インドネシアのIT人材採用事情|企業の成長を支えるIT人材の採用成功のポイント|HR NOTE

インドネシアのIT人材採用事情|企業の成長を支えるIT人材の採用成功のポイント|HR NOTE

インドネシアのIT人材採用事情|企業の成長を支えるIT人材の採用成功のポイント

  • 編集部より

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

インドネシアでコロナウイルスがはじめて確認された3月から6ヶ月がすぎ、いまだ猛威を振るっておりますが、社員の安全面確保のため、リモートワークに切り替えながら営業活動をされている会社も多いと思います。

この期間に従業員がオフィス外からでも勤務ができるよう、業務をクラウド上でできるよう変更したりと、社内のIT強化に力をいれた企業も多いのではないでしょうか。

今後ますますインドネシア国内においてITリテラシーに対する意識が高まることが想定される中、「自社で必要なスキルを持つ求職者を採用するにはどういう対策をとるべきなのか」PT. Reeracooen IndonesiaでIT業界専任とし、採用コンサルを行っている鈴木さんにお話をお伺いしました。

 鈴木 魁| PT. Reeracoen Indonesia ITデスク

1993年生まれ、東京出身。2017年株式会社ネオキャリアに入社後、インドに配属され新卒から拠点立ち上げメンバーとして従事。その後シンガポール拠点での就労を経て、インドネシアでの採用コンサルティングリーダーとして抜擢。インドネシア国内のITのマーケット拡大に伴い、IT専門の採用コンサルティング部署を社内で設立。

インフラが整っていないからこその「IT業界のハイスピード成長」

ITに特化した人材紹介サービスを立ち上げるまでの経緯についてお聞かせください。

私がインドネシアに赴任してきた当初、すでに約1300社以上の日系企業とのつながりがあり、ITの求人を頂くことも多々ありましたが、当時は専門デスクもなかったため、付け焼刃の知識での対応となっていました。

しかしインドネシアは人口が多いこともあり、OVODANAといったオンライン支払いサービスや配車サービスアプリなど新しいサービスがどんどん生まれ、ITを利用したサービスが発展していることを実感する機会がたくさんあります。実際、私がシンガポールから移動してきてからの1年でITに関する求人数が約20%増えました。

このように肌感だけでなく数字からも成長を感じたため、当社としても注力できる環境を作るべくIT専任デスクの設立へと至りました。

いま、ITリテラシーが多くの企業で求められている。

近年、多くの企業が注目しているIT人材のポジションとは?

最近では、ビジネスインテリジェンス・データアナリストといったポジションが増えてきています。これらは「各企業が持っている多種多様な情報」をどのように自社で最適化するかを分析し提案するポジションです。

これらの需要は非製造業だけでなく、製造業も含む幅広い業界で増えてきています。背景として製造業では近年ERPシステム(Enterprise Resource Planning(企業資源計画))を導入する企業が増えました。

ERPシステムは導入すると製造工程から在庫管理、お金の管理まで一貫することができ、あわせて様々なデータの収集が可能になります。

そのため上記のようなポジションの人材を採用することで、収集したデータを活用し業務プロセスを効率化しつつ新たなビジネスチャンスを見つけることもできるようになります。

企業のあらゆるデータを駆使するためには、企業全体でITリテラシーを高めていく必要がありますね。

そうですね。企業全体にITリテラシーがあると今までになかった視点から新たな試みに挑戦できるかもしれません。最近、日野モータースがTokopediaに公式ストアをオープンさせ、商用車の販売をはじめたことが話題になりました。

この時代に「自社の製品を相手のオフィスに売り込みに行く」営業スタイルの目的を改めて見直すべきかもしれません。
例えば、インドネシアの渋滞状況を踏まえると、おそらく1日2~3社しか回れず、就業時間の大半を移動に使うことになります。これは効果的な営業方法でしょうか。

それならばクライアントとなりうる対象を絞り、ECサイトのようなアプローチできるプラットフォームを用意することができれば、いまの営業活動から無駄な時間を省き、業務を最適化することが可能になるのではないでしょうか。

全業界においてITに関わる施策が必要になると、IT人材のニーズも増加しますね。

そうですね。リンクドインが作成している2020年における求人の成長率ランキング(昨年と比較した伸び率ランキング)によると、10位中7位がITスキルを必要としたポジションという結果があります。

  1. AI Specialist
  2. DevOps Engineer
  3. Customer Success Specialist
  4. Date scientist
  5. JavaScript Engineer
  6. Back-End Developer
  7. Business Developer Specialist
  8. Product Owner
  9. Acquisition Specialist
  10. Software Quality Engineer

もしかすると今後は、いま多くの製造業で使われているオートメーションマシンにAIのスキルが加わり、AIだけでわたしたちの業務をまかなえる時代がくるかもしれないですね。

産業発展にともなう「人材不足」を国と企業でカバー

現在のIT人材の求人数の伸びに対して、供給は十分といえる状況でしょうか。

一般的にインドネシアにおけるIT人材は2030年までに900万人不足するといわれています。これは年間で割ると約60万人が不足しているということになります。そしてこの数値はアジアの中でワースト5位以内であるといわれています。(香港、オーストラリア、日本、シンガポール、インドネシア)

インドネシアでは日々新しい製品・サービスが生まれているものの、現状技術者の数が追いついていません。私はインドネシアの教育格差が原因だと考えています。

実際インドネシアは過去15年教育改革が行われ、就業率は大幅に上昇したものの、教育の質は世界的にも最低レベルであると言われているようです。

国はこのような教育の現状を改善するための施策を実施しているのでしょうか。

最近は、インドネシアの情報通信省がさまざまな奨学金制度を設けただけではなく、AIやクラウドに関するスキルを習得できる研修機関を設立しました。このように国としてもIT業界に興味がある人たちを応援するための動きが見られるようになっています。

