【インドネシアの納税制度】NPWPとは

インドネシアにおいて多くの会社は、手取り(ネット)の給与での提示・支給をしているところが多いため、額面(グロス)が多数派の日本のように、毎月自分の給与から”いくら所得税が控除されているのか”を意識的に確認しないことが多いのではないでしょうか。

インドネシアの税金の種類

インドネシアにおける税制種類は、大きく①国税 ②関税 ③地方税の3つに区分されます。今回は、国税に焦点をあて、私たちの普段の生活とも関わりのある所得税・付加価値税に注目し概要をお伝えします。

(1)インドネシアの“所得税”について

所得税は、「所得―費用=課税所得」にかかる税金です。所得税には、法人所得税と個人所得税があります。また、インドネシアにおける所得税は、下記のように申告及び予納によってなされるものと源泉徴収方式によるものとに分かれています

PPH: Pajak Penghasilan

  • PPH21  個人所得税(源泉徴収)
  • PPH22  輸入時の前払所得税(源泉徴収)
  • PPH23(4‐2)国内サービスに対する源泉税(源泉徴収)
  • PPH24  国内納税者の海外所得に対する所得税(申告納税)
  • PPH25  個人及び法人所得税の予納
  • PPH26  海外サービスに対する源泉税(源泉徴収)
  • PPH29  個人及び法人所得税(申告納税)

インドネシア個人所得税

一般的にインドネシアでは、多くの会社が手取り額で提示をし手取り額を支給しているため、私たち個人も税金の支払いをしているというイメージがつきづらいかと思います。しかし、下記のいずれかに該当する個人は、インドネシアの税務上の居住者とみなされ納税の義務があります。

  • インドネシアに住所がある
  • インドネシアに、12ヶ月以内に183日超滞在している
  •  (課税年度内に)インドネシアに滞在し、インドネシアに居住する意志がある

原則、6ヶ月以上インドネシアに居住し就労を行う外国人は、KITAS(一時滞在許可証)IMTA(就労許可証)とともに、納税者番号(NPWP)の取得も義務づけられています。一度NPWPを取得すると、全世界所得をインドネシアで申告+納税することになり、この義務は、NPWPを抹消するまで継続します。逆に、原則6ヶ月以内であればNPWPの取得義務はなく、個人所得税の確定申告はしてくても良いとのことです。

全世界所得課税法方式とは
全世界所得課税方式とは、文字通りその国の居住者が、その国で稼得した所得のみならず、その国以外の国で稼得した所得も含めて、全ての所得に対して課税を行う方式です。つまり、課税の範囲は居住者が全世界で稼得した所得ということになります。

(2)NPWPとは

NPWP(Nomor Pokok Wajib Pajak)とは、インドネシアにある外資企業(PMA)も含め全ての法人や支店、駐在員事務所等の恒久的施設、また個人等の主体者が、その居住/所在地を管轄する税務局に登録し、管理されるべき番号のことをいいます。

通称「税務番号」とよばれており、登録が完了すると、下記のような納税者登録番号カードを受け取ることになります。

こちらのNPWPはPT.Reeracoen Indonesiaの法人用のNPWPカードです。従業員は、各自別途個人のNPWPカードを所持する必要があります。

ちなみに、NPWPは、”Nomor:番号  / Pokok:主な・メイン/ Wajib:義務 / Pajak :税”という4つの言葉から成り立っています。

(3)個人所得税の対象と税率

給与、賞与、退職金、年金、家賃、資産の売却益、その他報酬等が対象となるようです。会社(雇用者)から与えられる会社が負担した個人所得税、アパートメント等の住居費用、乗用車(家族用車も含む)、子供の学校の授業料、帰国休暇費用、その他職務遂行上必要な物品等の現物支給については、個人の課税対象にはならないとのことです。

ただし、支給者が以下の場合は、現物支給を受けた従業員の個人所得とみなされるため、従業員所得源泉税(pph21)の課税対象になります。

支給者(支給社)の対象
  • (法人所得税の納税義務がない)駐在員事務所
  • 最終課税(pph4(2))の対象会社
  • みなし課税所得(年間総売上が48億ルピア以下の小規模事業者等)の適用会社
  • (1984年以前)旧税法に基づいて課税される鉱業、生産分与契約会社

【注意】

課税対象は、インドネシア国内の所得・所得を受け取った場所に関わらず、発生した所得の全てがインドネシアにおいて課税されます(全世界所得)。そのため、仮に日本からの赴任でインドネシアの居住者となったものの、日本において不動産等の資産を有し、賃貸収入を得ている場合などは、日本とインドネシアの所得を合算し、インドネシアルールでの所得税が課されることになります。

