経費担当になったばかりの人は、仕分け作業が難しく感じる、という人も多いのではないでしょうか。何を雑費とすべきか指示がわかれることもあるでしょう。この記事では、経費における「雑費」について詳しく解説します。経費として計上できる費用とはなにか、注意点や扱い方など、経費に関する理解を深めるために役立ててください。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」
などなど日々の経理業務に関して不安になることがございませんでしょうか。
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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1.雑費としていい経費とは何か?
どのような経費を雑費として扱ってよいのか、雑費とは何かということから解説します。
1-1.雑費とは?
国税庁は雑費を「事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費」と定義しています。また、一般的に少額であることも条件となっています。つまり、事業用として使用した費用ではあるものの、他のどの勘定科目にも当てはまらない少額の費用が雑費です。勘定科目は企業によって自由に設定可能であるため、雑費となる経費は企業ごとに異なります。
※引用:よくある質問|国税庁
1-1-1.雑費としてよく計上される経費
雑費は一時的に計上し、勘定科目として設定するほど計上回数が多くなく、少額である費用です。雑費としてよく計上される経費には以下のものがあります。
・臨時クリーニング
・掃除代行
・各種手数料
・粗大ごみの処分費用
・お礼代
・会議室やパーティ等のキャンセル費用
・士業への報酬
・市区町村の自治会費
1-2.雑費と混同されやすい消耗品費との違い
消耗品費も少額なものが多く雑費と間違われやすい費用です。人によっては消耗品費を雑費と仕分けしてしまうこともあります。国税庁による消耗品費の定義は以下のとおりです。
1.帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
2.使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費
雑費とどちらか迷ったときは消耗品費として扱うとよいでしょう。
※引用:よくある質問|国税庁
2.雑費はあまり使わない方がよい理由
一般的に、多くの経費を雑費として振り分けるのはあまりよくないといわれています。その理由について解説します。
2-1.経費の分析ができなくなる
帳簿は税金のためだけに行うものではありません。企業の支出に関する情報は分析し、事業における課題を抽出するためにも必要です。しかし、雑費として記録されているものばかりでは、どのような項目において支出が多いのか分析ができません。正しく現状把握できないため、適切な勘定科目に振り分けることが重要です。
2-2.税務署の確認を受ける可能性がある
経費が雑費ばかりだと、税務署も支出を正しく把握できません。不正に経費を計上しているのではないか、などと疑いをもたれる可能性もあるでしょう。雑費として使途不明な費用は何に使われたのか、詳細な調査が行われる可能性もあります。税務署にいらぬ疑いをもたれないようにするためにも、雑費ばかり使用しないようにしましょう。
2-3.融資を受けにくくなる可能性がある
銀行などの金融機関に融資を受けるとき、経営状況がどうなっているのか帳簿を提出します。その際に、支出が雑費ばかりだと正しい資金管理ができていない、と判断されるかもしれません。審査の際に雑費が多すぎることを指摘され、融資を断られる可能性もあります。今後の事業拡大のためにも、すぐに雑費を使わない正しい仕分けが重要です。
3.雑費を経費計上できる限度額
雑費は何円までなら経費計上できるのでしょうか。雑費を経費とできる限度額について解説します。
3-1.雑費として計上できる限度額は決められていない
雑費は、少額かつ他の勘定科目とできない費用とされています。「少額」と金額について触れてはいますが、何円までといった具体的な限度額は決めれられていません。消耗品費は10万円以下と上限がありますが、雑費には上限がないという違いがあります。
ただ、常識として少額なもののみを雑費とする必要はあるでしょう。また、一つ一つの金額だけではなく、収支全体で雑費が大部分を占めないという部分も重要です。少額だからと、たくさんの科目を雑費として計上しないほうがよいでしょう。
4.雑費を減額する方法
