日本経済連団体連合会は9月17日、「2019 年労働時間等実態調査 集計結果」を発表しました。
本記事では、調査の結果をまとめましたのでお伝えします。
1|調査の概要
- 調査項目:「労働者の労働時間ならびに休暇の取得状況」「生産性向上のためのテクノロジー活用状況」「長時間労働につながる慣行への対策状況」等
- 調査時期:2019年4月2日から5月17日
- 調査対象:経団連会員企業、非会員企業
- 回答企業数:276社(対象労働者1,233,246人)
回答企業の内訳は、「製造業」が38.4%で「非製造業」が61.6%と製造業が多く、従業員規模の割合は「1000~5000人未満」が39%ともっとも多くなっています。
また、回答企業の「人手不足に対する所感」は、60%の企業が人手不足を感じるという状況でした。
2|調査の結果
調査の結果、一般労働者の総実労働時間は、過去3年間、全体で2,008時間(2016年)、1,999時間(2017年)、1,998時間(2018年)と減少傾向にあることがわかりました。
また、時間外労働時間も年々減少傾向にあることが明らかになりました。
従業員規模別にみると、各年ともに従業員5,000人以上の企業において総実労働時間が最も短いという結果になりました。5,000人以上の企業では、2016年が1,991時間、2017年が1,984時間、2018年が1,983時間でした。
全体としては、300人以上1,000人未満の企業を除き、減少傾向にあります。
女性比率の高い上位50社の総実労働時間をみると、それぞれの年で全体平均より短くなっており、2016年が1,984時間、2017年が1,974時間、2018年が1,974時間となりました。
また、年間総実労働時間の分布をみると、全労働者の60.5%の年間平均総労働時間は2,000時間未満でした。そのうち、1,800時間未満の労働者も19.9%を占めています。
いっぽうで、非製造業では2,400時間以上の労働者が8.9%とやや高めの結果となりました。
【平均年間総実労働時間の分布】
平均年間総実労働時間 | 全体の割合 |
1,800時間未満 | 19.9% |
1,800~2,000時間未満 | 40.6% |
2,000~2,200時間未満 | 27.3% |
2,200~2,400時間未満 | 7.4% |
2,400時間以上 | 4.8% |
【平均年間総実労働時間の分布 製造業・非製造業別】
平均年間総実労働時間 | 製造業 | 非製造業 |
1,800時間未満 | 19.3% | 27.3% |
1,800~2,000時間未満 | 30.7% | 30.4% |
2,000~2,200時間未満 | 30.5% | 21.2% |
2,200~2,400時間未満 | 15.5% | 12.3% |
2,400時間以上 | 3.9% | 8.9% |
時間外労働時間(年間)は2016年が237時間、2017年が226時間、2018年が223時間と年々減少傾向にあります。非製造業は製造業と比較し、時間外労働が短い傾向がありました。
【平均時間外労働時間】
平均時間外労働時間 | 全体 | 製造業 | 非製造業 |
2016年 | 237時間 | 255時間 | 208時間 |
2017年 | 226時間 | 246時間 | 197時間 |
2018年 | 223時間 | 241時間 | 198時間 |
年次有給休暇の取得率は2016年が62.9%、2017年が67.5%、2018年が70.4%となっており、年休取得率は上昇傾向にあります。
製造業・非製造業ともに年休取得率は増加傾向にあるが、製造業の方が年休取得率が高い結果となりました。
従業員規模別にみると、従業員数が多いほど取得率が高くなり、最も高い5000人以上の企業の年休取得率は75.1%に上ります。
直近3年間の推移をみると、ほとんどの従業員規模の企業で年休取得率が上昇傾向にありました。
3|今後は
調査の結果から、年々残業時間は減少しており、有給休暇の取得率は上がっていることがわかりました。
政府が働き方改革を提唱し、企業の労働時間に対する意識が変化してきているのかもしれません。
今後は、働き方改革関連法が順次施行されていくため、従業員が働きやすい環境が整備されていくのではないでしょうか。