インドネシア人を採用しようと思っても、なかなかうまくいかず、人材の採用に悩んでいる日系企業は多いはずです。今回は、そんな皆様のために“インドネシア人を採用する時のポイント”をまとめました。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
インドネシア人の採用を成功させる4つのポイント
1.採用対象を明確にする
インドネシア人の採用がうまくいかない企業には、ある共通点があります。それは、『良い人材がいたら採用する』というように、抽象的な採用計画しかないことです。良い人材とは、どんな人材なのか?具体的に条件や理想もなく人材紹介会社に相談しても、おそらく時間の無駄になってしまうでしょう。そのため、自社の事業内容・今いるメンバーの現状を踏まえ、期待する言語スキルレベルと業務スキルレベルは、ある程度明確にしておきましょう。
2.管理職の採用に力を入れる
インドネシア人の採用で、最も重要なのは、マネージメントできる管理職をひとり採用することです。マネージメントできる管理職には、日本語ができることよりも、日本企業の文化や働き方に理解がある人材を採用することをおすすめします。というのも、そういった管理職のローカルスタッフが社内で採用を担当すると、母国語同士で話すことができ、入社後の他の従業員とのミスマッチも防ぐことができます。
そのため、ただ、日本語ができて、現地に顔が利くというような理由だけで採用してしまうと、あとで大きな苦労をすること間違いなしです。管理職候補の方とは、長い付き合いになります。入社後、彼 / 彼女に、どんなことを求めるのか、ある程度はっきりさせてから面接等に望みましょう。
3.住所や通勤手段はしっかり確認する
採用面接をする際には、年齢、性別、現住所、納税番号の有り無し、通勤手段、宗教など、細かい点まで確認するようにしましょう。特に通勤手段は、意外と大事です。日本では、さほど気になりませんが、インドネシアでは渋滞やデモで、出社できないことは多々あります。そのためできるだけ勤務地の近くに住んでいる人を採用した方が良いでしょう。
また、地方によっては、全社員のうち大半が地域在住の方でないといけない等の決まりがある場合もありますので、採用活動をする前に、地域のルールを確認しておきましょう。
4.推薦がある人を採用するようにする
インドネシア人に求めるスキルが高すぎても、実際にそれどおり働いてくれる人はあまり多くありません。採用面接では、良いと思った人でも、実際に働いてみたら、全然だったということは少なくありません。実際に働いてみないと、評価できないことが多いので、人物面や性格面を重視した採用になる傾向があります。インドネシア人の採用でおすすめなのは、推薦書がある人を採用するということです。具体的には、大学の教授や、既に働いている社員の推薦があったら、その人を採用した方が良いでしょう。
※転職活動時に、就労中の方の場合は、推薦書の発行を人事部に依頼すると、転職懸念がばれてしまう可能性があるため、推薦書の用意ができない可能性があります。
※推薦書は、インドネシア語で、”Surat Rekomendasi”といいます。
インドネシア人の採用における注意点
1.履歴書や職務経歴書はあてにならない
採用活動を開始し、インターネット、もしくは知り合い経由で求人の話をすれば、すぐに何人か応募があるでしょう。その際、まずは履歴書や職務経歴書を提出してもらって、書類選考をするのが一般的ですが、注意が必要です。
というのも、下記のようなことが起きてしまうケースがあります。
資格をもっていないものの、記載している場合がある。
面接時に、資格に書いてあるものの、証明書があるかどうかを確認してみてください。
英文の履歴書で応募がきていたものの、いざ直接話すと英語での会話が難しい。
インドネシア語だけでなく、英文でも書類を作成し、ExcelやWordで見やすく作って提出しているものの、実際は友人に履歴書や職務経歴書作ってもらっているなんてケースは少なくありません。そのため、実際に会って話をしてみないとわからないケースが多数あります。
履歴書・職務経歴書の書類選考のみで判断をするのは、大きな痛手になりますので参考程度にし、実際に会って話をしてから、最終判断をするようにしましょう。
2.面接を設定しても、面接当日に来ないことがある
日本ではなかなか考えられないのですが、インドネシアでは採用面接の約束をしても、指定の日時に来ない応募者が多いです。採用面接の日時を決めるときには、携帯番号をしっかり聞いておいて、前日に面接の日時を再確認するなど、しておいた方が良いでしょう。インドネシア人は、働く気がなくても、自分の経験とあう、給与のあがる求人があればどんどん応募してしまう傾向がありますので、応募があったからといって気を緩めないようにしましょう。
インドネシアで仕事をするとなると、一緒に働く大半は、インドネシア人スタッフとなります。日本で日本の常識をベースに仕事をしていたのと動揺、インドネシア人の仕事に対する姿勢や生活スタイルを理解したうえで、現地の人たちのペースをつかんで効率的に仕事を進めていくことが大切になってきます。
インドネシア人の性格
1. 仕事以上に、宗教・家庭を大事にする。
とにかく家族愛の強いインドネシア人は、携帯の待ち受け画面だけでなく、SNSのアカウントの写真までも家族写真。残業が続いて、子供が起きている時間に帰れないから、転職をする、という人も多いです。