雑費はあまり多く計上してはいけないという解説をしました。そこで、すでに経費を雑費として計上してしまった場合の減額方法を紹介します。
4-1.消耗品費として計上する
雑費と消耗品費は性質が似ている勘定科目です。実際に消耗品費を雑費として計上しているパターンも多いでしょう。そのため、消耗品費か雑費か迷う項目で10万円以下のものは、消耗品費として計上します。結果として消耗してなくなってしまうものは、消耗品として計上すると雑費部分を減額できます。
4-2.他の勘定科目として計上できないか検討する
雑費は消耗品費以外の勘定科目が当てはまる場合もあります。消耗品費として当てはまらない場合は、ほかの勘定科目が適切ではないか、検討してみてください。少額だからという理由だけで雑費にしてしまったものがあるかもしれません。改めて見直してみましょう。
4-3.新しい勘定科目を作り計上する
勘定科目は各企業で自由に決められます。雑費があまりに多い場合は、新たな勘定科目を作成ほうが適切な経営分析が行えるかもしれません。ただ、新しい勘定科目を作成したことにより勘定科目の数が増えると、記帳するときの手間は増えます。今後もよく使用すると予測できるものに絞ったほうがよいでしょう。
5.雑費を消耗品費をとして計上するコツ
雑費を消耗品費として計上したいけれど、スムーズにいかない場合は、以下のようなコツをためしてみてください。
5-1.耗品費に摘要欄を使う
消耗品費として計上できるかどうか判断に迷うこともあります。その際には、計上した費用の詳しい内容をメモしておきます。メモをする際には、第三者がみても理解できるように、相手方、金額、数値までしっかりと記載しましょう。別途契約書や請求書を確かめずに済むようにしっかりと書くと、確認する人の手間を省けます。
5-2.消耗品費に補助科目を設定する
勘定科目はさらに細かく分けて補助科目を作ることも可能です。消耗品費に、包装材料、宣伝用印刷物などの補助科目をつけると、幅広い費用を消耗品費として計上できます。ただ、補助科目も勘定科目と同様、数が多すぎると記帳の際の手間が増えてしまいます。使用頻度の低い補助科目を作るのであれば、摘要欄を活用する方法のほうがおすすめです。
6.新しい勘定科目を作る際に気をつけるべきポイント
基本的に、勘定科目の個数や名目はすべて自由です。ただ、多すぎてしまうと管理や記帳が大変になってしまいます。そのため、新しい勘定科目を作るときには、一度勘定科目を一覧表にして、過去に同じような勘定科目が作られていないか確認してみてください。
十分に吟味し、似たような科目がないと判断できれば、新たに勘定科目を作ってみましょう。その際には、何のために作った勘定科目なのか、わかりやすいものにします。
また、新しい勘定科目を作る前に、既存にある勘定科目の中で対応できる科目はないかを確認することも必要です。当サイトで無料配布している「勘定科目と仕訳のルールBOOK」では基本的な勘定科目一覧から、科目に応じた仕訳例まで網羅的に解説しております。
勘定科目や仕訳に関してまだ知識が曖昧な方にとっては、調べたい時にいつでも参照できる参考書のような資料となっており、大変参考になる内容ですので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
7.雑費を経費として計上するときの注意点
雑費という勘定科目を使用するときには、以下の2点に注意してください。
7-1.雑費を多用しないように気をつける
雑費を多用していると、企業が何に対して支出しているのかわかりにくくなります。そのため、正しく経営分析ができないうえに、税務署や銀行からの信用を失う可能性もあります。雑費は使いやすい勘定科目ですが、あまり何度も使用せず、どうしても該当する費用がないときに限ったほうがよいでしょう。
7-2.雑費の課税設定に気をつける
雑費は「ほかの勘定科目に該当しない」という条件であるため、多種多様な費用が雑費として仕訳されます。そのため、雑費によっては課税対象であるものとそうでないものが混在している状態です。ほとんどは課税対象ですが、違反金やお守り代などは不課税になります。不課税の雑費は摘要欄にメモするようにしてください。
8.まとめ
雑費は使用しやすい勘定科目ですが、あまり多用すると正しい経営分析ができないうえ、銀行に脱税を疑われる場合もあります。すぐに雑費として計上するのではなく、消耗品費にできないか考慮しましょう。場合によっては新たな勘定科目や補助科目を設定する方法もおすすめです。
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