なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

なぜいま「組織は個人の強みを活かすべき」なのか/サイバーエージェント 曽山 哲人

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※本記事は、サイバーエージェントの曽山さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

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こんにちは。サイバーエージェントの曽山です。現在、日本企業全体の課題として挙げられる「働き方改革」。

各企業が生産性向上のため取り組みをおこなっている一方で、制度や仕組みだけではなく、個人が納得のいく働き方をすることが本当の生産性向上につながるのではないか。

それは個人の「強みを活かす」ということであり、様々な議論がされている働き方改革に新たな考えを提案したい。そう考え、「強みを活かす」プロジェクトを始動しました。

「強みを活かす」プロジェクトは自身の原体験からきている

そもそも、なぜ「強みを活かす」なのか。それは、私自身の強烈な原体験があります。

私がサイバーエージェントに転職し、営業のマネージャーをしていた20代の頃のことです。当時のチームメンバーは4人。それまで営業として成果を出していた私は、自分の営業スタイル、仕事のやり方を「この通りにすれば受注は上がるはずだから」と言って、そのままやるようにメンバーに伝えていました。

あるメンバーは私の言うとおりに仕事をして、成果を出す。けれども一方のメンバーはなかなか言うとおりにせず、成果も出ない。私はなぜ同じようにできないのかと不満を募らせるばかりでした。

そうしたある日のこと。なかなか成果が出ないメンバーがほかの営業チームに異動になり、その翌月には全営業の中で受注金額トップになったのです。これには衝撃を受けました。

すぐさま、異動先の営業チームのマネージャーにどうやって成果を上げさせたのか聞きに行ったところ、返ってきた答えは「好きなようにやらせている」でした。

当然ながら人それぞれ個性も強みも異なっていて、私が強みとしていることはそのメンバーにとっては得意ではない分野だということに、それまで気づいていなかったんです。

そして、得意でないことを人並みにしようとしたり、弱みを克服しようとするよりも、強みを存分に生かしたほうが大きな成果を上げるんだ、ということにその時初めて気づきました。

人事の役割は「パフォーマンス・ドライバー」である

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その後、私は営業統括から人事本部長になり、サイバーエージェント人事の責任者として既に12年が経とうとしていますが、「人事の役割はなんだろうか?」。そこで行きついた答えは、人と組織で業績を上げる「パフォーマンス・ドライバー」であるということでした。

社員の才能開花をサポートする。組織が飛躍的に成長するためのポイントや、成長を阻害している問題点を見抜き、必要に応じて組織支援や組織改善の手助けをする。才能ある社員に、効果的なキャリアの選択肢を提示するとともに、適材適所を経営に提言する。これら人事の活動すべてが、会社の業績向上につながります。

そう考えた時、やはり人や組織の弱みを直そうとするより、強みを活かしたほうがはるかに業績を上げられる。それが私の結論でした。

弱みを直すことに多くの時間をつかってしまうと、その分、自分の強みを発揮する時間が減り、結果、本来出せるパフォーマンスが出せなくなってしまうのです。自分が強みとする分野で仕事をしたり、強みが発揮できることをしたりするほうが人は楽しいですし、結果も出やすいもの。

サイバーエージェント社内で活躍している社員を見ても、自分の弱みを認めて、強みを活かすことに集中しているんですよね。当社社長の藤田も、「自分が得意ではないことは、ほかの役員に任せている」とはっきりと言っているほどです。

「強みを活かす」考え方を世の中に広めていくために

「働き方改革」を実現するには、生産性向上、つまりはこれまでよりも短い時間で高い成果を上げることが求められます。そのためには「個人も、企業も、チームも、個々が強みを活かすことが必要なんだ!」そんな考えが世の中にもっともっと広まってくれればいいなと思っています。

2017年7月に出版予定の書籍「強みを活かす」(PHP出版)では、私のこれまでの人事経験をすべて出し切り、どうすれば一人ひとりが自分の強みに気づき、他者の強みを活かし、さらに強みを伸ばすことができるのか、ということを一冊の本にまとめました。

本連載を通じて、一人でも多くの方が「強みを活かす」仕事ができれば嬉しいです。

サイバーエージェント 曽山 哲人

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