HRは常にアップデートすべきだ。Apichat氏が語る、変化の激しい時代に求められる「HRの心構え」

前回に引き続き、組織人事コンサルタントとして「QGEN」「QElitez」のCEOとして活躍しているApichatさんに「テクノロジーの進歩によるHRの変化」について取材。

Apichatさんは、約27万人がフォローするFacebookページ「HR The NextGen」を立ち上げ、人事だけでなく、働く人が抱える多くの悩みについても解決策などを共有し、多くの方に支持されています。

テクノロジーの進化が加速する今、優秀な人材の定義や、人事業務そのもの自体が変わりつつあります。

こうした時代の変化に適応するためには人事はどのような考えが求められるのでしょうか。

現在、どのような人材が求められるのか?

今はテクノロジーの進歩によって、ビジネスの形や産業構造などが大きく変わっていますが、それと同時に求められる人材の価値も大きく変わっています。

中でも大きく2つ挙げられます。1つ目はテクノロジーに対して「恐怖心」を感じない方。

新しいテクノロジーが登場した際に、「難しい」と使ってもいないのに判断してしまう方も少なくありません。まずは何でも使ってみる、それはエンジニアでなくてもできることですよね。

2つ目はビジネスの変化に対して、迅速かつ柔軟に対応できる方が今後求められるのではないでしょうか。

いま未来を予測できることはどれくらいありますか?おそらく、2、3年後でさえも正確に未来を正確に言い当てることができる人は多くないでしょう。常に変化している時代だからこそ、環境に適応できる人材が今後組織にとって重要な存在となります。

一方で、忘れてはいけない重要なことはカルチャーマッチです。

スキルを持っていて誰から見て優秀でも、会社がかかげるビジョンや価値観に共感していない従業員はどうしてもパフォーマンスが上がらないこともあります。

まずは、会社のビジョンや企業文化を見直して明確にし、会社が向かう方向性と彼らの価値観がマッチしているかを見極める必要があります。

優秀な人材を採用するための3つの要素

優秀な人材を採用するためには3つの要素が必要になります。

1つ目は経営者のブランディングです。いまの若い世代の方々は、会社を選ぶ際にその企業の経営者や役員陣の人物像や経歴を見て「自分がなりたい人物像に近いか」を見ています。

そのため、優秀な人材に自社の企業を知ってもらうためには、経営者をブランディングしていく必要があります。

2つ目は、自社の状況を把握し、事業を成長させていく上で必要な技術を深く理解することです。

その定義がしっかりと明確になれば、どういったスキルをもつ人材が必要かがはっきりと定義できます。

3つ目は選考をおこなう際にテクノロジーを活用して、しっかりと人材の見極めをおこなうことです。

求職者の中にはコミュニケーションを上手に取れない方も多くいらっしゃいます。

これまでは求職者を主観や直感でしか判断ができませんでしたが、システムを上手に活用することで、求職者の定性的な部分もしっかりと査定することができ、ミスマッチを防ぎます。

データと事実をもとに優秀な人材を判断し、最終的には人事担当者の直感や経験で判断することが望ましいのではないでしょうか。

優秀な人材はどのような職場環境を求めるのか?

タイでは大企業に就職したいと思う求職者がほとんどです。

大企業といっても、会社の名前を認識するよりも、世の中に出ているプロダクトを通してその会社を知る方がほとんどです。

一方でかなり少数派ではありますが、スタートアップに就職したいと考えている方もいらっしゃいます。

スタートアップでは、自分たちが思うように行動を起こせるといった点に魅力を感じ入社する方が多いです。

例えばフレックスタイムで働くなど、大企業にはあまり見られない柔軟な働き方で働きたい、という若者はスタートアップ企業などに入社するケースが多いです。

一方で、スタートアップは大企業に比べて福利厚生や設備などで劣ってしまう部分もあるので、福利厚生を重視する若者にとっては魅力的に映らないかもしれません。

またオフィスの環境や導入している社内制度など、新しいものが揃っているということも彼らにとって魅力的でしょう。

とくにオフィスの環境は、これから働く方にとって大きなポイントではないでしょうか。大企業はかなり早いスピードで新しいテクノロジーの導入や制度を導入しています。新しいテクノロジーを導入するとそれが話題になり、優秀な人材が集まりやすくなります。

