【2021年までに人事は資格取得必須!】インドネシアの人事に求められている資格とは?|HR NOTE

【2021年までに人事は資格取得必須!】インドネシアの人事に求められている資格とは?|HR NOTE

【2021年までに人事は資格取得必須!】インドネシアの人事に求められている資格とは?

  • 編集部より

インドネシアでの人事職は採用だけではなく、従業員育成のためのトレーニング、労働組合との交渉やコミュニケーションといった幅広い業務があり、いろいろな分野における専門的な知識・能力が必要とされています。

またインドネシアでは我々外国人に人事業務に携わる権利がないため、自社の人事スタッフを外部のトレーニングやセミナー等の機会を提供し、人事として必要な知識・能力を磨かせ、人事部強化を目指している会社も多いのではないでしょうか。

さて先日インドネシア政府は労働省を通し、インドネシア全土における人事職のレベル統一を目的とし、2021年までに人事職につく従業員の適性資格の取得を必須とするという内容の通告を発表しました。

今回は、どのような資格取得が求められているのかを簡単にご紹介します。

BNSPによる発表の内容とは

2019年7月22日、インドネシア労働省は、人事職に属する従業員に対し、適性認定の資格獲得を必須とするという内容の下記の通達を発表しました。(通達番号:M / 5 / HK.04.00 / VII / 2019

この適性認定証明書(Sertifikasi Kompetensi)は、国家職業資格認証機構(BNSP)が労働省の作成しているインドネシア国家職業技能適性標準(Standard Kompetensi Kerja Nasional Indonesia : SKKNI)をもとに判断しています。

また本通達によれば、適性資格は、本通達の発行から2年以内(2021年7月まで)に取得しなければならないという記載があります。そのため期限内にて確実に資格が取得できるよう用意をしておく必要があります。

※インドネシアでは職種・業界ごとに、最低限必要となる知識・能力が定められています。

参考:人事職の技能適正標準(SKKNI)

資格の取得方法は?

国家職業資格認証機構(BNSP) が認定した LSP(専門職業資格検定機関)が職業能力検定試験を実施しています。そのため、BNSP(国家職業資格認証機構)により認定されている場所であればどこでも受験可能です。

受験場所等でレベルがばらけてしまわないよう、基本的には受検会場に LSP (専門職業資格検定機関)から評価者が企業などの現場に派遣され、必要な能力を有しているかどうかを審査しており、その後の適性認証はBNSP (国家職業資格認証機構)が行っています。

Surat Edaran Menteri Ketenagakerjaanとは?

日本語訳にすると「労働省からの通達」という意味です。通常、Surat Edaran(通達)が発表される際は、Keputusan Mentari (大臣決定)の確定発表があり、この2つが揃うことではじめて政府が承認した通達となります。

コロナの影響でPSBB(大規模社会制限)が確定した際も、Keputusan Mentari(大臣決定)の出す書面をもとに各企業で対応をされたのではないでしょうか。

今回の人事職の資格獲得に関しては、2020年9月現在Surat Edaran(通達)のみの発表のため、現状はあくまでも「Information」として通達された意味合いが強いようです。

しかしインドネシアの傾向として、いつKeputusan Mentari (大臣決定)が発表になるかは不明なため、2021年までに資格取得の準備をしていたほうが良いという考えのもと用意を進めている人事・会社が多いようです。

人事の適正認定証明書の取得が必須となった背景

カラワンで開催された人事関係者のイベント中 で、人事資格検定機関(LSP MSDMKI)の代表であるIrwan Raharja氏は「LSP MSDMKI(人事資格検定機関)は人事能力認定機関として、人事職の従業員の適正を確認した上で職務を任命する義務がある」と発表しました。

またIrwan氏は、現場の状況を踏まえ、多くの人事が「現在また将来的に求められているスキル・能力」を理解していないとし、今後人事職として、デジタル化や自動化などの将来の外部環境を見据えたニーズに沿う優秀な人材を育成し、会社を成長させていくためにも、人事職の適正認定証明書の取得を必須とすると説明しています。

人事職の適正資格を取得することのメリット
  • 社内の他部署との調整機能としての役割を持つことができる。
  • 従業員の雇用と解雇、従業員のパフォーマンスの評価、従業員のパフォーマンスに対する報酬など、従業員の問題に直接関連するタスクを実行できる。
  • 会社のポリシー・方針・戦略の策定
  • 会社の業績にトラブルが発生した際に会社の代表へのアドバイス

Irwan氏の発表に関する参考記事

BNSPが認定している資格・試験とは

BNSP(国家職業資格認証機構)は認定している試験は、レベル・経験ごと3つに分けられたものになり、一般的にSertifikat Kompetensiとよばれており、一般的には人事職に就く全ての従業員がSertifikat Kompetensiを取得しているのが望ましいようです。

とはいえ、研修やテスト受験にも費用がかかるため、各企業に少なくとも1人は資格取得者がいることが好ましいでしょう。

LSP MSMDKI(人事資格検定機関)のリンクから詳細をご確認いただけます。

Level
受験資格
HR Manager
 
現在、HRミドルマネジメントからHRトップマネジメント相当の役職に就いている方
HR Supervisor 現在、HRスーパーバイザー相当の役職に就いている方
HR Staff

