「安全で健康的、生産的な社会」に向けた社会制限”PSBB”とは?

2020年3月より世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響で、インドネシアではPSBBという大規模な社会制限が始まり、会社運営だけではなく私たちの日常生活までも、大きな影響を受けることとなりました。

10月現在も未だ感染者数が減らず、いつまた社会制限が始まるかわからない状況ですが、インドネシアが現在どのような制限の中で経済活動を進めているのかをまとめましたので下記にてご確認ください。

PSBB(Pembatasan Sosial Berskala Besar)とは?

PSBBはPembatasan Sosial Berskala Besarという単語からなっており、日本語では大規模な社会制限という意味合いで翻訳されることが多いでしょう。

この制限はジャカルタ首都特別州が、首都における新型コロナウイルス対策のため、4月10日から14日間の2週間を大規模な規制強化として実施されることから始まり、現在もなお「安全で健康的、生産的な社会」を目指し、延長と強化を繰り返し続いています。

PSBBの対象と例外は?

この制限措置は、施行規則となる保健相規定(20年第9号)にて下記の6種類とされています。

(1)学校、職場

(2)宗教活動

(3)公共施設及び場所での活動

(4)文化・社会活動

(5)交通機関

(6)その他の活動(防衛・治安分野を含む)

本保健大臣令では大規模な社会制限の例外も定められています。

(1)社会生活上不可欠な産業・サービス

⇒食料、電気、ガス、水道、エネルギー、医療、経済、金融、通信、工業、輸出入、物流、ロジスティック、空港、港湾等

(2)一般の人々が使用する施設

⇒スーパーマーケット、市場、レストラン、コンビニ、薬局、ホテル、スポーツ施設

(3)運輸サービス

⇒航空、海運、鉄道、私用車及び公的車両による幹線道路の利用(ただし乗客数制限あり)、生活必需品や製造用部品、輸出入等の配送・輸送、工場への通勤バス等

上記の指定された11の業種は例外とされ、PSBB期間も経済活動可能とされています。

1 :保健衛生
2 :食料/食品/飲料の材料
3 :エネルギー
4 :通信及び情報技術
5 :金融
6 :物流
7 :ホテル
8 :建設
9 :戦略産業
10 :基礎的サービス、公益企業、国家の重要対象及び特定対象と指定された産業
11 :日常の必需品

PSBBによる実際の制限の内容とは?

一般的に、制限が厳しい状態のことをPSBB Total、制限を緩め新しい生活(New normal)へむけ、制限を緩和した期間をPSBB Transisi(移行期間)とよばれています。

PSBB / PSBB Total

一番最初の制限は、オフィスでの就業が原則禁止となり、公共交通機関の大幅な制限もあり、多くの方が苦労されたかと思います。

期間 事業 公共交通機関

①4/10-4/23

②4/24-4/22

③5/19-6/4

  • オフィスでの全ての活動・就業の禁止(自宅勤務)
  • 指定された11の業種に限り、プロトコルに則って営業可能。

⇒例外業種であっても、制限期間中の工場の操業はオンライン許可の取得が必要。

  • バス・電車は減便のうえ、6時から18時までの時間短縮
  • 乗客数を50%以下までの制限
  • 乗車の際のマスク着用義務
  • バイクタクシーの乗客利用の禁止
  • フードデリバリーでの利用のみ可能
  • タクシー等乗用車の乗員数制限
  • 5/14以降ジャカルタからジャカルタ郊外への移動は禁止

参考:ジャカルタ首都特別州における大規模な社会制限の実施(州知事令の日本語仮訳)

PSBB Transisi phase1(PSBB移行期間)

アニス・ジャカルタ首都特別州知事は、大規模社会制限を延長し、6月を「安全で健康的、生産的な社会」に向けた移行期間に設定する」と定義し、それまで規制していた業種の営業活動も、厳しい感染防止対策を順守することにより、再開できることとなりました。

期間 会社 公共交通機関

6/5-6月末

 

  • オフィス出勤は、従業員の50%のみ、残りを自宅勤務とする。
  • 通勤時の混雑を鑑み、出勤するものも時間などの措置をとる。
  • 会社はウィルス蔓延を防ぐための措置をとる(マスクや消毒液の配布、オフィスのクリーニングなど)
  • 出社の際、ソーシャル・ディスタンスとして従業員同士の感覚を1メートル以上開ける。
  • バス・電車は減便のうえ、5時から21時までの時間短縮。
  • 乗客数を50%以下までの制限
  • 乗車の際のマスク着用義務。

