賃金台帳の書き方とは?記載すべき項目や注意点、必要になるケースを解説 |HR NOTE

賃金台帳の書き方とは?記載すべき項目や注意点、必要になるケースを解説 |HR NOTE

賃金台帳の書き方とは?記載すべき項目や注意点、必要になるケースを解説

硬貨が積みあがっている賃金台帳は、労働基準法によって作成が義務付けられている重要な書類です。雇用形態に関わらず、従業員を雇っている企業は賃金台帳を作成したうえで、しっかりと更新していく必要があります。

この記事では、賃金台帳の書き方や作成するときの注意点などについて詳しく解説します。賃金台帳が必要となるケースも紹介しますので、しっかりとチェックしておきましょう。

関連記事:賃金台帳とは?記載事項や具体的な書き方、保管期間を詳しく解説!

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1. 賃金台帳の書き方とは?記載すべき項目をわかりやすく解説

貨幣と硬貨が宙に浮いている賃金台帳に記載すべき項目は、労働基準法施行規則(第54条)によって細かく決められています。[注1]

ここでは、賃金台帳に記載すべき内容についてわかりやすく解説します。

[注1]労働基準法施行規則 第54条|e-Gov法令検索

関連記事:賃金台帳に必要な記載事項とは|保存方法や注意点を解説

1-1. 氏名 

従業員の基本情報のひとつとして氏名を記入します。正社員はもちろん、パートやアルバイト、日雇いスタッフなども含めたすべての従業員が対象となるため注意しましょう。氏名と一緒に、従業員番号などを記載しても問題ありません。

1-2. 性別 

従業員の性別も記載すべき項目のひとつです。賃金台帳には決まった書式はありませんが、氏名と一緒にわかりやすく記載する形式が多いでしょう。

1-3. 賃金計算期間 

賃金計算期間とは給与計算の対象となる期間のことで、会社側が自由に決めることができます。例えば、毎月25日締めと定めている会社の場合は「4月26日〜5月25日」といった形式で記載します。月末締めの場合は「5月1日〜5月31日」と記載するなど、状況に合わせましょう。日雇いスタッフについては、記載する必要はありません。

1-4. 労働日数 

労働日数とは、賃金計算期間のうち、実際に出勤して働いた日数のことです。賃金計算のもとになる重要な数値であるため、タイムカードなどを確認しながら間違いのないように記入しましょう。

労働日数の項目には、休日出勤も含めて、実際に出勤した日数を記入しなければなりません。休暇の取得日数や時間数についても、別途記載しておくとわかりやすいでしょう。

1-5.労働時間数

労働時間数とは、賃金計算期間のうち、実際に労働した時間を意味します。労働日数と同様、タイムカードなどをチェックしながら正確に記載しましょう。

労働日数や労働時間数は、従業員の働き方を把握するうえでも役立ちます。賃金台帳の作成を通して、過剰労働が発生していないかを確認することも大切です。労働基準監督署が注目するポイントでもあるため、問題のない労働環境を構築していきましょう。

1-6.休日労働時間数・早出労働時間数・深夜労働時間数

労働時間数のうち、休日労働や早出労働、深夜労働に該当する時間を記入します。これらの数値をもとにして残業手当などが計算されるため、正確に記載しなければなりません。

休日労働や深夜労働が多すぎる場合は、業務の再配分や働き方の改善などを図ることも重要です。休日労働や時間外労働をさせるためには、36協定を締結する必要があることにも注意しましょう。

1-7.基本給・手当

賃金台帳には、基本給と手当を分けて記載しなければなりません。基本給の欄には、総額ではなく、各種の手当を含まない給与額を記入しましょう。

通勤手当や役職手当、地域手当などがある場合は、それぞれ別の欄に記載します。毎月の給与とは別に、賞与や一時金などがあるときは、それぞれの金額を記入しましょう。

1-8.控除項目

控除項目の欄には、所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料など、給与から控除されるものとその金額を記載しましょう。親睦会費など、独自のルールを設定して控除している費用がある場合は、その金額も忘れずに記入しなければなりません。

「賃金台帳」や「労働者名簿」、「出勤簿」などの法定三帳簿は法律で作成が義務付けられている帳簿であるため、作成する際には適切な記入方法や保管方法を確認してミスのない管理をする必要があります。

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2. 賃金台帳の書き方の例や様式

賃金台帳の書き方の例は厚生労働省のホームページで公開されています。

賃金台帳の見本引用:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう|厚生労働省

賃金台帳の作成に使用する様式は「様式第 20 号(常用)、21 号(日雇)」を用いることができます。

様式第20号、21号は厚生労働省がテンプレートを公開しているので、それぞれ以下のURLからpdfをダウンロードすることができます。

様式第20号(常用労働者)

様式第21号(日々雇い入れられる者)

