こんにちは。ゆい社会保険労務士オフィスの宮下です。
2010年に行われた育児・介護休業法の法改正以後、「パパママ育休プラス」というワードを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
聞いたことはあるけど、どのような制度なのか?
法改正によって、いわゆる育児休業の何がどう変わったのか?よくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、パパママ育休プラスの概要や取得するメリットに関してご紹介します。
法改正によって変わった点とは?
厚生労働省の報告書によると2010年時点でパパの育児休業取得率は、1.38%ほどでした。
この「パパの育休取得率を上げる!」という目的からこの法改正がされました。ちなみに、この取得率は2014年時点で、2.3%になっています。この法改正の効果でしょうか?
じつは、法改正前までは育児休業は原則“同じ子につき1回”とされていました。そのため、一度申請して短い期間で復帰すると育児休業を再度取ることは出来ませんでした。
法改正により、同じ子について1回という原則はなくなり、より柔軟にパパもママも同じ子についてそれぞれ育児休業を取ることが出来るようになりました。
また、原則1歳までだった育児休業の期間が、パパもママも育休を取得するパパママ育休プラスの場合には、1歳2か月までとなりました。
これは、現状に即したとても有意義な改正だったといえます。
なぜなら、晩婚化により出産年齢が上がり、それぞれの両親も高齢化していて頼れる人がいない夫婦が増えています。
そのような中で男性が育児休業を取りやすくし、夫婦が協力して子育てが出来る環境が整えられることはとても重要だからです。
具体的なパパママ育休プラスの取得事例は?
では、具体的にはどのようなパパママ育休プラスの取得事例があるのでしょうか?
まず、子が生まれた日から8週間を経過する日の翌日までにパパが育児休業を取得している場合、同じ子について再度の育児休業の申し出が出来ることになりました。
つまり、ママの産後休業期間中にパパが育児休業を取ると、そのあとにママが育児休業を取り、さらにまたパパが育休を取ることが出来るのです。
また、法改正前から可能ではありましたが、期間が延びたことでママが育児休業を取得している途中に、パパも同時期に育児休業を取ることもしやすくなりました。
夫婦で育児をする期間があるというのは、素敵ですよね。
パパママ育休プラスの主なルールは2つあります。
まず、後から育休を取る労働者(以後、プラス育休者)は、子供の1歳の誕生日後に育休を始めてはいけません。
また、プラス育休者はその配偶者の育休開始日より前に育休を開始してはいけません。
そして、それぞれの育休取得可能期間ですが、パパの育児休業期間は、最大で1年間、ママの育児休業期間は最大で(1年間-8週間)となっています。
この制度を利用する最大のメリットとは?
この制度を利用する最大のメリットは、実は、雇用保険から給付される育児休業給付金です。
現在、こちらの給付金は育児休業の開始から6か月間(180日)は、賃金日額×67%となっています。6か月経過後は、賃金日額×50%に下がってしまいます。
つまり、ママ一人で1年間の育児休業給付金をもらうより、極端にいえば夫婦交代で半年ずつ育児休業を取ることで、育児休業給付金を多く受給できるメリットがあるのです。
このように意外と知られていないメリットもある“パパママ育休プラス”。
パパは子育てに関わる良い機会になりますし、ママは短期間で仕事復帰をすることが可能になるきっかけにもなります。
これからお子様が生まれるという場合には、ぜひ夫婦での育児休業の取得を検討されてはいかがでしょうか?