同一労働同一賃金における責任の程度とは?トラブルへの対処法を解説 |HR NOTE

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同一労働同一賃金における責任の程度とは?トラブルへの対処法を解説

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みんなから攻められるビジネスマン

同一労働同一賃金は、正社員と派遣や契約社員との間に生まれる、不合理な待遇格差の改善を目指すために制定されました。企業は雇用形態に関係なく、同じ業務をおこなっている社員に対して、一律の給料や待遇を与えなければなりません。

しかし「賃金や待遇と同様に、雇用形態に関係なく責任の程度も一律になるのだろうか」と、お悩みの方もいるでしょう。

そこで本記事では、同一労働同一賃金における責任の程度と、トラブルへの対処法を解説します。同一労働同一賃金について理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。

自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

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1. 同一労働同一賃金における責任の程度とは

色々な連絡がきて疲れているビジネスマン

同一労働同一賃金における責任の程度とは、正社員と派遣や契約社員の仕事上の責任が一律になったり、異なったりすることです。責任の程度は、与えられている権限の範囲や転勤の見込みなどにより決定します。

同一労働同一賃金は、同じ企業内における正社員と派遣や契約社員の待遇の差を改善するために制定されました。しかし正社員と派遣や契約社員では、責任や役割の範囲が違うため、すべての待遇が一律になるわけではありません。

厚生労働省では、以下のような責任の程度の基準を設けています。

職務内容と職務内容・配置の変更の範囲が一律

責任のレベルも一律

職務内容のみが一律

責任のレベルも一律

職務内容のうち業務内容のだけが一律

責任のレベルは一律でない

職務内容・配置の変更の範囲だけが一律

責任のレベルは一律でない

上記のすべてが一律でない

責任のレベルは一律でない

参照:不合理な待遇差の禁止(同一賃金同一労働)について|厚生労働省

責任のレベルが同一になるケースは「職務内容」の同一性が重視されることに注意しましょう。責任のレベルが一律になる場合、派遣や契約社員は、正社員と同様の業務責任を負う必要があります。

2. 同一労働同一賃金における責任の程度の2つの具体例

天秤のイラストが描かれたつみき

ここでは、同一労働同一賃金における責任の程度の2つの具体例を紹介します。

  1. 職務内容における責任の程度の具体例
  2. 職務内容・配置の変更の範囲における責任の程度の具体例

自社で責任の程度を定める際の参考にしてください。

2-1. 職務内容の具体例

職務内容における責任の程度の主な内容と具体例は、以下のとおりです。

与えられている権限の範囲

・管理している部下の数が多い

・正社員は単独で契約を締結できる金額が大きいが、派遣や契約社員は小さい

・派遣や契約社員に決裁権限がなく、正社員にのみ与えられている

業務の成果について求められる役割

・正社員にはノルマがあり、派遣や契約社員にはない

・正社員はノルマの達成度合いによって賃金に反映されるが、派遣や契約社員には反映されない

トラブルの発生時や緊急時に求められる対応の範囲

・クレーム対応はすべて正社員がおこなう

・緊急時や臨時の際の出勤は正社員が優先される

残業の頻度や有無

・繁忙期の残業は正社員が優先される

・正社員のみ休日出勤がある

責任の程度の具体例をみると、正社員と派遣や契約社員で同等といえないケースもあるでしょう。同等とはいえない際は、責任の程度が一律ではないと判断できるため、待遇に差があっても問題ありません。

2-2. 職務内容・配置の変更の範囲における責任の程度の具体例

職務内容・配置の変更の範囲における責任の程度の具体例は、以下のとおりです。

  • 転勤の範囲
  • 転勤の見込
  • 転勤の有無
  • 昇進の有無
  • 人事異動による配置変更

例えば、派遣や契約社員は転勤のエリアが限定されているのに対して、正社員は全国に設定されているなどです。この場合、責任のレベルが同等とはいえないため、待遇に差をつけても問題ありません。責任のレベルを同じ業務内容だけで判断するのは難しいですが、転勤の有無などを含めて考えると、わかりやすくなります。

