ジョブディスクリプションの効果と作成方法|具体例も踏まえて詳しく解説(Ex-Work 馬渕) |HR NOTE

ジョブディスクリプションの効果と作成方法|具体例も踏まえて詳しく解説(Ex-Work 馬渕) |HR NOTE

ジョブディスクリプションの効果と作成方法|具体例も踏まえて詳しく解説(Ex-Work 馬渕)

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本記事は、株式会社Ex-Work(エクスワーク) 代表取締役CEO 馬渕 太一氏より寄稿いただきました。

ここ数年、よく耳にするようになったジョブ型、ジョブディスクリプション。 日立製作所、富士通、ソニーといった日本を代表する企業でも取り入れられています。

さらには、2023年6月に閣議決定された政府の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2023)にジョブ型に関する内容が多く盛り込まれており、今年中にジョブの整理・括り方を含むジョブ型の制度導入を行うためのモデルを示すと述べています。

今回はそんなジョブディスクリプションの導入効果と作成方法について、具体的な事例を交えながら詳しく解説をします。

執筆者馬渕 太一株式会社Ex-Work 代表取締役CEO

京都大学経済学部 経済・経営学科卒業。三井物産株式会社にて、化学品関連の貿易ビジネスや子会社のマネジメントを行う。その後、経営コンサルティングファーム A.T. Kearney株式会社にて、事業戦略・組織戦略立案などのプロジェクトに従事する。2020年7月に株式会社Ex-Workを創業。ジョブマネジメントクラウド「Job-Us」の提供を通じて、ジョブ型への変革を進める企業の支援を行う。

ジョブディスクリプションとは?

ジョブディスクリプションとは、ジョブ(職務)について、記載がされている文章のことです。職務記述書や、Job Descriptionの頭文字をとってJDと呼ばれることもあります。

文字通り「職務」について「記述」する「文書」のことです。その職務に対して求めるミッションや役割・責任、必要とされるコンピテンシー・スキルなどの人材要件などが記載されます。

聞き馴染みのない方は、転職サイトに掲載されている、求人票を見てみてください。求人票は、ジョブディスクリプションと同様の内容が記載されていることが多いです。(厳密には、社内用の方がより具体的な内容になっており、求人票は一般公開できるレベルに抽象化されています)

なぜ、ジョブディスクリプションが注目されているのか?

なぜ、ジョブディスクリプションが注目されているのでしょうか?

それは近年取り入れる会社がどんどん増えている「ジョブ型」と密接にかかわっています。 「ジョブ型」とは、組織運営・人事制度の仕組みのことで、企業が事業戦略達成のために必要なジョブ(職務)を定め、それぞれのジョブに対して、人を当てはめていく考え方です。

ジョブに対して人を当てはめていくため、あらかじめジョブディスクリプションを作成し、そのジョブがどのようなことをするか、定義する必要があります。

これまで日本では、新卒で会社に入社をしたら、定年までその会社に勤め上げていくことが一般的でした。

長期間同じ会社に在籍する社員がほとんどだったため、各職務内容に関しては、明文化せずとも、暗黙知的に社内で共有されていました。

しかし、最近は高度専門人材の登用、外国人採用の増加、Z世代の社会進出等により、多様な価値観を持つ社員が増えてきました。

また、リモートワークの浸透、転職市場の活性化等により、会社が求めることと、各社員の認識が必ずしも一致するとは言えなくなってきました。

そのため、会社としては、それぞれのジョブの内容を明確化し、社員に伝えることが必要になってきました。

また、冒頭にも述べた通り、岸田政権はジョブ型への変革を「待ったなし」で進めようとしており、今年中にジョブの整理・括り方を含むジョブ型の制度導入を行うためのモデルを示すとしています。

そのため、ジョブ型及びその肝となるジョブディスクリプションの重要性は今後ますます高まっていくと言えます。

ジョブディスクリプションの活用用途・目的は?

一般的に、ジョブディスクリプションの活用用途・目的は主に三つあります。それぞれの用途に応じて必要な記載内容が決まってきます。

一つ目は、事業戦略の達成に向けた、その職務における期待値の明確化です。このために、「ミッション」や「役割」等を記載します。

二つ目は、職務価値の大きさ(ジョブサイズ)の基準です。ジョブ型の人事制度では職務価値が等級や給与の基準となります。その価値を測る際の基準としてジョブディスクリプションが活用されます。このために「KPI」「成果責任」「管掌範囲」等を記載します。

三つ目は、配置・昇格・採用の基準です。このために、求められる「コンピテンシー」「スキル・能力・経験」等の人材要件を記載します。

同様に、これらをキャリアガイドとし、自発的なキャリア形成を促す目的もあります。 ジョブ型を導入しているからといって、必ずしもすべての要素を入れる必要があるわけではなく、会社ごとの活用用途・目的により、ジョブディスクリプションに記載すべき内容も異なります。

ジョブディスクリプションの具体的な内容

では、ジョブディスクリプションの具体的な内容を見ていきます。

以下は記載フォーマットになりますが、会社ごとの活用用途・目的や作成・更新に掛ける工数によっても、記載すべき内容や量は変わるため、あくまで一例となります。

では、実際にそれぞれの項目を見てみましょう。

  • ポジション名

どのポジションにおける職務内容について記載するかを明記します。

  • 現職者氏名

該当ポジションに就いている方の名前を記載します。サクセッションプランニングとして、後継者候補を記載する場合もあります。

  • レポート先

該当ポジションの上長ポジションを記載します。

  • 部下人数

管掌する組織の範囲を明確化するために部下の数を記載します。 組織規模や他ポジションとのかかわり方を理解しやすくするために、上位と下位のポジションを含めた組織図を記載する場合もあります。

