雇用契約書の管理は、手間のかかる作業のひとつです。大量の書類の中から目的の契約書を探すことに苦労するケースも多いでしょう。従業員数が多くなるほど管理の手間やコストが発生するため、うまく工夫して業務を効率化することが大切です。
この記事では、雇用契約書をクラウド上で管理するメリット・デメリットを詳しく解説します。クラウド上で効率よく管理する方法についても紹介しますので、ぜひチェックしてください。
目次
紙で雇用契約書を取り交わしている場合、以下のような課題はないでしょうか。
・労働条件通知書を交付するために来社してもらったり、郵送したりするのが手間
・早く働き始めてほしいが、雇用契約の締結に時間がかかってしまう
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、雇用契約書の電子化です。システムを利用して雇用契約書を電子化すると、オンライン上で雇用契約書の締結や労働条件通知書の交付ができ、時間と場所を選ばずスピーディーに雇用契約を締結することができます。
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1. 雇用契約書をクラウド上で管理することは可能
雇用契約書は、クラウド上で管理することも可能です。紙ベースで管理するよりも業務を効率化でき、人件費の削減や保管場所の有効活用を図れるため、ぜひ導入を検討してみましょう。
また、2019年4月以降、労働条件通知書の電子化が認められるようになりました。それ以前は、雇用契約書の電子化しか認められていませんでしたが、2019年の法改正により「労働条件通知書兼雇用契約書」として2つの書類をまとめて電子化することも可能となったのです。
1-1. 雇用契約書と労働条件通知書の違い
雇用契約書と労働条件通知書の大きな違いは、法律上の作成義務です。雇用契約書を作成する法律上の義務はありませんが、労働条件通知書は必ず作成しなければなりません。
記載内容に関する違いもあります。雇用契約書については、仕事内容や福利厚生などの項目を自由に記載できます。一方の労働条件通知書には、法律に従って必要な項目を網羅しなければなりません。
2つの書類を別々に作成することも可能ですが、同じような項目を記載するケースも多いため、「労働条件通知書兼雇用契約書」として交付するとよいでしょう。
2. 雇用契約書をクラウド上で管理するメリット
雇用契約書とは、企業と従業員が雇用契約を締結したことを証明する書類です。労働条件に関するトラブルを防止するために作成し、勤務時間や給与、休日などの項目を記載します。
従来は紙の契約書を作成して保管するのが一般的でしたが、契約書を電子化してクラウド上で管理する企業も増えてきました。雇用契約書をクラウド上で管理することには、ペーパーレス化を図れる、保管スペースを減らせる、業務を効率化できる、といったメリットがあります。各メリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1. ペーパーレス化を図れる
ペーパーレス化につながることは、雇用契約書をクラウド上で管理する大きなメリットです。契約書を紙で印刷する必要がなくなるため、インク代や印紙代、郵送費などを削減できます。印刷する手間もなくなるため、雇用契約に関する業務を簡略化できるでしょう。
2-2. 保管スペースが必要なくなる
雇用契約書をクラウド上で管理すれば、保管スペースを減らすことができます。倉庫として活用していた場所や保管のための棚が必要なくなるため、その分、オフィススペースとして有効活用できるでしょう。ワークスペースや会議室などに変更すれば、生産性の高い場所に生まれ変わります。
2-3. 雇用契約に関する業務を効率化できる
雇用契約に関する業務を効率化できることも、書類をクラウド上で管理するメリットのひとつです。契約書を印刷する作業が必要なくなるのはもちろん、データとして保管しておけば、必要な契約書を探す手間も減らせます。従業員名などで簡単に検索できるため、大量の紙ファイルの中から探し出すような手間はかかりません。
