マインドセットとは?目的や種類、実践的な研修方法もご紹介

マインドセットという言葉自体は知っているものの、「社員を適切にマインドセットするにはどうすればよいか」「どのように研修に取り入れるか」と悩んでいる人事担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、マインドセットの意味や目的を解説し、組織の成長やビジネスの成果を上げるためのマインドセットを身に着けるための研修方法をご紹介します。

1,マインドセットとは

マインドセットとは、経験や教育、生まれた時代背景、先天的な性質などから形成される物事の見方や考え方を指す言葉です。

信念や心構え、価値観、判断基準、あるいは暗黙の了解や無意識の思い込み、陥りやすい思考回路といったものもこれに含まれます。

つまり、マインドセットとは、無意識の思考傾向を表すものです。

例えば、子供が勉強でわからない問題があったとき、「理解できるまで何度も復習をすることが習慣化している」ということもマインドセットにあたります。

1-1,マインドセットの種類

マインドセットには、以下のような種類があります。

「成長マインドセット」と「硬直マインドセット」

心理学では、マインドセットをプラスの影響を与える「成長マインドセット」と、マイナスの影響を与える「硬直マインドセット」の2つに分けて、考えられてます。

成長マインドセットと硬直マインドセットは、次のように定義されています。

種類 特徴
成長
マインドセット

・能力は、自分の努力次第で成長していけるという考え方
・「しなやかマインドセット」ともいわれていれている
・挑戦する、努力する、失敗から学ぶなどの特徴がある

硬直
マインドセット

・能力は一定であり、努力によっても変わらないという考え方
・挑戦しない、学習しない、失敗を恐れるなどの特徴がある

 

この2つのマインドセットを比べると、成長マインドセットは「努力をすれば成長をできる」、硬直マインドセットは「努力しても変わらない」という考えをもっている、と整理できます。

「個人のマインドセット」と「企業のマインドセット」

マインドセットには、個人の思考傾向である「個人のマインドセット」と組織の思考傾向である「企業のマインドセット」にも分けて考えられています。

種類 特徴
個人の
マインドセット
経験や信念などから形成される個人そのものが持つ思考傾向
企業の
マインドセット

企業理念、経営戦略、組織文化、社風、行動規範などから形成される思考傾向

個人のマインドセット

個人のマインドセットとは、その人の経験や信念、生まれた時代背景などから形成される、個人そのものが持つ思考傾向を意味します。

また、前述した成長マインドセットと硬直マインドセットは、いずれの一方しか持っていないということではなく、両方を持っている人が大半です。

例えば、自分の好きな分野では積極的にチャレンジしたいという成長マインドセットになり、嫌いな分野は消極的で硬直マインドセットなる、といった人です。

企業のマインドセット

企業のマインドセットは、企業理念や行動規範から形成され、社風という形で表されています。

例えば、社員にモチベーションを上げてもらうため、「アニバーサリー休暇を1週間与えよう」と考えたとき、A社とB社は社風からそれぞれ次のようにアニバーサリー休暇を捉えました。

企業マインドセットの違いによる「アニバーサリー休暇」の捉え方
【A社】:うちの会社は新しいことを積極的に取り入れる、もっと他にもモチベーションが上がる施策を考えよう
【B社】:うちの会社はそんな前例にないことできない、考えても無駄

この場合、A社は「成長マインドセット」B社は「硬直マインドセット」といえます。

このように、企業にも社風や組織文化といった形で、マインドセットがあります。

1-2,マインドセットの目的

個人であっても企業であっても、成長マインドセットでポジティブな思考であれば、成長するスピードは早くなります。

マインドセットの目的は、「硬直マインドセット」をいかに「成長マインドセット」に変換できるかにあります。

企業であれば、企業理念や経営戦略、行動規範などから形成されているため、マインドセットを変換させるためには、企業経営の根本から見直す必要があります。

1-3,マインドセットが求められる背景

近年はVUCAと呼ばれる時代になり、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっています。

そのため、ビジネスパーソンには、急速に置かれている環境が変化するなかで、自らで考え・学び・行動し続ける必要があります。

よって、成長マインドセットのように、自ら挑戦したり、失敗から学んだりすることができる主体的なマインドセットを身に着けることが求められるようになりました。

2,マインドセットとコーチング

「成長マインドセット」は、コーチングを始めとしてビジネス、リーダーシップ開発など、様々な分野で求められています。

例えば、部下が失敗したときに、成長マインドセットの考え方を取り入れて、「部下が自発的に改善や成長に取り組めるようにコーチングする」といったことが挙げられます。

また、心理学教授のキャロル・S・ドゥエック氏は、マインドセットをコーチングする上で、以下の2点を注意する必要があると語っています。

2-1,結果を出すためのプロセスを褒める

ドゥエック氏は、「結果を出す、あるいは学びのプロセスとしての努力を褒めましょう。努力だけではなく、戦略が大事なのです。」と語っています。

成長マインドセットを身に着けさせるには、単に「結果」や「努力」を褒めるのではなく、部下が結果を出すために、どのような戦略を立てて、何に取り組んだかを具体的に褒めることが重要になります。

