こんにちは!社会保険労務士 有資格者の松永 大輝です。
いよいよこの10月から社会保険の適用拡大がスタートすることになり、これまでは「対象外であったパートなどの短時間労働者にも社会保険が適用される」ことになります。
そこで今回は、この適用拡大はどんな会社に適用されるのか、適用拡大がスタートしたことによりパートなどで働く人の数は増えるのか、減るのかを解説したいと思います。
社会保険料の支払いは従業員の給与から控除するため、従業員が入退社した際の社会保険の手続きはミスなく対応しなければなりませんが、対象者や申請期限、必要書類など大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
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1. 適用対象に関して
まず、今回の適用拡大の対象となるのは被保険者数(社会保険に加入する人)が常に500人を超える職場になります。
これまでは、週の所定労働時間が通常の社員の「おおむね」4分の3未満であれば社会保険の適用対象ではありませんでしたが、2016年10月からは以下に該当すれば、パートの方々などの従業員でも社会保険への加入が必須となりました。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 同じ職場に1年以上勤めることが見込まれること
- 月収が8万8千円(年収換算で106万円)以上であること
- 学生ではないこと
- 特定適用事業所(上記にもあるように被保険者数が500人を超える職場)であること
これにより、パートの方々の働き方に何かしらの動きが出てくるかもしれません。
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2. パートの方々の動きに注目
勤務先が、被保険者数500人未満の職場であればとりあえず今回は対象外となりますが、注意が必要なのは、500人以上の職場で働いていてこれまではギリギリ社会保険に加入しないような働き方をしていたパートの方々です。
これまで通りの働き方を続けてしまうと、「扶養」から外れることになり、自分で厚生年金保険や健康保険に加入することが必要になります。
もちろん保険料が天引きされるため、場合によっては「これまでと比べて手取りの給与が下がってしまう」なんてこともあるかもしれません。
そのため、パートの方々が今までの勤務体系を以下のように変えようとする動きが見られるかもしれません。
- 1.扶養で居続けるために働く時間を減らして給与を下げる
- 2.思い切って扶養から外れて社会保険に加入し、今まで以上にバリバリ働いて給与を増やす
- 3.被保険者数の少ない(500人未満)職場に移る
- 4.同じ職場に1年以上勤めない
1.2.は今の職場でワークスタイルを変える方法であり、3.4.はそもそも勤め先を移ることを検討するという方法になり、今まで頑張って業務を遂行してくれていたパートの方々がの業務時間が減る、職場から離れてしまう、なんてことが起こるかもしれません。
3. パート労働者の雇用調整にどう対応していくか
社会保険の適用拡大がスタートすることによって、パートの方々をはじめとする短時間労働者が大企業(適用拡大の対象)から中小企業へ移ることになるかどうかについては、明確なデータがまだありません。
ですが、求人媒体のanがパートとして働く主婦に対して行ったアンケートによると、適用拡大がスタートする10月以降、「夫の扶養で居続ける方は全体の66.1%」、「扶養を外れるという方は33.9%」という結果が発表されています。
アンケートの対象となったパート主婦が必ずしも適用拡大の対象企業で働いているとは限りませんが、仮に対象企業で働いている方が10月以降も夫の扶養で居続けるという選択をするのであれば、少なくとも月収を8万8千円未満に下げて働くということになります。
そうなれば、パート1人当たりの労働時間が減少し、企業はパート労働者の絶対数を増やさなければならなくなる可能性が高いといえるでしょう。
パートの方々の活躍が大きな割合を占める職場であればなおさら、 パートの方々が働き方に関して何か考えがあるのかヒアリングを行い、対応していくことが求められるかもしれません。
社会保険料の支払いは従業員の給与から控除するため、従業員が入退社した際の社会保険の手続きはミスなく対応しなければなりませんが、対象者や申請期限、必要書類など大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
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