参照:主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省

作成には厚生労働省が公開しているテンプレートを用いることも可能ですが、記載内容に漏れがない場合は様式第20号、21号を使わずに賃金台帳を作成しても問題ありません。

2-1. 賃金台帳を手書きする場合

必要な事項をすべて記載していれば、賃金台帳を手書きすることは可能です。

記載すべき事項は上述の通り、10項目あります。

  1. 労働者氏名
  2. 性別
  3. 賃金の計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働数
  7. 深夜労働時間数
  8. 休日労働時間数
  9. 基本給や手当等の種類と額
  10. 控除項目と額

上記の記載必須事項を記載していれば、賃金台帳を手書きすること自体は問題ありませんが、手書きは時間がかかるうえに、ミスがあった場合に書き直すなどの手間も発生してしまうというデメリットがあります。

賃金台帳をExcelや人事管理ツールで作成するなどしてペーパーレス化することで、記入だけでなく管理も比較的楽にすることができます。

2-2. パート・アルバイトの賃金台帳

賃金台帳は企業で働く全従業員が作成の対象者なので、正社員のみならずパートやアルバイトの従業員の賃金台帳の作成も必要です。

一定期間雇用するパートやアルバイトの従業員の賃金台帳にも正社員と同様の記載必須項目を記載しましょう。

ただし、パート・アルバイトが雇用期間1ヵ月未満の日雇い労働者の場合は、賃金の計算期間を記載する必要はありませんが、日雇い労働者でも賃金台帳の作成自体は必須なので注意しましょう。

3. 賃金台帳の書き方で注意すべき3つのポイント

3つのポイントを表している賃金台帳を作成するときは、法律で定められた項目を網羅する、給与明細などで代用しない、といった点に注意しましょう。以下、それぞれの注意点について詳しく解説します。

3-1.法律で決められている項目を網羅する

賃金台帳の書式は、とくに決められていません。ただし、前述のとおり労働基準法施行規則によって決められている項目は、必ず記載しなければならないため注意しましょう。

特に厚生労働省以外で公開されている賃金台帳フォーマットを利用するときは、記載すべき項目が網羅されていないケースもあるため注意が必要です。

3-2.給与明細などで代用しない

賃金台帳は、給与明細などの書類で代用することはできません。給与明細には、労働時間や残業時間といった賃金台帳に記載すべき項目が抜けているケースもあるからです。共通する項目は多いものの、別々の書類として作成し、管理しておきましょう。

3-3.賃金台帳がない場合、罰則の対象となる可能性がある

賃金台帳がない場合や適切に作成・保存されていない場合は労働基準法違反となります。労働基準法に違反すると、労働基準法第120条に定められているように、30万円以下の罰金を科される可能性があります。

賃金台帳がない場合は、ただちに必要事項を記載した賃金台帳を従業員の人数分作成しましょう。

賃金台帳がある場合でも、必要事項に抜け漏れがないか確認しましょう。また、賃金台帳作成後は、最後に記入した日から数えて5年間保存しなければなりません。2020年4月に労働基準法が改正され、賃金台帳の保存期間が3年間から5年間に延長されましたが、2022年現在は経過措置として3年間でも問題ありません。

賃金台帳は適切に作成、保存までおこなわなければならない法定帳簿なので、誤りのないように注意しましょう。

4. 賃金台帳が必要な2つのシーン

2つのポイントを表している

賃金台帳は、給与支払いにかかわる情報を記録・保管する目的以外でも、雇用保険の手続きをおこなうときや、労働基準監督署から提出を指示されたときに必要です。慌てることがないよう、随時更新していきましょう。

4-1.雇用保険の手続きをおこなうとき 

賃金台帳は、雇用保険の手続きをする際に必要となることがあります。新しい従業員を雇用したときや従業員が退職するときの手続きに必要となるため、しっかりと作成しておきましょう。そのほか、各種の助成金を申請するときに必要となるケースもあります。

4-2.労働基準監督署の調査がおこなわれるとき 

労働基準監督署による臨検監督が入るときは、賃金台帳の提出を求められるのが一般的です。臨検監督とは、労働基準法に違反していないか、過剰な労働環境になっていないか、といったことをチェックするための立ち入り検査のことです。

残業時間や休日出勤などの状況は細かく見られるため、普段から賃金台帳を整えておきましょう。是正勧告を受けた場合は、後日、再提出を求められるケースもあります。

5. 賃金台帳の書き方を理解して正しい書類を作成しよう!

腕をくんでデスクに腰かけている今回は、賃金台帳に記載すべき項目や、作成するときの注意点などについて解説しました。賃金台帳には、法律で定められた項目をすべて記載しなければなりません。

項目が抜けていると、賃金台帳として認められないため注意が必要です。賃金台帳の書き方をしっかりと理解して、適切に作成できているかを確認しましょう。

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