人件費とは企業や個人事業主が従業員に対して支払う給与のことです。人件費は経費計上できるため、節税対策に役立てることができます。この記事では経費にできる人件費について、経営者や経理担当者向けに迷いやすいケースや節税方法を解説します。人件費の経費計上の参考にしてください。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」
などなど日々の経理業務に関して不安になることがございませんでしょうか。
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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1.経費とは
経費とは事業を行うために使った費用のことです。経費の具体例としては、たとえば人件費を始め、消耗品費、交通費、交際費などがあります。もし、事業で使った費用が経費になるかどうか迷った場合は、その費用が売上につながれば経費になると判断して良いでしょう。反対に、売上とは関係のない費用は経費にはならないと考えてください。
2.人件費として計上できるもの
人件費とは、売上につなげるために人を雇った際の費用のことです。ここからは人件費として計上できるものについて解説します。
2-1.給与手当
労働の対価として従業員に支払う給与手当は、すべて経費にすることができます。各種手当や基本給、賞与なども経費になります。また、経費計上する際の一般的な勘定科目は、「給与手当」として計上します。以下では、正社員以外の給与手当について詳しく解説していきます。
2-1-1.契約社員の場合
契約社員の場合の給与手当は、基本的に正社員の給与と同じように人件費扱いになります。そのほか、雑給として処理する企業もあります。雑給とは、アルバイトやパートなど臨時の雇い人に支払う給与のことです。
2-1-2.アルバイト・パートの場合
アルバイト・パートの場合の給与手当は、正社員の給与と同じように人件費扱いです。また、契約社員の場合と同様に、雑給として計上する企業もあります。
2-1-3.派遣社員の場合
派遣社員の場合の給与手当は、常勤の場合は人件費として管理します。ただし、常勤ではなく臨時的に人を採用する場合は、雑費として計上する企業もあります。
2-1-4.業務請負の場合
業務請負の場合の給与手当は、正社員のように常勤している場合は人件費として計上します。ただし、臨時採用のように一時的に人を雇う場合は雑費とします。
2-2.役員報酬・役員賞与
役員報酬とは、役員に対して支払われるものです。給与として支払う場合は「役員報酬」、賞与を支払う場合は「役員賞与」の勘定科目を使います。役員報酬として経費計上するためには、支払われる側が会社を経営する立場である必要があります。
2-3.法定福利費・福利厚生費
法定福利費とは、保険料を事業主が負担している費用のことをいいます。健康保険料や厚生年金などの社会保険だけでなく、労災保険や雇用保険などの費用もこれに当たります。また福利厚生費とは、従業員のために使われる費用のことで、社宅費用や健康診断の費用、社員旅行や忘年会・新年会などの行事費用などもここに該当します。
2-4.退職金
退職金とは、企業が退職する従業員に対して支払う賃金のことです。そのため、従業員の退職に伴って退職一時金を支払うと、その金額を人件費として経費計上できます。退職金は損金として処理ができます。ただし、従業員と役員では損金への算入時期が違う点に注意してください。
2-5.人材採用費・教育研修費
採用費とは人材を採用するためにかかった費用のことです。採用活動も売上につながる活動ですので、経費となることがあります。また教育研修費は従業員の知識、技術の習得のために必要な費用のことをいいます。これらは人件費として経費計上できます。
人件費を計上するにあたって、適切な勘定科目と仕訳方法を理解していないと誤って仕訳してしまい、財務状況を正確に把握することができず、不正を疑われるケースもあります。当サイトで無料配布している「勘定科目と仕訳のルールBOOK」では基本的な勘定科目から、その科目に応じた仕訳例まで網羅的に解説しております。勘定科目や仕訳に関してまだ知識が曖昧な方にとっては、調べたい時にいつでも参照できる参考書のような資料となっており、大変参考になるので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3.人件費を見直して節税につなげる方法
