかる恐れがある
個人ポイントを経費精算に利用しても、その分に税金がかかるなどの心配はありません。
しかし、経費精算時に個人のカードを利用し、本来会社の権利であるはずのポイントを従業員に譲渡した場合、給与とみなされる恐れがあります。
従業員に支給する給与は、現金だけでなく物品の譲渡など経済的利益も含まれるためです。給与とみなされれば、所得税・住民税の課税が必要です。
現時点で法律上、会社から従業員に対し譲渡したポイントの処理に明確な決まりはありません。しかし、いずれ給与として処理が必要になる恐れはあります。
5. 個人ポイントの利用に制限を設けるのも方法
個人ポイントの利用分は全額経費精算できるものの、会計上の処理は複雑になります。経理部門の負担が増える、事務処理誤りが増加するなどの懸念もあります。
そのため、経費精算では個人のポイント利用を一律で禁止するのも方法のひとつです。その場合、経費精算規定に明記したり、従業員に周知したりしましょう。
また、会社のポイントの利用方法も取り決めを設けるほうがよいでしょう。ポイントを個人のものとして利用できてしまうと、課税の恐れがあるだけでなく、従業員間の不平等にもつながってしまいます。
6. 個人ポイントの利用方法は会社でルールを設定しよう!
最近では利用できるポイントの種類も増え、現金と合わせて支払うことも一般化しています。従業員によっては、経費の立て替え時も個人ポイントを使って支払う可能性は十分にありえます。
また、会社所有のポイントのように、使用上のルールが曖昧なポイントも増えています。会社のポイントを従業員が自由に使ってしまうと、不平等やトラブルにもつながりかねません。ポイントはルールの明確化が必要です。
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