36協定の届け出は管轄の労働基準監督署長に郵送または窓口に提出、またはインターネット経由で電子申請する方法があります。
電子申請は24時間365日いつでも可能で、平日の日中に外出したり封筒や切手を用意する必要もないため便利です。
しかし、実際に電子申請をするにはどうすればいいのか、よくわからないという担当者もいるでしょう。
そこで本記事では、36協定を電子申請で届ける方法とその手順、メリット・デメリットについて解説します。
36協定は毎年もれなく提出しなくてはなりませんが、慣れていないと届出の記載事項や作成において踏むべき手順も分からないことが多いのではないでしょうか。
当サイトでは、そもそも36協定とは何で残業の上限規制はどうなっているかや、届出作成~提出の流れまで36協定の届出について網羅的にまとめた手順書を無料で配布しております。
これ一冊で36協定の届出に対応できますので、36協定届の対応に不安な点がある方は、ぜひこちらから「36協定の手順書」をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 36協定の3つの申請方法
36協定届の提出方法は、主に3つに分かれます。
- 労働基準監督署の窓口で提出する方法
- 郵送で提出する方法
- 電子申請で提出する方法
それぞれの提出方法について解説します。
1-1. 労働基準監督署の窓口で提出する
窓口提出は、労働基準監督署に直接36協定届を持参する方法です。
届出用紙は労働基準監督署の窓口や、厚生労働省のホームページから入手可能です。また、厚生労働省のサイトでは届出作成支援ツールも提供されています。
なお、窓口提出は平日の営業時間内のみ受け付けているため、訪問の際は事前に日程を確認することが重要です。
1-2. 郵送で提出する
36協定届を管轄の労働基準監督署に郵送する際は、36協定届の原本と控え、返送用封筒に切手を貼り、送付状を用意します。これらを整えてから郵便ポストに投函します。
重要な点として、36協定は投函日ではなく、受理された日から有効となるため、余裕を持った郵送が求められます。
1-3. 電子申請で提出する
電子申請は、政府が提供する「e-Gov」システムを利用してオンラインで手続きを行う方法です。
電子申請を利用することで、24時間いつでも申請を行うことが可能です。これにより、労働基準監督署の対応時間に縛られず、手続きを進めることができます。労働基準監督署に出向くことなく、会社内で手続きを完結できる点は大きな魅力です。
さらに、電子申請では必要な書類をデジタルで添付することができるため、物理的な郵送の手間やコストを大幅に削減できます。これにより、企業のコスト管理にも貢献します。例えば、郵送費が年間数万円に達する企業も多い中、電子申請を採用することで、その費用を大幅にカットできるでしょう。また、申請の状況をオンラインで随時確認できるため、申請後の不安も軽減されます。
ただし、電子申請には注意点もあります。申請時の添削が行われないため、記入ミスが発生しやすい点や、申請後にすぐに受理されない場合があるということを理解しておく必要があります。また、返戻された場合には未締結期間が発生することもあります。これらのポイントを念頭に置いて、スムーズな申請プロセスを進めることが重要です。
2. 36協定の電子申請は「e-Gov」を利用する
36協定の電子申請は、政府の電子版総合窓口である「e-Gov」にアクセスしておこないます。
e-Govは36協定以外の公的な申請にも対応しているため、利用方法を覚えておくと非常に便利です。
2-1. 令和3年4月から電子署名と添付書類(電子証明書)が不要に
これまでは36協定を届け出る際に電子署名が利用されていたため、添付書類として電子証明書が必要でした。
しかし、労働基準法の改正により36協定届への署名・押印が不要になったことに伴い、電子申請をおこなう場合でも添付書類が不要となりました。
2-2. 事業所で労働者代表が異なっても本社一括での届出が可能に
窓口や郵送での申請では、複数の事業所を持つ企業は各支社ごとに届け出を行う必要がありましたが、電子申請では本社がまとめて申請できます。
2021年4月からは、事業所ごとに労働者代表が異なっていても、本社一括で届出が可能になりました。これにより、手続きが簡素化され、よりスムーズに申請が行えるようになります。
本社一括での申請を行う際は、「時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届)」という特定のフォーマットを用いる必要があります。「一般条項のみ」や「特別条項付き」による申請はできませんので注意が必要です。
3. 36協定を電子申請する際の手順と流れ
ここからは実際に、36協定をe-Govで電子申請する手順を解説します。
3-1. e-Govアカウントを取得する
e-Govを初めて利用する場合は、まずe-Govアカウントを取得しましょう。
GビズIDやMicrosoftアカウントを持っている場合は、それらのIDを利用することも可能です。
e-Govアカウントを取得する場合は、仮登録でメールアドレスを入力すると、そのアドレスに本登録の案内メールが届きます。
そのメール内のURLにアクセスし、ログインに使用するパスワードを入力すれば本登録は完了です。
