電子帳簿保存法における保存期間は基本的に7年ですが、法人と個人事業主、個人事業主なら青色申告と白色申告で異なります。そのため、「具体的な保存期間がわからない」「自社のケースは?」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、電子帳簿保存法における帳簿書類の保存期間を解説します。最後まで読むと正確に保存期間を把握でき、書類や電子データが適切に管理できるでしょう。
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが下がりました。 しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律など、電子帳簿保存法そのものの内容や対応する手順など正しく理解しておかなければいけません。 「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
資料では
・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
・2020年10月の改正内容と2022年の施行内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件
など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。 「電子帳簿保存法への対応を少しずつ考えたいが、何から始めたらいいかわからない」という経理担当者様は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
1. 電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、総勘定元帳や仕訳帳、決算関係書類や請求書などの帳簿書類を電子データで保存できる法律です。
電子帳簿保存法が初めて施行された1998年から何度か法律改正を経て、2022年に改正電子帳簿保存法が施行されました。
電子帳簿保存法のメリットは以下のとおりです。
- コストの削減につながる
- 業務を効率化できる
紙を印刷するためのコピー用紙代やコピー機のトナー代、書類を綴じるファイル代などのコスト削減が可能です。業務効率化の面では、書類の印刷やファイルに綴じる作業などの余計な手間が省けます。
電子帳簿保存法の対象書類はさまざまであり、保存方法によっても異なるため注意が必要です。主な対象書類は以下を参考にしてください。
書類・帳簿 |
電子帳簿等保存 |
スキャナ保存 |
電子取引 |
帳簿(仕訳帳など) |
◯ |
ー |
ー |
決算書類関係(貸借対照表など) |
◯ |
ー |
ー |
請求書 |
◯ |
◯ |
◯ |
領収書 |
◯ |
◯ |
◯ |
契約書 |
ー |
◯ |
◯ |
見積書 |
◯ |
◯ |
◯ |
注文書 |
ー |
◯ |
ー |
納品書 |
◯ |
◯ |
ー |
検収書 |
ー |
◯ |
ー |
電子データでの保存が認められる国税関係帳簿は、初めから一貫してコンピューターで作成したものです。手書きで作成した仕訳帳などの国税関係帳簿の場合は電子データで保存できません。
参照:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
参照:国税庁|制度創設等の背景
2. 電子帳簿保存法における保存期間
電子帳簿保存法における保存期間は、法人か個人事業主かによって異なるため注意が必要です。また、個人事業主の場合は確定申告のときの申告方法が、白色申告と青色申告の2つあります。
申告方法によって保存期間が異なるため、覚えておいてください。
2-1. 帳簿書類は5〜7年が基本
法人の場合は、仕訳帳や貸借対照表などの帳簿書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければいけません。
個人事業主の場合は、白色申告か青色申告によって5〜7年と異なります。具体的には以下のとおりです。
申告方法 |
帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など) |
決算書類(損益計算書など) |
領収書 |
請求書 |
白色申告 |
7年 |
5年 |
5年 |
5年 |
青色申告 |
7年 |
7年 |
7年* |
5年 |
*前年の所得が300万円以下なら5年でも可能
白色申告の場合は、帳簿が7年間で、決算書類や領収書、請求書、納品書などは5年間保存しなければいけません。売掛帳や買掛帳も5年間保存する必要があります。
青色申告の場合は、帳簿や決算書類、領収書などは7年間で、請求書や契約書、見積書などは5年間保存しなければいけません。
2-2. 欠損金の繰越控除を受ける場合は10年
さまざまな原因によって課税所得が赤字になり欠損金が生じた場合は、欠損金の繰越控除を受けられます。
しかし欠損金の繰越控除を受ける場合には注意が必要です。青色申告書を提出した事業年度で欠損金があった場合は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から10年間保存する必要があります。
3. 電子帳簿保存法における保存方法・要件
電子帳簿保存法における保存方法は、以下の3種類です。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引
電子帳簿等保存とスキャナ保存については、データで保存するか紙で保存するかは任意のため選択ができます。電子取引のデータ保存に関しては義務化されました。