(4)課税対象期間

課税対象期間は日本と同じく暦年(1月1日から12月31日)とされています。また、申告・納付期限は翌年の3月31日となり、遅延が発生した際にはペナルティが発生しますので準備をしたうえでしっかりと対応しましょう。基本的には、会社で対応されていることが多いとは思いますが、別で所得がある場合などは一度専門家に相談するのがよいかもしれません。

※納税の遅延は、月利 2%(最高 48%)

※申告書の遅延は1つのレポートにつき10万ルピア

インドネシア法人所得税

税法上、インドネシア国内に設立された、または住所を持つ法人は、インドネシアの納税者とみなされます。また、インドネシア国内に恒久的施設(PE=Permanent Establishment)を保有して事業活動を行う外国法人も、同様に納税者とみなされます。このPEには、PPh15と呼ばれる、みなし課税が課されるケースもあり、一部の駐在員事務所が含まれる場合もあるようです。

法人税は、下記のいずれかの方法で納税します。

1. 源泉税 (源泉徴収税 / 源泉分離課税(最終課税) )

2. 所得税確定申告

3. 予納(前払)税

所得税(法人)の税率

インドネシアの法人所得税の標準税率は、一律25%ですが、納税者の区分により軽減税率が適用されます。

  • 株式の40%以上を公開している上場会社の場合、20%

下記の条件が、年間を通じて最低183日以上(6ヶ月)維持された場合、課税所得1億ルピア超に課せられる標準税率より5%低い、低減税率20%の適用を受けることが可能です。

※ 払込済株式の40%以上が、インドネシア証券取引所に公開されている

※ 般株主が300人以上あり、各株主の持分比率が5%以下である

  • 年間売上高500億ルピアまでの小企業の場合、48億ルピアまでの課税所得に対して、法人税率(25%)の2分の1の12.5%。
  • 年間売上高48億ルピア以下の企業の場合、ファイナルタックスで毎月の売上高に対して5%課税

インドネシアの付加価値税

付加価値税(VAT:Value Added Tax)とは、日本の消費税に該当するもので、インドネシア国内で課税対象の物品やサービスの引き渡し・輸出入・権利移転等、経済的付加価値を課税対象とする税金です。

しかし、日本の消費税と違い、課税対象となる商品またはサービスにより税率が異なります。基本的には10%で統一されているものの、例外的に 5~15%の範囲で増減する場合もあります。

インドネシアVATの特徴
  • 物品、サービスの消費に対して課される間接税である
  • 税金の負担者は、最終消費者である
  • 中間業者は税負担しないが、納税義務を負う
  • 毎月申告、納付する義務がある(VATが発生した月の翌月月末までに申告書を提出し、申告書提出前までに納税をする)

原則、インドネシア課税地域内における全ての物販、およびサービス提供は課税対象です。通常の物販やサービス対価にVATが伴うのはイメージがつくと思いますが、下記のようなケースでもVATが伴います。

VATの課税対象になる事象

  • 会社による関税地域内での課税物品の無償提供
  • 委託課税物品の引渡し
  • 本店・支店間、または支店間の課税物品の引渡し
  • 海外からサービス提供を受けた場合

個人所得 確定申告に関する注意点

インドネシアでの給与以外に他国で発生する所得がある場合

上記の例のように、日本からの駐在員でインドネシアにおいて居住者となった者が、日本において不動産等の資産を有し賃貸収入を得ている場合など、日本とインドネシアの所得を合算してインドネシアにて所得税が課されることになります。

赴任時、現地での給与を発生させるタイミング

NPWP未取得により税務署から納税者として認められていない状態で、インドネシア現地での給与が発生した場合、個人所得税(PPh21)の控除ではなく、海外サービスに対する源泉税(源泉徴収・PPh26)での控除及び申告が必要になります。Pph26の申請の場合、本来5%からの累進課税だったものが一律20%になるため、コストがさらに上乗せされることとなります。そのため、NPWPの取得ができてから、現地での給与を発生させるようにするほうがよいかもしれません。

帰任時の処理

NPWPを税務署に返納する際に個人の税務調査があり、その際にNPWP取得”前”の給与についても調査される場合があるそうです。稀に、過剰な追徴を渇せられるケースがあるそうなので、注意が必要です。

また、インドネシアでは予納(PPh25)という制度があります。これは、”前年度の確定申告に基づき、前年度の総納税額を12ヶ月で割った分を、毎月納税する”という制度です。そのため、ボーナスの支給や帰任のタイミングによっては、本来の額よりも払いすぎてしまうこともあるようです。

そのため、もしもはやい段階で帰任時期が決まった場合は、税務署やコンサルタントに、連絡・相談をしてみるとよいかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。赴任から帰任までローカルにまかせっぱなしにしていたものの、いざ確認してみると、損をしていたなんてこともあるかもしれません。ペナルティー等も細かく決まっているようですので、ぜひ一度下記のような企業のプロに相談し、不備がないか、確認してみるのもいいかもしれません。

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