現在、HRスタッフとして就労されている方、

もしくは大学にて3年以上人事もしくはマネジメントを専攻として学んだ学生

インドネシアで取得の可能な人事資格8つ紹介

またインドネシアではBNSP(国家職業資格認証機構)が取得を義務としている資格以外にも、人事職向けに様々な資格があります。

下記にてご紹介する資格は、BNSP(国家職業資格認証機構)の定めているSertifikat Kompetensiとは違い、あくまでもAdditionalとして持っていたほうが良いとされる資格です。HRD Spotでは、資格取得にむけたさまざまなプログラムが用意されているようですので、ぜひご確認ください。

1.Certified Human Resource Professional (CHRP)

このプログラムは、人事業務で必要となるさまざまな基礎項目を全てカバーできる内容となっており、一番一般的な資格です。その中でもプログラムを大きく分けると、人材開発、労使関係、および報酬と福利厚生の3つに分類されます。

CHRPプログラムでは、人事として経験をすでに詰んでいるような専門家だけでなく、人事分野でのキャリアを検討しているスタッフレベルの人材も受験可能です。

また参加者は資格取得のため、3ヶ月間みっちり授業を受け、毎週課題やテストを通過し、最終試験の筆記の適性試験に合格後、自身で選んだ専門分野に関する論文を作成する必要があります。

ジャカルタにあるアトマジャヤ大学では、本プログラムに伴う講座が開校されていますので、気になる方はぜひご確認ください。

2.Certified Professional in Human Resources Management (CPHRM)

この資格は、上記の資格よりもやや専門的な知識等が求められるため、HRマネージャーとして2年以上の就労後、はじめて受験が可能となります。

  • 戦略的人事管理
  • 人事計画、採用、選考
  • 組織開発、能力適性に基づく人事管理および組織づくり(効果的かつ効率的な組織の構築)
  • 研修と開発
  • タレントマネジメント
  • キャリアマネジメント
  • パフォーマンス管理(組織の目標に沿った従業員のパフォーマンスの管理)
  • 魅力的でかつ比較しやすい公正な報酬システムの管理
  • 労働法関係(労働組合関連込)
  • 人事サービスおよび人事テクノロジー

3.Human Resources Business Professional (HRBP)

この資格は人事関連の内容が50%、経営関連の内容が50%です。

人事のビジネスパートナーは、人材開発に関して、業務と従業員の管理との間の調整しつつ、戦略的に会社の事業/ビジネス拡大のため、業務のパフォーマンスを改善する重要な役割を果たすことが求められます。この資格で求められる能力は下記6点です。

  • 人事管理
  • 採用と選考(採用計画策定も含む)
  • 従業員との関係性とコミュニケーション
  • 報酬とメリット
  • トレーニング&開発
  • 健康、安全、セキュリティ

4.Human Resources Management Professional (HRMP)

HRMPが提供するプログラムは、職場での実際のニーズと、今世界で起きている人事管理の認識の変化についての知識を統合したものです。いまビジネスの世界で広く適用されている新しいアプローチを提示することにより、人事管理の作業範囲を包括的に理解することに繋がります。この資格で求められる主な能力は下記4点です。

  • ビジネスリーダーとしての人事
  • 人材育成とタレントマネジメント
  • 人事サービスの提供
  • 測定

5.Professional in Human Resources (PHR)

この資格は、米国で適用される法律と規制に準ずるマネジメントや応用プログラムの実装を対象としています。また取得から3年以内のみ効力があります。

この試験には、採用計画、労働者と労働者の関係、報酬と福利厚生、人事開発、ビジネス管理と戦略、リスク管理が含まれます。

6.Senior Professional in Human Resources (SPHR)

PHRと同様、この資格は戦略と施策の策定に主に重点を置いています。 そのため受験者に求められる必須条件も厳しく、受験者は少なくとも4年の就労経験そして修士号を取得している必要があります。

7.SHRM Certified Professional (SHRM-CP)

Society (for) Human Resource Management(略してSHRM)は、SHRM-CPとSHRM-SCPの2つの能力ベースの認定を提供します。 SHRM-CPは、ポリシー、戦略、およびサービス提供の実装を理解する必要があります。

8.Senior SHRM Certified Professional (SHRM-SCP)

SHRM-SCPは、人事戦略に関する高度な知識を持つ人材の認定をすることができます。 特に、戦略が組織の目標とどのように統合できるかという点です。

SHRM-SCPがあると、リーダーとして、主要業績評価指標(KPI)を利用した従業員のパフォーマンス管理の経験を積むことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。インドネシアにおける人事職の認定証明書取得必須に関しては、労働省により発表されているものの、2020年9月現在、期限内に証明書を取得できなかった場合等の罰則についてはまだ定められていないようです。

しかしおそらく今後の会社の成長には人事機能の強化は必要不可欠となることは間違いないでしょう。ぜひこのタイミングで、自社の人事メンバーをトレーニング等へ参加機会を作ってみてはいかがでしょうか。

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