3種類の保存方法別に保存要件が細かく設定されています。保存要件を満たしていなければ、電子データでの保存が認められない可能性もあるため、あらかじめ把握しておきましょう。
3-1.電子帳簿等保存
電子帳簿等保存は最低限の要件を満たした上で、会計ソフトなどを使用して自ら作成した帳簿書類を電子データで保存できる保存方法です。
具体的な要件は下記となります。
保存要件 |
概要 |
優良 |
その他 |
訂正・削除履歴の確保 |
訂正や削除をおこなった場合は、事実内容を確認できること |
◯ |
ー |
相互関連性の確保 |
帳簿のデータと他の帳簿のデータ同士で関連性を確認できること |
◯ |
ー |
関係書類などの備え付け |
システムの概要について記載した書類や事務処理マニュアルなどのシステムに関する書類を備え付けること |
◯ |
◯ |
見読可能性の確保 |
電子データを保存する場所に、電子計算機などの操作説明書を備え付け、電子データを画面および書面に整った分かりやすい状態で、速やかに出力できるようにしておくこと |
◯ |
◯ |
検索機能の確保 |
①取引年月日、取引金額、取引先によって検索できること ②日付または金額の範囲指定によって検索できること ③2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件によって検索できること |
◯※1 |
ー |
– |
税務職員に基づく電子データのダウンロードに応じられること |
ー※1 |
◯※2 |
※1 保存するものが税務職員に基づく電子データのダウンロードに応じられる場合は、検索機能の確保のうち②と③が不要
※2 優良の保存要件を全て満たしている場合には不要
3-2.スキャナ保存
スキャナ保存は、取引先から受け取った紙の契約書や請求書などの書類をスキャナで電子データ化して保存する方法です。
保存要件は契約書や請求書の重要書類か、見積書などの一般書類かによっても異なります。
主な保存要件は以下のとおりです。
入力期間の制限 |
早期入力方式:国税関係書類を受け取ったあとに、データ入力をおおむね7営業日以内におこなう |
業務処理サイクル方式:最長2ヵ月以内の通常の業務を処理する期間を経過したあとに、データ入力をおおむね7営業日以内におこなう |
|
スキャナ |
解像度は一定水準(200dpi)以上 |
カラー画像で読み取る(赤・緑・青それぞれ256階調以上) |
|
システム |
タイムスタンプの付与 |
解像度や階調、書類の大きさの保存 |
|
バージョン管理 |
|
入力者の情報の確認:国税関係書類のデータ入力をおこなうものまたは直接管理するものについての情報を確認できること |
|
帳簿との相互関連性の確保:国税関係書類のデータと国税関係帳簿同士で関連性を確認できること |
|
見読可能装置の備え付け:操作説明書などを備え付け、電子データを画面および書面に整った分かりやすい状態で、速やかに出力できるようにしておくこと |
|
電子計算機処理システムの概要書などの備え付け:システムの概要を記載した書類などを備え付けること |
|
検索機能の確保:電子データについて定められた要件による検索を可能にすること |
細かい要件を把握しても、そもそも電子帳簿保存法に関して基礎からよく理解できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方にむけて当サイトでは「5分で読み解く電子帳簿保存法」という資料を無料配布しております。本資料では法改正による電子帳簿保存法の細かい改正内容はもちろん、そもそも電子帳簿保存法はどのような法律で、どう対応する必要があるのかをわかりやすく解説しています。電子帳簿保存法に関して基礎から正しく理解したい、会社でも正しく対応したいという方には大変参考になる内容となっておりますので興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3-3.電子取引
電子取引は、電子データで請求書などを授受した場合に、一定の要件を満たした上で電子データのまま保存できる保存方法です。
電子取引のデータ保存には猶予期間があり、2023年12月末までにおこなわれた取引は紙での保存ができます。電子取引の要件は以下のとおりです。
真実性の確保 |
タイムスタンプが付与されたあとに授受をおこなう |
授受後に速やかにタイムスタンプを付与する |
|
訂正や削除をおこなった場合はその内容が残るシステムか、訂正や削除ができないシステムを利用する |
|
事務処理規定の備え付け |
|
可視性の確保 |
システムの概要を記載した書類の備え付け |
見読可能装置の備え付け |
|
検索機能の確保 |
4. 保存義務の期間が過ぎた後の処分方法
保存義務の期間が過ぎた後は、紙の場合は情報が漏れないようにシュレッダーなどを使用して処分しましょう。電子データの場合も削除できますが、紙と同様にセキュリティの面を考慮して削除するようにしてください。
保存義務の期間が過ぎた後にも、重要な書類で保存したいものがある場合も考えられます。引き続き保存する必要のある書類は、保存しておいても問題はありません。
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが下がりました。 しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律など、電子帳簿保存法そのものの内容や対応する手順など正しく理解しておかなければいけません。 「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
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