この際に登録したパスワードとメールアドレスは必ず覚えておきましょう。
また、e-Govアカウントを利用する際は、2要素認証または追加認証が必要です。
2要素認証は専用アプリをスマートフォンなどにダウンロードすると表示される6桁の数字で認証するもので、追加認証はあらかじめ秘密の問題と答えを登録して認証するものです。
どちらの場合も初回ログイン時に設定が必要です。
3-2. e-Gov電子申請アプリケーションをインストールする
電子申請には専用のアプリのインストールが必須です。
Windows版とMacOS版があり、申請に使用するPCのOSに合わせたものをインストールしてください。
アプリのインストール前に、必要に応じてポップアップロック解除などブラウザの設定を行います。
3-3. マイページにログインする
インストールが終わったらアプリを起動させ、1で作成したアカウントもしくはGビズIDやMicrosoftアカウントを入力してマイページにログインします。
3-4. 36協定届を選択して必要事項を入力する
マイページにある手続検索で「36協定届」を選択して申請書入力フォームを表示させたら、必要事項を入力します。
検索時にブックマーク登録もしておくと、次回申請時にすぐに入力をおこなうことができるので便利です。
入力中に中断する場合は「一時保存して中断」をクリックすると、それまで入力していた内容は保存されます。一時保存されたデータはマイページで確認できます。
3-5. 提出ボタンをクリックして完了
入力が完了したら、提出ボタンをクリックします。
4. 36協定の電子申請における3つのメリット
36協定を電子申請するメリットは以下の3つがあげられます。
4-1. 郵送の手間やコストがかからない
36協定の申請は郵送でも可能ですが、36協定締結日までに受理されなければ法律上残業を命じられません。そのため、特定記録郵便や簡易書留など配達記録を残せる郵送方法を選ぶケースがほとんどです。書類を用意して封筒に入れ、宛名を書いて、郵便局へ出しに行く手間もかかります。
また、郵送や窓口提出では書類が2部ずつ必要です。1部は会社用の控えになるのでコピーで問題ありませんが、写しを作成する手間もかかります。
電子申請であれば、そうした手間や金銭的なコストはかかりません。
4-2. 窓口の受付時間を気にせずに申請できる
36協定の届け出を窓口提出でおこなう場合、労働基準監督署の開庁時間内に提出する必要があります。平日の9時〜17時と時間的な制限もあり、交通費もかかります。
提出を予定していた日に突発的な業務が発生してしまう可能性もあるでしょう。
一方、e-Govによる電子申請であれば、24時間365日申請することが可能です。窓口に出向く時間をほかの業務にあてることで、業務の効率化にもつながります。
4-3. 途中保存や申請状況の確認ができる
電子申請でも途中で保存すれば、そこから再開して記入することが可能です。申請する時間がまとめて取れない場合でも、少しずつ記入を進めることができます。さらに、修正も簡単に何度でもできるため、書き損じの心配がありません。
また、申請後の手続き処理状況はスマートフォンからも確認できます。メッセージ通知で確認することができるので非常に便利です。
5. 36協定の電子申請における3つのデメリット
一方で36協定を電子申請する際のデメリットは次のとおりです。
5-1. 申請時の添削がないためミスが発生しやすい
電子申請の場合、いつでも申請することが可能ですが、窓口提出のように記入内容の添削はおこなわれません。
そのため、記載ミスがあっても気づかずに提出してしまい、再申請が発生する可能性が高まります。
5-2. 申請してもすぐには受理されない
電子申請の場合、申請した曜日や時間によっては、受理が完了するまでに時間がかかります。
窓口のように提出時に添削後、問題がなければそのまま受理されるわけではありません。
また、電子申請の需要は増加傾向にあるため、とくに年度末の繁忙期などには、通常よりも受理されるまで時間がかかる可能性があります。
そのため、36協定を電子申請で届け出る際には、起算日に余裕を持って対応することをおすすめします。
5-3. 返戻の場合は未締結期間が発生する
電子申請の場合でも、窓口での提出と同様、内容に不備がなければ申請した日に受理が完了します。
ただし、返戻が発生してしまった場合は、初回の申請日に受付することはできません。
予定していた起算日から有効な36協定を締結できないケースが発生するので、注意しておきましょう。
6. 36協定届は電子申請に切り替えるのがおすすめ
36協定の届出方法には、郵送や窓口での提出だけでなく、24時間365日いつでも申請可能な電子申請があります。複数の事業所を有する企業の場合、電子申請であれば本社一括申請ができるため非常に便利です。
面倒な電子署名・電子証明書の添付が不要になった今こそ、36協定の電子申請への切り替えがおすすめです。
36協定は毎年もれなく提出しなくてはなりませんが、慣れていないと届出の記載事項や作成において踏むべき手順も分からないことが多いのではないでしょうか。
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