  • ミッション

その職務に求めるミッションを簡潔に記載します。

  • 成果責任/KPI

その職務で達成すべき成果責任を記載します。5-7個ほど記載するのが一般的です。 合わせて、達成すべき指標としてKPIを記載することもあります。

  • 求められるコンピテンシー

コンピテンシーとは「優れた成果を創出する行動特性」のことです。 それぞれコンピテンシーの具体的な内容や求めるレベル感を記載することもあります。 事前に会社で用意したコンピテンシーリストから、特にそのポジションで求められるものを3-5つほどピックアップして記載するのが一般的です。

  • 求められるスキル・知識/経験

そのポジション就任にあたり、必要なスキル・知識や経験を記載します。 こちらもコンピテンシー同様に求めるレベル感を記載することもあります。

ジョブディスクリプションの作成・運用ポイント

続いて、ジョブディスクリプション作成・運用のポイントをお伝えします。

①項目ごとの作成ルール・フォーマットを確立する

項目ごとに、記載する個数や、記載形式(ライブラリからの選択にするか、自由記述にするかなど)を指定します。

また、自由記述形式の場合でも、「◎◎のために△△に基づき、●●として◆◆を▲▲する」などと型を作ると作成しやすく、つじつまのあったものとなります。

②上下や横の職務と比較・確認する

例えば、営業部長と営業メンバーの期待役割に「重要顧客との関係構築」が書いてあるのに、営業課長の期待役割には書かれていなかったら、組織で戦略の整合性が取れてないことになってしまいます。

また、同様に他の「課長」に人材育成に関する期待役割が書かれているのに、そのポジションにだけ書かれていなかったら整合性が取れません。よって、上下のみならず横並びで比較・確認することも重要です。

③公開範囲を明確化する

会社によっては、全社員に対して全てのジョブディスクリプションを開示するケースもあれば、ある役職以上にのみ開示するケース、所属組織内のみに開示するケースなど様々な場合があります。

まずは、開示範囲を社内で明確化しましょう。その上で、どの項目までを公開するかにも留意しましょう。

更新・メンテナンスのタイミング

ジョブディスクリプションは一回作ったら終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要になります。 特に、事業環境や戦略の変化に応じて、ポジションごとに求められる職務内容も変わっていきます。

ジョブディスクリプションの内容が実態とそぐわないものになってしまった場合、ジョブ型の制度・仕組みそのものが形骸化してしまいます。

一般的には、以下のタイミングにメンテナンスを行います。

①組織再編のタイミング

四半期に一回や、大企業等の多いところでは毎月など、組織再編が発生します。組織構造に合わせて、それぞれのポジションで求められる職務内容を見直します。

②異動のタイミング

厳密なジョブ型では就任者に応じて職務内容が変化しませんが、変革の過渡期である日本では就任者が変わったタイミングで見直しを掛けるケースも多々あります。

③半年もしくは一年にごとの定期見直し

組織再編や異動の対象にならず、期中では見直しがかからないジョブディスクリプションも発生します。それらの漏れがないように、定期的に全体を見直します。期初に見直しをして、目標設定のベースにすることもあります。

④中期経営計画策定のタイミング

中期経営計画はまさに事業戦略のグランドデザインを描くものです。それを達成するために、各ポジションで求められる職務を明確化します。

ジョブディスクリプションの作成・管理方法

現在、ジョブディスクリプションをエクセルで作成・管理をされている企業が多いですが、その場合以下のような課題が発生するケースが多々あります。

  • 作成者によって、JDの書きぶりにばらつきが生じる
  • 人事の取りまとめ・レビュー等に多大な工数が掛かる
  • 社内全体のジョブディスクリプションの比較・調整が困難
  • 他人事システムとのデータ連携に手間が掛かる
  • データ分析・活用ができない

よって、適したツールを活用すると作成・運用を効率的・効果的に行うことができます。

職務・ポジション情報の運用に特化したクラウドシステムである「ジョブマネジメント Job-Us(ジョブアス)」ではジョブディスクリプションの作成・運用において、以下のことが可能になります。

①ジョブディスクリプションの入力規則・フォーマット設定

入力規則やフォーマットを設定することで、作成者ごとのばらつきをおさえ、統一感のあるジョブディスクリプションを作成できます。

②ジョブライブラリ

職種×レベルごとのライブラリを活用することで、これまで作成経験がなかった社員の方でもジョブディスクリプションが作成できるようになります。

③比較・調整

軸や表示項目を自由に設定しながら、様々なカットで社内の職務を分析できます。 縦や横の他のジョブディスクリプションとの比較調整に活用できます。

④ジョブディスクリプションの管理・運用

自動的にバージョン管理やステータス管理がされます。また、権限設定や公開設定も可能です。煩雑なファイル管理やメールでのやりとりは不要になります。

⑤データ連携

Job-Usはご使用の人事システムの形式に合わせてデータが出力可能です。さらに、SAP SuccessFactors等のHCMとは自動連携されます。

その他にも、ポジション管理、職務評価、報酬管理、後継者計画など、ジョブ型の制度・仕組みを運用する上で欠かせない機能を備えています。

以上、少しでも記事がお役に立ちましたら幸いです。

 

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