3. 同一労働同一賃金における待遇の2つの考え方

待遇の格差

同一労働同一賃金における待遇の考え方は、以下の2つに分けられます。

  1. 均等待遇
  2. 均衡待遇

似たような言葉ですが、意味はまったく異なるものです。それぞれの待遇の違いについて詳しく解説します。

同一労働同一賃金を深く理解するためにも、必ず目を通しておきましょう。

3-1. 均等待遇

均等待遇とは、雇用形態にかかわらず同じ業務をおこなっているのであれば、同じ賃金や待遇を与えることです。

業務内容が同様であるかどうかは、以下の3つで判断されます。

職務内容

通常おこなう業務

責任の度合い

緊急時に求められる対応の範囲など

職務内容・配置変更の範囲

転勤や人事異動の有無

正社員と派遣や契約社員で、業務内容や人事異動の条件が同じケースでは、待遇や賃金を一律にしなければなりません。均等待遇では、正社員と派遣や契約社員に同等の待遇を求めており、差別的な取り扱いを禁止しています。

3-2. 均衡待遇

均衡待遇は、正社員と派遣や契約社員の仕事内容が異なる際に、その違いに応じた賃金や待遇を与えることを指します。

均衡待遇で考慮すべき点は、以下のとおりです。

  • 職務内容
  • 職務内容・配置の変更の範囲
  • その他の事情

均等待遇と異なる点は「その他の事情」が判断材料に加わることです。その他の事情には、社員の経験や実績、保有資格などが含まれます。

均等待遇では、待遇をバランスのとれたものにしなければなりません。職務内容の違いで、賃金や待遇に差をつけられますが、不合理な待遇差を設けることは禁止されています。

4. 同一労働同一賃金におけるトラブルの対処法4選

アイディアが生まれるイラストが描かれたモチーフ

ここでは、同一労働同一賃金におけるトラブルの対処法を4つ紹介します。

  1. 同一労働同一賃金の理解を深める
  2. 均等待遇と均衡待遇の違いを把握する
  3. 待遇の差をきちんと説明できるようにしておく
  4. 相談窓口に問い合わせる

トラブルが起きたときに、落ち着いて対処できる体制を整えておきましょう。

4-1. 同一労働同一賃金の理解を深める

トラブルに対処するためには、同一労働同一賃金について理解を深めることが大切です。雇用する企業側が、理解できていなければ、トラブルが起きたときに、速やかに対処ができないでしょう。

同一労働同一賃金で待遇差が認められるのは、スキルや経験の差があるケースのみです。同じ仕事内容なら、正社員と派遣や契約社員の間に待遇差をつけられません。

同一労働同一賃金に関する理解を深めて、トラブルが起きてもすぐ対処できる体制を整えておきましょう。

4-2. 均等待遇と均衡待遇の違いを把握する

同一労働同一賃金でのトラブルを防ぐためには、均等待遇と均衡待遇の違いを正しく把握する必要があります。均等待遇と均衡待遇の違いは、以下のとおりです。

均等待遇

・条件が同じであれば、待遇を一律にすることを求める

・差別的な取り扱いを禁止する

均衡待遇

・条件の違いに応じた不合理のない待遇差は認める

・バランスの取れた待遇にしなければならない

均等待遇は、職務内容が同じであれば待遇に差をつけてはいけません。一律の待遇や賃金にする必要があります。

一方均衡待遇では、職務内容などの条件に違いがあれば、その違いに応じた待遇差をつけても問題ありません。しかし不合理に待遇の差を設けることは、禁止しています。

それぞれの違いをきちんと把握して、社員が納得のいく待遇を定めましょう。

4-3. 待遇の差をきちんと説明できるようにしておく

正社員と派遣や契約社員で、なぜ待遇の差があるのか説明できるようにしておきましょう。雇用する企業側は、待遇の差について労働者から質問された際には、説明する義務があります。

有期雇用労働や短時間労働者の雇用形態ごとに待遇に差があるケースでは、差が不合理でない理由を説明するための準備が必要です。

労働者に説明するための、待遇の差に関するわかりやすい資料を事前に準備しておきましょう。

4-4. 相談窓口に問い合わせる

同一労働同一賃金で、待遇の判断基準や改善に戸惑う場合は、相談窓口に問い合わせましょう。例えば、以下のような施設では、同一労働同一賃金についての相談を受け付けています。

  • 厚生労働省が運営している「働き方改革支援センター」
  • 厚生労働省が運営している「改正法個別相談窓口」
  • 自治体が対応する無料相談窓口
  • 弁護士事務所

待遇や賃金を変更する際に相談しておけば、事前に労使間のトラブルを防げます。同一労働同一賃金について不明な点がある際は、窓口への相談を検討しましょう。

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