企業が取引の初期段階で取り交わす見積書は、発行もしくは受領する頻度の高い書類です。そのため、発行、受領する度に保管するのは億劫に感じてしまうかもしれません。しかし、見積書も請求書ほか書類と同様に適切に保管する必要があります。
この記事では、見積書の電子帳簿保存法に対応した保管方法や要件について解説します。
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが下がりました。 しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律など、電子帳簿保存法そのものの内容や対応する手順など正しく理解しておかなければいけません。 「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
資料では
・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
・2020年10月の改正内容と2022年の施行内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件
など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。 「電子帳簿保存法への対応を少しずつ考えたいが、何から始めたらいいかわからない」という経理担当者様は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
目次
1. 見積書も保管の義務がある
請求書や領収書といった、金銭の授受が発生した証明となる書類は保存する義務があります。一方、見積書を発行しても契約に至らないで、金銭の授受が発生しないこともあります。そのため、見積書の保管は不要と思われますが、請求書、領収書と保管が必要です。
保管すべきなのは受領した見積書だけではありません。見積書の発行側も控えの保管が求められます。
2. 電子帳簿保存法に対応した見積書の保管方法
電子帳簿保存法に対応した見積書の保管方法は、どのように受領したかによって異なります。紙の見積書で受け取った場合、そのまま紙で保管するか、スキャンやスマートフォンで撮影してデータとして保存します。
一方、メールやクラウドサービスなどで、PDFなどの電子データとして受領した場合は、そのまま電子データとして保存する必要があります。これまでは電子データで受領した見積書はプリントアウトして、紙で保存することが可能でした。しかし、2022年の改正電子帳簿保存法によって、電子データで受領した書類は紙で保存できなくなりました。実際には猶予期間として2023年内は紙での保存が認められています。
2024年1月からは紙での保存は認められないため、早めに電子データでの保存に対応できるようにしましょう。
3. 見積書を電子保存するときの要件
電子帳簿保存法では保存の要件を設けています。要件は紙の見積書をスキャン保存するケース、電子データをそのまま保存するケースとで異なります。
3-1. 見積書をスキャン保存する要件
見積書をスキャン保存する際の要件は次のとおりです。
- 200dpi以上の解像度で保存
- タイムスタンプを付与
- 解像度及び階調情報を保存
- 訂正や削除の履歴や内容が確認可能
- 入力者などの情報が確認可能
- スキャンした領収書と帳簿との関連性が確認可能
- 整然・明瞭な出力が可能
- システムの開発関係書類等の取り付け
- 検索機能の確保
見積書や請求書、領収書は国税関係書類として扱われます。そのなかでも、請求書や領収書は資金や物流に直結している重要書類です。一方、見積書は取引が行われる前に交わされる書類のため、一般書類とみなされます。重要書類に対して見積書をはじめとした一般書類はスキャナ保存の要件の項目が少なくなっています。
重要書類はスキャナ保存の要件でカラー画像かつ階調も指定されているのに対して、見積書ほか一般書類はグレースケールでのスキャン保管も可能です。
なお、適切にスキャンした見積書は破棄できます。これまでは紙の見積書も一定期間保管が求められていました。しかし、改正電子帳簿保存法が施行されたことによって、適切なスキャンができていれば原本の破棄が認められました。
参照:「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」P15|国税庁
3-2. 電子データをそのまま保存する要件
PDFなどの電子データで受け取った見積書をそのまま電子データで保存する際は、次のような要件を満たしましょう。
- 改ざん防止のための措置を取る
- 検索機能を確保する
- 出力機器(ディスプレイ・プリンタ)を設置する
改ざん防止のための措置は次のような方法が挙げられます。
- タイムスタンプ付与
- 履歴が残るシステムを利用
- 改ざん防⽌のための事務処理規程に則る
また、検索機能を確保するためには、「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるように設定しましょう。具体的には次のような方法で設定します。
- 表計算ソフトを活用する:表計算ソフトの機能を使って索引簿を作成して、検索できるようにする
- 規則的なファイル名をつける:電子取引データのファイル名に規則的に「日付・⾦額・取引先」を⼊⼒する
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4. 見積書を電子保存するときの注意点
見積書を電子保存するときには、次のような注意点を意識しておきましょう。
- 契約に至らなかった見積書も保管する
- 改ざんを防止する措置も必要
- 保管期間を把握しておく
4-1. 契約に至らなかった見積書も保存する
契約に至った見積書もあれば、契約に至らなかった見積書もあります。そのため、保存する見積書の範囲がどこまでなのか、迷ってしまうかもしれません。しかし、契約に至らなかった見積書であっても保存する必要があります。受領した見積書、発行した見積書の控え、どちらも契約に至らなかったとしても忘れずに保存しましょう。
4-2. 改ざんを防止する措置も必要
電子帳簿保存法は改正によって要件が緩和されています。これによって多くの企業が電子保存に取り組みやすくなりましたが、反対に不正や改ざんのリスクも高くなってしまっています。そのため、不正を防止するために、社内規定を整備することも必要です。社内規定を整備せずに電子データの不正が発生した場合、重加算税の加重というペナルティが課せられてしまいます。
また、紙での保存と電子データでの保存が混在することによるミスが発生しないような、ルール作りにも取り組みましょう。
4-3. 保管期間を把握しておく
見積書は国税関係書類のなかでも、重要書類である領収書や請求書と異なり、一般書類に該当します。そのため、スキャン保存の要件に一部違いがあります。しかし、保管期間に違いはありません。見積書は7年もしくは10年保管するようにしましょう。基本的には7年保管しますが、欠損金の繰越控除を利用する場合は10年の保存期間が設けられています。[注3]
5. 見積書は契約に至らなかった場合でも保管しておく
請求書は、領収書や請求書のように資金や物流に直結している重要書類ではありません。しかし、受領した見積書も発行した見積書も領収書や請求書と同じく保管しておく必要があります。領収書を保管する方法は、紙で受領した場合とPDFなど電子データで受領した場合とで異なります。
また、見積書は契約に至ったかどうかに関係なく保存する必要があります。契約に至った見積書だけでなく、契約に至らなかった見積書も、破棄せずに適切な方法で保管するようにしましょう。
1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが下がりました。 しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律など、電子帳簿保存法そのものの内容や対応する手順など正しく理解しておかなければいけません。 「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。
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・2020年10月の改正内容と2022年の施行内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件
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