こんにちは!HR NOTE編集部です。
今回は、2016年3月の末に『人事において「見るべき」データとは?』というセミナーに参加させていただき、その内容に関する記事を紹介します。
主催は、株式会社ミライセルフの表 孝憲氏。ゲストスピーカーとして、以下3名の方が講演をしています。
- リンクトイン・ジャパン株式会社 杉本 隆一郎氏
- 採用学研究所コンサルティングフェロー 杉浦 二郎氏
- 株式会社FiNC 岡野 求氏
その中で今回は、株式会社FiNCの岡野氏の講演内容をもとに、成長ベンチャーが同じベクトルで仕事をするために取り組んでいる内容を皆様にお伝えできればと思います。
【セミナー主催者紹介】
表 孝憲|株式会社ミライセルフ 代表取締役
【スピーカー】岡野 求|株式会社FiNC 取締役CHO
ガリバーインターナショナルにおいても、入社3ヶ月でナンバー1の車両販売台数を達成。その後、テラモーターズ株式会社の創業メンバーとして同社を業界トップへと導く。2013年に株式会社FiNCに入社し、CHOを務める。
成長ベンチャーに見る、同じベクトルを向いた組織の創り方 岡野 求:株式会社FiNC
岡野氏は急成長企業であるFiNCでCHOとして人事領域に携わっており、今回は人事評価の側面からお話をされていました。
【FiNCとは】
FiNCは、「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」をキーワードに、人々の健康に貢献する急成長のヘルスケアベンチャー企業です。月額500円/人でアプリやWebを利用した健康インセンティブプログラム、24時間受付の無料相談チャット、ウェルネスメニューの優待割引などのサービスが受けられる国内初のウェルネス経営オールインワンパッケージ「FiNCプラス」や、企業全体の生産性・業績の向上を実現するためのFiNC独自のトータルソリューション「ウェルネス経営」などのサービスを提供しています。
【FiNCホームページ】
https://finc.com/
社員のマッピングを行うことで、組織状況が整理できる
岡野氏:本日は、人事評価に関する話をしようと思います。執行役員ひいては社員を含めた人材要件につながっていくんですけども。役員合宿で同じ経営目線で一緒に頑張ってくれる、執行役員の定義って何だろうということを話していました。
縦軸をカルチャーフィット、横軸をスキル・実行力としてマトリクスを作成して、ああじゃないこうじゃないって。もっと右だとか上だとかって、社員の名前が書いてある付箋を貼って、それをプロットしていきます。これはですね、やるとすごくすっきりします。
このマトリクスを用いると、特にベンチャー企業において、経営者・役員クラスの人材はカルチャーフィット、スキル・実行力ともに高いレベルで求められるため、右上に集中します。
さらに従業員ベースに置き換えると、それぞれの立ち位置がより明確になります。
岡野氏:議論に上るのはスキルはあるけれども、ちょっと会社に対する姿勢が無いよねとか、すごい逆に気持ちはあるんだけども、でもケアレスミスが多くてスキルはまだまだとか。
結局は、この対比で話してるっていう要素が多いんじゃないかなと思っていて。是非リーダーのみなさんは、自分の部門のメンバーを、この軸で評価していただくと、結構すっきりするんじゃないかなという風に思います。
このマトリクスをもとに、自社にはどのような人材が多いのか把握できるため、どのように育てていくべきか、今後どのような人材を採用していくべきなど、ディスカッションを行うことができます。
同じベクトルを向いた組織をつくるために行っていること
岡野氏:これは執行役員の定義ってどうするっていう、そういう話から入っていますが、それをもうちょっとデジタルに落としていこうっていうこともやっていてですね。
僕らはFiNCSpiritという行動規範ですね。共通の価値観を置いて、大切にしていきましょう、意見が分かれた時はそこに戻っていきましょうねというような、判断軸を置いています。
各企業で独自の行動指針があるかと思いますが、FiNCでは、FiNCSpiritという行動指針があり、それに沿って360度評価を行い点数化し、データ分析を行っています。
岡野氏:これを簡単に言うと、5段階評価の通知表で、その人を360度評価して点数化します。点数化したものをフィードバックシートみたいな感じに、個別にひとつひとつの項目が、自己評価が何点で、周りから見ると何点で、どれだけ差がありますよねとか。具体的にこの項目に関しては、こういう定性的なコメントをもらってますよ、ということをフィードバックしてあげています。
いくつかの項目があり、それぞれ社員ごとにパラメーターとして出てきます。
どのくらいカルチャーが浸透しているかなど、階層や勤続年数、新卒・中途などあらゆる軸から分析していきます。
岡野氏:カルチャーをどれくらい共有できているかを評価しているんですが。最初の頃の30人のメンバー。このメンバーはカルチャーの浸透が、最も大きな枠で出ています。
こういうのを将来的には、やっぱりキレイな、上に行けば行くほどカルチャーやロイヤリティーが高い組織にしていかないといけない。初期メンバーはとにかくカルチャーフィットが強くて、スキルはそんなに高くないです。20代前半とか、ベンチャーやるぞみたいな人ばっかり。スキルはないけど、とにかく朝まで働きますみたいな人達ですね。
将来の幹部候補を採用もしくは育てていく際に、カルチャーとスキルが経営陣と同じくらい高いレベルで備わっている人材が理想です。
しかし、スキルは高くても企業へのコミットメントはどうか、逆にカルチャーにフィットしているけどスキルは足りているかなど、なかなか思い描く人材がいないのが実情ではないでしょうか。
岡野氏:マトリクスでいう、この右上の人を、理想的にはここの人を一人でも多く作りたいんですが、ここに持ってくるのはめちゃくちゃ大変です。
スキルの無い人のスキルを上げていくのは大変ですし。中途で入られてきた方々のカルチャーフィットを元からしない人達の、マインドを変えていくことも大変です。
なので最近は、すごく狙って採っている訳ではないですけど、たぶん採ってる人を統計的に分析していくと、そこまで高くなくとも、ある程度両方の適用性がある人達を採っていく、育てていくっていう方向で、会社としては動いているなと思っています。
最後に
成長企業において、カルチャーが浸透して一丸となった組織を創れるかどうかが、その後のさらなる成長に大きくかかわってくるかと思います。
幹部候補となる人材の採用・育成を行うために、カルチャーとスキルのバランスを見ながら組織の状況を定点観測できると、採用・育成の方向性も明確になるのではないでしょうか。