とくに大きな企業では、従業員数が多く、雇用契約書の管理に時間がかかってしまうケースもあるでしょう。雇用契約書をクラウド上で管理しておけば、事務的な処理を大幅に効率化できます。雇用契約を更新するタイミングを通知してくれるなど、便利な機能が搭載されたシステムも多いため、うまく活用しましょう。
2-4. リモートワークに対応しやすい
リモートワークに対応しやすいことも、雇用契約書をクラウド上で管理するメリットです。雇用契約を電子化すれば、契約書を作成したり印鑑を押したりするために出社する必要はありません。離れた場所で働く従業員の契約書もスムーズに作成でき、簡単に一元管理できます。
2-5. コンプライアンスを強化できる
雇用契約書をクラウド上で管理することは、コンプライアンス強化にもつながります。紙の雇用契約書を作成する場合は、紛失したり盗まれたりしないよう、特定の棚に入れて鍵をかけて保管しなければなりません。
契約書を電子化してクラウド上で管理すれば、基本的に紛失や盗難の心配はないでしょう。アクセス権をしっかりと設定しておけば、特定の担当者のみが閲覧できる状態になるため、安心して保管できます。
3. 雇用契約書をクラウド上で管理するデメリット
雇用契約書をクラウド上で管理することには多くのメリットがある一方、システム利用料が発生する、使い方に慣れる必要がある、といったデメリットもあります。それぞれのデメリットの詳細は以下の通りです。
3-1. システムを利用するための費用が発生する
システム利用料が発生することは、雇用契約書をクラウド上で管理するデメリットです。雇用契約書を電子化してクラウド上で管理するためには、何らかのシステムを導入しなければなりません。
手作業で雇用契約書を電子化することもできますが、かなりの手間がかかってしまいます。また、社内の共有フォルダなどに単純に保存するだけでは、セキュリティ性を確保できないケースも多いでしょう。雇用契約書をクラウド上で管理するなら、コストパフォーマンスのよいシステムを導入するのがおすすめです。
3-2. 使い方に慣れる必要がある
どのようなシステムにも共通することですが、まずは使い方に慣れる必要があります。導入したばかりの頃は使い方がよくわからず、入力や書類作成に時間がかかってしまうケースもあるでしょう。
クラウドシステムに慣れていない従業員が多い場合は、使い方をしっかりと周知しておくことが重要です。電話やメールによるサポートが充実しているシステムを選べば、安心して利用できるでしょう。
3-3. 使用上のルールを設定しておく必要がある
雇用契約書をクラウド上で管理すれば業務を効率化できますが、間違った方法で使用すると、修正の手間が発生してしまいます。表記方法が統一されていなかったり、間違って重要なデータを削除したりすることがないよう、使用上のルールを設定しておくことが重要です。
このように雇用契約書をクラウド化するメリットはたくさんありますが、導入前の準備やさらに言えばツール選定時から、実際に利用する時のことをイメージして綿密な計画を立てなければなりません。
そこで当サイトでは、ツール導入時に注意すべきポイントやツールを選定する際に軸とすべきポイントをまとめた資料「入社手続き・雇用契約のオンライン化~失敗しない3つのポイント~」を無料でお配りしています。こちらからダウンロードできますので、雇用契約書のクラウド化をご検討中の方やこれからシステム選定をおこなう予定の方はぜひご活用ください。
4. 雇用契約書をクラウド上で管理するときの注意点
雇用契約書を電子化してクラウド上で管理するときは、以下のような点に注意しましょう。
4-1. 労働条件通知書兼雇用契約書の電子化は従業員が希望する場合に限られる
前述の通り、労働条件通知書兼雇用契約書として発行することは可能です。ただし、労働条件通知書を電子化してメールなどで送信できるのは、従業員本人が希望した場合に限られます。よって、労働条件通知書兼雇用契約書とする場合にも、従業員からの希望が必要となるため注意しましょう。
従業員から希望があったことを証明するため、労働条件通知書兼雇用契約書のなかに「希望した旨」を記載する項目をつくっておくのがおすすめです。
4-2. 電子帳簿保存法に対応できるようにする
雇用契約書を電子化して保存する場合は、電子帳簿保存法で定められた要件を満たさなければなりません。具体的には、真実性・見読性・検索性の確保が求められます。
