「雇用調整助成金」各企業での制度活用はなぜ進まないのか? |HR NOTE

「雇用調整助成金」各企業での制度活用はなぜ進まないのか?| HRNOTE

「雇用調整助成金」各企業での制度活用はなぜ進まないのか?

新型コロナウイルスの感染拡大により注目の集まる雇用調整助成金制度。新型コロナウイルスの影響により業績の落ちてしまった企業にとって、重要な資金源の一つです。

しかし、制度の運用には課題が大きな課題があり、実際には活用がなかなか進んでいません。本記事では、雇用調整助成金制度が抱える課題や政府の動きについて解説します。

「雇用調整助成金」とは
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものです。
新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、支給対象となる事業主や助成率など、多くの拡充措置が図られています。

【参照】雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省

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2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
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雇用調整助成金に関わる政府の動き

緊急事態宣言の発令により、多くの企業が休業を余儀なくされています。

休業状態にある企業は労働者に休業手当を支払わなければなりません。しかし、売り上げの見通しが立たない中で手元の資金が枯渇すれば、企業は倒産し、労働者の雇用を維持することができません。

そのため、政府は雇用調整助成金制度の更なる拡充により、資金繰りに困る企業の救済を図っています。

政府の具体的な拡充策

2020年5月14日、政府は雇用調整助成金の拡充策を第2次補正予算案に盛り込む方針を説明し、関係各所との調整に入りました。
新型コロナウイルスの影響により売上が減少した企業が労働者を1人も解雇しなかった場合、助成金の日額上限を1人当たり8,330円から約1,4,000~15,000円に引き上げることが検討されています。
また、企業によって休業手当が受け取れない労働者がいることも考慮し、労働者が直接申請でき、直接給付金を受給できる新たな制度も創設案も公表しています。

雇用調整助成金制度の課題

以上のように雇用調整助成金制度の拡充が進む中、運用面における課題も浮かび上がっています。

<1>
申請項目や必要書類がとても多い

本制度が抱える最も大きな課題は、申請項目が多いため準備に多くの工数が掛かってしまうことです。

制度改正により手続きの簡素化が進んではいますが、労務管理を書面でおこなっていない中小企業などにとっては多くの労力が必要となるため、申請に時間が掛かる、または申請を諦めてしまうケースも出てきています。

申請項目が多くなっている背景には不正な受給を避ける狙いがありますが、今回のように給付を迅速におこなわなければならない中では、手続きの更なる簡素化が求められています。

<2>
助成金申請の対応に時間が掛かる

2つ目の課題は、助成金の受給までにかなり多くの時間が掛かることです。

この要因としては、「前述のように申請項目が多く手続きが複雑であること」「窓口での対応しか受け付けていなかったこと」「単純に対応に必要な人材のマンパワー不足」などが挙げられます。

多くの企業は足元の資金繰りができずに困窮している状態であるため、助成金をすぐに受給できる環境を構築することが求められています。

「ドイツの事例」は運用面で見習う部分がある!?
日本の雇用調整助成金の活用を進める際に参考となる事例として、よく似た制度が運用されているドイツの事例が取り上げられています。
ドイツの場合、申請に必要な資料はたったの2ページで、すでにオンライン申請も可能であるとのこと。日本でもドイツのような素早い対応が求められています。

まとめ|失業者の増加を防ぐために

2020年 5月20日、雇用調整助成金のオンライン申請が開始される予定でしたが、システムの不具合により延期を余儀なくされました。

政府は手続きの簡略化やマンパワーの補充を公言しているものの、実態としては対応が後ろ倒しになってしまっています。

このような運用面の課題が残る状態では制度の活用が進まず、労働者の失業を防ぐこともできなくなってしまいます。

各企業に素早く助成金を支給できるように、政府の柔軟な対応が求められています。

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