2018年1月に厚生労働省が副業を「原則禁止」から「原則容認」しました。これにより、今後副業をする従業員は年々増加しており、また副業を許可する企業も多くなってきています。
副業をする従業員の労働時間や健康の管理、情報漏えいや企業秘密の保持などの課題があるため、副業をすることに対してマイナスイメージを持つ企業もまだ多く存在しています。そのため、副業を勤務先企業に伏せておこなっている場合も多いようです。
今回、企業向けの副業事前申請ソフト「フクスケ」を提供している株式会社フクスケは、勤務先に伏せて副業をしている「伏業」の実態を調査し、その結果を2019年10月29日に発表しました。
調査概要
調査時期 | 2019年9月3日~9月30日 |
調査方法 | インターネット調査法 |
調査対象 | 全国の会社員(22歳~45歳) |
回答人数 | 600人 |
調査機関 | 株式会社フクスケ |
調査項目は、次の通りです。
-会社の許可をとらず副業(伏業)をした経験はありますか?
-自社の副業リスク(労務支障、就業避止など)を事前に知りたい
2.各社の副業管理状況
-あなたの会社は副業を解禁していますか?
-(解禁している会社)副業には事前申請が必要
-副業申請法方法を教えてください。
3.副業可否の現状
-事前申請をしたが許可が下りなかった経験はありますか?
-許可が下りなかった原因はなんですか?
調査結果
1.伏業者の実態
伏業経験者は全体の26%
伏業を経験したことがあると回答した従業員は、全体の26%になりました。約4分の1の従業員が伏業を経験したことがあると回答しており、各社においても副業の実態を把握が非常に困難であることが伺えます。
自身の副業リスク(労務支障、就業避止など)を事前に知りたい人は多い
自身の副業リスクについて事前に知りたい人は、全体の76%と非常に高い値となりました。多くの人が、「副業をすることで会社とトラブルになることを防ぎたい」と考えていることがわかります。
2.各社の副業管理状況
副業を解禁している企業は46%
副業を解禁している企業は、全体の46%になりました。約半数の企業が副業を解禁しており、この数値はこれから伸びていくことが予想されます。
副業をする際に事前申請が必要な企業は51%
副業を解禁している企業のうち、約半数の51%の企業で何かしらの事前申請が必須となっています。また、申請方法としては専用フォームを利用することが一般的であるようです。
3.副業可否の現状
約2割の従業員が副業申請を許可されなかったと回答
副業申請を必要としている企業において、副業申請が許可されなかった割合は約2割となりました。
副業申請が必要な企業では、実際には副業申請の約8割は許可が下りており、あまり伏業をする従業員はいないことが考えられます。
反対に、副業申請を必要としない企業においては、伏業をする従業員が一定数いることが考えられます。
許可が下りない原因は「労務提供上の支障」「競業避止」
副業の許可が下りなかった理由としては、「労務提供上の支障」や「競業避止」などがあげられました。
副業をする際には、企業側と従業員側でこれらについて事前にチェックしておく必要があることがわかります。
副業の実態を掴むために
企業の規模や業界によって、副業の解禁状況は異なります。そのため、副業の実態については、従業員側・企業側の双方からデータを取る必要があります。
(今回の調査では、従業員規模が501名以上の企業に勤める従業員が37%、150~500名の企業に勤める従業員が21%、150名未満の企業に勤める従業員が43%と、バランスよく分布しています。)
また、厚生労働省は副業を推奨する「モデル就業規則」を設定しています。従業員にとって、このモデル就業規則の認知度は高くないため、副業に対する情報のギャップが生まれてしまっている可能性もあります。
従業員に副業についての適切な情報を提供することも必要になってくるでしょう。
まとめ
副業を解禁している企業においては、副業者に対して一定の労務チェックがすでにおこなわれています。しかし、副業を解禁していない企業では、その体制がまだ整備されていないことがあるかもしれません。
たとえ副業を禁止していたとしても、「伏業」として企業に隠れて副業をおこなっている従業員がいることが、今回の調査では明らかになりました。
企業側は副業の実態を把握しにくい現状が存在しています。しかし、伏業は「競業避止」だけでなく、「情報漏えいなどのリスク」にも繋がりかねません。
今後は、従業員とのコミュニケーションをしっかり取りながら、副業者の管理をうまくおこなっていく必要があります。