なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人

  • 組織
  • タレントマネジメント

曽山さんアイキャッチ640
※本記事は、サイバーエージェントの曽山さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは。サイバーエージェントの曽山です。現在、日本企業全体の課題として挙げられる「働き方改革」。

各企業が生産性向上のため取り組みをおこなっている一方で、制度や仕組みだけではなく、個人が納得のいく働き方をすることが本当の生産性向上につながるのではないか。

それは個人の「強みを活かす」ということであり、様々な議論がされている働き方改革に新たな考えを提案したい。そう考え、「強みを活かす」プロジェクトを始動しました。

「強みを活かす」プロジェクトは自身の原体験からきている

そもそも、なぜ「強みを活かす」なのか。それは、私自身の強烈な原体験があります。

私がサイバーエージェントに転職し、営業のマネージャーをしていた20代の頃のことです。当時のチームメンバーは4人。それまで営業として成果を出していた私は、自分の営業スタイル、仕事のやり方を「この通りにすれば受注は上がるはずだから」と言って、そのままやるようにメンバーに伝えていました。

あるメンバーは私の言うとおりに仕事をして、成果を出す。けれども一方のメンバーはなかなか言うとおりにせず、成果も出ない。私はなぜ同じようにできないのかと不満を募らせるばかりでした。

そうしたある日のこと。なかなか成果が出ないメンバーがほかの営業チームに異動になり、その翌月には全営業の中で受注金額トップになったのです。これには衝撃を受けました。

すぐさま、異動先の営業チームのマネージャーにどうやって成果を上げさせたのか聞きに行ったところ、返ってきた答えは「好きなようにやらせている」でした。

当然ながら人それぞれ個性も強みも異なっていて、私が強みとしていることはそのメンバーにとっては得意ではない分野だということに、それまで気づいていなかったんです。

そして、得意でないことを人並みにしようとしたり、弱みを克服しようとするよりも、強みを存分に生かしたほうが大きな成果を上げるんだ、ということにその時初めて気づきました。

人事の役割は「パフォーマンス・ドライバー」である

IMG_4700

その後、私は営業統括から人事本部長になり、サイバーエージェント人事の責任者として既に12年が経とうとしていますが、「人事の役割はなんだろうか?」。そこで行きついた答えは、人と組織で業績を上げる「パフォーマンス・ドライバー」であるということでした。

社員の才能開花をサポートする。組織が飛躍的に成長するためのポイントや、成長を阻害している問題点を見抜き、必要に応じて組織支援や組織改善の手助けをする。才能ある社員に、効果的なキャリアの選択肢を提示するとともに、適材適所を経営に提言する。これら人事の活動すべてが、会社の業績向上につながります。

そう考えた時、やはり人や組織の弱みを直そうとするより、強みを活かしたほうがはるかに業績を上げられる。それが私の結論でした。

弱みを直すことに多くの時間をつかってしまうと、その分、自分の強みを発揮する時間が減り、結果、本来出せるパフォーマンスが出せなくなってしまうのです。自分が強みとする分野で仕事をしたり、強みが発揮できることをしたりするほうが人は楽しいですし、結果も出やすいもの。

サイバーエージェント社内で活躍している社員を見ても、自分の弱みを認めて、強みを活かすことに集中しているんですよね。当社社長の藤田も、「自分が得意ではないことは、ほかの役員に任せている」とはっきりと言っているほどです。

「強みを活かす」考え方を世の中に広めていくために

「働き方改革」を実現するには、生産性向上、つまりはこれまでよりも短い時間で高い成果を上げることが求められます。そのためには「個人も、企業も、チームも、個々が強みを活かすことが必要なんだ!」そんな考えが世の中にもっともっと広まってくれればいいなと思っています。

2017年7月に出版予定の書籍「強みを活かす」(PHP出版)では、私のこれまでの人事経験をすべて出し切り、どうすれば一人ひとりが自分の強みに気づき、他者の強みを活かし、さらに強みを伸ばすことができるのか、ということを一冊の本にまとめました。

本連載を通じて、一人でも多くの方が「強みを活かす」仕事ができれば嬉しいです。

サイバーエージェント 曽山 哲人

[関連]

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

未来を先取る組織づくり-ログラス開発チームが5名→30名と躍進できた秘訣

未来を先取る組織づくり-ログラス開発チームが5名→30名と躍進できた秘訣

ログラスの開発チームは2019年の創業から約5年で5名から30名規模へと拡大。これまでの組織マネジメントにおいて、大きな課題が出ることもなく、順調に成長を続けているとのこと。 その背景にあるのは、立ち上げから今に至るまで […]

  • 組織
  • 企業文化・組織風土
2024.08.20
根本 慎吾
在宅勤務における経費とは?光熱費や通信費の取り扱いについて解説

在宅勤務における経費とは?光熱費や通信費の取り扱いについて解説

在宅勤務で発生する費用はどこまで経費として会社が負担するのでしょうか。在宅勤務では通信費や光熱費、備品の購入費用などが多くなることが予想されます。そのため、労使間で話し合い、在宅勤務の経費について合意したうえで、従業員に周知する必要があります。本記事では、在宅勤務の経費の取り扱いについてわかりやすく解説します。

  • 組織
  • ワークスタイル
2024.08.13
HR NOTE 編集部
社内副業とは?制度を形骸化させない、効果的な社内副業制度導入と運用に必要なステップとは

社内副業とは?制度を形骸化させない、効果的な社内副業制度導入と運用に必要なステップとは<事例つき>

社内副業とは、社員が本来の仕事に加えて、同じ会社内で別の仕事やプロジェクトに取り組むことを指します。最近では、大手企業を中心に社内副業を導入するケースが増えています。例えば、日立、KDDI、ソニー、リコー、パナソニック、 […]

  • 組織
  • ワークスタイル
2024.07.17
松野天音
人事が主導するプレゼンティーズム対策とは⑤~紫外線対策と眼精疲労

人事が主導するプレゼンティーズム対策とは⑤~紫外線対策と眼精疲労

前稿では、日本人の約3割が抱えていると言われる「頭痛」対策についてお伝えしました。今回は、日本では1,200万人以上と言われるドライアイ患者や、紫外線対策と眼精疲労についてお伝えします。 近年の日本の夏は猛烈な暑さになっ […]

  • 組織
  • エンゲージメント
2024.07.10
松野天音
リスキリングの仕上げとなる第4段階!学びを実践につなげるためのポイント|仕事旅行社 田中 翼

リスキリングの仕上げとなる第4段階!学びを実践につなげるためのポイント|仕事旅行社 田中 翼

みなさん、こんにちは。仕事旅行社の田中です。「リスキリングの4つのフェーズ」について、これまで連載させていただきましたが、ついに今回で最終回となります。長い間おつきあいいただき、ありがとうございます。 さて、今回は「学ん […]

  • 組織
  • 人材育成・研修
2024.07.03
根本 慎吾

人事注目のタグ