他にも携帯端末等で有名なアップルは、iOSアプリの開発技術者を養成する「アップル・デベロッパーアカデミー」を、東ジャワのスラバヤに無償のアカデミーを設立しました。スラバヤ拠点以外にも開校予定があり、iOSデベロッパー専門の機関とし、足りない技術者を増やそうと企業としても動きが見られるようになっています。

インドネシア情報通信省により奨学金プログラム:https://www.lpdp.kemenkeu.go.id/

アップルの養成所:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/45622.html

転職回数は、その人が乗り越えた「ミッションの数」

IT人材不足といわれる中で、採用を成功させるポイントは?

結論からいうと、社内で仕事内容とチーム・組織の目的(ミッション)を明確にし、共通認識をもつことですね。

全社員の認識が統一できていると、詳細な求人票の作成ができ、それだけで多くの応募を集めることが可能になります。また想定より多くの応募が集まったとしても、スクリーニングもスムーズに行なうことができるでしょう。

そして求人票を作成する際には、下記4つのポイントを押さえた記載があるだけで求職者の方は入社後に身につけることができるスキル・経験の具体的なイメージが持てるようになります。

  • 会社のミッション・ビジョン
  • 所属部署もしくはチームごとのミッション・ビジョン
  • 部署内の組織図
  • 個人の具体的な業務内容(ミッション)

特にIT人材に関しては自身のステップアップのために、新しい技術・スキルを習得する方が多く「目的意識」を持って転職される方が大半です。

とはいえ履歴書だけを見ると転職回数が多いように感じるでしょう。しかしその転職回数は彼らがこなした「ミッションの数」であり「ステップアップしてきた数」です。

「定着率」を重視される担当者には、良い印象を受けないかもしれません。とはいえ履歴書がきれいに見えていたとしても、保守的な考えで転職活動をせず、1社で長く就労される方もいらっしゃいます。

転職回数が多い求職者の中から、向上心やスキル・経験の有無を見極める方法とは? 

そうですね、履歴書や職務経歴書をもとに面接をおこない、今までの経験・ミッションを具体的に聞いた上で判断することをおすすめします。

たとえば、実際1社で長く活躍されている方は、社内で常に新しいミッションが生まれ、自身のスキルを高めることができる環境があった方が大半です。
そのため、在籍中に習得したスキルやその会社で残した成果物を自分の言葉でしっかり説明できるかどうか確認するとよいでしょう。

もし、従業員があまり定着しない場合は、従業員が常に新しいミッションを持てているどうかを定期的に確認してみてください。この点はIT人材に限ることではないはずです。

面接官のITに関する知識が十分でなくても、優秀な人材の採用は可能ですか?

自社の設備や状況を把握した上で、採用後のミッションが定まっているのであれば、優秀な人材の採用は可能だと思います。

また面接では「〇〇のミッションに対し、あなたならどう行動する?」という質問をし、それぞれの候補者がミッションに対しどのように取り組むことができるのかを探ってみるとよいでしょう。

稀にですが、入社後に「会社の環境・設備では責任範囲の仕事を十分にできない」ということが起きてしまう場合もあります。

そのため会社として目指すゴールが決まった際は、今ある環境・設備で達成できるゴールなのか、という点も見直すようにしてみてください。

採用成功の秘訣は、給与レンジに固定概念を持たないこと

上記以外にIT人材の採用時にありがちな採用の失敗談はありますか?

そうですね。特に日系企業で多く見られるのは給与の枠組みが決まりすぎているがゆえになかなか内定確定に至らないことではないでしょうか。日系企業の多くは社内の年齢、ポジション、グレード等のバランスである程度の給与が決められていることが多いです。

「従業員間での社内トラブル回避のため」「社内で給与に変動がないようにするため」など様々な背景があるとは思います。しかし時間をかけて選考を進めていたにも関わらず、給与調整が始まった途端、選考途中での辞退もしくは内定後に辞退となるケースが実際に多々起きてしまっています。

一方で採用に成功している企業の特徴とは?

そうですね。優秀な人材の採用が成功する企業は、給与レンジが年齢、継続年数などに関わらず柔軟に変化する企業が大半です。

このような企業は、社内に「新しいものを入れ続ける文化の理解」があり、会社全体が今向かっているどんなミッションを理解しているため、自分よりも給与が高い人が入社したとしても、管理者層に説明できる人がいるため、不満が生まれにくい環境が整っていることが多いです。

上記を踏まえて弊社のような紹介サービスを利用するメリットとは。

おそらく今後多くの企業でITスキルを使って「こういうことをしてみたい」といったざっくりとした要望が生まれてくると思います。しかし要望に対し、具体的にどういった人材が必要になるのかイメージがつかないこともあるはずです。

そんな時、わたしたちは企業が考えている要望を「必要な人材」と「システム」への分解をお手伝いします。弊社のコンサルタントはもともとIT企業で人事として働いていたメンバーもいます。

そのため紹介時の履歴書等の書類のスクリーニングだけでなく、面接当日のお手伝い等も可能です。また企業の目指すゴールにシステム導入が必要と感じた場合は、該当企業のご紹介も致します。

まずはどういったことをやりたいのか、はじめたいのか、いつでもお気軽にご相談いただければと思います。

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