また多宗教国家なインドネシアにはたくさんの宗教の人がいます。それぞれの祝日はすべてお休みにはなりますが、シフト制の業務がある場合は、宗教の考え方も含めて設定するようにしましょう。
2. 怒られることになれていない。
インドネシアでは親が子供を叱る習慣があまりなく、インドネシア人は人前で叱られることに慣れていません。また、人前で感情をあらわにして怒るという行為自体が、恥ずかしいことと考えられています。そのため、仕事を教えるときはできることから少しずつ、細かいゴールを設定して「積み上げていく方式」 をとるようにするとよいでしょう。注意をするときも人前では行わず、1対1の状況で行うように配慮することで、相手のインドネシア人との関係が悪化しないようにすることへと繋がります。
3. のんびりしていていマイペース。時間を守るのが苦手。
Jam karet(ジャム カレット)「ゴムの時間=時間は伸びるもの」という概念・言葉があり、例えば日本の会社で普通に行われている「5分前行動」も、インドネシアでは期待できません。そのためスケジューリングには余裕を持つことが大切です。またアポイント等での訪問の際は、前日、当日と担当者にリマインドをしてから訪れることをお勧めします。
4. 困っている人をほっておけない、やさしい。
Gotong Royong(ゴトン・ロヨン)「自分が持っているもので相手を助ける / 相互扶助の精神」という言葉があるように、誰か一人が競争に勝つのではなく、皆が平等に暮らしていけることこそがインドネシアの人々の理想なのです。そのため、強く言うべきところでも言えず、溜め込んでしまう面もあるので、まめに、「最近どう?」と声をかけてあげるのがいいかもしれません。
インドネシア人のキャリア感・仕事に対する姿勢
1. 仕事よりも家庭・宗教に優先度が高く、時間をかけている。
中には、家庭よりもキャリアアップを重視されている方もおり、そういった方は自身の携われる範囲・決定権の多さを重視されます。また、そういった方の多くは、コスというアパートにて1人暮らしをされている方が多いです。
2. 同じ職場環境で働く人たちに影響を受けやすい性質がある。
インドネシアは、同じ職場環境で働く人たちに影響を受けやすい性質もあります。ポジティブな職場環境を作れば、ポジティブな影響を受けあいますし、文句ばかり言っているネガティブな環境を作れば、一緒になってネガティブになる状況を生み出してしまいます。
3. インドネシアでは目上の人を敬い、上下関係を大切にする風習がある。
年功序列の考え方が浸透しており、上司に不満があったとしても、日本のように職場で強く意見をぶつける人は、まずいないでしょう。インドネシアには「Asal Bapak Senang(アサル・バパ・スナン)」という言葉があり、日本語で「ボスが喜ぶように」という思想が根付いています。問題があれば自分たちでできる限りのことをして、ボスの期待に応えるというような意味もあるようです。それだけ、上司の威厳は絶大なのです。
逆にボスに怒られたくない、と、下記のようなケースに陥ってしまうこともあります。
- 実行できないようなことも、「OK~~」と乗り切ってしまう。
- ボスには良い話しか報告しない(トラブルなどの悪い話は同僚間で解決もしくは放置)
そういう状況にならないよう、“報告・連絡・相談“が、社内で徹底できるようにしましょう。
とはいえ、インドネシア人にとっては、なじみのない言葉・行動です。そのため、こういう行動を含めた日本企業の文化が浸透するよう、常に気にかけ、声をかけることからはじめるのがいいかもしれません。
4. インドネシア人の従業員は「自分の担当業務の仕事をする」という認識が強い。
インドネシアの従業員は「これが自分の業務」という意識が強いです。つまり、“言われたことを100%やることは得意“です。そのため、自分の担当業務さえ終わってしまえば、まだ就業時間内であったとしても、他にすべき事を探さずに過ごす社員も少なくありません。日本人の担当している業務が一旦終わり、手持無沙汰になってしまった場合、何か他にできること探して仕事をすることが多いのとはだいぶ違いますね。
5. 副業は、当たり前。
インドネシアの人の大半は、会社員でも公務員でも副業をいくつか持っています。田舎の人ならば、近くの工場に勤めながら農業をやっていたり、週末や休日だけ漁師になったり、ココナッツの実を都市に売りに行ったりするような人もいます。
都市部だと、ご主人は勤めながら奥さんと小さな食堂や雑貨店を経営するケースもあります。また、街中であっても牛や鶏などを飼い、食材生産者である人もいます。
最近ではオンライン・バイクタクシーなどの新しい副業が流行っていて、早朝・就業後、また休日に、マイペースで副収入を稼ぎます。
とはいえ、日系企業によっては、副業が禁止のところもあるかと思います。その場合は、選考段階で、直接確認・説明をしておく必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?インドネシアは、人口も多く、今後の経済成長も期待できる国です。
そんなインドネシアで働くわたしたちは、インドネシア人にとっては、外国人です。
外国人である私たちが、この地で一緒に働くためには、日本の考え方に固執されるのではなく、彼/彼女らの性格、文化背景、国民性や宗教を理解した上で、歩み寄ることが必要なのではないでしょうか。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。