社内の雰囲気が悪いと業務が滞ってしまい生産性が下がったり、部署間での対立が起きてしまったり、なんてこともあります。
今回はユニークなやり方で、社内の雰囲気を変えて組織を活性化させる、他社の事例を紹介いたします。
ユニークな組織活性化をした7社を紹介
創業3年でクラウド会計ソフト「freee」が全国60万以上の事業所に利用されているfreee株式会社では、設立当時3人だったエンジニアが60人まで増えましたが、現在まで離職者は1人と定着率が非常に高い企業です。
freeeでは、チームやロールを固定せず「パイセン」という役職を設けています。
パイセンは、チーム内の開発が上手く回るように気配りをしたり、営業やマーケティング等他部門との連携を図るなどの役割を行います。チーム開発を円滑に進めるために何をすべきかを、各パイセンが考えて実行します。
パイセンはチームの役割の1つでしかないため、他のエンジニアとの上下関係はありません。
もともとはチーム内にエンジニアリングマネジャーとリードエンジニアの2つの役職が存在していましたが、2つの役割が曖昧になってしまったため、2つの役割を合わせてパイセンという役割を設けました。
freeeでは、日々組織や業務の改善を行うことでエンジニア同士のコミュニケーションや業務が円滑に行われるような組織を創っています。
日本マイクロソフトでは、部署ごとに個人のデスクがパーテーションで囲まれた環境であったため、物理的にコミュニケーション不足になっていました。
また、オフィスを移転するにあたり、本社で1日中社内にいる従業員は全体の4割しかいないことがわかり、新しいオフィスではプロジェクト単位で必要な人間がチームを組んで業務を行うスタイルに対応できるフリーアドレス制度と、総合コミュニケーションツール「Microsoft Lync」を導入することでコミュニケーションの活性化を図ることにしました。
「Microsoft Lync」ではチャットやビデオ会議、インスタントメッセージ機能があり、コミュニケーションの内容によりコンタクトをする手段を選べば相手の所へ移動せずにコミュニケーションを取ることができるため、上下関係や部署の壁を超えたコミュニケーションが活発になることで組織の活性化につながりました。
楽天では本社を移転する際に従業員全員のデスクを、天板が650ミリから125ミリまで電動式で調節できる岡村製作所の昇降式デスク「Swift」にしました。
楽天では試験的に導入後、全従業員に導入したところ、多い時は従業員の3割が立って仕事をしている光景がみられるようになりました。
立って仕事をすることで、今まで廊下やオフィスの隅で行っていた社員1対1での相談や、会議室を予約する程のものではないちょっとした打ち合わせをその場の席で行う機会が増えました。
他にも「昼食後の眠気を覚ませる」「グループミーティングをする時には立って行うと効率が良い」「書類に目を通すときに集中できる」「気分転換ができる」など立って仕事をする理由は様々ですが従業員からの評判も上々とのことです。
座って同じ姿勢で仕事を行うと、肩や首、腰の痛みや疲労で集中力が落ちます。
そこをカバーしてくれる「Swift」の導入で楽天はさらなる成長を加速させています。
ホラクラシーとは従業員全員が役職を持たず、上司も部下も存在しないフラットな組織のことです。
ダイヤモンドメディアでは「雇う・雇われる」という概念を捨て、従業員全員が経営に参加する方針をとっています。
役員は社内選挙で選び、給与は自己申告で決めて給与の計算方法もオープンにすることで他の社員の給与もわかるようにしています。
ダイヤモンドメディアでは、命令や指示をしてはいけないというルールがあります。
また、会社の意思決定も従業員全員で行います。
業界内の動向やシェア率、売上の管理や、個人の仕事にかかった時間やリソースを数字で管理を行い、情報を共有することで従業員全員が「良いか」「悪いか」を決め、その判断を再度全従業員で共有して意見や意志をすり合わせて最終決定を行います。
上司も部下もいませんが、リーダーシップをとるのが上手い人、裏方に徹するのが上手い人、職場のムードメーカーなど個性を発揮できることで、組織として成り立つのもホラクラシーならではの特徴です。
飲みにケーションとは以前から行われている居酒屋等での「飲み会」のことです。
日立ソリューションズでは、2004年の創業以来初の赤字に陥った際、従業員満足度が他社に比べて低いことがわかり、解決策を模索していました。
特に、精神的不調を抱える従業員が増加傾向にあることから、2007年に社内の風通しを良くする目的で、役職が異なる従業員同士の飲み会を年間6千万円の予算を組んで制度化しました。
直接の上司ではなく、さらに上の管理職や他部署との懇親会のため「段々飛び懇親会」と呼ばれるようになりました。
直属の上司とは違う角度からの助言を受けたり、プライベートのことを気軽に話すことができるようになったことで、精神的不調を抱える休業者も減少する効果も生まれました。
他にも、違う課の課長同士の交流会や生産性向上や新製品のアイデアを話し合う会など、年間で3千回もの飲みにケーションを開催し、約1万人の社員が年に1度は参加しており、従業員の精神的な健康維持と従業員満足度にもつながっています。
クックパッドでは、スタンドアップミーティングなどチームで話し合う機会はありますが、1対1で話し合う機会が少ないと感じたことがきっかけで個人面談を始めました。
この個人面談は、チームメンバーが1人で抱え込んでいる課題を早い段階で解決に導くことを目的としています。
面談の冒頭はプライベートや技術ネタで互いにリラックスしてから、「仕事が楽しいか」「仕事のブロッカーはあるか」「チーム方針について」「試してみたい技術について」「ひどいと思ったコードについて」といった質問を中心に面談を行い、メンバーが今は何に困っているのか、どんな知的好奇心を持っているのか、業務の改善点の確認やメンバーのプライドなどを知るための質問をぶつけます。
この面談を毎週1回15分~30分行うことで、チームメンバーの仕事状況や性格、業務上の強みや弱みを把握することで強いチーム作りを目指しています。
武蔵野の小山社長は自分の考えが従業員に伝わっていないのではないか、という思いと親切を受けた時に従業員が「ありがとう」ではなく「すみません」と言うことに違和感を持っていました。
そこで、褒めたい時には具体的に何が良かったのか褒める「サンクスカード」をルール化しました。
感謝の気持ちを見える化させることで社員のモチベーションが上がり、サンクスカードの利用が増加していくとともに社内の雰囲気が明るくなり、社内で「ありがとう」の言葉が聞こえることが多くなりました。
また、サンクスカードをやり取りすることで、今まで一緒に仕事をしていても話しをしたことがなかった従業員同士が話しをするようになり、従業員間で親近感が生まれました。
さらに、社内の雰囲気が明るくなり従業員のモチベーションが上がったことから、業績も伸びてお客様からの評判も良くなるという効果もありました。
感謝の気持ちや尊敬の気持ちをカードで見える化させることにより、普段一緒に仕事をしている同僚が自分をどう評価しているのかを知ることで、信頼関係や親近感が生まれて組織が活性化することにつながります。
最後に
7社の事例を見て思ったことは、社内の「コミュニケーション」を活性化させることで、組織の活性化につなげているということです。
プロジェクト単位で仕事をする企業や、PCに長時間向かわなければならないエンジニア職の多い企業で、いかに社員同士のコミュニケーションを取るか、という悩みを解決することで社内の雰囲気が変わり、組織が活性化されていくように感じます。
コミュニケーションの活性化方法は、社員同士が互いを知ることや情報の共有化、コミュニケーションツールの利用など企業規模や文化により最適な方法が異なりますが、閉塞感を感じている方がいらっしゃれば、何かしら参考となれば幸いです。