人件費を経費計上することで所得を圧縮し、かかる税金を減らすことが可能です。節税につなげるための具体的な方法について解説します。
3-1.評価制度や給与を見直す
評価制度や給与を見直すことで節税につながります。たとえば、成果に応じた評価を行い、高待遇にするなどがあげられます。この場合、昇級分だけ人件費として計上することができます。結果的に、従業員のモチベーションも上がり、売上向上も同時に期待することができるでしょう。
3-2.外注を利用する
常勤で人を雇うのではなく、業者やフリーランスなどの外注を利用することも効果的です。なぜなら、必要な時期だけ労働力を活用することができるので、社員を採用したり、維持したりするために必要な固定費の削減につながるからです。
3-3.所得拡大促進税制を利用する
所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している中業企業者などを対象とした制度です。具体的には、一定の要件を見たしていることを条件として、前年度より給与等を増加させた場合に、法人税の一部を税額控除できる制度になります。該当する場合はこの制度を使うことも節税対策となるでしょう。
4.人件費になるのか判断を迷いやすいケース
ここからは人件費になるか、判断を迷いやすいケースについて解説します。
4-1.子どもを入社させた場合の給与・賞与
子どもを入社させた場合の給与や賞与は人件費になるか判断を迷いやすいです。たとえば、経営者の子どもが自社に入社した場合、それが企業であれば法人になるため、子どもは従業員扱いとなります。そのため、人件費として経費計上することができます。
4-2.役員への決算賞与
役員への決算賞与なども人件費になるか迷いやすい点ですが、人件費としては計上できません。その理由は、役員は企業の従業員ではなく、会社を経営する立場にあるからです。そのため、役員への決算賞与は人件費として経費に計上できないのです。
5.経費の範囲を超えるとペナルティがある
経費の範囲を超えて計上するとペナルティを受ける場合があるので解説します。
5-1.過少申告加算税
過少申告加算税とは、本来の税額よりも少なく申告したことが判明した場合に科せられるペナルティです。未納分に10%加算されて、税金を支払う必要があります。
5-2.無申告加算税
無申告加算税とは、本来納めるべき税金を納めていなかった場合に科せられるペナルティです。加算分の税率は、正しい税額の15%となります、また、50万円を超える部分は20%加算されます。
5-3.不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収などを法定納期限までに納めなかった場合に科せられるペナルティです。金額は納めていなかった未納分に対して10%が加算されます。
5-4.重加算税
重加算税とは、事実を偽造、隠蔽した場合に科せられるペナルティです。書類の改ざんや2重帳簿などの悪質なケースが対象となります。加算分は不納付加算税と過小申告加算税が35%、無申告加算税が40%になります。
6.正しく経費計上するための対策
ここからはペナルティを受けないための対策について解説します。
6-1.経理精算システムを導入する
経費精算システムを導入することは、ペナルティを受けないための対策として有効な方法です。たとえば、経費精算システムを導入することで、手作業を自動化できるため、仕分けの判断ミス防止に役立ちます。また、経費担当者の業務負担軽減など、メリットも大きいといえるでしょう。
6-2.税務署に相談する
人件費などの経費について、税務署に相談することもペナルティを防ぐために効果的です。税務署の窓口は税金の無料相談が可能です。そのため、経費計上できるか迷ったら税務署にまず相談するようにしましょう。また、十分な時間が必要な場合は事前予約をしておくと確実です。
6-3.税理士に相談する
ペナルティを防ぐためには税理士に相談することも効果的です。たとえば、自社での申告に人的リソースの限界がある場合は、税理士に相談しましょう。税理士に相談すると、依頼費用はかかりますが、結果的に税金の節約にもつながります。
7.まとめ
企業の人件費は経費として計上できるため、節税対策になります。本記事では、経費計上できるか迷いやすいケースや、具体的な節税方法についてお伝えしました。節税対策のために人件費を経費計上する際の参考にしてください。
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