①7/2-7/16

②7/16-7/30

③7/31-8/13

④8/14-8/27

⑤8/27-9/10

  • オフィス出勤は、従業員の50%のみ、残りを自宅勤務とする。
  • 従業員のマスク着用
  • 職場での検温・消毒対策、従業員の健康管理
  • コロナウィルス情報の更新など
 

 

8月3日の週からジャカルタ内での奇数偶数による交通規制を再開

参考:ジャカルタ首都特別州における大規模社会制限(PSBB)の延長及び「安全で健康的、生産的な社会」に向けた移行期間の指定

PSBB / PSBB Total (移行期間を経て再度強化した内容)

6月以降、移行期間とし、規制を緩和していたものの、アニス・ジャカルタ首都特別州知事は、9月の新型コロナウイルスの感染者が特に増加しているとし、14日から再度ジャカルタでの大規模社会制限強化することを発表しました。

そのため、教育機関、観光施設(レクリレーション施設・公園)、ジムのようなスポーツ施設、結婚披露宴、セミナー、会議会場は、再度臨時で閉鎖することになりました。

期間 事業 公共交通機関

①9/14-9/27

②9/28-10/11

  • 企業の事務所・施設は原則閉鎖
  • オフィス出勤は従業員の25のみ、残りを自宅勤務とする。
  • 特定11業種以外の事業所の稼働は認められません。
  • 感染者が確認された場合、当該事業所・店舗が入居する建物を3日間閉鎖する。
  • 公共交通機関(含むタクシー)は、乗車人数制限を50%
  • 鉄道・バスについては運行頻度を減少
  • 私用自動車は、一列の乗車人数を2名までに制限する(同一の住居に住む場合は除く)
  • 車両ナンバープレートによる偶数・奇数交通規制は行わない。
  • バイクタクシーは乗客を運搬可能。

PSBB Transisi phase1

再度規制強化をしていたものの、インドネシアショッピングセンター管理協会(APPBI)の会長であるAlphonzus Widjaja氏らの反対もあり、2度の延長のみで、今回の規制緩和へと繋がっています。

内容は以前の移行期間の際と基本的には同じ内容になっており、引き続き出社制限があり、在宅勤務を推奨している状況です。

期間 事業 公共交通機関
10/12-
  • 指定された11の業種に限り、プロトコルに則って必要に応じた人数で活動可能。
  • その他オフィス出勤は、従業員の50%のみ、残りを自宅勤務とする。
  • 通勤時の混雑を鑑み、出勤するものも時間などの措置をとる。
  • 会社はウィルス蔓延を防ぐための措置をとる。(マスクや消毒液の配布、オフィスのクリーニングなど)
  • 出社の際、ソーシャル・ディスタンスとして従業員同士の感覚を1メートル以上開ける
  • 社内での感染者が確認された場合、消毒のため24時間×3日間に渡り、職場を閉鎖する必要がある。
上記から変更なし

2020年10月現在のインドネシアにおけるコロナ感染者数

インドネシア保健省は15日、新型コロナウイルスの累計感染者数が34万9,160人であると発表しました。そのため、累計感染者数は、フィリピンを抜いて再び東南アジア最多となっています。

引用:新型コロナウイルス感染者数(15日)

インドネシアでは、感染者の78%に当たる約27万人が回復、3.5%に当たる1万2,268人が亡くなっており、死者数はフィリピンの2倍近くに上っているようです。

REUTERS COVID-19 TRACKERにて、インドネシアも含めた各国の最新感染状況が更新されているようですので、他国の状況と比較データをお探しの際は、参考までにご確認ください。

まとめ

最近、新たなに可決されたオムニバス法に関するデモが多発しており、人ごみの中でマスクをしていない人も目立ち、今後ますます感染者数が増える恐れがあります。

とはいえ出社にあたり、公共交通機関を利用せざるをえない現地従業員はたくさんいることでしょう。完全に予防をすることは、難しい状況ではありますが、社内にて感染予防のためのルールを設定するのはもちろん、各個人がマスクを着用する・混雑を避ける・手洗いうがいをする、など感染防止に備え、それぞれが高い意識を持つように心がけるようにしましょう。

参考サイト

新型コロナウイルスに関するインフォグラフィック(インドネシア語)

PSBB移行期間(10/12-10/25)のルール(インドネシア語)

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