2-2,人は硬直マインドセットと成長マインドセットの両方を持っている

前述したように、成長マインドセットと硬直マインドセットは、いずれの一方しか持っていないということではなく、両方を持っている人が大半です。

何かのきっかけで、成長マインドセットが硬直マインドセットになる可能性もあります。

コーチングをする人は、マインドセットを一括りにするのではなく、マインドセットが変換するきっかけを作ることが重要になります。

3,マインドセットを変換する具体的な方法

ここまで、マインドセットの種類やコーチングにおける注意点などを解説しました。

本章では、実際に研修や教育方法でマインドセットを変換するためにはどうすればよいのか、具体的な実践方法についてご紹介します。

3-1,マインドセット研修の実践方法

①根付かせたいマインドセットを決める

まずは、自社で根付かせたいマインドセットを明確にする必要があります。

具体的には、自社で高い成果を上げている社員が持っている成長マインドセットを分析すると効果的です。

その社員が持っている成長マインドセットをベースにすることで、自社が根付かせたいマインドセットが明確に定義できるでしょう。

②研修時期・研修対象を決める

新入社員研修、管理職研修、海外赴任研修など、環境が変わるときにマインドセット研修をおこなうことが効果的です。

特に、新入社員は実際に働き始める前段階のため、新入社員研修で、自社で定義したマインドセットを根付かせることが重要になります。

③研修の流れを決める

次に、研修の流れを決める必要があります。

研修では、会社が根付かせたいマインドセットと社員自身のマインドセットのギャップを認識させます。

ギャップを認識させることによって、ギャップを埋めるための目標を設定し、どのように取り組むかを明確化することが重要です。

研修の流れの具体例
1,会社が定義したマインドセットを理解させる
2,社員自身のマインドセットを理解させる
3,会社が定義したマインドセットと社員自身のマインドセットのギャップを認知させる
4,マインドセットをどのように変換させるかなど目標を設定する

3-2,マインドセット研修の具体例

本章では、実際にマインドセット研修を実施した会社の具体例をご紹介します。

①サントリー食品インターナショナル株式会社

サントリーグループには「やってみなはれ」という言葉があります。

これは、サントリーの創業者である鳥井信治郎氏の口癖で、「やってみよう。やってみなければわからない。」という意味です。

しかし、実際には職場の中核を担う中堅世代ほど、日常の仕事に手一杯になり、新しいことにチャレンジする時間が作れなくなっていました。

そこで、サントリー食品インターナショナル株式会社では、あえて業務から離れて、立ち止まって考える時間が必要だと思い、集合研修の機会を設けました。

研修期間は、部課長クラスが2泊3日の3日間、通常業務から離れて研修をおこないました。

研修では、普段関わりが少ない同世代と答えが決まっていない課題と向き合い、意見交換する場を設けました。

またこの研修のゴールを、自分はどうしたいかを見つけるキッカケを作り、研修後に活動を続けるプロジェクトを立ち上げると定義し、実際に研修で発案された3つの意見がプロジェクト化されました。

研修後におこなった意識調査では、一番高い上昇率が記録され、「支社を良くする会」が立ち上がるなど、社員の自発的な動きにつながりました。

②株式会社アシックス

株式会社アシックスは、これまで実施していた新入社員研修で、会社に関する多くの情報を新入社員にインプットしていました。

しかし、新入社員が受身の姿勢になってしまい、インプットさせた情報が定着していないという課題を抱えていました。

同社は、Philosophy・Vision・Valueをまとめた「ASICS SPIRIT」を設定しています。

研修では、社員1人ひとりがSPIRITを体現し、「自ら考える。仕事を楽しむ。何事も主体的に取り組む。」といったマインドセットを育成したいと考えていました。

そこで、新入社員研修をアウトプットとPDCAを重視する研修内容に変更しました。

具体例には、独自でPDCAシートを作成し、3ヶ月の研修中、毎日グループで振返りを実施しました。

同社の社員は「毎日必ず時間を取ることで、その日のことを振返ることができるため、毎日気付きを得ることができた」と語っています。

また、新入社員がワークをしている近くで相談出来る人を配置するなど、コミュニケーションのフォロー体制を手厚くしました。

これにより、研修でしっかりメリハリができ、新入社員は緊張感を持って真剣に取り組みました。

4,マインドセットをおこなう上での注意点

前章で紹介したように、マインドセット研修をおこなうことによって、研修がきっかけで社員のマインドセットが変換されます。

しかし、研修を実施すれば社員のマインドセットが変換されるわけではありません。

そこで本章では、マインドセットをおこなう上での注意点を解説します。

4-1,役職別にマインドセット研修を実施する

前述したように、マインドセット研修を役職別におこなうことで、成長マインドセットを社員に根付かせることができます。

マインドセットは役職によって、変換する要因が大きく異なります。

新入社員には、入社時に自社が定義したマインドセットを根付かせて長期的な成長を図り、管理職などの中堅層には、部下にコーチングをする上で必要なマインドセットを育成することが重要です。

特に、中堅層に成長マインドセットを育成することは、組織形成の中で重要になってきます。

新入社員研修で成長マインドセットを身に着けさせるために注力しても、中堅層が硬直マインドセットでコーチングすることにより、新入社員の成長を止めてしまうこと可能性があるので注意が必要です。

4-2,マインドセットを組織に定着させるには

新入社員に成長マインドセットを身に着けさせるには、小さな成功体験を積ませることが重要です。

まず、小さな目標を達成していき、徐々に大きな目標が達成できるようにPDCAサイクルを回していくことが定着のポイントです。

また、マインドセット研修では、短時間で研修を実施するだけでは不十分です。

3章の事例で紹介したように、サントリー食品インターナショナル株式会社は部課長クラスに3日間、株式会社アシックスは3ヶ月の間研修を実施しています。

このように、マインドセット研修では、長い期間をかけて育成する必要があります。

5,まとめ

社員に「成長マインドセット」を身に着けることによって、自ら進んで努力し続けることができます。

しかし、硬直マインドセットから成長マインドセットに変換するためには、きっかけが必要です

そのため、本記事を参考に、自社の成長マインドセットを定義し、それを根付かせるために役職別の研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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