真実性を確保するためには、認定タイムスタンプを付与する電子契約サービスを利用するのがおすすめです。見読性の確保については、納税地においてパソコンの画面などで契約内容を確認できることが求められます。また、検索性を確保するためには、規則性のあるファイル名を付けるなどの対策により、すぐに情報にアクセスできるようにしなければなりません。
4-3. 従業員が受け取ったことを確認する
雇用契約書や労働条件通知書を電子化してメールなどで送付する場合は、従業員が受け取って内容を把握したかどうかを確認しなければなりません。メールの見落としなどにより、従業員が内容を把握していない場合、契約書が無効となる可能性もあります。
送付してクラウド上に保存しておくだけではなく、従業員からメール返信を求めるなど、必要な対策を講じることが重要です。
5. 雇用契約書をクラウド上で管理する方法
雇用契約書をクラウド上で管理する場合は、以下のような方法で進めましょう。
- 現状の課題を把握する
- 自社に合ったシステムを選ぶ
- 無料トライアルで使い勝手を確認する
- 従業員へ周知する
- 使いながら改善する
以下、それぞれのポイントを解説します。
5-1. 現状の課題を把握する
まずは社内の現状を把握することが必要です。雇用契約書の作成や管理をどのような手順で進めているのか、担当者はどのような課題を感じているのかを調査しましょう。そのうえで、書類の電子化やクラウド上での管理によって問題を解決できそうかどうかを検討します。
5-2. 自社の目的に合ったシステムを選ぶ
雇用契約書をクラウド上で管理する場合は、便利なシステムを導入する必要があります。多くのシステムが開発されているため、自社の目的や予算に合ったものを選びましょう。雇用契約書の管理システムを選ぶときは、初期費用や搭載されている機能、外部サービスとの連携などをチェックすることが重要です。
初期費用は安くてもランニングコストが高いシステムもあるため、年間でどのくらいの料金が発生するのかをチェックしておきましょう。自由にカスタマイズしたい場合は、オプション機能を確認しておくことも大切です。
5-3. 無料トライアルで使い勝手を確認する
自社に合いそうなシステムが見つかり、無料トライアルを利用できる場合は、使い勝手を確認してみましょう。操作画面が見やすいか、作業の効率化につながるか、といった視点からシステムの使い勝手を確認します。実際に担当者に操作してもらい、意見をもらうのもおすすめです。
5-4. 従業員へ周知する
雇用契約書をクラウド上で管理するときは、従業員へしっかりと周知しておきましょう。システムの使い方はもちろん、管理方法を変更する目的や意義などを共有しておくことも大切です。
5-5. システムを使いながら改善していく
システムを使いながら問題が発生したときは、随時改善していきましょう。従業員がうまく使いこなせていない場合は、運用ルールに問題がある可能性もあります。実際に使っている従業員からも話を聞きながら、少しずつ改善していくことで、業務効率化を実現できるでしょう。
6. 雇用契約書をクラウド上で管理して業務を効率化しよう!
今回は、雇用契約書をクラウド上で管理するメリット・デメリットや方法を紹介しました。雇用契約書を電子化して保存すれば、ペーパーレス化や業務の効率化を図れます。大量の契約書を保管する場所も必要なくなり、オフィススペースを有効活用できます。便利な管理システムも多く開発されているため、有効活用して業務効率化を進めるのがおすすめです。
紙で雇用契約書を取り交わしている場合、以下のような課題はないでしょうか。
・労働条件通知書を交付するために来社してもらったり、郵送したりするのが手間
・早く働き始めてほしいが、雇用契約の締結に時間がかかってしまう
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、雇用契約書の電子化です。システムを利用して雇用契約書を電子化すると、オンライン上で雇用契約書の締結や労働条件通知書の交付ができ、時間と場所を選ばずスピーディーに雇用契約を締結することができます。
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