炭治郎から学ぶ10,000時間の法則『鬼滅の刃×キャリア論』#2

【執筆者】川内 正直 | 株式会社リンクアンドモチベーション 取締役

2003年早稲田大学卒業後、 (株)リンクアンドモチべーションへ入社。採用、育成、人事制度構築、経営ビジョン策定・浸透プロジェクト推進と、一貫して組織課題の解決に向けたコンサルティング業務に従事。2010年に大手企業向けコンサルティング事業の執行役に就任し、2018年に取締役就任。現在は、組織開発本部にてコンサルティング・クラウド部門を統括。

「『鬼滅の刃』には、キャリアにおける大切な考え方が詰まっている」と力説するのは、株式会社リンクアンドモチベーションで取締役を務める川内正直さん。

そんな川内さんとの『鬼滅の刃×キャリア論』連載企画第二弾のテーマは

「若手社員の成長」

成長したいと悩む若手社員は多いが、どのような事を意識すればよいのでしょうか。

今回も『鬼滅の刃』の名場面を振り返りながら、若手時代に大事にしてほしい考え方をお伝えしていきます。

一人前になるために必要な10,000時間

「速く成長したい」という気持ちを持っておくことはとても重要なのですが、若手のうちは「強い土台をつくること」を意識してほしいと思っています。

炭治郎も、鬼殺隊の最終選別までの間、鱗滝(うろこだき)さんのもとでの修行に1年。

鱗滝さんから「もう教えることはない」と言われ、自主練習を続けること半年。

錆兎(さびと)と真菰(まこも)に出会い岩を斬れるようになるまでに半年、と計2年間かかっています。

10,000時間の法則」といって、「成功収めるには10,000時間必要だ」とよく言われますが、実は炭治郎にもこの法則が当てはまるんですよ。

炭治郎の真面目な性格と、妹である禰豆子の運命がかかっているという使命感から、最低でも寝ている時間以外の14時間は練習していたと想定します。

そうすると「1日約14時間×720日=10,080時間」。岩を斬ることができるまでに10,000時間以上費やしていたと言えます。この鍛錬があったからこそ、誰よりも硬くて大きな岩を斬ることができたのです。

若手のうちはどうしても「すぐに色んな仕事ができるようになりたい」と思ってしまいます。

しかし、「自分がすぐにできる仕事は、他の人にもすぐにできる仕事」ということです。

だからこそ、最初は正しい基礎を覚えて、難易度の高い仕事に挑戦できるだけの土台を身につけることが重要なんです。

今だと、1日8時間で週休2日、年間250日勤務だとすると、1年間で約2,000時間。10,000時間には約5年がかかる計算です。本当に一人前になるには5年くらいはかかるということです。

だからこそ、先輩や周囲と比較して「できないこと」に変に焦らずに、目の前の仕事にしっかり向き合うことを意識してほしいですね。

「わかる」と「できる」の違いを理解する

作中には、“全集中の呼吸”という鬼殺隊士(きさつたいし)たちが必須として習得する特殊な呼吸法があります。

鱗滝さんからも教えられていた“全集中の呼吸”について、錆兎からは、

「お前は知識として、それを覚えただけだ。お前の体は何も分かって無い」

と言われるシーンがあるんですが、これは「わかる」と「できる」の違いを伝えているんです。

実際に「わかる=できる」と思ってしまう多いんですよ。でも実際は「わかる」と「できる」には大きな壁があるんです。

だからこそ、覚えた知識は、即実践して身体に染み込ませていくことがとても重要です。

そして「できる」ようになるための近道はなく、「努力をするしかない」と伝えているのも『鬼滅の刃』の魅力的なところだなと思っています。

炭治郎が真菰に、全集中の呼吸について 「どうやったらできるようになるかな?」と聞いたシーンがあります。真菰は 「死ぬほど鍛える。結局、それ以外にできることないと思うよ」と答えているんですよね。

限られた時間を「濃く」過ごすことを意識して、「死ぬほど鍛える」ような感覚で仕事に臨む期間があった方が、将来のキャリアの選択肢が絶対に拡がります。

では、社会人生活のどこでその期間をつくるのか。私は、体力がある若手のうちにその期間をつくった方が良いと思っています。

炭治郎が最終選別中の錆兎と真菰の会話で「努力はどれだけしても足りないんだよ」と錆兎が言うシーンがあるのですが、最終選別をクリアできなかった錆兎が言うのでとても意味深いですよね。

記録をつける習慣が成長を加速させる

ぜひ若手の皆さんに真似をしてほしい炭治郎の習慣があるのですが、それは記録をつける習慣です。

炭治郎は、「禰豆子に向けて今日から日記をつけることにした」といって、今日の修行で何をやったか、要点は何か、など基礎的な内容を含めて記録していました。

実はこの習慣はとても大切なんです。炭治郎は、後に鱗滝さんから「もう教えることはない」と言われてしまうのですが、その際に役に立ったのがこの日記なんですよね。

実は、人間の脳は基礎的なことほど覚えていないことが多いのです。記録として残しておけば、また別日に振り返りを行うこともできます。

また、過去の記録と見比べて自身の成長を実感できるツールにもなりますし、「書く」ために日常の中から学びを得ようとする意識が高まるという効果もあります。

鱗滝さんのように、もしかすると教えてくれる人が急にいなくなるかもしれません。日記や日報など記録をつける習慣を若手のうちに身に着けてほしいと思っています。

これからの長い社会人人生を支える基盤となるのが、若手時代です。若手時代の過ごし方で、社会人としての“成長の方法”を身につけることができれば、一生役に立つスキルとなります。

焦りすぎることなく、目の前の一つ一つの業務に向き合うと共に、自分を磨く努力をし続けてほしいと思います。

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