一方で中小企業は大企業に比べてテクノロジーの導入がそこまで速くないものの、徐々に導入する企業も増えています。

テクノロジーの進歩は人事業務にも影響をもたらす

すでにタイ国内の大企業は人事業務改善のためにHRTECHを導入しています。

例えば、勤怠管理などは紙ベースからシステムに移行している企業がほとんどです。

指紋認証やスマホでQRコード打刻など、打刻方法は非常に多様化していますよね。

中小企業に関しては大企業ほどではありませんが、徐々に導入し始めています。一つの理由としては初期導入費用がそこまでかからないという点ですね。

今のタイ企業もHRTECHを導入することで業務削減も非常に進んでいるのではないでしょうか。

例えば、従業員の給与情報の集計などは、かつて時間がかかっており、またミスが発生していたものが改善されつつあります。給与を間違えるのは働く従業員にとっても非常にデメリットですよね。

また、少しずつではありますが、中小企業もHRTECHのサービスに対して関心が高まっており、導入する企業も増えています。

勤怠管理や給与計算だけでなく、従業員エンゲージメントシステムのサーベイを通して従業員の状況を把握する企業も増えており、従業員エンゲージメントツールによって企業の状況をより早く把握できるようになりました。

eラーニングを活用する企業が増加

HRTECHの中でも、eラーニングを活用する企業が増えてきています。仕事に関する知識やノウハウをオンラインで学ぶことができるような環境は、企業や従業員にとって大きなメリットとなります。

特にZ世代(1995~2000年生まれ)の人は、教室のような空間で座学のように学習することに対して退屈を感じており、また決まった時間・場所で学習することは非効率に感じていることでしょう。

また、その時間や場所にお金を払っているので、企業にとってもデメリットではないでしょうか。

今の若い世代は時間や場所に縛られる研修をする時間に仕事をして、好きな時間に研修を実施する方がいいという考え方が普通になっていくのではないでしょうか。

今日ではそういったスタイルの学習方法を取り入れている大企業が多くあります。

激しい変化の時代、HRは常にアップデートする必要がある

「継続的なインプット」が求められる時代に

時代に柔軟に対応していくためには、常にインプットをしていく必要があります。

仕事が忙しく、インプットをする時間を確保できない方も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、仕事を通して得られる情報や学べる量にも限界があります。

閉鎖的な環境での情報量で満足することなく、常に外部からインプットすることで時代の変化に敏感になれるのではないでしょうか。

また未来を予測して行動に移すことができる人材に価値が生まれることでしょう。

目の前の業務につい必死になってしまっている方も多いと思います。ただ、任されたタスクをただ処理するだけではまだまだ人材の価値として向上しないのではないでしょうか。

いま携わっている業務の外界の状況は激しく変化しています。その仕事が社会に与える影響を常に意識しながら仕事に取り組む必要があります。

今の状態がベストではない。HRは常にアップデートするべきだ

HRは今の状態がベストだと思わないこと、常に今の状態よりもいい状態を作ることが求められます。

いまの業務のプロセスは最善なのか、どうやって改善していくのかといった点を意識して毎日業務に取り組んでいく必要があります。

例えば、人事業務に1~10のプロセスがあったとして、すべてを実施する必要があるでしょうか。

なかには1から5のプロセスを省略できるかもしれませんし、2と4のプロセスをしないという選択肢もあります。

過去には必要だった作業も、いまは必要がなくなっていることもあります。固定概念を強く持たずに、いまできることはなにかということを人事は常に思考するべきです。

マネジメント、報酬、タレントマネジメントなど人事の当たり前は常に変化しています。

常に偏見や既存の価値観をアップデートする必要があります。

人事はまた、部署内だけの仕事をこなすだけではなく、組織全体を俯瞰する必要があります。

どのようにすれば自社の製品を購入したくなるのか、どうすれば我々に価値を感じてもらえるのかといったことも同時に考えていく必要があります。

それらの思考がすべて人事の業務につながり、人事としての良い結果を企業にもたらすことができるのではないでしょうか。

そのため人事はまた初心に戻り、ビジネス、財務、マーケティングなどを学び、それらが人事とどのように結びついているのかを理解する必要があります。

それらを理解することで、人事として大きな成功を収めるのではないでしょうか。

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