「何回も転職したいわけではない」日系企業で働くタイ人従業員に「ホンネ」を聞いてみた|HR NOTE

「何回も転職したいわけではない」日系企業で働くタイ人従業員に「ホンネ」を聞いてみた|HR NOTE

「何回も転職したいわけではない」日系企業で働くタイ人従業員に「ホンネ」を聞いてみた

タイで仕事をする上でチーム全体で成果を出すためにも、お互いが理解し円滑な人間関係を構築することは非常に重要です。

しかし、「タイ人従業員の方からホンネを直接語ってもらうことはなかなか難しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

「みんな何を考えているんだろう」「モチベーションを下げるような言動をとっていないだろうか」と、不安になることもあるかもしれません。

今回はタイ国内の医療機関で働くOさんに取材をご協力いただきました。中でもタイ人と日本人の「転職」に対する価値観の違いや、また仕事に対する姿勢が全く違うとおっしゃっていました。

Oさんは日系企業やそこで働く日本人に対して、どのような「ホンネ」をもっているのでしょうか。

※あくまで一つの意見としてご参考にしていただけますと幸いです。

「日本人とタイ人の転職への考えは大きく違う」

現在は医療機関で通訳として勤務

いまは医療機関の日本人対応デスクで働いています。携わっている業務は主に2つあり、1つは日本人の患者さんとタイ人の医者がコミュニケーションをとるために両者の間にたって通訳をしています。

もう一つは患者様を院内の各科にご案内する仕事です。

いまの仕事は気に入っていて、自分の性格にあっていると思います。

現在の医療機関で働こうと思った理由は、組織として安定しているという理由もありますが、他にも来院される方の接客をできるといった点も魅力的に感じました。

もともと人と携わるサービス業に関わりたいと思っていた時に、いまの医療機関が日本人向けの施設を設立したばかりだったので応募しました。

過去に1年間だけ大阪に留学し、日本語を勉強していましたが、医療分野の専門用語などまだまだ日本語を勉強する必要があります。

転職は「スキルアップ」の手段の一つ

前職は日本からの果物をタイに輸入する事業を展開しているスタートアップで、営業を担当していました。

とはいっても営業の仕事よりも、会社設立に必要な業務の方が多かったですね。

そこからまた再度転職し、日本のドラッグストアで商品管理の仕事を担当しました。まだ当時は新人だったので商品バーコードを貼る仕事、または在庫不足の確認などをしていました。

その仕事も辞めていまの会社に至るわけですが、これまでに3回転職していることになります。

一見この転職の回数は多いように思われますが、他の人も同じくらい転職している人はいるのではないでしょうか。私たちの世代は会社に対するロイヤリティーが低い世代だと思います。

会社のために仕事をするというよりも、スキルや知識、また中にはお金のために働くという方もいらっしゃるでしょう。なので、仮にその会社に自分が求めていた環境がなければ、すぐに転職という手段を選択すると思います。

タイ人も会社が好きになれば長く働く

私も日本人の方と仕事の価値観について話すことがあり、「日本人はあまり転職をしない」「一つの企業に長く勤める習慣がある」といった話をよく聞きました。

日本人の方は会社に対するロイヤリティが高いと思います。ただ、タイ人にとっては会社で働くことは、成長のための一つの手段なので、ここは日本人とタイ人の価値観の大きな違いじゃないかと思います。

なので、日本の方からすればタイ人は「根気がない」と思われがちですが、自分にあった仕事がまだ見つけられていないために転職していることも多くあります。

または環境を変えて、さらにスキルアップしたいと思う人もたくさんいます。「今の環境じゃ成長できない」となるとタイ人はすぐに転職しますね。会社に対するロイヤリティの違いから、ここは日本人の方も違和感に感じられるかもしれません。

ただ、そんなタイ人でも自分にとって最適な組織を見つけることができれば、すぐに転職することはないと思います。

私たちも何度も履歴書を書いて、面接してまた新しい環境に慣れるといったサイクルを繰り返したいわけではありません。

もし転職先の企業の環境がマッチしていれば、会社に対するロイヤリティ、エンゲージメントが生まれると思います。

日本人は完璧主義?「完璧に仕事をこなせる人なんていない」

失敗が許されない雰囲気

日本の方と働いて感じるのは、一つひとつの仕事に対して、「完璧」を求める点にあると思います。

個人的には、すべてにおいて100%の状態を常に約束できる人はいないと思っています。もちろん仕事においてミスを最小限に抑えるべきですが、人間である以上は少なからずミスをしてしまいますよね。

その点に関してはもう少し柔軟になる必要があります。タイ人の方はその点柔軟に対応できる国民性なので、たとえば一つのプロセスが間違ったり、飛ばしたとしても結果が同じであればあまり気にならないですね。

逆に日本人の方はすべてをプロセス通りにおこないたいと考える方が多く、そういった違いは少し難しささえ感じます。

「曖昧な言葉」はタイでは伝わらない

全員にいえるわけではありませんが、日本人の方は曖昧な表現する方が多くいらっしゃると思います。一応私も日本語や日本文化を勉強しているので理解できるのですが、たまになにを伝えたいのかわからないときがありますね。

日本人同士であればわかるかもしれないですが、タイ人になにか頼みごとをする時に100%伝わらないことがあります。

なのでそういった文化の違いを踏まえた上で、コミュニケーションを取るとより円滑に仕事を進められると思います。

一方で日本企業で働くタイ人にとっても、この文化の違いを理解する必要があるのではないでしょうか。

日本人が意識する「改善」から学ぶべきことが多い

先ほど述べたように日本人の方は完璧を求める方が多くいらっしゃいますが、仕事をする上で「改善」の意識はタイ人も見習うべきだと思います。

日本人の方は仕事をいい方向性にもっていくために努力します。また私が仕事で困っていると励ましてくれたりしてくれるので常に仕事を頑張ろうという気持ちになります。

また、日本人の方はただ仕事をこなすだけでなく、できない仕事があれば、どのようにすればできるのか、日々「改善」を繰り返す姿勢を学べたのは日本の会社に入って良かったと思う点です。

またほかのタイ人の友達からは、日本人の上司があまり話を聞いてくれないといった不満をよく耳にしていましたが、私の上司は基本的に困ったことがあればすぐに悩み事を聞いてくれます。

私が考える意見にも納得してくれたり、アドバイスをくれたりして、親身になってくれますね。

給料が他の会社より少なくても頑張れる

いまもらっている給料は、自分が期待していたよりも少し低いですが、先ほども述べたようにいまの環境は成長できる実感があるので、これからも続けていきたいと思っています。

給料ではなく、働く環境を重視して個人のスキルアップを優先したいですね。タイ人の方はすぐにやめるといった話がありましたが、私のように会社の雰囲気などがマッチすれば給料がたとえ少なくとも長く働く人もいると思います。

また日本企業でキャリアを充実させたいのであれば、タイ人の方も日本の文化や背景などを知る必要があるなと感じています。

個人的には人が会社をやめる大きな理由は給料だけでなく、人間関係もあると思います。会社内での揉め事や口喧嘩までに発展すると、どうしても会社に居づらくなってやめてしまいます。

ただやめるときに本人はやめる本当の理由を言わないですよね。留学するとか、家族の自営業を手伝いたいとかそういった理由を言って辞めていく方が多いと思いますが、実は会社で誰かと仲が悪かったかもしれません。

そのため相互に理解することで、仕事の人間関係などもうまくいくのではないでしょうか。

私自身も良き通訳になるために日々成長していきたいと思いますし、日本語能力以外にも、日本の文化ももっと学ばなければいけないなと感じる毎日です。

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